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なかつか亮区議が決算特別委員会で総括質疑を行いました

2016.10.19 なかつか 亮区議

なかつか亮区議

続いて私からは、自衛隊入隊者激励会と、羽田空港へのジェット機の品川区低空飛行による航空機公害について伺いたいと思います。

まず初めに、今、国会では、駆けつけ警護など、新たな武器使用を認める任務を与えた自衛隊を、戦闘状態が悪化する南スーダンへの派遣が議論されています。しかし安倍首相は、「戦闘ではなく衝突だ」と発言。このやり方に、「もてあそばれているのは、自衛隊の命・家族だ」と声が上がっています。問題は、任務が追加された自衛隊、そして海外派兵という現実の危険を前に激励会の開催とは、これまでとは意味合いが変わるということです。先日の本会議で、激励会について、「武力行使が迫っている。この現実をどう捉えているのか」との質問に、濱野区長は、「自衛隊に入隊される方はご自身の意思で入隊されるわけで、入隊に際して激励する行為」との答弁でした。現実の危険を前にして、「自分の意思で入隊」と激励して送り出すとは、区長は、送った先でどういった未来があり得るかを知っての発言なのか、本人・家族の不安をどう考えているのか伺います。また、今年2月の激励会で入校・入隊した品川区民の動機と人数を伺います。

田村総務部長

それでは私から、まず最初に、今年2月の激励会での動機と人数でございます。そちらのほうからお答えさせていただきます。まず激励会の人数ですが、自衛隊入隊者は8名、入校者は3名、合計11名でございます。それと、入隊した動機ですが、様々ございますが、重立ったものをご紹介しますと、「人の役に立つ仕事だから。この仕事を選び、4月からしっかりと働きたい」、あるいは「厳しい訓練にも集中して取り組み、強い精神力と優しい心を持った自衛官になりたい」、「東日本大震災で自衛官の姿を見て、自衛官となる決意をした。絶対くじけません。必ず、日本の発展に寄与できる自衛官となります」、「日々鍛錬して、一日も早く日本の国防に必要な人間となるよう努めます」というような動機でございます。

それと、お尋ねの、どういう未来があるかというご質問でございますが、若干誤解があるようで、今年の第3回定例会で飯沼委員の質問は、「区長が激励し、自衛隊に送った品川区の若者を含め」という質問でしたので、濱野区長は、「自衛隊入隊者の激励会についても、ご自分の意思で」、区長が自衛隊に送ったわけではないので、「ご自分の意思で自衛隊に入隊・入校される区民の方々を激励するための会議です」とお答えしたものです。

それと、実際にご家族の不安だとか、どういう未来というご質問でございますが、自衛隊法第3条では、自衛隊は我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することということを任務とされておりますので、自衛隊の職員になるということは、そうした任務は当然理解した上、本人ももちろんのこと、家族と十分相談して、先ほど申し上げた生きがいや使命感から、入隊・入校を職業として選択したものと考えております。

なかつか亮区議

今の部長の答弁では、何がどう誤解があったのかよくわかりませんでしたが、私が伺いたいのは、安保法制は自分の意思ではなく政治決定です。区の事業の目的は同じままでも社会的な意味合いが異なるではないかと。そうは思わないのか、この理由を伺いたいと思います。現在の南スーダンは報道のとおりです。7月の大規模戦闘では、4日間で300名以上が死亡。文民警官を派遣していた自国の警官も国外退避。10月には国連が、暴力や武力衝突が増加していると警告。過去1週間の、政府軍、民間人、武装勢力の少なくとも60名が死亡。これを、戦闘ではなく衝突だとは、自衛官の派遣をする安倍政権は、自衛官の命をどう考えているのかと私は思います。このもとで開かれる激励会とは、その先の未来に何があり得るのか、区はなぜ考えないのか、改めて理由を伺います。そして、「自分の意思で入隊」を強調いたしますが、この激励とは、本人、家族、そして現役の自衛官をどういう思いにさせるのか、区のお考えを伺います。

田村総務部長

激励会の事業目的は、あくまで自衛隊に入隊あるいは入校する方を激励するためのものでございます。それで、自衛隊の任務は、先ほど申し上げた自衛隊法第3条の任務でございますから、その内容については、国家の存立に関する外交や防衛といった事柄でございますので、国が担う役割でございます。再三お答えしているように、国の安全保障に関しましては国会において議論されるべきことで、一自治体として見解を述べることは差し控えさせていただきます。

それと、自治体としての役割かということですが、先ほどもご答弁したように、自衛隊を選択するということは、もう既にご本人なりご家族と十分、相談の上で、そういう方向性を出して決定しているものでございますから、引き続き、区として激励ということは必要なことと考えております。

なかつか亮区議

冒頭に、自衛隊入隊への動機は伺いましたけれども、その中でも、人の役に立ちたい、それから災害救助活動、いざとなったら国民の盾となって日本を守る専守防衛、就職や進学など、経済的理由なども私は伺いますが、こうした自衛官を、もともと違憲と説明してきた海外の戦地に、解釈改憲と強行採決で派遣してよいのかと私は思います。若者の将来の任務がどこであれ、激励して送り出す区長の責任はない。これが許されるのか、その理由を伺います。集団的自衛権の行使は、現役の自衛官からもOBからも戸惑いがあります。イラク派兵から帰国した自衛官は、27名がPTSDで自ら命を断っている。この現実を前に、「専守防衛が約束。海外とは話が違う」と声があります。一度海外で活動した自衛官は、また指名されるのではないかと不安です。海外派兵の命令はこれまでは任意だったが、今度は断れるのか。家族から「今度の仕事は大丈夫なの」と聞かれたら、どう答えるのか。命令と家族の板挟み。不安があふれている中で、「自分の意思で入隊」と、自分が選んだ道だとは、逃げ道のない自己責任、トラウマにつながりかねないと私は思います。現実の危険を前に激励会を開催して、その痛みもわからず若者を送り出すことの、どこが地方自治体の役割なのか、改めて伺います。私は、自衛官の上官でさえ、部下を目の前に、「あなたの意思でここにいる」と、心からそう言えるでしょうか。あるのは、政治決定に従わざるを得ない戸惑いだと私は思います。海外派兵は自分の意思ではなく、安倍政権の政治決定です。この発言の撤回と、この状況での激励会中止を求めますが、いかがでしょうか。

田村総務部長

それでは、送り出す区長の責任はないのかということでございますが、ご自身が自衛隊に入隊したい、あるいは自衛隊に関連する学校に入りたいと考えた末、激励会に参加している方々でございます。区長からは、「くれぐれも健康に気をつけて、ぜひ活躍してください」と伝えているもので、区長が送り出しているわけではございませんので、責任云々の話にはならないと考えております。

それと、家族を含め、自衛隊を追い詰めて、そういうことが地方自治体の役割なのかということでございますが、そもそも自衛隊法第97条と地方自治法第2条に伴う自衛隊の募集事務は法定受託事務と位置づけられておりますので、また区のほうでも、災害に強いまちづくりという観点から防災訓練に参加してもらって、自衛隊との連携は本当に不可欠ということでございますから、引き続き、募集の事務あるいは激励会とともに自治体の役割と考えておるところでございます。

最後の、発言の撤回と激励会の中止というお尋ねでございますけれど、先ほども申し上げましたように、国家の存立にかかわる問題でございますので、役割については国のほうでご議論いただくということでございます。また、自分の意思で自衛隊に入隊・入校しているものでございますので、激励会については引き続き重要な式典と考えてございますので、発言の撤回および激励会の中止をする考えはございません。

曽田災害対策担当部長

自衛官のOBとして、激励会について先ほどお問い合わせがありましたので、私のほうから答えさせていただきます。私も、かつて防衛大学に入るときは、1人の人間としてその道を選び、入りました。その際、千葉県から、入隊予定者激励会ということでやっていただきまして、心細い中、先輩の激励や、あるいは県民の方の激励、応援をいただき、非常に心強く、1人ではないのだな、頑張っていけるなと思った覚えもあります。こういったことをすると、これがまた危険なところに送るのではないかというご指摘もありますけれど、私はそれは逆だと思います。そういうことをすることによって、国民が応援しているのだと。それは抑止力です。抑止力が高ければ高いほど、他国は侵略をとどまるということになりますので、激励会、こういったことはどんどんやっていただきたいとOBとしては思っております。

なかつか亮区議

最後に、送り出す若者の命の重さをどう考えているのかと、私は疑問です。区民の命も自衛官の命も海外の方も、戦争によって奪われてよい命はありません。日本共産党品川区議団はこうした事態をなくすため、憲法違反の安保法制の廃止、安倍改憲阻止、野党共闘をさらに力強く広げて頑張りたいと思います。

続いて、羽田新飛行ルートによる航空機公害から区民を守るため、品川区の反対表明を求めて質問いたします。一番の問題は、品川区は反対しない。公害と認めない。それどころか、国が示す環境方策次第で賛成もあり得るということです。改めて、品川区が新ルートに反対しない理由は何か伺います。そして、住環境の悪化が公害だとなぜ認めないのか、理由を伺います。あわせて、品川区上空を時速何キロで、そして品川区の端から端まで何分で通過するのか伺います。それと最後に1つ、いわゆる魔の11分に品川区は入るのか、入らないのか、その点も伺います。

藤田都市環境部長

区では、これまで、国の羽田空港の機能強化に対しまして、必要な情報の提供と地域への丁寧な説明を求めてまいりました。国はこれを受けまして、2段階でのフェーズで説明を実施してまいりました。また、国のほうでは、本年7月には、環境影響等に配慮した方策を示しまして、さらに区の求めに応じまして、8月には品川区に対しての配慮事項を示してきたところでございます。この配慮事項では、まだ具体的ではない部分もございますので、引き続き、地域に対する具体的な説明を求めている段階でございます。環境につきましては、環境における基準の範囲内だと考えてございます。しかしながら、区といたしましては、騒音や安全等の環境影響については重く受けとめており、現在に至るまで国に対し、環境に配慮した具体的な方策や丁寧な説明を求めてきたところでございます。

また、品川区の上空のスピードでございますけれども、国からは、およそ時速300キロで通過すると聞いてございます。

また、もう一点のところにつきましては、航空会社では離着陸時において、パイロットが様々な操作や判断が伴う、特に安全に気をつける時間帯。このような認識をされているようでございますけれども、国のほうとしては、そのような表現あるいは解釈、判断をする立場にはないと聞いてございます。

なかつか亮区議

先ほど、時速300キロの、品川区の端から端まで何分なのか伺いましたので、この点、後から伺いたいと思います。既に国土交通省は、実施に向けて、来年度予算に費用を概算要求している。既に既成事実化を狙っていると私は思います。この時点でも反対表明をしないとは、もはや賛成と同じではないでしょうか、伺います。また、住環境についても、基準内だから公害でないとは、この基準は品川区は正しいと考えているのか、この理由もあわせて伺いたいと思います。そして、そもそも公害とは一体どういう定義なのか、この点もあわせて伺います。今回の計画では、飛行機が一、二分に1回通過することになりますが、常時、何デシベルぐらいの騒音に区民はさらされることになるのか、伺いたいと思います。

藤田都市環境部長

まず、品川区上空でございますけれども、国のほうからの説明である時速300キロは、分に直すと分速5キロという形になります。品川区の上空で考えますと、斜めに縦断するような形ですので、およそ1分ほどで品川区上空を通過するような形になるのかと考えてございます。国のほうでは、本年7月に、先ほど申したとおり、環境影響等に配慮した方策を示して、さらに区の求めに応じまして、品川区に対しての配慮事項を示したところでございます。この配慮事項、まだ具体的ではない部分もあります。また、「今だ国の案を知らない」、「説明が不十分である」というような声も聞かれることから、引き続き地域に対する具体的な説明を求めてまいります。

また、基準についてでございますけれども、これは基準として受けとめざるを得ないと考えてございます。しかしながら、区としては、騒音等の環境影響については重く受けとめているところでございます。国のほうとしても、制度の弾力的な運用を行うというようなこともお話ししているところでございます。

また、公害の定義でございますけれども、環境基本法によりますと、公害とは、「環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生じる、相当範囲にわたる大気汚染、水質の汚濁、騒音、振動、地盤沈下および悪臭によって、人の健康または生活の環境に係る被害が生じること」とされてございます。また、騒音の関係でございますけれども、飛行機が飛ぶ、その間の時間帯も含めて考えますと、品川区におきます通常時に感じられる音、よく言われる暗騒音というような形になりますけれども、その音程度なのかと考えてございまして、住宅街では52デシベル、駅前などでは61デシベル程度だと考えてございます。また、国のほうは、こうしたことも踏まえて、実際に飛行機が飛んだ際には、状況に応じて、騒音測定・調査などのモニタリングといったことも考えていると聞いてございます。

なかつか亮区議

私が伺ったのは、今の時点で反対しないとは賛成と同じではないかという点と、そして騒音について区が正しいと考えている理由は何かと伺いましたので、ご説明ください。

藤田都市環境部長

私ども区といたしましては、国が進める施策についてしっかり区民の皆様方にお伝えしていく。これが重要な役割であると考えてございます。こうした意味で、国の考えております、環境影響等に配慮した方策について、しっかりと区民の皆様方に伝えていく。このことに努めてまいりたいと考えているものでございます。また、基準はあくまでもやはり基準でございますので、これに当たらないということになっているものでございます。しかしながら区としては、これについて国のほうにも、もう少し何とかならないのかという働きかけを行いまして、基準の弾力的な運用につなげてきたところでございます。

なかつか亮区議

何度聞いても、品川区には反対表明がないわけですが、区民の心配が届いているのでしょうか。頻繁に飛ぶジェット機に、区民は、騒音、そして落下物、墜落事故、資産価値の低下のリスクにさらされています。この計画を撤回させようと反対運動も大きく広がり、テレビや新聞でも紹介されております。私も一緒に署名活動を行いましたが、街頭署名は、回数を重ねるたびに反応が強くなり、マンションにお住まいの方は、私の管理組合でも取り組みたいから枚数を多くくださいといった反応もありました。これだけの不安の声、そして騒音なのに、この計画がなぜ航空機公害の発生原因になるとは考えないのか、理由を伺います。そして、時速300キロで、1分間で品川区の端から端へ通過する。車のレースのF1のストレートで、時速約280キロから350キロぐらいですから、同じぐらいのスピードで、超低空に響くわけです。この騒音が公害とならない基準の、どこが正しいと思うのか、伺いたいと思います。

藤田都市環境部長

繰り返しになりますけれども、あくまでも、今、定められている基準があるわけですから、これに当てはまるかどうかということが解釈の視点になってくるのかと考えてございます。そういった基準はあるものの、品川区といたしましては、環境影響等に配慮した事項については重く受けとめており、国に対して具体的な方策を示すように、今、求めているところでごいます。

なかつか亮区議

いわゆる騒音基準とは、結局は区民を守るためではなく、市街地をジェット機が自由に飛べるために都合よく設定されたものだと私は思いますが、品川区はそうは思わないのか。なぜわからないのか、この点をちょっと伺いたいと思います。

環境基準は、新幹線で75デシベル、マンション紛争で80デシベル、これを超える騒音なのです。そのほか、落下物墜落、大気汚染の問題もとても深刻です。例えば、スカイツリーでも、冬など氷の落下が危険なので、一定の周囲は通行禁止。今回のこの計画は、大井町駅の上空300メートルですが、例えば300メートル上空でパチンコ玉を落としたら、地上の落下速度は時速何キロになるのか伺います。また、国際線が品川区に墜落した場合、どのような被害が品川区に起こり得るのか、認識を伺います。そして、航空機によるPM2.5、ナノ粒子の上昇は起きないのか伺います。

藤田都市環境部長

繰り返しになりますけれども、あくまでも基準というものがあるわけですから、これに当てはまるかどうかということになってまいります。また、落下についてでございますけれども、風や水分量など、空気抵抗も含めました、様々な気象条件・対応により、状況が大きく異なるために、具体的なものはなかなか難しいのかと考えてございます。航空サービスを広く皆様に利用いただいている今日の中では、あらかじめ予見を持たず、過去の事故や事象から学び得て、具体的な再発防止策を積み上げることで、実際に安全であるということが重要であると考えており、緊張感を持って日々の安全確保に取り組んでいると国から聞いてございます。

また、PM2.5等でございますけれども、航空機のエンジンにつきましては、国際基準に基づく排出物規制が課せられておりまして、これに適合したエンジンを搭載した航空機でなければ、我が国の上空を飛行することはできないというふうになってございます。さらに、航空会社は現在、積極的に新たなエンジンの導入を進めているところだと聞いてございます。環境省によれば、SO2、NOx、浮遊粒子状物質、あるいはCO2のうち、航空機から排出されたものの割合はごくわずかであり、影響は限定的であるという説明を、私どもは国から受けているところでございます。このような点も含めまして、わかりやすい情報提供を国に求めてまいりたいと考えてございます。

なかつか亮区議

部長からも、「具体的な事故を通じて学ぶべきだ」とおっしゃいますが、今の答弁には、重大な被害が想定し得る危機感を私は全く感じません。例えば落下物では、成田空港では昨年だけでも年間5件発生しております。先日の六本木のマンション改修工事で、10階付近から鉄パイプが落下し、通行人が死亡する重大事故もありました。航空機から落下物が落ちると一体何が起きるのか。一般的に計算すると、およそ落下地点から650メートル先の地上に到達し、時速は276キロです。品川区の上空を通るルートですが、このパチンコ玉が時速276キロで庁舎に当たると屋上はどうなるのか、車に当たるとどうなるのか、木造住宅なら突き抜けるのか、もし人に当たったら一体どうなるのか、区の認識を具体的に伺います。そして墜落についてもそうです。伊丹空港の豊中市では、地域防災計画で、「市街地における航空機災害は多数の死傷者の発生を伴い、火災が広範囲に延焼拡大することが予測」と明記があります。品川区でも同様の事態を認識しているのか、ここを盛り込んだ地域防災計画はあるのか、伺いたいと思います。そして大気汚染についてですが、微量だの、何だか小さいようには言いますが、PM2.5やナノ粒子が上昇することが問題だとは思わないのか、この点を伺います。

藤田都市環境部長

落下物についてでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、あらかじめ予見を持たず、過去の事故や事象から学び得て、具体的な再発防止策を積み上げていくということで、国から聞いているところでございます。また、地域防災計画につきましては、現在の羽田空港の機能強化の進捗状況に合わせまして、地域防災計画の中にどのようにしていくかについては考えていくものと考えてございます。また、大気のほうにつきましては、排出される割合はごくわずかであり、影響は限定的であると聞いてございますので、この辺については、国のほうからまた改めてしっかりと、私どももいろんな情報提供を得ていきたいと考えてございます。

なかつか亮区議

具体的に落下物についてでも、これだけのことがありながら、なぜ被害と認めないのか。実際に落下物や墜落事故だの、これだけの大惨事が起きている客観的な想定や資料があるのに、これをなぜ被害と認めないのか。逆にあたかも小さいように装うとは、住民を守る姿勢がない証拠だと私は思います。品川区のような人口密集地の上空を通過とは、世界では非常識です。例えば香港では、かつて有名なカイタック空港がありましたが、市街地を低空で飛行するのは危険だと、新空港を建設。ロンドン空港でも、ハイドパーク上空を少し横切りますが、市街地中心は通りません。そして、高さは1,500メートルほどです。理由は、落下物だけではなく墜落事故やテロの危険もあるからです。具体的な被害は明らかなのに公害とは認めないとは、もはやこの計画を擁護するものではないでしょうか、伺います。そして、昭和40年前後、当時の品川区は航空機公害と認め、その除去のために努力し、羽田沖合移転を実現。このことを現在の区も成果と認めております。当時はどのような努力があって、どんな被害を防いだのか、伺います。

藤田都市環境部長

まず落下物等についてでございますけれども、航空サービスを広く皆様方に利用いただいている今日、あらかじめ予見を持たず、やはり具体的な再発防止を積み上げていくことが大切であるということで、国のほうも様々な対策について、今回、環境方策の中でも新たな取り組み等を示しているところでございます。また、最近、国とお話しすると、これに加えて、もっとほかにはないのかというような検討もしていると聞いてございます。また、過去の部分でございますけれども、これまで区のほうとしては様々な取り組みを行ってきたところでございます。その中で、やはり環境影響に配慮した部分についても区としてしっかり取り組んできた成果がそこにあったのかと考えてございます。区としては、環境に配慮した方策については、ここでいいというようなものはないと考えてございまして、これからも新たな技術等を踏まえながら考え、それに向けて努力を重ねていきたいと考えてございます。

なかつか亮区議

先ほどから繰り返しています、「あらかじめ予見を持たず」というのは、私は正直、意味がよくわかりません。これだけ大惨事が実際にあり、そうした客観的な想定も資料もあるのに、これを被害と認めない。そして、逆にあたかも小さいような、大したことがないような国の説明を丸のみにする。そうした品川区は住民を守る姿勢がないと、この点は厳しく指摘したいと思います。

品川区の努力のことですけれども、過去の広報しながわを見ますと、例えば昭和38年の島本区長時代に、羽田空港の夜間飛行禁止を実現しました。昭和49年6月1日の広報しながわでは、フランス、パリ郊外での墜落事故に触れて、「一度に345人もの犠牲者。空港周辺の住民は常に航空機事故災害の危険にさらされている。事故が一たび発生した場合の被害は想像を絶する」と紹介し、航空機災害の回避のために、住宅、工場等にかからない離発着コースを設定と、要望書を実際に大臣にまで提出しております。その後、革新区政が実現し、昭和58年に沖合移転の合意実現です。

伺いたいのは、なぜ当時は公害と認めたのか。そして、沖合移転でどんな被害が防げたのか、具体的にご説明ください。そして、今回の新ルートは、これを壊すものではないでしょうか、ご説明ください。そして、当時、公害が一番深刻だった時代で、1時間当たり一体何便ぐらい飛んでいたのか、ご説明ください。

藤田都市環境部長

航空機が沖合展開する前については、品川区内についても騒音の規制値を超えているような形があり、防音工事等に取り組んでいたところでございます。そのことを踏まえ、そうした事態を解消するために沖合展開について取り組んできたところでございます。これについては、現在も様々な形で、今回の羽田空港の機能強化についても、区長をはじめ、様々な部署に申し入れ等を行ってきたところでございます。環境対策については、先ほども申し上げましたとおり、これでよしということはないということは、その当時も今も変わっておらず、新たな技術革新に合わせて少しでも影響を小さくしていくことが大切だと考えてございます。また、当時の航空機の状況でございますけれども、平成3年ごろのデータでございますが、1時間当たり20便前後が到着経路として飛行していたと聞いてございます。

なかつか亮委員

当時は1時間当たり20便、今回は1時間当たり44便。そして、当時は公害だと認めて沖合移転を実現し、今では公害とすら認めない。これは一体どういうことなのか、この点を伺いたいと思います。やはり今回の変更は、これまでの沖合移転、品川区の広報では「音の沖合移転」との記載もありましたが、この成果を壊すものだという認識はないのか、この点も伺います。

藤田都市環境部長

何度も申し上げてございますが、環境の基準の中には、数値を定めた基準があり、その基準に達しているのか、いないのか。これが、今お話をされているところの分かれ目になるのかと考えてございます。そうした中でも、区としては、それより小さいものであったとしても、環境に与える影響を区民が感じるものとして国のほうに申し入れを行いまして、制度の弾力化についての実現を求め、こうした形につながってきているところでございます。

なかつか亮区議

基準に達しているかどうかが基準だと。区の主体性はないということでしょうか。この点を伺います。私は、住民にとっての被害を自治体として受けとめ、それを取り除くことに地方自治体の役割があると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。先ほどから、当時が1時間当たり20便、今回が44便。では基準が一体どう変わったのでしょうか。住民の被害は何も変わらず、起こり得ると指摘しておりますけれども、この点についても伺いたいと思います。

藤田都市環境部長

当時の飛行機と現在の飛行機は性能が大分違っておりまして、国のほうからの説明でも、騒音の大きさ、レベルについては大分異なると聞いてございます。そうした基準の中に当てはめたものが先ほどのご答弁でございまして、「その基準におさまっているからいい」では私どもが弾力化を求めたことにはならないわけで、この弾力化を求めたことは、それに加えて国として何かできることはないのかというようなことを求めた結果、ここにつながってきているものでございます。

なかつか亮区議

性能が変わって静かになったのだと。何だか被害を小さく見せようというのは、全く実態と異なると私は思います。私は大阪の伊丹空港に行って、直接、肌で感じて耳で聞いて、現地の住民に伺いましたが、そんな被害では全くありません。これまでの努力をしてきて実現した海上ルートを壊すのが、今回の飛行ルートの変更です。ところが、便数は当時より増えているのに公害とすら認めない。そして反対もない。変わったのは区長の姿勢です。過去の取り組みにも学んで、国に反対することが、この計画をとめる力になるとはなぜ思えないのか、この点を伺いたいと思います。

藤田都市環境部長

繰り返しになりますけれども、区のほうといたしまして、国が示してきている基準に当てはまるか当てはまらないかだけではなく、これに加えることを、地域の皆様方に環境影響に配慮した方策として何ができるのか、これを求めてきていたところでございます。区のほうとしては、先ほども申し上げましたとおり、環境については「ここまででいい」というようなことはなく、当時も現在も引き続き、新たな技術革新等を踏まえながら、さらなる影響の軽減に努めていく姿勢には変わりございません。

なかつか亮区議

私が伺ったのは、過去の品川区の諸先輩方の取り組みにも学んで、国に反対することがこの計画をとめる力になるとはなぜ思わないのかと、その理由を改めて伺いたいと思います。そして、不安の声は品川区には届いていないのでしょうか。私はアンケートをとりましたが、過去の騒音がまた戻ってくるかと思うと、ぞっとすると。また、新たに住宅を建てた方は、まさか買った住宅の真上を通るとは思わなかったと、みんな怒りの声を発しております。そうした声は届いていないのか、伺いたいと思います。

藤田都市環境部長

これまで地域の方々からは、様々な意見をいただいてございます。それは、フェーズ1、フェーズ2といった説明会等の中のニュースレターの中でも、様々な地域の声という形で載せさせていただいている記事を国が発行しているものでございます。これに対して、国として何ができるのかということを、国としては検討いたしまして、様々な環境影響等に配慮した方策を示してきたところで、これに加えることを、品川区のエリアで何をやってくれるのか、これについて先般8月に国が示したところでございます。区としては、先ほども申し上げましたとおり、しっかりと、地域に与える影響が少しでも小さくなる。これを、技術革新等がある中で、その時点、その地点でできることについてしっかりと取り組んでいく考えでございます。区としては、これまでも申し上げましたとおり、しっかりと具体的な方策を国のほうに示していただく。これが重要な責務だと考えてございます。

なかつか亮区議

結局、先ほどからの部長の答弁は、住民にとっては日常的に重大なことが起こり得る、また、万が一の墜落のときには大惨事になる、そうした危機感が全く感じ取れません。品川区民の生命・財産を守り、重大な被害を防止するには、かつてのようにルート変更、つまりは現在の海上ルートを守らせることが唯一の対策です。区民による反対運動も広がっております。濱野区長の抜本的な姿勢の転換を求めて質問を終わりたいと思います。

こんの委員長

以上で、なかつか亮委員の質疑を終わります。

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