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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2001年7月1日発行
第123号

 

「痛み」の押し付けは許さない
倒産・失業・社会保障改悪・大増税

 「経済財政運営の基本方針」(骨太の方針)が,発表されました。打ち出されたのは、深刻な不況を打開する対策や国民の福祉を向上させる策はなく、耐えがたい「痛み」を押し付けるだけのものです。

不良債権の早期最終処理で20万〜30万社が倒産

 基本方針は、小泉首相がのべた「痛みを恐れず改革の断行」の具体策として、区民に「倒産・失業」「社会保障の大改悪」「消費税増税」と3つの痛みを押し付ける物です。

倒産・失業の痛み

 「不良債権の早期最終処理」が強調されています。しかし、不良債権とされている物は、今年一月のダボス会議で森元首相が「バブル時代の負の遺産は解消された」と政府自身が認めているように、いま不良債権とされているのは、懸命に働きながらも不況の元で経営が悪化している中小企業であり、大不況をつくり出した自民党政治の犠牲者です。これを最終処理すると言うことは融資を打ち切り、担保を回収するという事で中小企業を倒産に追い込むことに他なりません。
 政府は「不良債権があるから景気が回復しない」としていますが、実体経済にてこ入れせずに景気の回復などありえません。景気が回復しないからこそ優良債権だった中小企業が不良債権化しているのです。ある都市銀行支店長のインタビュー記事が新聞に載っていました。「融資先の中小企業に生き残ってもらいたいと金融庁に再建計画を出しても(不況の中でこの企業だけが生き残るなんて無理だ)といわれる。ある大臣は、効率性の悪い中小企業は市場から退場してもらうといったが、そんなキレイ事じゃない。中小企業にとって世の中からの退場だ」とインタビューに答えています。
 区のあっせん融資(12年度小規模事業・事業設備・事業運転・年末対策)を受けている中小企業は一三九八件。不良債権となれば廃業・倒産はは必至です。区内経済が崩壊することになり、国の問題ではなく、区民生活に直結する問題です。

大増税の痛み

 昨年、衆議院選挙後に当時の森首相直属の機関であった「政府税制調査会」は「消費税を国の基幹税とする」とした中間報告を提出しています。税制を改悪し「公平性」という言葉を捻じ曲げて利用していますが、財産、収入が十分あるという人も、少ない年金でギリギリの生活をする人も同じ税を負担する「消費税」が公平だという理論です。
月10万円の収入と20万円の収入では、収入における消費税支払いの比率は大きく変わります。月五千円の消費税がかかるとすると、10万円の収入の方は5%、20万円の方は2・5%、これほど不公平な税はありません。
 基本方針では「課税ベースを出来るだけ広く取る」として、消費税増税のレールを引いています。「2〜3年後には消費税の増税も視野に入れて」とか「最低でも14%にしなくてはならない」などの閣僚発言と軸を一つにするものです。「第2の消費税」とされる中小企業に対する「外形標準課税」の導入を明記していることも、中小企業つぶしの重税となります。

社会保障改悪の痛み

 今年の初めに社会保障給付費が72兆円という報道がありました。これは税金、保険料などの社会保障財源から支払われた給付の総額で、国がすべてを負担した数字ではありません。受益者負担分を除くと公的負担は22兆円(国庫負担17兆円、自治体負担5兆円)にしかすぎません。今回の基本方針は、これをさらに削り込もうというものです。「今後は給付は厚く、負担は軽くというわけにはいかない」として、国の責任を放棄して「自助と自律」を強調し、医療費などの国民負担の増加を打ち出しています。これでは、社会保障制度への信頼を根底から揺るがし、国民の将来不安をいっそう増大し、まったく展望のないやり方と言わざるをえません。
 小泉首相は自民党厚生族議員として、年金改悪法を提案し、福祉、生活保護、教育などの国庫負担金・補助金のカットに加担。生活保護では人権を無視した強圧的な指導を行い自殺者まで生みながら、指導は「適正におこなわれている」と言い張りました。4年前の医療改悪は、いまの消費不況をつくり出した最大原因となっています。

くらし応援の改革を

 求められる道は、大企業応援ではなく国民のくらしを応援する政治です。消費税減税で購買力を直接あたため、医療、介護、年金など3兆円の負担増を凍結し、将来に不安のない社会保障体系をつくり、労働者保護のルールを確立し、雇用不安の解消に努めることです。日本共産党は、来る参議院選挙を通じて政治改革に力を尽くしていきます。