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鈴木ひろ子区議が賛成討論を行いました
「国民健康保険料値下げに関する陳情」に対する賛成討論

2024.03.27 鈴木ひろ子 区議

 日本共産党区議団を代表して令和6年陳情第2号「国民健康保険料値下げに関する陳情」に対する賛成討論を行います。

 本陳情では、不況と物価高によって生活苦を強いられる中、高すぎる国保料がどれほど過酷なものか、具体的に訴えています。それは、「高すぎる国保料が払いきれず、年々滞納額が増え、完済する目途が立たない。永遠に払いきれないローン地獄を背負った気分で生きる気力さえわかず長生きしたくない」「インシュリンを打たなければならない体質で、医者からは入院するよう言われているがお金がなくて入院できない」また、「国保料を支払うために長時間働かなければならず、健康を維持するための保険が逆に健康を害するものになっている」など、高すぎる国保料がどれほど暮らしと命を追い詰めているか、深刻な状況です。

 具体的にみてみたいと思います。

 新年度の国保料は、一人平均20万5600円にもなり、1万4000円というすさまじい値上げ。これは何と過去最大の値上げの額です。しかも、昨年過去最大の値上げだったのに、それを更新したのです。

 例えば、40代夫婦、小学生の子ども2人、年収300万円の4人世帯の場合です。税金は所得税と住民税で年20万5500円。国保料はなんとその2倍以上、45万6500円です。様々な制度改悪がされる前の今から15年前・2009年度、この世帯の国保料は年額18万円でした。ところが15年間賃金は上がらないのに、国保料は値上げを続け2.5倍にもされたのです。

 年収300万円と言えば月25万円です。家賃10万円と税金を引いた残りは月13万円です。4人世帯で月13万円の収入からさらに4万円も取るのが国保料です。これが生活を追い詰める国保料の実態です。これは誰が考えても高すぎるのではないでしょうか。

 ところが、私が総括質疑で「負担が重いとは考えないのか」と何度聞いても、担当部長は負担が重いとは言いませんでした。これまでは、厚労省が「保険料の負担が重い」と明記していることを受け、「区も同じ認識」「負担が重い」と答弁していました。森沢区長になって認識が変わったのでしょうか。区は区民の切実な実態を真摯に受け止めるべきです。

 全国知事会も市長会も国保制度を持続できないと指摘、そして23区区長会も危機的状況と述べ、国に対して@国庫負担割合の引き上げ、A低所得者の負担軽減、B子どもの国保料減免の拡大を求める提言を出さざるを得ない状況になっています。ところが、23区区長会は構造問題が深刻化し、「危機的状況と言わざるを得ない」と述べながら、自らは国保に出していた一般財源を削減し続けその分を国保料に転嫁し、値上げをし続けてきました。これは最大の矛盾と言わざるを得ません。品川区自らが一般財源から繰り入れてきた法定外繰り入れをもとに戻せば保険料は引き下げることができるのです。

 さらに、18歳までの子どもの国保料は無料にすべきです。生まれた赤ちゃんから保険料を取るのは国保だけ、組合健保も協会けんぽも子どもの保険料はありません。しかも一人6万5600円もの高額です。まるで人頭税。人間の頭数に応じて課税する人頭税は、古代に作られた税制で、人類史上もっとも原始的で過酷な税とされています。それが、21世紀の公的医療制度に残っている。これは廃止すべきです。品川区で18歳までの子どもの国保料無料化に必要な額は1億5000万円。子育て支援の観点からも無料化が必要です。国保法77条で自治体の減免制度を規定しており、多くの自治体が実施、つい最近でも取手市が18歳以下の子どもの国保料無料化を打ち出しました。
厚生委員会の質疑では「23区統一で行っているので区独自の引き下げは難しいと理解している」との発言が何人もの委員から出されました。しかしこれは引き下げができない理由にはなりません。すでに23区中4区が統一方式から外れています。都内でも多摩地域の自治体では自治体ごと独自に国保料を決定し、引き下げや維持、子どもの国保料減免などをしています。区議会で陳情を可決し、品川でも実現させようではありませんか。
この陳情では2つ目に、滞納者に寄り添った対応を求めています。

 窓口で圧力を感じる対応があるとして具体的な声を紹介しています。「払いたくても払えない状況で、ただでさえ後ろめたい気持ちでいるのに区からの取り立てで心が苦しくなった。これでは自殺する人も出るのではないか」「税金や保険料のためにみんな無理をしている。払って当たり前という風潮のため、行政の中にも厳しい態度の人もいる」などです。多くの議員が払いたくても払えないとの切実な相談を受けているのではないでしょうか。
委員会質疑でも私含めれいわや未来の委員から出された滋賀県野洲市の取り組みを紹介します。滞納は「市民からのSOS」として捉え、税金や保険料を払いたくても払えない人こそ行政が手を差し伸べるべき人だとし、「くらし支え合い条例」をつくり、市長自ら「滞納を市民生活支援のきっかけにする」「ようこそ滞納いただきました」と発信。体制もとって納税相談のほかに、借金などの法律相談や失業や労働相談、介護福祉分野の相談を入り口に生活困窮者を見つけ、生活再建の支援を行っているとのこと。「差し押さえによる一時的な徴収よりも、生活再建を支援して納税していただく方が納税額が大きい」という生活再建の考え方で対応しているとのことです。
野洲市のように、滞納者に寄り添い、生活再建の支援をすることこそ自治体の役割です。

 新年度は、国保料、後期高齢者医療保険料が過去最大の値上げ額、さらに介護保険料とトリプルプル値上げが、コロナ禍と物価高で生活苦にあえぐ区民に襲いかかります。国保も介護保険も制度そのものが崩壊の危機という状況です。社会保障を自己責任とし、税金を削減し国民への負担増を繰り返してきた自公政治が、制度そのものを崩壊させていく。今まさに崖っぷちの状況ではないでしょうか。

 社会保障削減が不安を増大させ、消費を冷え込ませ、その結果日本経済を衰退させ、経済成長ができない国、給料が先進国で唯一上がらない国をつくりました。その一方、軍事費や大企業・ゼネコンの超高層再開発には巨額の税金を投じる。この路線を転換し、社会保障は削減でなく充実へ、安心の仕組みをつくることこそ、安定した雇用や消費を増やし、経済を元気にすることになります。社会保障削減から充実への転換の一歩としてこの陳情の採択を呼びかけ、賛成討論とします。

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