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みやざき克俊 みやざき克俊ニュース 2001年8月12日発行
第313号


侵略戦争美化の扶桑社「新しい歴史教科書」
子どもに押し付けるな

 扶桑社の「あたらし歴史教科書」は、日本のおこなった侵略戦争を美化するものとして国内外から厳しい批判が寄せられています。8月7日に行われた品川区教育委員会の臨時会で、来年から使う教科書選定を行いました。問題の扶桑社の教科書は不採択となりました。

問題の扶桑社「新しい歴史教科書」(写真)と内容の一部

「日本の緒戦の勝利は、東南アジアやインドの多くの人々に独立への夢と勇気を育んだ」p276〜277
「日本軍は全世界を驚愕させる作戦を敢行した…」「神風特別攻撃隊がアメリカ海軍艦船に組織的な体当たり攻撃を行った…」「沖縄では鉄血勤皇隊の少年やひめゆり部隊の少女たちまでが勇敢に戦って…」p278〜279
「このような困難の中、多くの国民はよく働き、よく戦った」p284

 扶桑社の「新しい歴史教科書」は日本が引き起こした侵略戦争を「大東亜戦争」(大東亜共栄圏をつくるための正義の戦争という意味)と記述しています。これは、戦争の反省に立った日本国憲法と教育基本法の精神を真っ向から否定するものといわざるを得ません。しかも中国や韓国、日本国内の歴史学者から多数の誤りが指摘されているものです。
 日本の子どもたちに侵略戦争を「正義の戦争」と教えこませる扶桑社の歴史教科書は、子どもたちの使う教科書としてふさわしくありません。不採用は当然です。

 あたらしい歴史教科書について、地域で平和運動を取り組んでいる藤江新三さんに談話を寄せていただきましたので紹介します。
 

 戦争美化の扶桑社版教科書を読んで、本当に怒りを感ずる1人です。私は侵略戦争の残酷さ、悲惨さの実態をよく知っているからです。
 幸い品川では不採択になり、ほっとしています。しかし、東京都の不当な採用は許せません。
 私は、史実をもとに、過ちを犯したら心から反省し、「悪かった」と正直に教える大人こそりっぱだと思います。それが、2度と戦争を繰り返さない運動の前提ですから。

日中友好協会品川支部
    藤江新三(豊町在住)

住民運動が採用にストップ

 今回、品川区の教育委員会は教科書選択の新たな方式として、これまで行ってきた現場の教師からの意見を聞くことは一切行わず、5人の教育委員だけで決定するやり方としました。
 しかし、区教育委員会委員には区民から多数の要望書が届けられました。また、区教育委員会は傍聴者を10名に制限したため多くの区民が傍聴できませんでしたが、採用仮決定の8月2日にはおよそ90名、本決定の7日には50名の区民が傍聴にきました。
 侵略戦争を賛美し、「あの戦争は正しかった」と教える教科書が不採択となったのは、区民の世論の勝利だと思います。

都教育委員会が不当採択

 東京都教育委員会は8月7日、都立養護学校の知的障害と病弱二部門で扶桑社の「新しい歴史教科書」採用を決定しました。侵略戦争の時、障害者や病弱な国民は邪魔者扱いされてきました。この教科書はもっともふさわしくないものです。
 石原都知事は、「新しい歴史教科書をつくる会」に名を連ねていましたが、都の教育行政の憲法と教育基本法からの逸脱は許せません。