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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2002年2月24日発行
第153号

 

朝日新聞報道・・高橋区長の責任を求める声が区議団にあいつぐ
区民の税金1億6000万円が紙くずに!

 朝日新聞のトップ記事で明らかになった「アルゼンチン債」購入問題は、高橋区長が品川区の行政を株式会社化させ、利益最優先の立場から、もうけにならない福祉事業を削減するという、地方自治体の責務を投げ捨てている政治姿勢をまざまざと見せつける事件となりました。

品川文化振興事業団・・区民の税金でアルゼンチン債を購入
理事長は高橋区長


 83名が参加した緊急報告集会では真相究明を求める声が相次ぎました。

 品川文化振興事業団は、「きゅりあん・メイプルセンター・О美術館・区民ギャラリー」を区の委託を受けて管理、運営を行う公益法人として86年に結成され、基本財産は5億円、そのうち、4億7000万円は区の出資金(税金)で設立されました。他に年間3億円の補助金が投入されています。

区幹部が事業団幹部として揃い踏み

 アルゼンチン債の購入時は理事長に高橋久二区長、副理事長には若月秀夫教育長、相見省吾助役(当時・事務局長兼務)監査には相川明収入役と区の幹部がズラリと並ぶ役員布陣。区民の皆さんが、わざわざ第三セクターにしなくては管理運営ができないのかと首をかしげる体制です。

ハイリスク・ハイリターンのマネーゲーム

 問題となったアルゼンチン債は、平成12年5月に1億円、8月に6000万円を購入。他にメキシコ債を3月に1億円、中国債を4月に5000万円購入しています。購入したのは相見元助役。
 アルゼンチンは経済危機の中で昨年12月にデフォルト(対外債務不履行)を宣言。メキシコ債についても元本割れをおこし、利息を合わせてなんとか差益を出しているほどです。しかも、議会にも報告をおこたり、区長は「知らなかった」と強調しますが、事業団の規定には「基本財産は理事会の承認を経て・・」運用する規程があり、理事長である高橋区が「知らなかった」では済まされません。さらに、庶務規定では「2000万円以上の契約は理事長決定」とあり、区長(理事長)の認印がなくては購入は不可能。理事会にかけずに、かってに認印を使用したのであれば、特別背任罪が適用されても不思議ではない事件となります。
 相見元助役は朝日新聞の取材に対し「低金利で利息がゼロに近いため有利な運用先を探した。アルゼンチンは歴史のある国なので大丈夫だろうと思った」と答えていますが、専門家に聞いたところ「公益法人が儲けに走る事もふしぎだが、メキシコを含めて危険な中南米の国債に手を出すとは驚き。安全なヨーロッパの国債でも充分な利益を得られたはずだが・・?」との返答。ますます不思議なアルゼンチン国債購入です。

・・・公益法人・・・

 民法第34条に基づいて設立される社団・財団法人をさし、設立には、
(1)公益に関する事業を行うこと
(2)営利を目的としないことの規定があります。

意図的に決算書操作?

 監査の問題もあります。
 相川明区収入役は、区財政という公的資金をあつかう専門家のはず。その人物が監査にいながら資金運用がどうなっているのか?収入、支出はどうなっているのか?知らないはずはありません。もし、知らなかったとすると監査などおこなっていなかった事になります。税理士の話によると決算報告書や財産目録にもアルゼンチン、メキシコ、中国債購入の記載はなく「国債」とあるのみ。こうした場合、素人ではわからず、専門家が監査をおこなっていれば、明細を請求し確認するとの事です。しかも、アルゼンチン債は固定資産となっていますが、本来は流動資産のはずだが?といいます。意図的に決算書を操作し、隠していたとしか思えません。

早急な真相究明こそが議会の責務

 与党からは「良かれと思ってやったのだからしかたがない」と問題をうやむやにしようとする発言もあります。しかし、公益法人の規定にはずれ、マネーゲームまがいの税金運用に走った事を議会が追求せずに、区民から信任を得て議員となった役割ははたせません。真相の究明は、第1回定例議会、予算特別委員会がしっかりとはたすべきです。

区長責任を明確に!

 高橋区長は、朝日新聞の報道以降、公式会議から病気を理由に遠ざかっていましたが、19日(火)開催された文化振興事業団評議委員会に姿を現し「理事長責任は免れない。責任については自分で決めたい」と発言していますが、どんな責任をとるのでしょうか。
 区政運営では、2002年度の予算案で財政難を口実に区民生活に関わる施策を廃止、切り下げを進め、4億円を超える事業費の削減をおこないました。人件費などを加えると70億円を超える削減となります。反面、再開発には47億円あまりを投入。大崎や五反田地域の再開発には、これから100億円を超える再開発費が、補助金として投入されようとしています。
 「こんな区政でいいのか・」皆さんから寄せられる共通の思いです。貴重な税金をもてあそぶ高橋区政から区民が主人公となる区政に転換していきましょう。