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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2003年6月29日発行
第208号

 

これが教育でしょうか?
正答率をホームページで掲載

 いま、各地で「国がやらなくても地方独自で『三十人学級』に足をふみだそう」「国のいいなりではなく、子ども中心の教育をすすめよう」など、教育をめぐる新しい流れがおきています。この背景には、学力の問題や十年間で倍増した不登校をはじめ、教育の問題をなんとかしたいという国民のつよい思いがあります。

40年前に廃止された制度復活へ
点数競争とランク付け

 品川区教育委員会は、学区域の自由化、小中一貫校、そして「学力テストの成績を中学校ごとに公表する。卒業した小学校別の成績も発表する」…5月7日付け朝日新聞の報道に驚きが広がりました。

 中学一年生を対象とした4月の学力テストを中学校ごとの平均点、卒業した小学校別の成績、正答率をホームページに掲載するというものです。いま、子どもたちは新学習指導要領と週5日制のもとでストレスをつのらせています。苦しむ子ども達を一層の競争にかりたて、親や子ども達を小学校入学前から学校選びに奔走せざるをえない状況に追い込む事になりかねません。

 従来の受験競争と偏差値教育が人間形成に傷跡を残してきた反省もありません。

競争のみを激化させるランク付け

 そもそも、教育問題をまとめた「プラン21」の中で「特色ある学校の創造や開かれた学校づくりなどの提言に答えていく」と学校選択の自由化も打出しました。しかし、今回の学校をランク付けする成績や正答率の公表は「特色ある学校づくり」とは相反するものです。

 学力テストそのものは、子どもの到達点をおさえ、なにを教えればよいのかを考えるうえで、教師や父母にとって必要な事もあります。しかし、1961年から65年にかけておこなわれた全国規模での学力テストは点数競争が激化、学校間や自治体間のランク付けにつながるとして66年に中止されています。

子ども不在の強権性

 小中学校の序列化と同時に、最大の問題は直接影響のある親と子ども、教職員の意見をまったく聞かず、説明さえしていない事です。子どもの目線にも立たずに進める教育不在、区民不在の強権的な態度は真に子どもの事を考えているとは思えません。

 教育基本法には第10条で行政の任務をこのように規定しています。

 1.教育は、不当な支配に服する事無く、国民全体に対し直接に責任をおって行われるべきものである。
 2.教育行政は、この自覚のもとに教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

としています。

 この基本に基づいて確かな学力の定着を図るにはどうしたらよいのか、悩み苦しむ子ども達と教職員、父母を励まし、支援する立場に立つことが品川の教育行政に求められているのではないでしょか。