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2005年11月27日発行 第292号 | ||
「行政のスリム化」規制緩和の大弊害 98年の建築基準法改悪により、行政がおこなっていた建築確認は民間会社でも可能となりました。 当時の国会で、日本共産党は「営利を目的とする民間では、手抜き検査となる恐れがある」と指摘し、法改正に反対しましたが、危惧が現実のものとなったのがこの事件です。 品川では建築申請が年間1200件 一級建築士に聞くと今回の構造計算書偽造事件について、建築確認申請内容の不備を審査するに際して「通常はわからないわけがない」というのが共通した声です。問題は、偽造した建築士自身が「普通にチェックしていれば構造計算書がパスすることはなかった」と語っているように、確認検査がまともにおこなわれていなかったことです。 不正を見抜く体制なし 建築確認審査を自治体がおこなっていたときは、構造計算の専門家がおり、設計に問題がないかどうを見ることが出来たそうです。民間での検査が可能となったことで、一定の行政経験があり、建築基準適合判定資格者の認定を持っていれば開設が可能となりますが、構造計算の専門家がいるとは限りません。いたとしても利益追求が必要な株式会社である以上、今回のような問題が起きることは想定できたことです。 五反田のホテル営業中止 区によると民間機関23社が区内建築物の確認審査をそれぞれに何件おこなったかの内訳は出していないとのことですが、検査機関イーホームズは業界では大手。単純計算でも一社36件の確認検査をおこない、品川区内の申請をおろしていることになります。 イーホームズの検査により建築されたマンションにお住まいの方から、「うちのマンションは大丈夫だろうか」と不安がよせられましたが、イーホームズに限らず、不備な検査体制で業務がおこなわれている機関があることは容易に想像できます。 行政が責任を持って区民の不安に対処することや民間機関がおろした確認がそれぞれ何軒あるのかを早急に公開することが求められます。 規制緩和の不備が露呈 政府は「民間に出来ることは民間に」と規制緩和を進めました。しかし、民間には責任を負うことの出来ない事業まで市場開放を進めたのが「構造改革」です。とりわけ、大手企業の利潤保障とグローバル国家(多国籍企業誘致が最大の目的)づくりを目的とした「都市再生」の方針を強引に押し進める為に、建築基準法や都市計画法を骨抜きにして国民の命と安全を守るという役割を放棄しました。 「改革」を言うならこうした政治構造の改革こそが最優先課題ではないでしょうか。
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