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沢田英次

沢田英次(前区議会議員)

2000年10月〜2006年12月のニュースを掲載しています。

2005年7月31日発行
第1114号


「つくる会」教科書採択主張の委員は根拠を説明すべきです
侵略戦争と植民地支配を美化

驚きました。品川区の教育委員(区教委)の中にも「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を主張する委員が一人いました。

子どもたちに「第二次世界大戦を正義の戦争だ」と教えることが正しいと思うのでしょうか。教育委員であるならその理由を区民の前に明らかにすべきです。

区教委の傍聴につめかけた皆さん

現憲法の否定する侵略戦争美化
アジアの人々との友好関係を傷つける

前号でお知らせしましたが、区教委は7月19日、来年から使用する中学生の教科書の選定を実施。注目された「つくる会」の歴史教科書は採択されませんでした。しかし、細川珠生(ジャーナリスト)委員が「歴史は読み物が多いE社(つくる会教科書)が良い」とし「内容については一社対七社と正反対になっている」と主張。最終的にはD社の教科書が仮決定されました。

(なお、この発言は録音申請が不許可となったため、傍聴者のメモによるものです)

戦後の世界政治は「二度と第一次、第二次世界大戦の過ちをを繰り返してはならない」が出発点。日本の憲法も日本の引き起こした戦争が誤りだったという認識とそれへの根本的反省のうえに成り立っています。この戦争を「アジア植民地の解放のための正義の戦争」と教えるなら21世紀、日本の子どたちはアジアで信頼を得ることができないことは明らかです。このような教科書をなぜ、選ぼうとするのか、私には到底理解できません。

傍聴者の定員拡大を

当日の教育委員会の会議には45名の傍聴希望者が集まりましたが、区教委は「定員拡大をして欲しい」の要請を拒否。規則どおり、10人しか傍聴できませんでした。

下の表のとおり、隣接区では目黒区が定員30人、大田区は品川区と同じ10人ですが、教科書採択の場合50人にして傍聴希望者を入れています。

傍聴者多数の場合には定員拡大をおこなうよう改善を求めます。

区教委の傍聴者定員
大田区
50人(通常は10人)
目黒区
30人
品川区
10人

「つくる会」歴史教科書(見本本)と申請本

靖国神社とそっくり6月9日(木)「しんぶん赤旗」抜粋

日本の戦争は「自存自衛」の「アジア解放」のための正しい戦争だった――。時計の針を日本の敗戦以前に巻きもどし、子どもたちに靖国神社の歴史観=靖国史観を植え付けようとする、「新しい歴史教科書をつくる会」の『新しい歴史教科書』(扶桑社刊)。その内容は、言葉や話題、論理の流れまで靖国史観とそっくりです。靖国史観の教科書版。それが「つくる会」教科書です。

教科書と比較したのは、靖国神社内にある遊就館(ゆうしゅうかん)の展示内容を紹介する「遊就館図録―靖国神社」と、同館で販売されている「歴史パノラマ写真集」の『昭和の戦争記念館』(全五巻)など。写真集刊行会顧問には靖国神社宮司・湯沢貞氏(当時)の名前があり、写真集の編集長は名越二荒之助(なごし・ふたらのすけ)氏=元高千穂商科大教授=です。

名越氏は「つくる会」の賛同者で、同会で講演などもしています。名越氏以外にも「つくる会」と靖国神社の人脈は共通部分があり、基本的立場を同じくする勢力が教科書づくりに乗り出しているのです。

内容の一体ぶりを、アジア侵略と太平洋戦争にかかわる部分に限定してみてみましょう。

1、「 日中戦争 」

日中戦争の全局面について、つくる会教科書は、「侵略」という言葉をいっさい使いません。それどころか「満州事変」では、「中国人による排日運動もはげしく…日本人への迫害などが頻発した」と教科書。写真集も「日本の権益が締め出され、排日デモが次々」「邦人が少々危険にさらされても…じっと我慢しておればよかったのであろうか」などと記述します。他国の地で日本の利益だけが正当で、抵抗したから武力で制圧した、という侵略者の責任転嫁の論理でともにつらぬかれています。

2、「 太平洋戦争」

 太平洋戦争については教科書も、靖国神社も「大東亜戦争」という戦争中の名称に徹底してこだわっています。それは当時の日本政府が「欧米勢力を排除したアジア人による大東亜共栄圏の建設」(教科書)を掲げ、「自存自衛」の戦争としたからです。教科書も写真集も「米・英・中・蘭の四国」の「ABCD包囲網」で日本が追いつめられたとし、開戦を「強要」(写真集)された――。これが戦争正当化の共通した筋書きです。侵略戦争がアジアで“歓迎された”ことを示す材料として、インドネシアに、他国から独立を助ける勢力がくるという伝説を紹介するのも同じです。