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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2001年11月11日発行
第140号

 

高額なローンをくみ移り住んだマンション
1年で太陽を奪われるなんて

 品川全区で建築物に関わる紛争が絶えません。
 「ザル法」とまで言われる建築基準法や、住民が参加することのできない都市計画。人々の、ふれあいの中で形成される「まち」づくりは、まず、環境保全と住民参加から始まるのではないでしょうか。

住環境の悪化を促進するのが都市計画ですか?

 品川区が、平成13年度から22年度にかけて推進する第3次長期基本計画の中で、住宅施策の方向性を次のように位置づけています。

ゆとりある住まいの供給促進

(1) 良質な民間住宅の設置などの誘導を行います。
(2) 民間の開発行為や建築計画に対して、開発指導要綱等を通じて適正な指導を行い、良好な住環境の形成を図ります。
(3) 区民の住宅修繕・改修等について国・都の役割分担を整理し、資金支援制度の拡充を図ります。
(4) 都心共同住宅供給事業等を活用し、良質なマンションや民間住宅の供給を誘導します。
(5) 分譲マンションの良好な維持管理について、啓発や相談体制、支援などを拡充します。
 上の5項目がマンションや戸建ての民間住宅に対する施策として掲げられています。

しかし、現実は

 今回、取り上げる紛争地は東品川3丁目。準工業地帯で、25年ほど前から集合住宅が建設されてきた地域です。東京都の「東京低地の液状化予測」調査では土壌が弱く、阪神・淡路大震災規模の地震があった場合、液状化現象を起こす地域として3丁目10〜13番、15〜21・32番地にかけて楕円形状に設定されている地域でもあります。近隣は中高層のマンションとなっており、日照・採光被害を受ける事になります。
 昨年、供給されたマンションは、建設予定地の北側に位置し、比較的若い世代が居住しています。この環境の中で子育てをしようと、ローンを組んで移り住んできた世代が、あっという間に良好な環境を奪われてしまうのでは、3長で言う「良好な住環境の形成」や「良好な維持管理」など、行政が指導を行うとしている環境保全は絵に描いた餅のようなものです。
 建設から20年を超えるマンションもあります。ここに居住する住民は定年をむかえ、年金でくらす方も多いとききます。採光被害を受けても、他に住み替える財力はないのが普通の生活です。1日中、太陽があたらないどころか、光さえ入らないのでは病を促進するようなものです。

野放途な建設の後ろ盾は品川区

 民間マンション事業者が野放途に建設できる理由があります。
 品川区は、地方自治体として全国でも有数の再開発事業を促進しています。昨年は端境期となりましたが、それでも総額28億円。東五反田2丁目オーバルコ―トには約23億円弱の補助金(区民の支払った税金)を投入しています。民間建設業者である、三井建設がたてたマンション1戸あたり、約1,000万円をこえる税金を投入した事になります。大崎駅東口第3地区には、これから100億円の補助金が投入されます。
 民間建設企業を助けるような税金の使い方をするのではなく、住環境整備や後退する福祉に税金投入をするべきです。

条例強化を進めよう

 「法律を守っていればそれで良し」とする条例や要綱ではなく、事業主が責任をもって住環境の保全を考えなくてはならない、行政指導がおこなえる条例に転換して行く事が求められています。