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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2001年11月4日発行
第139号

 

最低限度の生活さえ取り上げる
生活保護の需給率低下を進める

 決算委員会の中で、生活保護についての審議がありましたが、この中で担当課長は「保護を減らしていきたい」と発言し、冷たい品川区の行政と政治の姿勢を象徴しています。

憲法で保障された最低限度のくらしさえ切り取るのか

 9月下旬に議会に提出された「事務事業評価結果のまとめ」で、生活保護について担当課長は次のような評価をしました。『生活保護法以外の法律や施策を活用し、保護の適正化−保護の受給を減らすことを指す−自立の助長に取り組み、保護率の低下を図る』。これはどう読んでも 生活保護の受給を減らすことを言っているのではないでしょうか。

命を守る最後の手段

 長引く不況の中、リストラや倒産、病気などの理由でやむなく保護を受けるようになっているのであって、受けること自体、最後の手段という気持ちをみんな持っているのです。そのプライドなどまったく無視し「保護を受けていることは能力のない人」あるいは「怠け者」というレッテルを貼っているようで非常に辛いみかたです。血も涙も無い認識は止めるべきです。
 この3年間で見ても、生活保護受給者は2,614人が3,129人に20%増となっています。失業率が戦後最悪の下で保護率低下を図る、と課長は言いますが、その根拠はなんでしょうか。
 課長は「仕事を選ばなければ就職できるはず。区としては保護を減らしていきたい。就労に支障ない方は保護の対象としない。」と答弁していますが、ハローワークにいっても仕事は少なく、とりわけ中高年層は厳しい状況です。
 突然の解雇などで予期せずに将来の生活設計が崩れ去る状況はたくさんあります。出来る仕事はないかと求職活動をしても給料は半分以下、なれない仕事に甘んじなくてはならない、家族を養うためにプライドも捨てて・・という人はたくさんいます。また、 懸命に探しても見つからない人もたくさんいます。

厚生労働省見解・不況のもとでは保護は当然

 厚生労働省の社会援護局の担当課長は『稼動能力の活用を促すことは大切ですが、努力しても就職できない人には、当然保護を受ける権利があります。この不況の基で、保護の増加は当然だ。』と明言しています。 これに比べても、品川区の姿勢はあまりにも冷たいといえます。
 この間、「保護を受けたいがひどい言葉を浴びせられた」とか「就職活動をしているのに、やいのやいの言われ、頭にきたので保護を断った。でも、これ以上暮らせない」「もう死ぬしかありません」という切羽詰った相談があります。あまりにも厳しい区の対応に悔しさや悲しさを耐え切れないという訴えです。「なまけもの」という認識ではなく、人間としての尊厳を大事にしながらの適切な指導が必要です。
 区は、「人権尊重」を謳っています。行政姿勢にも貫くべきです。

健康で文化的な最低生活に必要な規準

 現在の生活保護法は、第2次世界大戦のあと、世界的な生存権(人間らしく生きる権利)保障制度の確立運動の流れと、国民の民主主義と暮らしを守る要求と運動のなかで1950年にできました。
 生活苦や貧困、病気は、個人の責任ではなく、政府の低賃金政策や貧しい健康・医僚・福祉政策、労働政策など社会的要因によるものです。生活保護法は、こうした社会的原因による生活苦から、国の責任で国民の生活を守ることを目的としてつくられました。
 このことから、不十分な面をもちながらも、生活保護基準は、少なくとも国が決めた国民の「健康で文化的な最低生活」に必要な生活費の基準となっています。
 あなたの収入と保護基準を比べてください。「健康で文化的な最低生活」の基準を満たしていますか。