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なかつか亮区議 第63号議案「品川区保育の実施等に関する条例の一部を改正する条例」に対する反対討論

2012.10.19 なかつか亮 区議

日本共産党を代表し、第63号議案品川区保育の実施等に関する条例の一部を改正する条例について反対討論を行います。

本条例は認可保育園の保育料について、D16階層以上を概ね4%の値上げ、最高階層D23階層を細分化しD24・D25階層の新設、多子減額制度対象施設の拡充です。

施行は来年4月1日。以下、反対理由を述べます。

本条例改正の最大の反対理由は、認可保育園の保育料値上げが、区民の願いである子育て支援の充実、社会の要請である少子化社会の克服に逆行する問題です。

保育料値上げについて、区は「緊急待機児童対策による事業費負担の増加」を理由に、「利用者に一定の負担をお願いするのは当然」と保護者への受益者負担を説明しました。

児童福祉法第24条には、自治体に対し「保育を必要とする場合、児童を保育しなければならない」と保育の実施責任を定めています。区も「自治体が保育の実施を担う」と認めています。

保育の実施責任を果たすと説明しながら、緊急待機児童対策として進めてきた、認可保育園の開設や、ともなう運営費増加分、認証保育所の開設、保育ママ事業の増設などに要した費用を、保育料値上げの理由にするとは間違っています。

子育てとは自己責任ではありません。充実した保育・教育は、主権者である子どもを健やかに育て、国民全体の利益につながります。保育・教育予算は、未来への投資です。

働きながら子育てするとは、仕事を通じ社会に貢献、同時に次の世代を担う子ども達を育てるという、社会の発展に欠かせない大切な営みです。在宅での子育てを希望する家庭も含め、どの家庭も、どの子も、大事な社会の宝です。

だからこそ、税金を投入し社会全体で支えるべきもの。子ども一人ひとりの育ちを社会全体で応援し、妊娠期、就学前、小学生、中高生など子育てにかかる経済的負担の軽減、安心して子育てができる環境整備こそ、急がれています。

少子化対策基本法前文には「急速な少子化という現実を前にして、我らに残された時間は、極めて少ない」「次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備し、子どもがひとしく心身ともに健やかに育ち、子どもを生み、育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現し、少子化の進展に歯止めをかけることが、今、我らに、強く求められている」「我らに課せられている喫緊の課題である」と。

少子化社会の克服は国、自治体が真剣に取り組むべき重要な役割です。

子育て支援の充実、少子化社会の克服が保護者、そして区民全体の強い願いであることは明らかです。

品川区の世論調査でも「今後、特に力を入れてほしいもの」(重点施策)で30代女性の43%が「子育て支援」と回答。区民全体でも「子育て支援」は常に上位を占めています。

品川区の長期基本計画でも「子育て支援を拡充・強化」「子育て家庭の経済的負担の軽減」と位置づけています。

さらに品川区次世代育成支援対策推進行動計画で、濱野区長は「すべての子ども達の健やかな成長と自立を目指して一層の充実」「子育ての負担を区民各世代で分担し、支え合っていくことを目指す」と説明しています。

文教委員会にて、長期基本計画との関係について区は「子育て家庭の経済的負担の軽減とは、内容的には児童手当、子どもすこやか医療費助成、私立幼稚園入園料・保育料助成、認証保育所保育料助成の4つ事業」と説明しました。

負担軽減策が、この4事業のみで良いとは、区民の願い実現、少子化社会の克服へ、あまりにも不十分な対応です。

また、品川区は今回の値上げ対象をD16階層以上としました。家庭の経済力で値上げ対象を線引きするとは、どの子も大事にする子育て支援の充実、少子化社会の克服に逆行します。

さらに、この保育料値上げは、今回だけで終わるものではない事も明らかになりました。品川区は保護者の保育料負担について「国基準に照らせば、品川区は現在53.1%。今回の改定で54.6%。目標としては60%を目指す」と説明。つまり、今後もさらに引き上げる考えです。

子育て世代の非正規雇用化など雇用破壊による所得の減少、消費税、住民税など大増税が押しつけられる中、子育て世代に、さらなる経済的負担を強いるとは許せません。只でさえ、高い保育料は引き下げこそ必要です。

今回の条例改正において、多子減額制度の対象施設を追加した事は歓迎しますが、多子減額というのであれば、対象施設の拡充だけでなく対象児童の拡大を。戸籍上の第2子半額、第3子以上無料の早急な実現を求めます。

結局、今回の保育料値上げとは、保育サービスを受ける利益を、社会全体ではなく保護者が受けるものと歪め、待機児解消策の事業費負担増を受益者負担だからと保護者負担に転嫁。その結果、区の負担を軽くしたいと言う、品川区の歪んだ冷たい行革路線の象徴です。

今回の値上げ計画を中止するのに必要な予算は年間3600万円。品川区の財政状況では、23年度決算で、積立基金を8億円積み増し合計694億円。財政状況みても、保育料をあげなければ区政運営が成り立たない状況は全くありません。

子育て支援の充実、少子化社会の克服に逆行する、保育園保育料値上げ中止を強く求めて、本条例の反対討論を終わります。

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