前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ

宮崎克俊区議01年第2回定例会「不良債権」「無料入浴権」「住宅政策」

2001.06.18 宮崎 克俊 区議

一般質問項目

  1. 区内中小企業を倒産に追い込む小泉内閣の「不良債権の最終処理」を問う
  2. 「出会いの湯」は入浴のみ希望者も無料に見直しを。無料入浴券復活を求める
  3. だれもが安心して住める住宅政策を。区営住宅、高齢者住宅の建設を求める

一般質問 >>  答弁 >>  再質問 >>  再答弁 >>  再々質問 >>  再々答弁 >> 

一般質問

日本共産党を代表して、一般質問を行います。


区内中小企業を倒産に追い込む小泉内閣の「不良債権の最終処理」を問う

初めは、区内中小企業を倒産に追い込む小泉内閣の「不良債権の最終処理」を問う、の質問です。

小泉内閣は26日、構造改革の基本方針、いわゆる「骨太方針」を決定しました。基本方針が最優先で掲げるのが「不良債権の早期最終処理」です。これは3月の日米首脳会談でブッシュ米大統領から要求され、当時の森首相が誓約したことが発端ですが、一気に経済政策の中心に祭り上げられました。急激な景気後退に見舞われているアメリカが、日本の銀行の資金力を強化して、アメリカ経済を下支えすることを期待したものであります。私は、この基本方針が「不良債権の最終処理」による中小企業の倒産・失業、社会保障の負担増、消費税増税への布石、悪性インフレと財政規律の破壊につながる量的金融緩和など、国民に極めて過酷な「痛み」を強要することを率直に心配するものであります。

日本経済は、内閣府が6月11日に発表した今年1月から3月期のGDPは2カ月ぶりのマイナス成長となり、景気はさらに悪化の一途をたどっています。こんな状況で「不良債権の早期最終処理」を強行したらどうなるでしょうか。現在、銀行に積まれた不良債権は、バブル時代に銀行が土地などに投資してつくった不良債権は解決していますので、長引く不況のもとで経営が悪化、契約どおり返済ができなくなった中小企業への融資が大半です。最終処理を行うということは、不良債権となっている融資先の融資を打ち切って、土地など処分、担保を回収するということです。つまり、現在操業中の中小企業を倒産に追い込むことにほかなりません。

帝国データバンク2000年3月期の資料では、大手銀行16行の総貸出件数約867万件のうち、99・3%が中小企業だとしています。我が党の試算では、「不良債権の最終処理」の対象は少なく見積もっても全国で20万社から30万社に上ります。昨年1年間の企業倒産は1万9千件でしたから、不良債権の最終処理でその10倍から15倍もの企業が倒産に追い込まれることになるのです。党首討論で我が党の志位委員長が数字を示して質問したのに対して、小泉首相はこの数字を否定しませんでした。

ニッセイ基礎研究所など幾つかの研究機関は、「不良債権最終処理」によりいずれも新たに失業者が100万人から130万人生まれると予想しています。4月の失業者は348万人ですから、単純計算でも450万から480万人もの失業者が増大することになります。帝国データバンクの2001年「4月・月報」は、小泉内閣の構造改革路線について「景気回復のための構造改革は看板倒れに終わり、ただ単に倒産急増と失業増加という想像を超える大きなダメージを後に残すだけになるのは避けられないだろう」と指摘しています。「不良債権最終処理」は膨大な中小企業の倒産と労働者の失業をもたらすだけでなく、景気を一層冷え込ませ、経済を破滅に導く危険があります。

さて、当区は、中小企業が99%を占める典型的な中小企業のまちです。「不良債権最終処理」の強行により、区内産業が取り返しのつかない打撃を受けることが心配です。既にその影響が出始めたと思われる事例を紹介します。ある東大井の商店主は、信用金庫への返済が3カ月遅れたために、保証協会から一括返済を迫られています。現在、遅れた分も含めて返済計画が立つ状態になったにもかかわらず、「契約不履行だから、不動産を売却し一括返済せよ」と迫っています。また、古くから鉄道関係の仕事を請けてきたある業者は、「融資の返済は滞ることなく行っている。返済能力は十分あるのに、これ以上の融資は断られた」と言います。「不良債権処理」はけた違いの規模で融資打ち切り、債権回収が行われることになります。

区長、小泉内閣の「不良債権最終処理」は区内産業の存亡にかかわる重大問題です。品川区は区内産業の計画的支援を図る産業振興マスタープランを策定中ですが、このプランの土台を破壊しかねない問題だと思います。我が党は、区長が小泉内閣の「不良債権早期処理」方針に対し明確な反対の立場をとるよう求めるものです。

我が党は「不良債権」の処理は重要課題だと考えます。それは、国民の暮らしを支援することにより景気回復を図り、不良債権を健全債権にすること以外にないと思います。そのために、消費税減税で国民の懐を温めて購買力を高めること、医療や年金など社会保障の改悪を凍結して将来不安をなくすこと、中小企業支援と大企業のリストラ、首切りを規制して雇用不安をなくすことを提案してきました。政治を大銀行・大企業支援から国民の暮らし応援に切りかえ、個人消費に活気を取り戻せば、経済危機の打開が進み、不良債権問題も解決へ道が開けると考えるのであります。

そこで、質問します。

  1. 政府が示した銀行による不良債権の早期最終処理が、区内中小企業事業者と区民生活にどのような影響をもたらすと考えているのか、お伺いします。また、現在策定中の産業振興マスタープランの土台を崩しかねない事態が予想されますが、対応策を考えているのかどうか、お伺いします。
  2. 消費税減税、福祉の充実、雇用不安の解消こそが、不況打開、地域経済活性化の道であると考えますが、区長の見解を伺います。

「出会いの湯」は入浴のみ希望者も無料に見直しを。無料入浴券復活を求める

次に、「出会いの湯」は入浴のみ希望者も無料に見直しを。無料入浴券復活を求める、について質問します。

品川区の「出会いの湯」は、高齢者が健康で生きがいを持てるよう入浴サービスを実施しています。この事業は、もともと1974年に65歳以上の単身者に対する年間57枚の入浴券支給から始まりました。1995年に見直して、公衆浴場の脱衣所でカラオケなどプログラムを行う「出会いの湯」をモデル実施、そして現在の事業となりました。しかし最近、「出会いの湯」について、お年寄りから「カラオケしないと入浴料が必要になった」と、改善を求める声が相次いで寄せられました。それは、ことし4月からカラオケなどの「お楽しみプログラム」を毎週開催するとともに、無料入浴はプログラム参加を条件としたためです。

ここで、利用者の声を紹介します。豊町6丁目でひとり暮らしの83歳の女性は「私はカラオケが嫌いなので、プログラムが終わってから行く。ふろが一番の楽しみだから、仕方がなく200円払っている」。また、同じくひとり暮らしの戸越6丁目の女性は「自分はカラオケが好きだからいいが、200円がもったいないので、我慢してカラオケに来ている人もいる。何で品川だけがこんなふうになるのかと、みんなが言っている」と話しました。ある高齢者クラブの会長さんは「何で嫌がる年寄りにカラオケや体操をさせるのか」とかんかんでした。「お楽しみプログラム」がお年寄りにとって「押しつけ」になっているのではないでしょうか。

また、おふろ屋さんからも意見が出ています。あるおふろ屋さんは「プログラムへの参加が増えたのは、プログラム参加が条件になったから。入浴だけだった人が参加しているというのが多いのではないか」と述べています。また「以前週1回無料でお年寄りを招待した。お客が増えるかと思ったが増えず、逆にお年寄りが木曜日に集中して、他のお客に迷惑をかけた。『出会いの湯』は区から補助金が出るが、参加者が増えれば増えるほど採算が合わなくなる。区はプログラムに参加しなければ全額負担としたが、入浴だけの人には浴場組合が半額負担して200円にした。以前のような入浴券の方法が一番いいのではないか」との声も寄せられました。

私は、お年寄りがおふろを楽しめる制度に改善することが必要だと思います。「出会いの湯」はなぜ入浴だけではだめなのでしょうか。プログラム参加を望まないお年寄りも多いのですから、この声に応えることが必要です。また、近隣の区と比べても、無料入浴は「お楽しみプログラム」の参加を条件にする品川区のやり方は際立っています。例えば、大田区では65歳以上のひとり暮らしの方に無料入浴券50枚を支給するとともに、2月に1回の「敬老入浴デー」はお年寄りが無料で入浴できます。世田谷区も65歳以上のひとり暮らしの方へ60枚の入浴券を支給、第1と第3日曜は「敬老入浴デー」です。また目黒区では、毎月第1と第3、第4日曜日を「いきいき入浴」として、60歳以上の方は無料です。これらの区では、いずれも品川区の「お楽しみプログラム」のような企画はなく、「自由な入浴」という形式です。

そして、お年寄りへの経済給付的福祉の必要性もあります。今回「入浴だけ」は認めないようにしたのは、経済給付的な福祉の見直しの一環なのでしょうか。しかし、高齢者は年金受給者の6割が月平均5万円の国民年金です。都の高齢者生活実態調査では、年間の収入200万円未満が52%に上ります。お年寄りは金持ちだと言える状況では決してありません。無料で入浴できる制度は多くのお年寄りが期待しているのです。

そこで、質問します。

  1. 「しながわ出会いの湯」事業は、お楽しみプログラムに参加しなくても無料で入浴できるようにしていただきたいが、いかがでしょうか。
  2. お年寄りが好きなときに入浴できるよう無料入浴券を支給する方法も実施していただきたいが、いかがでしょうか。なおその際、単身者に年間57枚支給など、以前実施していたときのような厳しい条件とせず、より多くのお年寄りがおふろで楽しめるようにしていただきたいが、いかがでしょうか。

だれもが安心して住める住宅政策を。区営住宅、高齢者住宅の建設を求める

最後に、だれもが安心して住める住宅政策を。区営住宅、高齢者住宅の建設を求める、の質問です。

品川区はことし3月、第3次住宅マスタープランを発表しました。長引く不況のもと、区民の中で都営・区営住宅や高齢者住宅など低家賃の公共住宅への入居希望は、以前にも増して強くなってきていると感じます。しかし、こうした願いになかなかこたえられないのが実情です。

ここで、私が相談を受けた事例を紹介します。金型の仕事をしているAさんはワンルームに一家で住んでいます。最近2人目の子どもが生まれたため、都営住宅を申し込みました。ところが、都営住宅は昨年10月の募集で区内4団地が29倍、八潮は3戸のみで49倍、東品川のスーパーリフォームは募集2戸で229倍と、「超激戦」の中でAさんは落選しました。収入が減ったため家賃の高いアパートに移ることも、ましてマンションの購入もできません。

高齢者住宅はどうでしょうか。昨年の募集では申請者が210名あり、うち登録は39名のみ、こちらも大激戦です。豊町でアパートに住む74歳と72歳のBさん夫婦は、突然家主から建て替えのため、今年じゅうに出るように言われました。アパートはまだ見つかりませんが、この年齢では友達のいないところに行けません。高齢者住宅の申し込み受付はまだ先、しかも世帯用はそもそも2戸だけですから、心配です。

また、Cさんは女性のひとり暮らし。手術を受けた傷跡があるため、ふろつきの部屋が必要だといいます。収入が減り、貯金を食いつぶしている状態にあり、高齢者住宅希望ですが、区基準の「住宅困窮」には当てはまりません。この方々は、区内に住居が見つからなければ、区外に転居せざるを得なくなります。

では、第3次住宅マスタープランは区民の期待に応えられるのでしょうか。品川区は、第1次プランで高齢者と低所得者、第2次プランでファミリー対策を進め、都営・区営住宅が合計4010戸、高齢者住宅が220戸、うち世帯用2戸。さらに中堅所得者向け区民住宅、都民住宅合計915戸、安心の住まい27戸が建設されました。しかし、今後の計画はどうか。第3次マスタープランでは、平成22年までに建設するものとして、区民住宅630戸、安心の住まいとケアホームが合わせて120戸と、中堅所得向けの住宅は具体的な建設目標がありますが、所得の低い方向けの住宅は新たな建設計画は全くありません。マスタープランは平成22年までの計画ですから、これでは不十分です。

具体的に見ますと、区営住宅の確保について、品川区は都営住宅を区に移管する考えです。しかし、東京都は荏原市場跡地への87戸建設以降、新たな都営住宅の建設計画は1戸もありません。都営住宅の区移管で地元割り当ては一定増えるにしても、新たに建設しなければ、都営・区営住宅は絶対数が増えないわけですから、区営住宅は区として建設すべきです。住宅マスタープランには区外転出者へのアンケート結果が掲載されています。品川区に望むものの第一が、低家賃の公共住宅で44・4%、ここには多くの方が高い家賃のため区外に転出せざるを得ないという実態が浮かび上がっています。

高齢者住宅も、「高齢者の住宅問題は深刻だ」と言いながら、新たな建設計画はありません。アパート建て替えによる立ち退きは減少しているといいますが、これは建設しないことを合理化するものではないでしょうか。高齢者住宅は、住みなれた品川に住み続けたいというお年寄りの願いがかなえられるようにすることが必要です。そのために、世帯用を含め高齢者住宅の増設とあわせて、現行の「住宅に困窮」の基準見直しが必要です。こうした内容をマスタープランに盛り込むべきです。

品川区は、東五反田2丁目再開発では49億円も税金を投入しましたが、仮にこのお金を区営住宅建設に回せば、単純計算ですが、1戸当たり2千万円としても、200戸の住宅を建設できることになります。また、品川区の公共施設整備基金は今年度末で218億円も積み立てられます。品川区は、ぜひ「住宅は福祉」「住まいは人権」の立場で、特に区営住宅、高齢者住宅など、所得の低い方、高齢者も安心して入れる住宅建設を進めるよう強く求めるものです。

そこで、質問します。

  1. 低所得者も入れる区営住宅・高齢者住宅の建設計画を持ち、早期の建設が必要と考えますが、いかがでしょうか。
  2. 都に対して都営住宅建設を求めること、国に対しては公共事業を生活密着型に切りかえ、区営住宅建設への補助を増やすよう求めることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
  3. 高齢者住宅の入居基準は緩和を求めますが、いかがでしょうか。

以上で一般質問を終わります。(拍手)


答弁

区長(高橋久二君)

宮崎議員のご質問にお答えを申し上げます。

初めに、不良債権の処理に関するご質問でございますが、ご案内のとおり、本年4月に発表された政府の緊急経済対策の中で不良債権問題が取り上げられ、先日決定された「経済財政運営の基本方針」におきまして、日本経済の再生に向けた抜本的対策として取り組まれることとなりました。この不良債権の最終処理は「直ちに中小企業に結びつくものではない」と政府関係者の発言も伝えられておりますが、今後の経済対策の展開とそれに伴う景気動向のもとで、区内中小企業にどのような影響が及ぶのか、その推移を注意深く見守ってまいります。

次に、消費税減税など景気回復の方策に関するご質問でございますが、まず消費税減税につきましては、これまで再三にわたりご答弁申し上げましたとおり、国政に関することに対して見解を控えさせていただくという考え方には変わりはございません。経済活性化の方策につきましては、今般、不良債権の処理を初め、さまざまな構造改革、社会資本の充実、社会保障制度の再構築など、国の総合的な対策が示されました。したがいまして、今後はこれらの政策の具体的な方針が明確になりました時点で、区で行える政策はどういうものがあるかということについて慎重に検討してまいりたいと思っております。

その他の質問につきましては、部長からお答えを申し上げます。

保健高齢事業部長(新美まり君)

私からは、「しながわ出会いの湯」に関するご質問にお答えいたします。

本事業は、高齢者の健康づくりと生きがいづくりを目的に、まちの公衆浴場を活用して、平成7年から実施してきたものでございます。事業内容といたしましては、ご案内のとおりですが、高齢者同士がふれあう「友との出会い」、気軽に参加できるレクリエーションなど「楽しみとの出会い」、広々としたおふろでリフレッシュしていただく「お湯との出会い」をコンセプトにして、健康体操やカラオケなどのお楽しみプログラムと入浴サービスとを組み合わせて実施しております。対象は、区内在住の65歳以上の方ならどなたでも無料で参加できます。また、企画運営につきましてはシルバー人材センターに委託しており、利用する方も、運営する方も同じ高齢者ということで、元気な高齢者の活躍の場を広げております。

お楽しみプログラムに参加しなくても無料で入浴をできるようにとのご提案ですが、本事業は、単に無料の入浴サービスを提供するものではなく、「3つの出会い」をコンセプトに実施し、高齢者の健康づくり、生きがい活動を支援する趣旨の事業でございますので、ご理解願います。

入浴のみを希望される方につきましては、毎週木曜日7時までの間、半額の200円で入浴できるよう公衆浴場商業協同組合のご協力をいただいているところでございます。このことにつきましては、この間浴場組合とも十分協議をし、現行の方式に変更したものでございます。

次に、無料入浴券についてのお尋ねですが、平成9年度から、それまで行ってきた「入浴券支給事業」と「いきいき入浴デー」の2つの事業を統合し、現在の「しながわ出会いの湯」として事業の拡充を図ってきたものでございますので、現行に加えてさらに無料入浴券を支給するという考えはございません。

なお、区内の9カ所のシルバーセンターにおいて、健康づくりやレクリエーションの場としてだけでなく、無料で入浴を楽しむ場としても活用いただいておりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

まちづくり事業部長(中谷勝年君)

私からは、3点目の住宅政策に関するご質問にお答えいたします。

初めに、低所得者向け住宅についてでございますが、第3次長期基本計画では、主要課題として「1人1人の住みよさを高める品川プラン」を掲げ、ファミリー世帯を初め、それぞれの世帯に応じた定住促進をさらに進めていくこととしております。これを受け、住宅マスタープランでは、区営住宅の整備に当たり、リフォームや都営住宅の移管などを進めていくこととしております。加えて、今後計画している区民住宅の募集に当たり、区営住宅からの住みかえも可能となることから、このストックを活用することなどにより、区営住宅の充実に努めてまいります。

なお、高齢者住宅につきましては、立ち退きを余儀なくされるなど住宅に困窮した高齢者のための住宅であり、既存の高齢者住宅を効果的に運用し、対応してまいります。

次に、都営住宅の建設を都に求めてはとのご質問でございますが、都においては現在、都営住宅の建設は、老朽化し建てかえの緊急性が高い団地から順次取り組むとするとともに、その他の改善を必要とする住宅につきましては、ストックの活用という観点から、スーパーリフォームを実施しております。また、今後の対応につきましては、「東京構想2000」にありますように、都営住宅の供給・管理にかかわる不公平感、団地全体が高齢化することに伴う周辺地域を含めた活力の低下などの課題を解決するため、都営住宅制度の抜本的な改革を進めるとしてございます。したがいまして、区としては今後、これらの都の取り組みを見守ってまいりたいと考えております。

なお、国に対する区営住宅の建設補助の増額要望についてでございますが、平成13年度に特別区長会から、建てかえ等の充実を図られたい旨既に要望しているところでございます。

次に、高齢者住宅の入居基準の緩和についてでございますが、現行におきましても、所得に関係なく、住宅に困窮していれば入居の申し込みができるようになっており、高齢者住宅の設置の趣旨に合った基準と考えております。申込者につきましては、住宅の困窮度を高齢者住宅運営審査会で審査し、必要性の高い方から入居していただいておりますので、ご理解をいただきたいと存じます。


再質問

宮崎克俊君

それぞれご答弁を簡潔にいただきまして、ありがとうございました。何点か再質問させていただきます。

まず、不良債権の最終処理のところですけれども、今、区長さんの方から、今の事業、影響について注意深く見守っていくということでありますので、まずそれはきちっとやっていただくということが必要だと思うんです。例えば今日の新聞でも、今まで民間の研究機関が出してきた100万人を超える失業者、これは政府の試算は大手銀行だけということですけれども、54万人、こういう数字が出ました。大手のところだけですから、これは都市銀行全体であれば、民間の研究機関が出してきた100万人という数字は、本当に現実のものになると思うんですよね。それが一体この品川区にどうなるかというところが、やっぱり今回の大事なところなんです。私は質問本文のところでも触れましたけれども、ぜひ区長が、こうした中小企業が集中する品川区の区長ですから、こうした中小企業を大量倒産に追い込む、そういう内容についてはやっぱりだめだという立場で態度を表明していただきたい、このことをお伺いしたいと思うんです。それが1点。

あともう1点、「出会いの湯」の方ですけれども、今のご説明でやっぱりわからないのは、なぜ入浴だけではだめなのかということなんですね。お年寄りが望んでいる方向をなぜこれができないのかということがやっぱりわかりません。それと、無料入浴というのはやらないんだということをおっしゃっていましたけれども、そうすると、経済給付的な福祉ということはこの間もずうっと見直してきていますけれども、経済給付的な福祉ということは必要ないというふうにお考えなのかどうなのか、この点もお伺いしたいというふうに思います。

あと、住宅のところですけれども、先ほど答弁では定住の促進だと、それをやってきたというふうなご答弁でしたけれども、住宅マスタープランのところにも、先ほど紹介しましたけれども、区外転出者、実際に区外に転出した方にアンケートをとった、その中で一番高いのが、44・4%もの方が低家賃の公共住宅を望んでいると。要するに、ここにはそういうところへ入りたくても入れない。それで区外に転出せざるを得ないと、そういう実態があるわけなんですよね。定住促進ということであれば、やっぱりここにきちっと光を当てるということが私は必要だというふうに思います。

今のこの事態、やっぱり低家賃の住宅を望みながら転居をせざるを得ないと、こういう事態をどういうふうに認識されているのか。このマスタープランのところでは、そこら辺の評価というのは余り書かれておりませんでしたけれども、今回のプランでは低所得者向けの住宅の計画がないんですけれども、一方では要望が高いと認めながら、計画がないというのはどういうふうにお考えなのか聞きたいというふうに思います。

あと区営住宅、区民住宅、どっちをつくるかということもあろうかと思うんです。その際、どっちが区の負担が重いのか。調べてみますと、家賃助成なんかも含めますと、区民住宅でも区営住宅でも変わらない、ほとんど変わりません。そうするとまさに政策判断。そうすると、なぜ低家賃の区営住宅の方をつくらないのか。このこともお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。


再答弁

区長(高橋久二君)

宮崎議員の再質問にお答えをいたします。

先ほどから申し上げていますように、現在、国の方で構造改革の基本方針が示されました。具体的なものについては何も示されておりません。その中で品川区の区内の中小企業がどうなるかという問題、これからの国の施策によりまして、どうなっていくか具体的なものがなければ、私はとても判断するものではございません。そういう意味で、先ほどご答弁のように具体的なものが出てまいりました時に区の方で判断をし、施策を決めていきたいと、このようにご答弁を申し上げたものでございます。

ちなみに、6月28日の朝日新聞で、低成長、失業の問題に対しましてアンケートをとっております。もう既にごらんになっていると思いますが、「容認する」というのが54%、「容認できない」というのが31%でございまして、過半数の方がこの問題については容認しようと、このようなアンケートがございました。その中で、共産党の支持者の方は、60%が「反対する」けれども、36%は「賛成」という数字がございました。念のためでございます。

保健高齢事業部長(新美まり君)

私からは、「出会いの湯」に関します再質問にお答えいたします。

先ほどもご答弁いたしましたように、この事業の基本は健康づくり、ふれあいの機会を充実すると、そういう事業の趣旨でございますので、それを基本にするということでございます。しかしながら、入浴のみをだめということではなく、先ほども申し上げましたように、半額でおふろのみもご利用いただくと、こういう施策にしているところでございます。

それから、経済給付云々ということよりも、これは本来の入浴券配布のときもそうでございましたが、いろいろとひとり暮らしのみというようなことでのご批判等もございまして、サービス全体を対象を広げ、さまざまなそういう付加のサービスもつけて、サービス全体を充実するという趣旨で移行してきたものでございますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

まちづくり事業部長(中谷勝年君)

宮崎議員の住宅政策に関する再質問につきまして、お答え申し上げます。

先ほども述べておりますが、区はこれまで第1次マスタープラン以来、区営住宅を393戸、そして都営住宅を3617戸ということで、4010戸の区営住宅・都営住宅を整備してきたわけでございます。これらは第3次マスタープランでは、平成22年までの目標として、区民により身近な区の住宅として、都営住宅の一環を進める、あるいはスーパーリフォームなど、必要な管理の取り組みを進めるということで、真に住宅に困窮する人への支援として、いろいろ高齢者の住宅、障害者の住宅も含めて検討していくというようなことにしてございます。そういうことですので、今回につきましてはて、特にその辺については述べていないというところでございます。

それから、マスタープラン策定については、やはり3つの視点があったということを知っていただきたい。これが都市居住の魅力の発揮という問題、あるいはバランスのとれた住宅対策をとるということ、多様な住み替え選択肢を形成するというような観点でこれまで進めてきたわけでございます。区は、こうした観点からこれからも住宅政策を進めていくということで考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願いしたいと存じます。


再々質問

宮崎克俊君

若干再々質問をさせていただきます。

まず不良債権の方ですけれども、今、過半数のところがそういう容認をしているというふうなご答弁でしたけれども、実際は区長も言っているとおり、内容がまだ出てきていないと、そういう中での何かやってくれという期待ですから、これは共産党支持者がどうのこうのという話もありましたけれども、そういう内容だということでご理解をいただきたいと思います。この点については、倒産が急増というような遅きに失しないように、ぜひ対応を早目にしていただきたいということを要望しておきます。この点は要望しておきます。

「出会いの湯」の方ですけれども、私は、ではちょっと一点お伺いしたいんですけれども、部長さんの方にはこういう苦情というのは聞いてないんでしょうか。私は高齢者クラブの会長さんからも直接聞いております。聞いてないのかどうなのか。そして、苦情があれば何かしら対応をする考えがあるかどうか、この点だけお伺いをしたいと思います。

あと、住宅の方で1点だけお伺いしたいのは、これまで低所得者向けのはつくってきたんだというふうなお考えです。それならば、これからの計画にこれがなくていいのかということ、私はそこの考え方を聞きたいんです。やっぱり中堅所得者のところは、いわゆる民間のところでもそこそこ対応できる。全部十分だとは思いませんけれども、やっぱり民間のところの供給もあるわけなんです。ところが、所得の低い方には自治体が対応しなければ、これは対応するところがないというふうに私は思います。この点でそこの考え方をどういうふうに考えているのか、もう1回ちょっとお伺いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。


再々答弁

区長(高橋久二君)

宮崎議員の再々質問にお答え申し上げます。

「出会いの湯」の問題でございますが、初めに入浴券の問題、これはひとり暮らしの方がおふろに入ることによって少しでもその寂しさを紛らわせるというふうな趣旨から、500メートル以内に近親者がいない人に限って券が配られたものでございます。それでは、ただおふろへ行っただけで、果たして隣の人と話ができるでしょうか。そうじゃなくて、やはり皆さんが一緒になってそこでお話をし、おふろを入れる条件をつくろうじゃないか。そこで始まったのが「出会いの湯」でございます。大変好評でございました。この月1回を週1回までに伸ばしてまいりました。その中で、今、宮崎議員の質問をするような方も中にはいらっしゃいました。だけど、大多数の方が「出会いの湯」でカラオケを歌う、また体操をする、そのことによって体もほぐれるし、また知り合いもふえて、大変うれしかったという、こういうお礼の話もございました。ですから、そういう面でご理解をお願い申し上げます。

それから、住宅の問題でございますが、私は基本的に公営住宅は東京都が分担をしていただく。それから区民住宅は区が分担をする。このような分担の施策をとりませんと、とてもとても区では両方の住宅はできません。それなら、今補助金の問題を考えた場合に、区営住宅も、都営住宅も補助金が同じだから大して変わらない、同じじゃないかと。むしろ公営住宅の方が補助金が余計出るじゃないか。建設費はそうかもしれませんけれども、区営住宅には家賃補助があるわけでございます。5割の家賃補助がある。これは貴重な財源でございます。したがいまして、それをひっくるめますと、区営住宅、特賃住宅の方が絶対補助率は高いわけでございまして、その面で補助率が高ければ余計住宅がつくれると、こういうような観点からうちは区営住宅を主にしているところでございます。

以上

ページトップへ

前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ