2003母親大会 in秋田
求められるジェンダーフリー教育
ー男女平等・女性の地位向上をめざしてー

 ジェンダーフリー?この言葉を聞いた事がありますか。男女平等の社会をつくる為に「ジェンダーフリー教育」が必要と、国も自治体も取り組んできました。ところが日本の各地で、ジェンダーフリー教育を否定する動きが出ていると報告がありました。今なぜ逆行なのか皆さんと考えてみたいです。

「女らしさ」「男らしさ」にしばられていませんか?

 品川区には、男女共同参画社会をめざす第3次行動計画があります。この中にジェンダーフリーについて記述がありますので紹介します。

  男女平等をめざす教育と啓発

 戦後55年を経た現在、法律などの制度面では男女平等は大きく前進しましたが、長い慣習の中で形成された性別役割分業意識は、私たちの意識と行動の規範に大きく影響を与えて、今でも「男は仕事、女は家庭」といった価値観のもとに、性差別は根強く存在します。

 この「女らしい」「男らしい」といった社会的、文化的につくられて性差をジェンダーといいますが、男女平等社会をめざす時、このジェンダーが大きな障害になります。また、このジェンダーに気づくということは、誰でも簡単にできる事ではありません。

 区では、この障壁を取り除く取り組みとして、教育の場でジェンダー・フリーの視点に立った男女平等教育を推進します。子どもたちが性別で差別される事なく、個性重視の教育が行われるためには、子どもに接する大人もジェンダーにとらわれない(ジェンダー・フリー)意識を持っている必要があります。そのために、学校、家庭、地域、職場のあらゆる場でジェンダー・フリーが実現されていくための教育・啓発を推進します。

(平成13作成)

 女性が強くなったと言われますが、実際はどうでしょうか。働く女性が増えているのに、賃金は男性の半分。育児、家事、介護は圧倒的に女性の役割。品川議会を見ると、女性議員は全体の21%、女性の政治参加を進めることが求められます。男女が等しく人間らしく生活するためには、労働条件の改善、社会保障の充実が必要ですが、何よりも教育が重要です。気づかないうちに私たちを縛りつけているジェンダーから自由になることが、人間として、自分らしく生きるためのキーワードです。ジェンダーフリー教育はまだ緒についたばかりです。

日本各地の心配な動き

分科会の報告です。

●文部科学省発行「新子育て支援 未来を育てる基本のき」への攻撃・・このパンフレットは「性によって子どもの育て方、しつけ方、進路などへの期待が異なると高校生になる頃には、すでに性別役割に基づいた生き方にしばられる」「大人からの働きかけによって、子どもの中にジェンダーに基づく価値観が再生産されてていく」と書かれています。

 衆議院青少年問題に関する特別委員会で、山谷えり子議員(保守新)は「ひな祭りや鯉のぼりまで否定するかのような内容」と批判。男女共同参画担当大臣の福田官房長官は、この批判に賛同しました。これを受け『産経新聞』が「行き過ぎた性差解消」「日本人の美意識否定」と大見出しで攻撃し、パンフの内容を攻撃しました。

●鹿児島県議会は、7月8日県内の幼稚園、小中高校で「ジェンダーフリー教育」をしないように求める陳情を自民党などの賛成多数で採択しました。●高校家庭科教科書への攻撃・・「新しい歴史教科書をつくる会」の高橋史朗氏は「現行の家庭科教科書を放置すれば、生き方としての文化破壊、すなわち家庭、家族、共同体意識の崩壊をもたらす事は明白であり、早急に家庭科教科書批判の国民運動を展開する必要がある」と、女子差別撤廃条例との関連で家庭科を男女共修にしたことを批判しています。

 報告はたくさんありました。「女らしさ」「男らしさ」を強調する流れの先に、「教育勅語」賛美の元首相の顔が浮かびます。政府関係者の女性蔑視発言も根っこは同じと感じました。全国の動きに鈍感だったことを反省し、今後、品川の取り組みを通し、女性問題を取あげていきます。ご意見をお寄せください。