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安藤たい作区議が賛成討論を行いました
「品川区の学校を子どもの安全に最大の配慮を払う『安全・安心で、楽しい学校』にするための陳情」に対する賛成討論

2024.03.27 安藤たい作 区議

 日本共産党品川区議団を代表して、令和5年陳情第52号「品川区の学校を子どもの安全に最大の配慮を払う『安全・安心で、楽しい学校』にするための陳情」に対する賛成討論を行います。

 本陳情は、いじめを止めるため学校が子どもの人権を尊重する安全・安心で楽しい学校という本来のあり方を目指す取り組みが必要だと述べ、子どもたちが自分たちに関わる問題を自分たちで考える「学級活動の時間の確保」や、子どもの権利条約を学習する機会を教職員や児童生徒、保護者や地域住民を対象に毎年必ず持つこと、その実践として校則の見直しを年度当初に位置づけることなどを求めています。また、深刻な不登校児童生徒の教育の機会、成長を保障する体制づくりを求めるものです。

 今回の陳情に対し、「適切に対応して頂いている」「既に取組を進められているし、今後も対策を進めていく姿勢も確認できた」などの理由で共産党以外の委員により不採択となりました。「しっかりと進めて頂いているが更にここから発揮して進めていって頂きたいという気持ちがある」との反対表明もありましたが、更に前に進めるというなら、むしろ採択すべきではないでしょうか。

 区教委が何も対策をしていないとは申し上げません。しかし、陳情が求める4点全てにおいて更に前進が必要です。でなければ「人権が尊重される、安全・安心で楽しい学校」は作れません。以下、区内教員から聞き取った現場の実態も紹介しながら、何点か述べていきたいと思います。

 1点目は、子どもの権利条約の学習の機会についてです。

 2022年12月に改定された、文科省作成の生徒指導の基本書である「生徒指導提要」では、生徒指導の取り組みの第一に「児童生徒の権利の理解」をあげ、「児童生徒の人権の尊重という場合に留意すべきは児童の権利に関する条約」、すなわち子どもの権利条約だと述べ、教職員が条約を理解することの重要性について述べています。更に、「安全・安心な学校づくりは、生徒指導の基本中の基本であり、同条約の理解は、 教職員、児童生徒、保護者、地域の人々等にとって必須」と述べているのです。

 しかし、品川区教委・品川区の、学校教育に関わる全ての行政文書にはいまだ「子どもの権利条約」の文言はどこにも、一言もありません。「精神は盛り込んでいる」と言いますが、だから書き込まないというのは軽視していることと同義です。位置付けがないから、しっかり教えるということにもなりません。区は、「社会科や市民科の授業を通して学習している」「具体的に何時間とは区として示しているわけではないが、指導の内容としては確実に盛り込まれている」と言います。たしかに、5年生からの市民科と社会科の教科書にわずかに掲載はありますが、実態を現場の教師に伺うと、「社会科や市民科に「子どもの権利条約」という言葉は出てきますが、内容に触れ、内容について学ぶと言うことは、権利条約を意識している教員でない限り、ほぼやっていない」のが実態だと言います。ましてや、陳情が求める保護者や地域の人々への学習機会はありません。

 2点目は、職員会議と学級会についてです。これらは子ども権利条約の4つの原則のうちの1つである「意見表明権」の原則の上からも極めて重要であり、いじめや不登校など日々の課題を学級集団や子どもたち自身が向き合い解決していく力を身につけていく上でもたいへん重要です。しかし現状はどうか。

 職員会議について、区教委は「相談できる風土はある」「学校によって様々で、例えば2週間に1回とか、月に1回とかの頻度で各校で設定して開かれている」との答弁で、率直に言って各校の実態をつかめているとは思えませんでした。現場の職員に聞いたところ、「職員会議では報告を聞くことが多く、そこに出てきた内容についてもの申すことはなかなかできません。ほぼトップダウンですすめられていきます。教職員全員で、意見を出し合って教育活動の内容を決めていくということは出来ていないと思います。ただ、こうなっていった原因の1つは、超過密労働にあると思います。なるべく簡潔に会議を進めたいという考えがあります。この時間を確保するためには、どうしていけば良いのか検討する必要があると感じます。」とのことでした。区教委は現場のおかれた実態をつかみ、先の「提要」にも「教職員同士で意見を交わし、学び合うことのできる同僚関係は生徒指導の基盤に不可欠」とあるように、、教員の同僚性を培える職場環境を実現することを求めます。

 学級会はどうでしょうか。区教委は「(市民課で)学級会の行い方を学んでいる」と言いますが、肝心なのは、行い方を学ぶだけではなく、実際に学級会が行われ日常の問題を話し合い解決に向け子どもたちが取り組むことです。現場の教員に伺っても「市民科では時間数も定められ、学級会の開き方や相談の仕方を学んでいますが、あらかじめ設定された内容では、形ばかりです。子どもたちの日常で起こる様々な問題について、タイムリーに、そしてみんなが納得できるようにとことん話し合うことが必要だと考えます。この話し合いの中で、「子どもの権利条約」にもつながるいろいろな権利を身につけていけるのだと思います。」と現状を告発し、学級会の持つ力について述べてくれました。その通りだと思います。

 さいごは、不登校対策についてです。陳情が求める子どものニーズに合わせた校内スペースの確保と人的配置は、本陳情も受け、新年度、校内別室指導支援員を全校に拡大など前進しましたが、その資格は問われません。陳情で求める人的配置には「教師」という言葉も含まれているように、不登校の児童生徒への繊細な対応には専門性が求められます。重要な視点です。

 以上の点から、本陳情を採択し、まだまだ足りていない施策を議会の後押しで更に前に進めさせようではありませんか。

 最後に、陳情者からの意見陳述の申し出についての対応について一言申し上げます。今回、陳情者の意見陳述の申し出に対し、委員会で諮られ、受けないこととなりました。品川区議会ではこのような対応が続いていますが、本来、区民からの意見陳述の申し出については、原則受けるべきです。それが開かれた品川区議会になると申し上げ、私の賛成討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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