前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ

鈴木ひろ子区議 第70号議案「品川区保育の実施等に関する条例の一部を改正する条例」に対する反対討論

2015.10.23 鈴木 ひろ子 区議

日本共産党を代表して、第70号議案「品川区保育の実施等に関する条例の一部を改正する条例」に対する反対討論を行います。

区は、今回の保育料改定について、1.保育料の算定方式をこれまでの所得税額から住民税額に変更した。2.第2子半額、3子以降無料の多子軽減の対象となる世帯の児童年齢を、現在の5歳児までを小学校3年生までに拡充した。3.概ね10%の保育料引上げとした、と説明しました。

第1の住民税額による算定方式の変更では、区は、階層区分が変わらないよう配慮したと述べています。第2の多子軽減、つまり、子どもが2人以上の多子世帯の保育料軽減の対象拡大は、以前よりわが党が条例提案も行い求めてきたことであり、歓迎するものです。多子軽減の対象を小学校3年まで引き上げることで、新たに955人が対象となり、合計で1950人、全体の32%が受けられることになります。さらに、小学3年までと限定せず、戸籍上の多子へと改善を求めます。

以下反対の理由を述べます。

まず今回の改定が大幅値上げになる問題です。

第1に、今回の改定は、95%に当たる区民税所得割課税世帯のすべての階層で約10%に上る大幅値上げです。

多子軽減で新たに値下げとなる955人以外、多くの世帯が大幅値上げです。例えば3歳未満児の場合、夫婦とも給与年収400万円の世帯D10階層では、月額3万1900円から3万5000円に、月3100円、年間3万7200円もの値上げ。階層D15では、月4000円、年間48000円、D22では月6700円、年間8万400円もの大幅値上げとなります。

第2に、今回の改定で区は、年少扶養控除のみなし算定を廃止するとしていますが、多子軽減を受けられない子どもが3人以上いる多子世帯では、とてつもない値上げとなる問題です。上の子が小学4年生以上であれば多子軽減が受けられません。年少扶養控除は、子どもが中学3年・15歳まで、住民税で一人当たり33万円を控除したとみなし、税額を算定。今回の廃止で3人子どもがいる場合99万円の所得が増えたことになります。こういう場合、最高で3段階上がると区は答弁。たとえば1歳児でD15からD18になる場合、収入は増えないのに、保育料は4万600円から5万4200円に、月1万3600円、年間16万3200円と、とてつもない値上げとなる人が生まれます。多子軽減の拡充は、年齢制限なく、すべての多子世帯とすべきです。

第3に、多子軽減拡充の財源を、区の一般財源ではなく、保育園に通う世帯の保育料値上げでまかなおうとしています。区は、多子軽減を拡充するので、値上ではないと説明しますが、これは詭弁です。多子軽減の財源は、子育て世代に求めるのではなく、区の一般財源、つまり税金で行うべきです。

第4に、この値上げが今回にとどまらず、際限のない値上げが狙われていることです。区は、今回の改定で国基準保育料の53.2%になる。さらに60%を目指すといっています。その上、横浜や川崎、千葉などはすでに国基準の65〜80%の保育料になっていると例を挙げ、際限のない値上げを狙っています。その第1歩を踏み出したのが今回の値上げです。こんなことを許すわけにはいきません。

次に、今回の値上げが子育て支援に逆行し、少子化を加速させる問題です。

ママ・パパたちから「給料が上がらないのに値上げなんてとんでもない」「これでは2人目、3人目を産めない」今回の値上げへの悲鳴と怒りが寄せられています。

今回我が党が行った23区調査で、今年4月時点の品川区の保育料は、23区で2番目に高いことが明らかになりました。この高い保育料をさらに値上げするのが今回の条例です。

区は、在宅子育て世帯との公平性から保育料を値上げすると説明しますが、6月に区立幼稚園保育料を値上げしたばかりか、年少扶養控除の廃止、児童手当の減額・所得制限の導入など、公平性どころか、在宅子育て世帯も、共働き世帯も、子育て世代総値上げが実態です。

また、区は受益者負担を値上げの理由にしています。子どもは家族の宝であると同時に社会の宝。受益者と言うならそれは日本の社会全体です。少子化を改善させ次世代の担い手を育てることは、産業の担い手、雇用から税収、社会保障などあらゆる分野で持続可能な社会に欠かせない重大な問題です。

さらに、今回の保育料値上げについて、区が議会に対してきちんと説明をしなかった問題を指摘します。

条例審査がされた文教委員会では、年少扶養控除のみなし算定廃止についてわが党委員が指摘するまで区からは全く説明がありませんでした。新しい算定方式である住民税のうち区民税の所得割分ということが分かったのは決算議会民生費の直前という状況でした。収入別にモデルケースで、現在の保育料がどう変わるのか示すよう繰り返し求めたのに対して、「誤解を招く」と拒否をしました。条例案を審議するに当たり議会に説明することは行政の果たすべき義務です。それを、誤解を招くからと説明を拒否したことは議会を愚弄するものであり、許されません。あえて区民が分からないよう、不十分な説明で値上げの本質を区民から覆い隠そうとするものです。こういうことが今後二度とないよう厳しく指摘します。

最後に、財源の問題です。区民犠牲の上に区がため込んだ基金は増えるばかりです。住民税は当初予算より20億円も増え、さらに消費税の増収、基金は38億円増え815億円にも上ります。これは、子育て世代の年少扶養控除廃止による増税、消費税増税などの増税と福祉切捨てのよるものです。これは区民のためにこそ使うべきです。保育料値上げでなく値下げこそすべきです。

以上で反対討論を終わります。 

ページトップへ

前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ