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いいぬま雅子区議 第90号議案「品川区立学校設置条例の一部を改正する条例」に対する反対討論

2015.12.09 いいぬま雅子 区議

日本共産党を代表して第90号議案品川区立学校設置条例の一部を改正する条例に反対の立場で討論を行います。

今年6月学校教育法が改正され、現行の小中学校に加え、9年間の小中一貫校を「義務教育学校」と名付け、新しい学校の種類として創設しました。

本条例は、この改正に伴い、施設一体型小中一貫校6校を義務教育学校として位置づけるものです。文教委員会において共産党は反対。自民、公明、民主、無所属議員の賛成多数で可決されましたが、改めて反対の理由を4点述べ再考を訴えます。

小中一貫校の問題を明らかにします。

1点目は、1000人規模のマンモス校の固定化です。

すでに1000人規模の学園が4校ありますが、小中一貫校の狭い校庭で行われる1年生から9年生までの運動会に象徴されるように、大規模化によって児童生徒への対応や教職員の連携に問題が起きています。2012年大規模化した小中一貫校でいじめを原因とした自殺が起きてしまいました。調査報告書には「毎朝の幹部会で必要最小限の情報は管理職から伝えられるが、共通理解を図るための時間や場が設定されていない」と記述がありました。2014年区教育委員会が行った管理職ヒアリングでも、「一貫校は学年数が多いことから日々の行事が平行し学校が落ち着かない」「一般の教員が学校全体の状況を把握できない」「若手教員の業務不慣れ,不安による長時間勤務の恒常化」など出され、教員数があまりにも多く、職員会議はもちろん、情報や問題意識の共有ができないなどマンモス校の問題が明らかになっています。

2点目は、小中一貫教育の内容です。

区独自の「小中一貫教育指導要領」では、全学年に「市民科」を新設、小学1年から「英語科」、小2からの習熟度学習、小5から「ステップアップ学習」、「教科担任制」、5年生までに6年間かけて学ぶ漢字数すべてを終了するなど前倒し詰め込み教育、過密授業に子ども達も教職員も疲れています。早い時期から漢字嫌い、勉強がわからない子どもをつくることにもつながり、父母からは「漢字ドリルが大変。宿題がこなせない。勉強嫌いになっている」など声が届いています。

特に9年間を「4・3・2制」に区切る教育制度は、子どもたちの成長発達に合わないとの指摘が、研究者や教師から出されています。小中一貫教育推進委員会でも、委員の中から「4・3・2制について教育課程部会でしっかり検討してほしい」と意見が出されています。教育委員会が行った保護者むけのアンケートでも小中一貫教育、4・3・2制についての支持が広がっていないのは、問題があるからです。子どもの成長発達に合わせ見直しが必要です。

3点目は、小中一貫校は統廃合の手段でしかなかった点です。

小中一貫校、一貫教育は、文部科学省の肝いりで当時の若月教育長がPTAや教職員、議会からの意見を無視して導入した経過があります。10年間に小中学校合わせて58校が46校に統廃合。2016年4月には、日野学園、伊藤学園、八潮学園、荏原平塚学園、品川学園、豊葉の杜学園6校の名前が正式校名となることで、地域から小学校9校、中学校9校が姿も名前も完全に消えます。2002年共産党の質問「小中一貫校が近隣の小学校の統廃合に道を開くものではないか」の指摘に対し当時の若月教育長は「学校の統廃合を前提にしているものではございません」と答弁。結局、小中一貫校をテコに巧みに統廃合の推進です。

4点目は「小中一貫教育」の制度化は、義務教育段階から複数の学校制度が設けられる複線化であり「教育の機会均等」を崩すものです。

同じ市町村の中に、義務教育のための学校が、これまでと同じ小学校、中学校、それに、施設一体型の義務教育学校、施設分離型の義務教育学校、さらにそれぞれ独立した学校だがこれまで「連携型」と言われてきた「小中一貫教育」を実施する学校,それに中等教育学校(いわゆる中高一貫校)が並存することになります。自治体の判断で様々な学校が混在することになります。品川区は施設一体型小中一貫校は義務教育学校に移行しますが、施設分離型一貫教育に該当する小・中学校は今回義務教育学校に移行はしないと説明しました。2種類の学校制度が混在し教育の機会均等が崩されることにつながります。

なぜ義務教育学校なのか。ねらいは複線化による国・財界が求める人づくりにあることは、安倍首相が設置した教育再生実行会議が、2014年7月首相に提出した「第5次提言」に明記されています。グローバル化に対応する人材育成であり、学校制度の複線化や高校の早期卒業の制度化など競争教育を強化し、早い時期から子ども達を差別、選別するものです。

共産党は、小中一貫教育について問題点を指摘し幅広い検証を行うよう求めてきましたが、まともな検証はありません。今回の法制化を国のお墨付きとし移行することは許されません。子どもたちのことを最優先にし義務教育学校への移行は中止すべきです。
安倍首相の「平成の学制改革」の先頭を切っているのが品川区です。国や自治体が教育の目標を定め、学校や教職員、子ども達に押し付けるというやり方は、戦後の教育改革で否定されてきました。学校は子どもたちの成長と発達を支えるためにこそ存在します。義務教育学校の押し付けではなく、少人数学級実現など教育環境の整備を行い、一人ひとりの子どもに寄り添う教育が求められていることを強調し討論を終わります。

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