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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2006年4月9日発行
第304号

 

子どもさえも格差社会の犠牲に…
増加する就学援助需給世帯

小泉内閣発足の01年以降、子どものいる家庭の経済的困難はいっそう増しています。たとえば、就学援助を受ける子どもが、99年度と03年度を比較すると、四割増となっています。

子育てを行う若者の2人に1人が、派遣やパート・業務請負など不安定な雇用におかれていることは、子どもの貧困をいっそう深刻にする要因ともなります。

貯蓄残高ゼロ…全世帯の25%非正規雇用者…1650万人
拡大する所得格差

作家の佐野真一氏が書いた「ルポ下層社会」を読んで格差社会の広がりを改めて認識しています。このルポでは「足立区で就学援助を受ける子どもが42%」に達していることを取り上げ、その背景を探っています。

年度
生徒数
需給率
14年度
15.955名 26.1%
14年度
15.769名 27.7%
14年度
15.664名 28.6%

品川では28.6%の需給率

就学援助は経済的に困難な家庭の子どもたちに教育を受ける権利を保障するための制度です。対象となるのは、小・中学生のいる世帯で、生活保護の対象となっている「要保護者」と、それに準ずる程度に経済的困難な状況にあると市区町村で認められた「準要保護者」。品川区の所得基準は、生活保護基準の1・25倍、支給は学用品費、通学費、修学旅行費、給食費などの11項目となっています。

上の表にあるとおり、品川区でも需給児童が増加傾向にあり、憲法に保障された教育を受ける権利さえ侵される実態となっています。

貧困率…世界27カ国中5番目

政府が、「構造改革」と称しておこなったリストラ推進や社会保障のあいつぐ改悪によって、失業者や生活困窮者が増加しています。

OECD(経済協力開発機構)の調査では、日本の貧困率は15・3%(00年)に達し、調査した27ヶ国のなかで5番目に高くなっています。この貧困率は、全世帯の年収の中央値の半分以下しか収入のない世帯を貧困として、その人口比率を出したものです。日本の人口の15・3%といえば、1900万人以上にのぼります。

子ども貧困率も増加

おとなの貧困と社会的格差の広がりは、子どもの生活に困難をもたらします。

ユニセフの「豊かな国の子どもの貧困」についての報告書によると、日本の子どもの貧困率は、調査した26ヶ国中10番目に高い14・3%(00年)です。日本より子どもの貧困率が高いアメリカ(2番目で21・9%)やイギリス(7番目で15・4%)が90年代後半から00年代はじめにかけて、2〜3%減らしているのに比べ、日本は2・3%も増えています。

「近い将来、日本はアメリカに次いで子どもの貧困率が高い国になる恐れがある」との指摘もあります。

教育を受ける権利を敵視

政府は、就学援助が増えている理由について「昨今の厳しい経済状況」を認めながらも「市町村の基準設定も若干かかわっている」と自治体の対応に問題があるかのようにいって、就学援助対象を広げる努力を敵視。就学援助の国庫補助を減らし対象児童生徒を削減しています。

労働者の平均賃金は(98〜03年度)、月23000円も減っています。雇用と賃金を破壊する小泉「構造改革」政策が、貧困の新たな広がりをつくっていることは明らかです。