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「解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に反対する意見書提出を求める請願」の賛成討論

2014.07.09 鈴木 ひろ子区議

日本共産党を代表して請願第4号「解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に反対する意見書提出を求める請願」に対する賛成討論を行います。

この請願は、「憲法9条を踏みにじり、解釈改憲により集団的自衛権の行使を容認するとした安倍内閣に対し、品川区議会として反対の決議を行い政府に意見書をあげることを求める」としています。総務委員会での審議の後、請願に賛成が共産、民主改革ネット、みんな・無所属の3人、反対が自民、公明、無所属の3人で可否同数、委員長の反対で不採択となりました。本会議での採択を呼びかけます。

安倍政権は7月1日、「憲法9条のもとでは海外での武力行使は許されない」という従来の政府見解を180度転換し、「海外で戦争する国」への道を開く集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行しました。国民的な議論も、国会でのまともな審議もなく、一片の「閣議決定」で政府解釈を覆し、憲法9条を破壊する空前の歴史的暴挙であり、断じて許すことはできません。
2点指摘します。

1つは、閣議決定は、「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めを外し、自衛隊を戦地に派兵するものです。集団的自衛権行使でアフガン戦争に参加したNATO諸国は1000人を超える戦死者を出しました。この5年間に品川の若者が95人自衛隊に入隊しています。この若者を殺し殺される戦地に送り出すことになります。

2つめは、政府・与党は、武力行使はあくまで「限定的」なものだといいますが、これも悪質なゴマカシです。「明白な危険」があるかどうかを判断するのは時の政権です。「必要最小限」といいますが、いったん海外で武力行使に踏み切れば、相手からの反撃を招き、際限のない戦争の泥沼に入ることは避けられません。集団的自衛権行使には、事の性格上「必要最小限」などということはあり得ないのです。
さらに政府は、集団安全保障についても、「新3要件」を満たせば海外での武力行使は認められるとしています。これでは憲法9条が禁止するものは何もなくなってしまいます。戦争の放棄、戦力不保持、交戦権否認をうたった憲法9条を幾重にも踏みにじり、亡きものにする暴挙と言わざるを得ません。

自衛隊がつくられて60年、他国の人を一人も殺さず、1人の戦死者を出すこともありませんでした。憲法9条の力です。閣議決定はこうした戦後日本の国の在り方を否定し、日本を「殺し殺される」国にしようとするものです。それは決して日本の国を守るものでも、国民の命を守るものでもありません。アメリカの戦争のために日本の若者に血を流すことを強要し、アメリカと一体に他国の人に銃口を向けることを強要するものにほかなりません。

こうした解釈改憲を、「閣議決定」で強行するやり方は、憲法に基づく政治という近代国家の立憲主義を否定するものです。
政府は、2004年6月18日の閣議決定で次のような立場を表明しています。

「政府による憲法の解釈は、…それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、…政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねない」「憲法について見解が対立する問題があれば、便宜的な解釈の変更によるものではなく、正面から憲法改正を議論することにより解決を図ろうとするのが筋(である)」。

今回の閣議決定は、この過去の閣議決定にも真っ向から背くものです。もともと「集団的自衛権行使は、憲法上許されない」とする政府見解は、半世紀を超える長い国会論戦の積み重ねを通じて、定着・確定してきたものです。それを国民多数の声も聞かず、国会論議もまともに行わず、与党の密室協議で一片の閣議決定で覆すというのは憲法破壊のクーデターとも呼ぶべき暴挙と言わざるを得ません。

だからこそ今、どの世論調査でも、行使容認反対が過半数を超え、賛成を大きく上回っています。さらに、戦争体験をされた自民党の歴代幹事長や官房長官など保守の中枢にいた方々や元内閣法制局長官、大学教授や憲法学者、弁護士会、宗教界など広く反対や懸念の声をあげています。閣議決定がされた前日と当日で10万人もの人たちが首相官邸前で夜中まで抗議の声を上げ、さらに集会やデモ行進は全国各地で党派を超えて取り組まれています。地方議会でも、反対や慎重に、の意見書は6月28日で190議会を超えたと報道されています。

地域では「荏原空襲で戦火の中を逃げまどい、奇跡的に助かった」「集団疎開でどれほどつらい思いをしたか」「父が硫黄島で戦死、母も亡くなり親戚の家に預けられて育った。戦争で人生を狂わされた」など戦争を体験された方々から「戦争だけは絶対だめ」という声をたくさんお聞きしてきました。そして、集団的自衛権行使の先には徴兵制、かけがえのない息子を、かわいい孫を戦地に送るなどということは絶対に許すわけにはいきません。

日本は今、戦争か平和かの戦後最大の歴史的岐路に立たされています。品川区議会でも、「解釈改憲での集団的自衛権行使容認に反対」―この1点で共同して、政府に対し意見書をあげていこうではありませんか。このことを熱く訴えて賛成討論を終わります。

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