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のだて稔史区議が賛成討論を行いました
「問題山積みのリニア新幹線中止を求める陳情」への賛成討論

2023.07.11 のだて稔史 区議

 日本共産党品川区議団を代表し、令和5年陳情第21号、問題山積みのリニア新幹線中止を求める陳情に賛成の立場で討論を行います。

 本陳情は、品川区の地下を通るリニア新幹線について、既存の新幹線の4倍の電力消費や残土処理の問題、活断層貫通、南アルプスの環境破壊、必要性がない、工事費の増大、陥没など地上への被害があるという点で問題があることを指摘し、中止を求めるとともに、シールドマシンの故障により1年以上も工事が停止し5月に再開したことについて、教室型説明会を求めるものです。561筆の署名とともにリニア新幹線の中止を求める品川区民の会から提出されました。

 リニア新幹線が区内で北品川から戸越公園駅の下を通り、旗の台まで4.6キロメートルの大深度地下、地上から55メートルから90メートルの地下に直径14メートルのトンネルを掘る計画です。事業者であるJR東海は、5月10日からトンネル工事の調査掘進を再開し、6月14日時点で約113メートル掘り進め、現在は目黒川を抜け、民有地に入っていると思います。以下、陳情への賛成理由を3点述べます。

 1点目は、リニアによって住民の安全が脅かされているからです。約3年前に、リニアと同じ大深度地下でのトンネル工事により、調布市で陥没・空洞事故が発生。事業者は地上に影響がないと説明してきましたが、地上に多大な被害が及ぶことが明らかになりました。 リニアによる同様の工事が品川区内で行われており、陥没・空洞事故が起こる可能性は否定できず、ルート周辺の区民の安全が脅かされています。加えて、昨年8月には、施工管理がうまくできず、シールドマシンが故障、安全に工事できないことが露呈しました。また、リニアは、南海トラフ地震の震源域を通り、地震発生の際は山梨県以西の大部分で震度6以上と想定される地域を通ります。地震が発生したら、乗客はひとたまりもありません。 区は、リニアは地震に強いシステムと説明しますが、南海トラフでは、震源域が広いため、震動継続時間が1分と長く、リニアが緊急停止により減速すれば、車輪で走ることになり、既存の新幹線と同様に強震動に襲われ、車輪が壊れ、左右の側壁に激しく接触する可能性もあります。仮に無事に止まれたとしても、地上に出ることも困難です。1車両で1,000人もの人が5キロメートルごとにある非常口まで歩かなければなりません。その後も、都市部では最低でも40メートル以上階段で上らなければ地上には出られません。出口が地上の被害で塞がれていれば生き埋めになってしまいます。山間部ではより大変で、そこから下山しなければなりません。土砂崩れで下山が困難な場合もあり得ます。さらに、リニアは、主なものだけで活断層を6つも貫通しており、南海トラフ地震で誘発され、活断層が数メートルずれれば、トンネルも被害を免れません。区は、活断層はできる限り回避する計画、通過する場合も適切に補強とのJR東海の説明をうのみにしていますが、実際に活断層を貫通する計画であり、活断層が数メートルずれればトンネルは必ず壊れます。残土問題もあります。トンネル工事の残土は約5,680万立方メートルで、東京ドーム45杯以上の膨大な量です。それを、静岡県大井川沿いの燕沢河川敷に南北600メートルにわたり高さ70メートル、370万立方メートルもの残土を積み上げて、巨大な盛土を計画。また、品川と提携している山梨県早川町は、リニア残土が集中し、13か所の仮置場のうち8か所が土砂災害計画区域内にあります。まだ残土の3割は処理計画も決まっていません。十分な管理ができず、豪雨などにより流出すれば、新たな災害を起こすことになります。陳情審査では、自民、公明、しながわ未来(無所属・立憲・ネット)などは質疑をせずに、理由も語らず、不採択とだけ述べ、陳情に反対しました。危険性が指摘されているにもかかわらず、住民に被害が出てしまったら責任を取れるのでしょうか。

 賛成理由の2点目は、リニアは必要性がないからです。コロナ禍の下で社会が大きく変わり、現地に行かずともリモートワークでやり取りができるようになりました。リスクを抱えて急いで移動する必要はありません。時間を移動に割くのではなく、ゆとりを持った社会への転換を求める声が広がっています。また、電力消費量が既存の新幹線の4倍にもなり、CO2排出量も7倍との試算です。気候危機打開の真剣な取組に逆行するものです。もともとリニア中央新幹線は、安倍政権時に国家プロジェクトに位置づけられ、巨大都市圏、スーパ ー・メガリージョン構想の核として進められていますが、三大都市圏を一体化し、人、物、金、情報を移動・集中させ、地方の過疎衰退を加速させるものです。コロナ禍で地方への移住などが広がっており、 既に破綻した構想です。

 3点目は、本来ならばトンネル工事再開前に住民に説明すべきだからです。昨年3月にシールドマシンが故障し、停止。住民が説明を求めても、まともに説明がされず、唐突にJR東海が昨年8月にマシーンの故障により工事停止を発表しました。その後、10月に実施されたオープンハウス型説明会では、故障についてはパネル約30枚のうち1枚の展示のみ。丁寧な説明が行われたとは言えません。オープンハウス型説明会は、住民同士の意見交換を避け、反対世論が広がることを抑えるための手法です。リニアは、住宅地の真下を通り、暮らしと個人の財産に関わる重大問題ですから、ルート上の地域ごとに教室型説明会を実施し、丁寧な説明をすべきです。区は事業者が判断するものと説明しますが、住民に被害を与える計画について、区として実施を求めることは当然です。住民の安全を脅かし、必要もないリニア新幹線は、出発地である北品川工区で中止にすれば先に進みません。品川区からストップさせましょう。

 各議員の皆さんにも陳情への賛同を呼びかけまして、賛成討論を終わります。ありがとうございまし た。

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