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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2005年11月20日発行
第291号

 

厳しい暮らしに拍車をかける介護保険料値上げ
基準額3300円⇒3900円

品川区では、第三期目となる介護保険料が値上げされようとしています。

第1号被保険者(65歳以上のかた)の介護保険料は、世帯の区民税をもとに決定しますが、税制度の改悪が進む中で前期と比べると二段階も区分が上がるという被保険者が生まれることになります。

10月から始まったホテルコストと食費全額負担も重いのに…
区分
対象者
前期区分
月額
第一段階
生活保護・老齢福祉年金受給者で区民税非課税者 第一段階 1950円
第二段階
区民税世帯非課税で合計所得額課税年金収入額が80万円以下 第二段階 1950円
第三段階
区民税世帯非課税で第二段階以外 第二段階 2925円
第四段階
本人区民税非課税で同一世帯内に区民税課税者がいる 第三段階 3900円
第五段階
本人区民税課税で合計所得金額が200万円以下 第四段階 4875円
第六段階
本人区民税課税で合計所得金額が200万円以上 第五段階 5850円

品川区の介護保険積立金は17年度現在で16億5800円。第三期の保険料は区の計算では4125円。基準額3900円に抑えるために5億円を超える取り崩しをおこなうとしています。区の計算どおりであれば約3年で基金がなくなり、保険料は天井なく値上がりすることになります。 こうした事態を防ぐためには、第六段階を細分化し一千万円以上、二千万円以上といった高額所得者に基準額の2倍、3倍といった保険料を課すなど応分の負担を求めることも必要です。また、国庫負担をただちに25%から30%に引き上げ、利用料、保険料の減免制度をつくることが必要です。

介護保険導入後、品川を始め、全国で四分の一をこえる自治体に、保険料や利用料の減免制度がうまれました。これは、住民運動と日本共産党が力をあわせた成果であるとともに、国の制度として低所得者への減免制度がないことが大きな欠陥になっていることの表れです。

そもそも保険料や利用料が高い最大の原因は、介護保険が導入されたときに、政府が、介護施策にたいする国庫負担の割合を、それまでの50%から25%へと大幅に引き下げたからです。国の責任は重大です。

現行では、国庫負担25%の内に「調整交付金」5%分が含まれていますが、品川などでは交付対象外となっています。これを別枠化し、国庫負担全体を30%に引き上げることは、全国市長会や全国町村会もくりかえし要望していることであり、財源も約三千億円程度です。この程度の国庫負担引き上げでも、国の制度として、住民税非課税世帯(現在の第一、二段階にあたる人)を対象に、在宅サービスの利用料を3%に軽減し、保険料を減免することが可能になります。

さらに、保険料の
(1)全額免除
(2)資産審査なし減免
(3)一般財源の投入
の三点を不適当とする、いわゆる「三原則」による国の自治体にたいするしめつけをやめさせることも重要です。せっかく自治体が低所得者への減免制度をつくっても、国の方針だからといって、わずかな預貯金を理由に減免が打ち切られています。国の責任と、自治体の努力とをあわせて、実効ある減免制度をつくる必要があります。

将来にむけては、歳出や歳入の改革で財源を確保し、国庫負担の割合を計画的に介護保険導入前の50%まで引き上げ、減免制度の拡充や、保険料の抑制、介護報酬の引き上げなどが必要ではないでしょうか。