成人式コストに区役所での打ち合わせの場所代も
これではまるで 株式会社品川区?
品川区は、昨年新たな行革の手法として「行政評価システム」を導入。全706事業中212事業の評価を実施して新年度予算に反映させました。しかし、問題はその中身。「小中一貫校」で「全国初」を盛り込む一方、福祉におおナタが…。行政評価システムの問題点を考えます。
行政評価結果のまとめ(一部)706事業中212事業について評価実施
大崎駅東口再開発 |
必要性 |
代替性 |
経済 ・
効率性 |
有効性 |
公平性 |
上位計画 |
合計 |
評価 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
24 |
A
(拡大) |
成人式 |
必要性 |
代替性 |
経済 ・
効率性 |
有効性 |
公平性 |
上位計画 |
合計 |
評価 |
4 |
3 |
2 |
2 |
4 |
3 |
18 |
C
(見直し) |
勤労者
生活資
金融資 |
必要性 |
代替性 |
経済 ・
効率性 |
有効性 |
公平性 |
上位計画 |
合計 |
評価 |
1 |
1 |
1 |
1 |
2 |
4 |
10 |
D
(廃止) |
このポイントそのものに区民の意見はまったく入っていません。
勤労者生活資金融資はこの不況の中でこそ必要です。
区民不在の行政評価
「行政評価」は、区民が行政をどう評価し何を望んでいるのか、区民自身が評価に参加することが必要です。
ところが、この事業評価には区民の声は反映していません。区は、事業評価は行政が行うが、政策評価は区民を含む外部評価をすると説明してきました。しかし、今回の評価は政策評価そのものです。
福祉はバッサリ、区民負担を増やす
区民の声が反映しない行政評価はどうなるか―これは予算に表れています。
その第一の特徴は、福祉と区民生活関連事業の後退です。
区長は、既存事業の改善で経常予算を減らし、政策的予算を増やす問題解決型予算となったと自画自賛しています。しかし、その中身は、生活保護の入浴券支給70枚を60枚に、保育園給食調理業務の民間委託は10園から19園に、学童保育クラブ人員削減、勤労者生活資金融資斡旋、エコクリーン事業助成、年金労務相談、神経難病検診、女性福祉資金貸付は廃止、区民大学受講料は参加者負担、自転車駐輪場は新たに5駅8ヶ所で有料化…などです。
品川区は400億円を超える基金があり健全財政なのに、なぜでしょうか。
大規模開発の際限ない推進
事業評価で再開発はすべて拡大。新年度着手する大崎駅東口第3地区は総事業費640億円、うち税金から100億円も補助金を予定。さらに大崎駅西口地区全体が都市計画決定されます。ニューシテイなど大崎駅周辺の再開発は計画も含め334億円も税金を投入。これをさらに拡大するのです。
「全国初」やコスト削減を競わせる
区は、昨年4月これまでの組織から人事・財政権限を持った事業部制に衣替え、その事業部間で競わせているのが「全国初」など目新しい事業とコスト削減。しかもコストは、事業費だけでなく人件費、事務費、減価償却費も対象にしますから、給付型の福祉、保育園や高齢者福祉施設のような一定規模の施設と人手を必要とする事業は「コスト高」となる仕組みです。
2月15日の区議会行革委員会での区の説明では―成人式のコスト算出は、@成人式にかかわった職員人件費の按分、A減価償却費は成人式の準備で区役所を使った分の按分(つまり区役所の使用料)したというもの。その結果、成人式は「必要性」のポイントは高いが、経済性・効率性のポイントが低く「成人式は全体的枠組み含め見直す」ことになりました。こんなコスト算出が必要なのか疑問です。「新成人に社会人としての自覚を持たせるとともに、前途を祝福する」という成人式の目的よりコストが優先なのでしょうか。
行政評価に区民の意見反映を
行政評価は、結局「儲からない福祉は斬り捨て、儲かる事業は拡大」というやり方に「お墨付き」を与える役割しか果たしてなく、高橋区政の株式会社化といっても過言ではありません。不況のなか、福祉を充実し区民のくらしと営業を支えることが必要なのにこれでは逆です。
行政評価は、区民の暮らし、営業を守るために役立つことこそ必要です。そのために、
@全国初など目新しい事業を競わせるやり方をやめること。
A行政評価に区民の意見を反映させるため、「事務事業評価結果のまとめ」について全区民対象の公聴会やアンケートを実施すること―などが必要です。
みなさんのご意見をお寄せください。
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