なぜ青年の就職が困難になっているのでしょうか
必要な職員まで削減する政府方針
就職難の背景には、大企業の大規模なリストラ・人員削減がおこなわれ、政府は、企業が人減らしすればするほど税金をまけるという仕組みまでつくってリストラを激励しているのです。
青年の就業意識は不十分?
「冗談じゃない」と青年の声
都議会議員選挙・参議院議員選挙を通じて会話をかわした青年たちの深刻な実態です。
「働きたくても働けない」
「安定した職に就きたい」
いま、青年の失業率は約10%にのぼり、大学や高校を卒業しても就職できない青年が急増しています。不安定なアルバイトで生活している青年も少なくありません。いま、日本社会では、ほんとうに人手があまっているのでしょうか。じつは、社会のあらゆる分野で働く若い力が求められているのではないでしょうか。
技術の継承も不可能に
民間でも、公務員でも、青年の採用を大きく減らしてきたために、年齢構成が「逆ピラミッド」になり、いろんな技術や仕事が受け継がれない、職場から若い力が消えていく、という深刻な事態がうまれています。青年を大事にしない国は、経済も社会もだめになってしまいます。
青年の失業率は、全世代平均の2倍以上。ところが政府は、深刻な青年の失業増の原因について、「若年者の職業意識が不十分だから」といいました。失業増の責任を青年に押しつけるこういう議論は、間違っています。総務庁によれば、この10年間に、15歳から25歳までの完全失業者は36万人から70万人へ、失業率は4・3%から9・2%へ大きく増えました。しかしこの時期、自分の意思で離職した若者の割合は減っています。増えたのは、学校を卒業しても就職先がなかった若者の割合です。13・9%から20・8%へと大幅な増えようです。離職の理由をみても、「労働条件が約束と違う」というのが若い世代ではどの年代層と比べても高く、就職の希望も、どの年代層よりもこの世代が高くなっています。これらの事実が示しているのは、若者は働く意欲を持っている、でも企業の側の新規採用の抑制で職につけない(92年から今日まで10年足らずに4割も減っています)、職についても賃金が極端に低い、サービス残業が押しつけられるなど、ひどい労働条件のため働き続けられない、ということです。その責任は決して青年にあるのではなく、企業の側にあり、その企業のリストラ、やりたい放題を応援する政治の責任ではないでしょうか。長期にわたって新規採用を減らし続ければ、社会全体にも深刻な影響が及びます。教員の新規採用が、この10年間で3万3千人から1万1千人へと3分の1に減らされ、全国各地の学校で若手教員が不足して、「顧問のなり手がいなくて部活ができない」などの問題がおきているのは、その典型です。いま日本社会は働く若い力を必要としているというのが本当のところです。政治こそ責任をもって青年に生きがいある仕事を保障すべきなのです。
必要な職員増員
青年の就職難が問題になる一方で、国民生活に必要な仕事の分野で人手が不足していますがどういうことなのでしょうか。医療の現場では、100人あたりの看護職員数が、アメリカの5分の1、ドイツの半分しかなく、「忙しさ」と「人手不足」がきわめて深刻です。親身な看護ができるようにするためには新たに看護職員を100万人増員し、患者1人あたりの看護職員数を倍にする必要があります。 介護の関係では、不十分な厚生省の計画からみても、あと4年間で、ホームヘルパーが15万人、特別 養護老人ホームなどの職員が約3万人必要です。教員の新規採用は、10年前の3分の1に減らされ、教員をめざす道はきわめて狭き門です。すべての子どもたちが、わかるまで教えることのできる教育の保障につながる「30人学級」を実施するためには、12万人の教職員が新たに必要です。防災の面では、法律が定めている「消防力の基準」からみて、全国の市町村で6万人近くの消防士が不足しています。就職したくてもできない若者がたくさんいる半面、若い力が必要とされている分野では人材不足が深刻化している、この「ミス・マッチ」を打開するのが政治の役割です。
日本共産党は、むだな大型公共事業費を削減するとともに、大銀行支援のための70兆円もの公的資金の枠組みを廃止し、軍事費を大幅削減して、財政再建にふみだしながら、教育や福祉など国民を応援する予算を増やすことを提案しています。そうすれば、教育、福祉、防災などで150万人以上の人員を計画的に増やしていくことができます。 |