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みやざき克俊 みやざき克俊ニュース 2000年12月3日発行
第284号


保育園でウイルス感染
下痢・嘔吐 …園児・家族など49名が発症
2次・3次感染ひろげた区の責任重大

 先月、区立中延保育園の園児とその家族、職員らが集団で下痢・嘔吐症状が発生し原因は小型球形ウイルス(SRSV)と判明。2次・3次感染を広げた問題について共産党飯沼雅子議員が本会議で質問、区は「風邪のようなもので責任はない」と答弁しました。

 中延保育園でのSRSVウイルスによる下痢・嘔吐症状の集団発生は十一月二日から八日までの七日間で、園児三十二名とその家族十五名、職員二名の合計四十九名となりました。検査の結果、食中毒菌が食材と調理員から検出されなかったため、区は「食中毒でなくSRSVによる感染症」と断定。保育園での集団発生にもかかわらず「風邪のようなもの…」と責任を認めないどころか事の重大さすら感じていない様子です。区は、下痢・嘔吐の発生当初からSRSV感染を疑っていましたが、感染の拡大を防ぐ手だてが十分にされず被害を拡大させました。子どもたちの生命にかかわる重大事なのにこんな事がゆるされるでしょうか。

SRSV対策
台東区では2次感染防いだのに…
必要な手だて打たず被害拡大

 台東区では十月に区立保育園でSRSVによる食中毒が発生しましたが、発症翌日から二回にわたり全家庭を訪問し状況把握と注意を徹底。三日間で発生を食い止め二次感染を防ぎました。一方、中延保育園では必要な対策さえとられていなかったことが被害拡大につながりました。

保健所の指導生かされず

 今年一月、品川区保健所は区立の全保育園に対して「冬季のウイルス性食中毒の発生予防について」と題した文書を配布していました。ここには、SRSVによる食中毒の予防として食品を介しての二次感染が考えられるため、加熱調理や調理の際の手指洗浄など四項目に渡って注意を呼びかけています。しかし区は、当初からSRSVを疑っていたにもかかわらず父母への連絡は「風邪がはやっているがかわりないか」「下痢や嘔吐の子が出ているがかわりないか」というもの、SRSVと二次感染を防ぐための注意事項は徹底されませんでした。保健所から注意を呼びかけた文書が保育園で生かされなかったことは重大です。

6日間も父母に伝えず

 八日に開かれた緊急保護者会ではSRSVと二次感染の危険性が保育園から伝えられなかったことに父母の質問が集中しました。しかし、区の説明は「原因がはっきりしないまま伝えると不安をあおるので後で知らせる」と答えました。しかし、少くても、SRSVの疑いがあること、二次感染を防ぐための手洗いなどの対策は伝えるべきでした。区は「住民には説明しない」姿勢を貫いていますが、これも被害拡大の原因です。

背景に保育削減「行革」

 今回の事故は、給食調理を民間業者に委託した保育園で起きました。SRSV食中毒の事故が起きた他区の保育園でも業務を請け負っています。大型開発の一方で保育職員を一園あたり三〜四名削減、給食調理も外注…こうした『行革』で結局子どもたちの安全が犠牲になっているのです。