日本共産党品川区議団TOPへ         「菊地貞二ニュース」目次へ

菊池貞二 菊地貞二ニュース 2001年9月30日発行
第134号

 

区民が区民を監視する生活安全条例
警察が生活にまで介入するの?

 品川区は前定例議会に陳情として提出された「安全で住みよい品川区づくりに関する条例制定」が主旨採択され、第3回定例議会に「区民生活安全条例」が提案されました。協議会は警察・防犯協会・青少年協議会・PTA・町会などの団体で構成されます。

新たな人権侵害を生み出す危険性を危惧する声も

 陳情では不法滞在外国人による凶悪犯罪の増加、女性やお年寄りを狙ったひったくりなどの増加、少年非行の凶悪化や薬物の乱用をあげ、その原因として地域連帯感の希薄化、社会環境の劣悪化、家庭での放任、学校指導の教育的限界を陳情に至る理由としてあげ、要旨では「生活に危害を及ぼす犯罪や事故による被害を未然に防止する」事が必要であると強調しています。これを受けて区は制定理由として「全国的に多発する凶悪犯罪、ピッキングなどの盗難事件など環境の変化に対応し、区民が安心して生活を送る事の出来る地域社会を築くため」としています。また、区民の責務として犯罪防止活動の推進、区がおこなう施策実施への協力が明記されています。
 生活安全協議会委員は30名弱の人員で構成され「区民を取り巻く生活環境の現状と問題点を把握し、その対策を協議する総合調整の場」と位置付けています。

「生活に危害を及ぼす犯罪」者をさがす体制

 品川区は当初、実効性などを設定するのは難しい面があり、条例制定には難しい内容である旨の答弁を行っています。同様の趣旨で日常活動を行っている団体は数多く、陳情を提出した5防犯協会に対し、157万円の助成金を出すなど、協議会に参加するであろうと思われる各団体に助成し、これまでも区の責務である区民の安全、生活を守るという努力はおこなってきたはずです。警察においても警察法の許す範囲で権力の行使をおこなっています。許される範囲の中で犯罪の防止に努めてきたものが、条例の制定や協議会の設置で何が変わるのでしょうか。むしろ警察の主導のよって、行政が警察の仕事を肩代わりし、新たな人権侵害を生むことにつながる事が懸念されて当然です。「生活に危害を及ぼす犯罪」を犯す人物を特定するなどは区民に出来る事ではありません。正すべきなのは、あらゆる犯罪を生み出している社会体制なのではないでしょうか。


奨学金返済期限が
 20年から15年に短縮

 品川区は奨学金徴収率が低下しているとして返済期限短縮の条例を提案しました。
 現在、20年返済としているのは品川区を含む4区、15年返済が7区となっています。現在の貸付総数は1053名。未納率は12%。現在の滞納金は1900万円です。毎年、約200万円が滞納として積み重なっているといいます。このため、昨年から返還形式を多様化したり、悪質な滞納者(支払い可能な収入があっても支払わない)については法的措置も含めて対応してきたとしています。この一環として返済年数の短縮が必要としています。しかし、奨学金制度は就学する意思がありながら経済的に不可能と思われる青年に教育の機会均等を保障する立場で制度化されたものです。こうした制度の趣旨から欧米では奨学金の返済はする必要はないとしています。日本の制度では収納率を高めていかなくてはならないという実態がありますが、だからといって今の不況、失業者の増加という社会状況から見るとおこなうべき施策ではありません。

高校 貸付金額 返還期間 返還金額
私立 1208000 20年 60000
公立 538000 20年 26000
私立 1208000 15年 80000
公立 538000 15年 35000