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なかつか亮 区議 一般質問 「防災計画」「29号線道路建設の中止」「いじめ解決」「高所作業車転倒死亡事故について」

2013.02.26  なかつか亮 区議

  1. 阪神淡路大震災では9割が建物倒壊による死亡
    区民の生命、身体、財産守る予防第一の防災計画に
  2. 道路建設ではない震災に強いまちづくりは可能です
    29号線道路建設は中止し、町並み生かした燃えない・壊れないまちづくりの推進を
  3. 子どもの自殺、なぜ防げなかったのか
    いじめ解決には、子どもがいじめをする理由の解明が必要です
  4. 学校建設現場で発生した高所作業車転倒死亡事故の原因究明と再発防止を

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阪神淡路大震災では9割が建物倒壊による死亡
区民の生命、身体、財産守る予防第一の防災計画に

多くの尊い命が奪われた大震災から学ぶべきこと。それは「地震の発生は防げないが、地震による建物倒壊など被害の多くは、未然の対策で防ぐ事ができる」ということです。災害対策基本法には、住民を災害から保護する防災計画の作成・実施を地方自治体の責務と明記。つまり被害が起こる前に、起こらないようにするための防災対策の作成・実施の責務が品川区にあります。

ところが濱野区長は防災計画について「自分で出来ることは自分で」などと自助、共助を強調。区の責務を狭めています。区長は、区民を災害から保護する、この責任をどのように考えているのか、改めて伺います。

防災計画素案は予防対策が不十分。2点伺います。

第一は住宅の耐震化です。品川区は住民が主体的に取り組めるよう「財政的支援を行う」と明記。促進計画には阪神淡路大震災、発災直後の死者数、9割が建物倒壊と紹介し、耐震化を「重要かつ緊急的な課題の一つ」と述べます。

ところが、区の耐震化目標に全く追いついていないのに、木密地域の住宅耐震補強は現状維持。なぜ住宅耐震化に向けた、財政支援の強化に取り組まないのか理由を伺います。

耐震化の加速には、区民の実態にあった支援が必要です。3・11大震災以降、区民意識も変化していますので、改めて住宅耐震化が進まない理由の実態調査を求めますが、いかがでしょうか。その上で支援強化を求めます。住宅耐震化に直接結びつく一般耐震診断の無料化。木造住宅耐震助成額を上限300万円へ引き上げ、障害者・高齢者、低所得者世帯の助成率引き上げ。木造アパートに住んでいる借家人支援について、防災の観点からも区営住宅や借り上げ型高齢者住宅の増設で、希望者の入居促進。以上を求めますが、いかがでしょうか。

第二は災害弱者支援です。東日本大震災の震災関連死2303人。9割が66歳以上です。介護施設では、職員が必死に患者の避難に挑みましたが、残酷にも津波は、患者の命も職員の命も奪う事態がおきました。災害弱者の避難や自宅避難を、だれが、どう支援するのか。計画は急務です。

品川区は、震災時、建物倒壊や火災などで行政の活動は制約を受けるとし、災害弱者支援は、もっぱら地域住民やボランティア。しかし地域からは「必要なのはわかるけど、頼まれても」と困惑で、これでは中々、進みません。震災時における障害者や高齢者など災害弱者支援計画の策定にむけ、当事者参加の検討委員会発足、真剣な議論と実効性ある支援の策定に、品川区が責任を負うべきと思いますが、いかがでしょうか。

また、災害弱者の発生想定数がなく、これでは計画が作れません。二次避難所や福祉避難所の避難想定数は何人か。在宅避難をしている災害時要援護者の想定数は何人か。伺います。そして、区立西大井福祉園やふれあい作業所など障害者の通所施設も福祉避難所として指定し、必要な備蓄、体制作りを進めるべきと思いますが、いかがでしょうか。

支援策を考える際、地域にある医療・介護など福祉施設の存在が力になります。医療や介護の強いネットワークは、災害時もその力の発揮が期待されます。

防災計画に災害弱者の支援拠点としての特養ホームや障害者施設などの増設を明記すること。また、地域の病院や診療所、在宅介護施設などについて、建物耐震助成や器具転倒防止助成を創設し、急いで進めること。それぞれ、いかがでしょうか。

JT社宅の跡地購入が発表されました。この広い敷地に、どのような防災機能強化を位置づけることが急務か。区は避難のための広場空間に充てる考えですが、計画が最も遅れている災害弱者の避難生活を支える拠点づくりに向け、全ての敷地を防災広場に充てるのではなく、特養ホームや老健施設などの施設建設を求めますが、いかがでしょうか。

品川区世論調査では避難所運営や支援物資配布など、区民の高い行動意欲が示されました。こうした区民の思いに応える計画を作るならば、私は震災から区民を守ることはできると確信します。

道路建設ではない震災に強いまちづくりは可能です
29号線道路建設は中止し、町並み生かした燃えない・壊れないまちづくりの推進を

濱野区長は補助29号線を「進めていなかければならない事業」と発言。いっぽう説明会では、どの会場でも、道路建設が住民には受け入れられない事がはっきりしました。道路建設を延焼拡大防止、避難路確保、緊急車両の通行確保など防災を理由にあげます。しかし、防災の実証事例は早朝で車両も少なく無風状態の阪神淡路大震災、長田区一事例のみ。逆に道路で街が分断され、大切な地域防災力が崩れる。震災時の連続車両火災の発生などの危険があります。

延焼拡大の防止と言いますが、阪神淡路大震災の焼失面積は83ha。計画中の遮断帯はひと区画100haです。これが延焼防止とは荒唐無稽です。また道路を中心に、片方の街は火災で消失。火災が両方ならどちらも消失。これで防災対策なのでしょうか。

緊急車両の通行ですが、防災計画には「消防機関だけでは火災をくいとめるのは難しい」と記されています。震災時の出火予測は40箇所。ポンプ車は22台。消防車の台数が足りません。「消防車が来るため」との説明は、もうやめるべきです。避難路確保ですが、災害弱者がその避難路まで避難できる計画はありません。結局、防災を理由にするのは、そう説明すれば住民が反対しにくいと見込んでいるだけではないでしょうか。

何よりも住民が許せないのは、静かな住宅街を壊し、商店街を削って道路を作る。幅60mから80mもの道路と沿道の帯で街を分断するなど、住環境や地域の交流を壊すことです。住宅街や商店街、人と人とのつながりは、何よりも区民が品川区に住み続けたい理由です。

品川区議会ではこれまでに3回、道路計画廃止を求める意見書を全会一致で議決。道路計画を掲げるまちづくりマスタープランも防災計画も寄せられた区民意見で一番多いのは道路反対です。この議会と区民の意思を、なぜ品川区は無視するのか。区長の見解を伺います。

マスタープランは進め方も問題。都市計画法第18条の「公聴会の開催など」が開かれていません。都市計画法に基づく手続きに沿っていない、マスタープランは白紙に戻し、一から作り変えるよう求めますが、いかがでしょうか。

住民が大事にしたい町並みを壊さず、生かした防災対策は可能です。ここで平成19年国土交通省発表「国土技術政策総合研究所資料」を紹介します。密集市街地の特性に応じた、地区計画等のまちづくり誘導手法です。

例えば東京中央区月島地区。道路幅員を緩和し、道幅2.7mを通路として指定。独特の路地空間を残し、共同化によらない建物更新を可能にしました。

大阪法善横丁では、横丁両側の敷地を一つの敷地にみなすことで、4mに満たない通路に飲食店が立ち並ぶ、なにわ情緒が色濃く残る横丁を残しました。品川区の戸越1丁目地区も評価。この取り組みは日本建設防災協会の月刊誌でも「大都市の地震火災対策」として紹介されました。路地や横丁、住宅街など町並みを生かした災害に強いまちづくりは可能です。これこそ学ぶべきです。

そもそも、この延焼遮断帯とは、本当に火災の延焼を遮断するのでしょうか。延焼遮断帯を作ろうと幅22m道路の沿道30mで、28年間、不燃化促進事業を実施した墨田区は、その結果を検証。すると不燃化率は向上したが、沿道に残った部分的な木造住宅から、道路反対側に燃え移る所が15箇所も見つかったのです。長い時間を掛け、莫大な税金を投入し、反対する住民を立ち退きさせて、20m道路建設と沿道不燃化を進めても、延焼遮断帯は完成しないことは、明らかではないでしょうか。見解を伺います。

29号線道路は中止し、区民とともに計画路線の廃止、消防署・消防出張所の増設こそ東京都に求めるべきです。いかがでしょうか。

私は費用対効果も試算。概算ですが29号線道路コストは822億円。いっぽうで無料木造耐震化及び建替え支援強化は433億円。震災時、全壊家屋の被災者に支給される被災者生活再建支援制度は750億円です。1本の道路よりも住宅耐震化の方が、費用が少なく、効果が高い。震災後、被災者が受け取る生活再建支援金よりも、道路の方がコストは高いのです。

この点からも、震災に強いまちづくりは、住民が望む町並みを生かした「まちづくり誘導手法」による木造密集地域の改善を区内全域で進め、墨田区と同様の防火性と耐震性の両方を向上させる助成制度の実施を求めますが、いかがでしょうか。

子どもの自殺、なぜ防げなかったのか
いじめ解決には、子どもがいじめをする理由の解明が必要です

全国各地で、いじめや体罰、そして子どもの自殺。私たち大人は、子どものSOSに心を寄せ、解決への取り組みを強めなければなりません。

昨年9月、品川区の中学1年生がいじめを苦に自らの命を絶ちました。改めて、亡くなられた生徒さんのご冥福をお祈りすると共に、ご家族に哀悼の意を評します。

今年1月末、ご遺族は警視庁に被害届を提出。「いじめの一部は誰がやったか特定されないまま。いじめた生徒は自分がやった事の重大さを認識し、罪を償ってほしい」と新聞に掲載されたコメントを見ました。

「なぜ自殺が防げなかったのか」「命の重さをわかっているのか」被害届の提出は、こうしたご遺族の思いに、対応が答えきれていない表れではないでしょうか。

品川区教育委員会はご遺族が、被害届を提出した理由を、どのように理解しているのでしょうか。見解を伺います。

いじめの事実調査について、被害者やその家族には、本来、その内容を知る権利があります。しかし、多くの場合、不十分で、被害者側から見ても、とても納得できるものではありません。区議会に提出された「報告書」及び「資料編」には多くの黒塗りがありますが、この部分について、ご遺族は見ることができているのでしょうか。

また、作成にあたって行われたアンケート調査や聞き取りなど、その資料をご遺族は見ることができているのでしょうか。「マル秘ノート」は、ご遺族に戻してあるのでしょうか。伺います。

人権侵害と暴力である「いじめ」について、対応を絶対に後回しにしないという、命優先が何よりも重要です。この間、学校事故などの裁判を通じて「学校は子どもを預かる以上、子どもの安全に最大限の配慮を払う必要がある」という安全配慮義務が定着しています。

今回の「いじめ」を苦にした自殺について、生徒への「安全配慮義務」違反に当たるとの認識は品川区及び区教委にあるのでしょうか、見解を伺います。また、現在、品川区立の小中学校において、「いじめ」は何件把握しているのでしょうか、伺います。

私は、いじめ解決へ、肝心な視点が足りないと思います。それは「なぜ、いじめが起きたのか」です。いじめを無くすには、いじめをしている子どもが、いじめを止めることが必要です。それには、自分が行なっている行為で相手がどれだけ傷つき、自殺という取り返しのつかない事態にも繋がるということに、子ども自身が真剣に向き合い、認め、心からの反省が必要です。

子どもにとって勇気のいることですが、相手の痛みが解ってこそ「いじめ」をやめることができるのではないでしょうか。

また、子どもには、子どもなりの「いじめ」をする理由があります。「いじめてスカッとした」「いじめられないために、いじめに参加した」など。いじめの背景を深く理解し、子どもの苛立ち、むしゃくしゃした気持ちを明らかにしなければなりません。いじめ解決には何が必要なのか、区教委の見解を求めます。

昨年は品川区の学校に通う3人のこどもの命が奪われました。原因について1人は「いじめ」、2人は公表されていません。学校選択性や小中一貫教育による詰め込み、前倒し詰め込みカリキュラム。小学校4年生から一斉学力テスト。小中一貫校は超マンモス校で運動会は小中合同、小学校6年生の卒業式中止など。子どもはくたくた。教師も教育改革の研究、報告書づくりでくたくたです。

私は小学4年生の女の子の話を聞きました。それは一斉学力テストの前日です。

「明日は一日中テストでつまらないしイヤ。だって偏差値はみんなの点数で決まるから。みんなが良くても、誰かが悪いとダメになる。成績が下がったら、あの子ができないせいだと、からかう子もいる。そんなの悲しい。でも、やめようよと、言えない私も嫌いです」と。

子どもに合わない教育改革が、子どもにイライラをつくり、ストレスのはけ口に「いじめ」が向けられているのではないでしょうか。

学校選択性、小中一貫教育、そして小中一貫校。こうした教育改革が、こども達にどんな影響を与えているのか。なぜ3件もの子どもの死と教育改革との関係を、深く検証しようとしないのか、伺います。私は区教委による真摯な検証を求めますが、いかがでしょうか。

学校建設現場で発生した高所作業車転倒死亡事故の原因究明と再発防止を

大雪直後の1月16日、品川区の学校建設現場で作業をしていた高所作業車が転倒。作業中の男性2人のうち1人が死亡。もう1人も負傷し病院へ搬送。作業車転倒で歩行者1人が負傷する重大事故が発生。近くを走るJR横須賀線も一時運転を中止しました。お亡くなりになった作業員に対しお悔やみを申し上げると共に、怪我をされた方にお見舞いを申し上げます。

区が発注する公共事業において、しかも学校建設現場、さらに鉄道近くで、あってはならない事故が、なぜ発生したのでしょうか。残念でなりません。

区の報告では発注者は品川区。受注者は東急建設他3社による4JV。事故が起きた作業は「孫請け」業者です。作業内容、作業期間に無理はなかったのでしょうか。発注者である品川区は、作業工程について、何をどこまで把握し、作業の安全確認は、どのように行っていたのか、伺います。

また、孫請け会社はどこの会社から仕事を請け負っていたのでしょうか。孫請け業者と作業員2名はどのような雇用契約を結んでいたのか、伺います。

高所作業車の転倒は、重心が不安定な状態になることで発生すると考えられます。アームの高さや角度がどうだったのか、安全装置は作動したのか、作業車の足場確保に無理はなかったのか。

事故原因について現在、労基署と警察が調査中ですが、品川区による自己点検・事故調査の実施はどうなのか。真摯な原因究明と再発防止の徹底を求めますがいかがでしょうか。また、過去に区が発注する公共工事で起きた、死亡事故の件数と概要。事故防止に向けたこれまでの取り組みを伺います。

以上で終わります。ご清聴、ありがとうございました。

答弁

区長

私からは、防災に関するご質問にお答えします。防災対策は、自助・共助・公助の考え方に基づき、区民個人や事業者、地域、そして行政のそれぞれが役割を果たし、協力し合って取り組むものです。その中で、区は基礎的自治体としての役割をしっかりと果たし、災害対策基本法の目的である総合的かつ計画的な防災行政を引き続き推進していきます。

次に、住宅耐震化についてですが、区では、東日本大震災を契機として防災対策を重点課題としており、不燃化・耐震化の促進、初期消火体制の充実など、ハード・ソフト一体となった総合的な防災対策のために予算の適正な配分を行っています。

次に、実態調査ですが、平成23年度の改正前にアンケート調査を実施いたしました。その際の回答では費用に関する要望が多く、当時75万円であった助成限度額を150万円に引き上げた経緯があります。この結果、建てかえおよび改修助成の件数は大幅に増加しており、再度実態調査を行う予定はありません。

次に、耐震化助成についてお答えをいたします。一般診断無料化および助成額の引き上げですが、平成23年度に無料簡易診断を開始しており、改修助成額につきましても、高齢者等の世帯でも耐震改修できるよう大幅に増額を実施しており、無料化および助成のさらなる増額は考えておりません。また、経済的な理由で耐震改修を行うことが困難な世帯につきましては、耐震シェルターの設置をお勧めしており、木造アパートにお住まいの方につきましては貸し主との賃貸契約の関係があり、区が直接に関与することは難しいと考えています。

次に、障害者や高齢者などの支援につきましては、二次避難所の運営や備蓄晶の充実、またマニュアルの整備など庁内の福祉部門と連携してまいります。

次に、特養ホームや障害者施設などの増設につきましては、地域防災計画ではなく、それぞれの施策を進める中で具体化していくべき内容です。なお、病院等における建物耐震化や器具転倒防止対策は、それぞれの責任で行っていただくべきものであると考えます。

次に、二次避難所や福祉避難所の避難生活者と在宅避難者の想定人数ですが、都の被害想定では個別の避難者の想定はございませんが、発災の規模や状況に応じて受け入れ施設を拡大し、対応を図ってまいります。

最後に、JTアパート跡地につきましては、しながわ中央公園との一体整備により、安全な避難場所、防災拠点として活用できることから売却の申し入れを行ったものであり、JTと売買契約成立に向け折衝を行ったところ、区側の防災目的を理解していただき、おおむね合意に達したところであります。

また、特養ホーム等の高齢者施設につきましては、杜松小学校跡、平塚橋会館跡、さらに上大崎の国有地「旧みやこ荘」跡地と3か所の整備を順次進めており、JT跡地はあくまで防災であり、福祉施設の建設は考えていません。その他のご質問等につきましては、各事業部長等よりお答えします。

都市環境事業部長

私からは、震災に強いまちづくりに関するご質問にお答えいたします。

まず、補助29号線の過去における区議会での請願議決については、区も重く受けとめているところです。しかしながら、都議会では計画の廃止を求める請願が不採択になった経緯もあり、かねてから重要な路線として認識されております。区としても、阪神・淡路大震災や東日本大震災を経験し、地域の防災性を向上させる上でどうしても早期に整備しなければならない都市基盤であることを改めて再認識したところです。マスタープランへの区民意見の反映も、区民アンケートや区政モニター集会の実施とともに、公募区民も参加した策定委員会で検討を重ね、まとめた素案を議会にもご報告させていただくとともに、パブリックコメントで寄せられた意見も踏まえ、本年1月下旬に最終的なまとめを行ったものです。

したがいまして、このような多くの区民の参加により策定された計画を区として白紙に戻すような考えはございません。

次に、延焼遮断帯についてですが、特定整備路線として指定された都市計画道路の整備と沿道の不燃化をあわせて進めることで、延焼遮断効果を発揮するものです。議員が事例として示された墨田区の不燃化促進事業再検討調査でも、延焼遮断帯整備による被害軽減効果とその費用対効果は十分にあるとしており、また、その投資にも合理性があるとしております。区としては、事業主体である東京都と連携し、特定整備路線の整備を進め、燃えない、燃え広がらないまちづくりを進めていく考えで、計画路線の廃止を都に求める考えはありません。

次に、消防署、消防出張所の増設ですが、区は防災に関し、常に消防署と密接な連携を図っています。東京消防庁では、震災時の大規模火災に対しては、保有する消防車両、資機材を結集して総合的な部隊運用により被害の軽減を努めるとのことであり、区といたしましても、区内の消防力を充実強化するよう引き続き働きかけてまいります。

次に、震災に強いまちづくりについてですが、現在、区では、不燃化・耐震化の促進、初期消火体制の強化による地域防災力の向上など、さまざまな防災対策に取り組んでおります。また、木造密集地域については、耐震性、防火性の両方の向上が図れる耐震建てかえ助成を行っており、今後もハード・ソフトー体となった総合的な防災まちづくりを推進していく考えでございます。

教育次長

私からは、いじめ等についてお答えいたします。まず、ご遺族による被害届の提出につきましては、私どもも新聞報道で知りました。報道によりますと、ご遺族は被害届提出の理由として、「いじめの一部は誰がやったか特定されていない。いじめた生徒には罪を償ってほしい」としています。調査対策委貞会では、ご遺族を委員とし、限られた時間ではありましたが、可能な限りの調査をしてまいりました。しかし、被害届が提出されましたので、警察の捜査に関しては協力させていただきたいと考えています。

また、ご遺族は調査対策委員会の委員の一員であり、資料、アンケート等につきましては、全て実名でごらんになっていただいております。しかし、委員として知り得た事実につきましては、委員会活動が終了しても守秘義務が生じることについて委員会内で説明し、ご了解も得ております。

次に、ご指摘のノートにつきましては、警察に証拠品として任意提出いたしましたが、その後ご遺族に返却されたと警察から伺っております。安全配慮義務違反についてですが、今回の事案では、調査対策委員会により学校の教育的責任が指摘されております。しかし、いじめについて教員に求められる安全配慮義務とは、予見可能性、予見義務、適切な防止措置の義務等を勘案して司法の場で判断されるべきものであり、現段階で行政が軽々に判断すべきものではないと考えております。

次に、いじめの件数ですが、区独自で毎月実施している調査では、12月10日現在、品川区におけるいじめの認知件数は、小学校は41件、中学校は20件でございます。

続いて、いじめの解決に必要なものについてですが、児童・生徒をいじめの加害に向かわせる要因は多様であり、解決のための特効薬というものはありません。そのため、調査対策委員会で示された様々な対策を可能な限り実現化することで、いじめ解決を図ってきいります。

最後に、3人の子どもの死の要因はそれぞれ異なるものです。2件については、ご遺族の意向もあり、検証等を行う考えはございません。いじめを誘因とする残りの1件につきましては、品川区の学校で起きたことであるため、調査対策委貞会では当然プラン21を踏まえた検証を行っており、その内容につきましては、昨年11月5日に文教委員会で報告したとおりでございます。

企画部長

私からは、区発注の建設現場での事故についてお答えをします。初めに、作業工程については、週1回の定例会議に区の職員も出席し、施工業者、設計監理者から進捗状況や作業内容の報告を受け確認を行っており、無理はなかったものと承知しています。なお、安全確認についても適宜指導に努めてきております。

次に、雇用契約等のお尋ねですが、作業員お二人のうち、高所作業車の運転手は建設共同企業体の一次下請業者の契約社員、左官補修を行っていた職人は二次下請業者、すなわち孫請業者の社員です。原因究明については、労働基準監督署の調査が現在も続いておりますので、その見解を待って改めて再発防止の徹底を図ってまいります。過去の死亡事故につきましては、この10年間で2件発生しており、足場からの転落事故と重機による圧迫事故でございます。事故防止については、日ごろから区の職員による現場巡視を通して安全確認ならびに指導の徹底を図るほか、労働基準監督署を招いて事故防止対策協議会を開催し、情報の共有化を図るなど、さまざまな取り組みを進めてきています。

再質問

中塚亮区議

自席より再質問します。まず防災計画ですが、とりわけ住宅の耐震化について。区が掲げた目標について全く追いついていないにもかかわらず、今回の新年度予算では、住宅耐震補強は相談体制の強化だけ。区長も紹介する災害時の最大の死亡原因である住宅倒壊を防ぐ対策がなぜ現状維持なのか、なぜ区民への財政支援を強めないのか、その理由を改めて伺います。

続いて、29号線についてです。先ほど延焼遮断帯の説明がありました。墨田区の検証についてでありますが、延焼の被害を軽減する効果があるとの説明です。墨田区の検証では、15か所にわたって延焼が突破されると指摘しています。これでは延焼遮断帯は完成しない、私はそう思いますが、区も認めるということなのでしょうか。とても軽減なんて言っていられない。15か所というのは重大な事態だと思いますが、改めて伺います。これを防災対策だ、命を守る道だと言うのは、私は住民をごまかすものではないかと思いますので、改めてご説明を伺いたいと思います。

続いて、いじめ解決についてでありますが、安全配慮義務違反について認識を伺いました。もちろん軽々に発言をするものではない。これは重いものだと私は思いますが、司法の判断によるものというのはちょっとよくわかりません。これからのことではなく、今までのことですから、区の認識がどうなのか。これが安全配慮義務違反に当たるとの認識があるのか。ここは、どうぞ丁寧にご見解をご説明いただきたいと思います。以上です。

再答弁

区長

耐震化の助成についてです。先ほどもご答弁申し上げましたように、23年度に大幅な増額をいたしました。この増額によって、例えば木造住宅の耐震改修でありますと約4倍、そして木造住宅建てかえですと約3倍。これは23年度から24年度にかけての倍率です。それから改修、そして建てかえ、除却、こうしたものの件数を合わせますと、3.5倍ということで増えてきております。こういったことで耐震化については動き出しているという認識でございます。以上です。

都市環境事業部長

特定整備路線補助29号線に関する再質問です。議員ご指摘のような墨田区の事例、これは墨田区が不燃化促進事業の再検討という形で行ったものと確認してございます。具体的には、建物の構造、その建蔽率等々を含めた中で、炎の高さがどのぐらいになるのか、それと延焼遮断帯の差が何メートルぐらいあるのかと。たしか5メートルぐらいの中での判断で、燃え移るか燃え移らないかといったような検証をした結果です。 ただ、その中でもやはり一部の場所に、15か所というお話がございましたけれども、逆に不燃化、あるいは耐震化については道路だけで進めるものではございません。東京都が進めようとしている不燃化特区の事業関係については、特定整備路線と不燃化特区もあわせて進めることによって相乗効果を生み出そうというものでございます。したがいまして、先ほどご答弁でも申し上げましたように、道路だけではなく、特区事業をあわせて、区がこれまで進めた事業と総合的に、重層的に進めることによって燃えない町をつくるということでございますので、その中でどうしても特定整備路線の整備についても必要だと考えています。

教育次長

私からは、安全配慮義務についてのご質問にお答えします。私も主な裁判例は全部目を通しております。しかしながら、全ての事例が全く異なります。そういう意味からしますと、先ほど答弁したように、安全配慮義務、あるいは予見可能性等については司法の場で判断するのが適切である、そのように考えております。

再々質問

議長

中塚君、再々質問ですので簡略にお願いします。

中塚亮区議

再々質問をします。まず29号線についてでありますが、道路だけではないとの説明です。私が今回とりわけ墨田区の検証を紹介したのは、要するに、この検証結果では、不燃化率が高まっても木造住宅が残り、延焼を突破され、延焼遮断帯機能は果たせないとあるわけです。ここは、22メートルもの道路の沿道30メートル両脇を28年間不燃化事業したのに、延焼を突破された場所が15か所も生まれたとの発表です。伺いますのは、なぜ15か所も生まれたのか。ここを品川区はどう考えているのか、改めて伺いたいと思います。

都市計画道路をつくるには、法律的には、強制力を持った立ち退きというのは恐ろしいことに可能です。しかし、沿道については、強制力を持ってコンクリート建設を進めるには、29号線道路沿道全てで、再開発事業によるコンクリートの壁、ビルでびっちりと詰めるという乱暴な方法です。まさに沿道開発びっちりです。こんな乱暴なことを考えているのか、改めて伺いたいと思います。

私が述べたのは、そうではなくて、住民が大事にしたい町並みを壊さず、生かした防災対策があるじゃないか。地区計画等によるまちづくり誘導手法ですが、これまでも品川区は進めてきたじゃないか。今もやっているじゃないかと。これこそやるべきだと思います。29号線についてなぜ住民が反対をしているのか。それは、何よりも大好きな住宅街、大好きな商店街、そして地域のつながりを壊してほしくないとの思いからです。私は、防災を口実にこうした住民が反対する道路計画を進めるのは、やめるべきだと思いますが、改めて伺いたいと思います。

再々答弁

都市環境事業部長

再々質問にお答えいたします。

墨田区が平成19年に行った調査は、市街地住宅密集事業の関係でその軽減効果を検証するというものです。議員のほうからもご紹介がありましたような15か所というものがありました。ただ、その15か所をいかにやっていくかというところが、それぞれ墨田区でも考えてきたところだと私は認識しております。その中でのきちっとした密集事業、あるいは今回の不燃化特区をあわせて、東京都のほうで考え方を示してきてございますので、29号線だけではなくて、そういう地域の総合的な防災力を高めるために、特区事業をこれまでの密集事業も含めて促進していくことは必要だと考えています。その相乗効果の中で、きちっとした延焼遮断帯としての効果が生まれると考えています。

議長

 以上で、中塚亮君の質問を終わります。

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