前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ

公明党鶴議員の3月22日予算委員会総括質問より
(アルゼンチン国債購入問題、生活保護窓口対応問題等について)

2002年03月22日

鶴委員

私は、区議会公明党を代表し、中島委員に引き続き総括質疑を行います。質問の項目は、アルゼンチン国債購入をめぐる財団法人品川文化振興事業団役員の責任と、人事一新および信頼回復について。

全体の奉仕者としての職員の職責、信用の保持などについて。

公共施設におけるオストメイト対応トイレの設置について。

臨海部広域斎場の施設規模および案から、使用料設定などについて、お尋ねいたします。

初めに、文化振興事業団のアルゼンチン国債購入問題についてですが、これまでの区議会における論議の過程で、購入の経過、問題点や責任の所在などが明らかになりました。身内の同僚も、ちょっと言い過ぎじゃないかとちょっと思われたに違いない発言が、共産党の沢田委員の口から相継いだことは、皆さんもご承知のとおりです。例えば、2月27日の代表質問における再質問の際に、事業団の事務局長を名指しで、「まるでほんとうのことを言わない、うそをついている、こんなやり方が今回の事態を招いた。処務規程も、寄附行為も、会社の定款に当たる問題でも、でたらめばかりやっているというのが私の印象です」とか、3月11日の予算特別委員会の冒頭における、文化振興事業団をめぐる集中審議の際には、沢田委員は、「監査もみんなフリーパス、これはやっぱりおかしい、全体が狂っている、間違いなく狂っています」と断定されました。

今回の一連のアルゼンチン国債購入をめぐって、うそをついている、でたらめなことをやっている、全体が狂っているとの批判が当たるのか、当たらないのかを含め、文化振興事業団のアルゼンチン国債をはじめ、外債購入の事実経過、財産運営上の問題点、今後の是正課題など、調査結果に基づいて、区民の皆さんにわかりやすい説明をまず求めます。

中尾根企画部長

アルゼンチン国債購入に関しての何点かのご質問ですけれども、改めて、区民にわかりやすくということでございます。

まず1点目の、外国債購入の事実の経過でございますけれども、文化振興事業団では、昭和61年設立以来、国の公益法人会計基準に基づきましてさまざまな運用をしてまいりました。しかし、最近では非常に低金利時代に入りまして、運用収益が大きく減っておりましたので、そこで、より有利な資金運用を図るために、平成12年3月から9月にかけまして、初めて円貨建てのメキシコ国債、中国債、アルゼンチン国債を購入したということでございます。その後、平成13年に入りまして、国際的な経済変化が出ましたので、機会を見て処分を進めておりました。メキシコ国債と中国債につきましては、運用益を上げて売却処分ができたのですけれども、アルゼンチン国債につきましては、売却の機会がないまま保有していたところ、平成13年12月23日、アルゼンチン政府のデフォルト宣言を受けてしまったというものでございます。

次に、財産運用上の問題についてということでございますけれども、外国債権の購入の是非につきましては、国の公益法人会計基準に基づきまして、円貨建て外国債権であれば、購入が認められておりますので、運用基準上の問題点はございません。

問題は、購入に当たりまして、当時の相見副理事長兼事務局長が、財団理事長や理事会に諮ることなく独断で決定、あるいは、事務局長に命じて購入させたということでございます。この点は明らかに、財団が定めております寄附行為、処務規程等に違反しているということでございます。

このために財産管理調査会を設けまして調査した結果でございますけれども、1つには、定められた事実の処分決定区分が守られていないということ。それから、2つ目には、財産運用の細目規程というのが不備ではないかという点。3つ目には、内部監査をもっとしっかりすべきではないか。4つ目には、区としても、資金管理の関与がちょっと薄かったのではないか。こういう4つの点から指摘させていただいたということでございます.

その指摘に基づきまして、今後の是正の課題ということで、再びこのようなことがないようにということで、まず区としても、補助金との関係では適正な執行を求めていこうということです。それから、2つ目には、監査委員に対しても、財政援助団体の監査の充実をお願いしていこうということ。そして、3つ目には、事業団内部に対しても、資金運用のルール等、もっと細則等を決めて連用してくださいという4つの点の改善を求めていたということでございます。

このように、今回の財産の運用管理につきましては、内部の意志決定の手続は不備でございましたけれども、経済行為そのものでは違法ではありませんし、財団を困らせようという悪意でやったわけでも決してありません。したがいまして、当時の本人はよかれと思ってやったことが、結果としていい方向に行かないという結果だということでございます。

○鶴委員

少なくとも、うそをついているというようなことはないと思いました。ご答弁、ありがとうございました。言葉を極めた不適切な批判であることがよくわかり、不穏当な発言や確証のない発言は軽々にすべきではないと、自覚を新たにいたしました。

次に、事業団役員の責任と、人事一新および信頼回復に言及いたします。事業団の理事長を務める高橋区長が、去る2月19日の事業団の理事会における発言内容について、2月27日の本会議の席上、再質問に対する答弁の中で、「理事会の冒頭、この問題を報告すると同時に深くおわび申し上げた。今まで、副理事長は私の片腕として文化振興事業団の事業をいろいろと実施していただき、信頼し過ぎた結果かなと考えている。問題が起きた事実は事実であり、それに対する理事長としての監督責任は十分、十分感じている。しかる時期に、皆様に明確にしてまいりたい」と述べられました。

ここで言う、「しかるべき時期」とはいつなのか。事業団の損失額が決定した段階では遅すぎると、私は思います。その判断がおそすぎると、この問題が政略的に利用され、区長の区政執行にも悪影響をもたらさないとも限りません。今回のアルゼンチン国債の問題は、アルゼンチンの経済危機から起きたものであり、一連の円貨建て外国債の購入をめぐりましては、今もご報告がありましたように、違法性とか、犯罪性は全くないことは、よく区民の皆さんもおわかりいただけたのではないかと思います。

しかし、規程違反や、アルゼンチン経済の危機の状況をよく把握できなかったことなどによって、文化振興事業団での公金管理のあり方に疑念を抱かせ、信頼を損ねた道義的責任は重いと言わざるを得ないと思います.

相見、星野両氏とも、長きにわたって品川区政の進展に果たされた功績が大であることは否定できない事実であります。出処進退はみずから決するのが望ましいことは言うまでもありませんが、やはり、毅然としたけじめが必要だと思います.三国志の泣いて馬護を切る思いで、人事一新を図るべきだと思います。監督責任を求められている理事長も、その職を辞職し、適任と思われる民間人を選任するなど、新しい体制のもとで、事業団への信頼回復に努めるべきであると進言をいたします。

午前中の審議の中で、高橋区長は、「外郭団体の人事刷新を図る」と答弁をされました。高橋区長の潔いご決断を期待し、改めて、ご所見を伺っておきたいと思います。

高橋区長

先ほどから申し上げていますとおり、今回のアルゼンチン国債購入の手続につきましては、私は、違法性はないと思っております。また、これからそれぞれの外郭団体が資金の運用について、いろいろとまた問題が出てくるかもしれません。しかし、購入をした手続のやり方が問題でございまして、それが内部の規程に違反をしている。そういう問題に対しまして、やはり毅然として処分をすることが、私は必要だと思っております。

したがいまして、事務局長は3月31日で退職をいたします。前理事長、現歴史館の館長も3月31日で退職をいたします。私は、4月中にそれぞれの外郭団体の総会を開いていただきまして、そこで辞任をする覚悟で、今いるわけでございます。

当然でございますが、文化振興事業団、国際友好協会、それから、共済会の理事長、この3つの理事会を開きまして、今回のアルゼンチン国債の問題だけではなく、区長と理事長を併任していることがいいか、悪いという反省の立場に立ちまして、これから区長に専念するために、全部辞任をする気持ちで、理事会を開く予定になっております。

鶴委員

次に、確認の意味で、生活福祉課の相談対応および路上生活者を対象にした支援センターにおける食事等の処遇の問題について、お尋ねをいたします。

またも、共産党の沢田委員の発言で恐縮なのですが、去る3月12日の予算特別委員会の民生費審査における質問で、沢田委員の優しい心の断面をかいま見ることができましたが、聞いた話として事例にあげられた内容が事実とすれば、人権尊重、人権擁護の立場から、絶対に許せるものではなく、事実に反するならば、間接話法とは言え、関係者の名誉を著しく傷つける事例として、見過ごすことができないと、私も思いました。

沢田委員の発言を要約すると、先日、視力が衰えて仕事につけない74歳の人が、生活保護課の担当窓口である生活福祉課を訪れたところ、「あなたはまだ働けるはずだ」と言われ、「いや、とても働けないのです。今生括保護をかけてもらえなければ、ホームレスになるしかありません」と言ったところ、「どうぞ、ホームレスになればいいじゃないですか」と言われたのですと。「これはもうほんとうだから、私は心配なのです」とまで言われました。

質疑応答の残り時間が3分前のことであり、担当課長の答弁の余地もなく、他の委員が、事実とすれば由々しきことと、問いただしたのに対して、生活福祉課長は、「決して申し上げていないと思います」との答弁にとどまっており、疑念が残ったままです。

先日の事例ということですから、担当職員に事実関係を確認されていることと思いますので、事実を明らかにしていただきたいと思います。

小沼福祉事業部長

私のほうも、事実とすれば大変由々しき問題ですから、即刻調べました。結論から申し上げますと、私ども職員のほうから、「ホームレスになればいいじゃないか」と言ったことはございません。

鶴委員

そういう事実がないということで、安心いたしました。そういう不謹慎な職員がいないということがわかり、よかったと思います。

次に確認したいことは、路上生活者を対象にした支援センターの入所者に対する食事の処遇についてであります。沢田委員は、質問の残り時間が1分しかないので、質問できないかもしれないと心配されながら、支援センターに入った方から聞いた話として、「なぜ、施設に入らないのか」と言ったら、「人間扱いされないから嫌なんだ。食べ物はほんとうに犬、猫に等しいようなものだ。そこで売っているズボンは、まちで買えば2,000円ぐらいのものが6,000円もする」と紹介し、改善を求められました。

話を聞きながら、私は耳目を疑いました。後刻、私は理事者に調査、確認をお願いしました。私の手元に届いた献立表や報告を聞いて、もう驚きました。これが3月13日の路上生活者自立支援センター台東寮の一膳のメニューです。これが、大田の一時保護センターの昼食のメニューです。犬、猫に等しいなどととても言えませんね。

台東寮および大田寮の3月13日の朝食、昼食、夕食別にメニューやカロリーなど詳細に報告をいただきたい。あわせて、支援センター等では、6,000円もするズボンなどの生活用品も販売している事実があるのか、ないのか、お知らせいただきたいと思います。

小沼福祉事業部長

3月13日の大田寮のメニューでございますけれども、私どもが、運営してございます人事厚生事務組合のほうへ文書等での照会をし、それから早速、生活福祉課長と係長ですけれども、関係者を現地に派遣して実際に見てきてございます。

そういうことで出てきました結果としては、3月13日の大田寮の献立は、昼でサバのみそ煮、ゆでモヤシの添えあえ、それからショウガあえ、キャベツ、カボチャコロッケ、マイタケ、ヒジキのそぼろ炒め、漬け物、あるいは佃煮、ご飯、みそ汁というようなことでございます。当然のことですが、お替わり自由、これが大田寮の関係でございます。

それから、台東寮でございますが、13日の昼について見ますと、食品の構成要素でございますが、鳥の南蛮漬け、それからシーフードステーキ、小松菜のサット妙めたもの、帆立ての酢みそあえ、それから香の物というようなものを供されてございます。

それから、施設でのズボン等の売買ということでございますが、これについても、所管する人事厚生事務組合を通しまして、関係する法人の状況ということで照会いたしましたけれども、いわゆる、中での販売行為ということはございません。こういうことを、文書でいただいてございます。(「大田寮でも支援センターでもない」と呼ぶ者あり)

鶴委員

場所が違うというふうに、共産党のほうからお話がありましたが、別に私は、そこだと断定しているわけじゃありません。(「場所が違う」と呼ぶ者あり)

鶴委員

違うんだったら、その委員会のときに言えばよかったじゃないですか。大田寮だとか、台東寮、そういうふうには言ってないんですよ。いずれにいたしましても、間接話法で伝えられたのが、事実と全く異なるということがよくわかり、言論の府である議会史に言い放し、騒ぎ放しの汚点を残した典型と言われかねないですね。

区民の声を代弁することは、私たち議員の大きな役目であり、とても大事なことです。しかし、風聞をうのみにし、事実確認を怠り、公の場で披露することが誤解の種をまくばかりではなく、関係者の名誉を毀損したり、人権を侵害することもあります。言論の自由は尊重され、言論の暴力は許さない社会をつくることの大切さを、今、他山の石として、私はかみしめています。

<参考>
・沢田議員のの代表質問(2月27日)
・沢田議員の予算特別委員会における発言(3月11日・アルゼンチン債購入問題)
・沢田議員の予算特別委員会における発言(3月12日・生活保護申請者に対する窓口対応問題)
・公明党鶴議員への公開質問状(4月30日)
・公明党鶴議員の回答(5月14日)
・問われる、区民の願い阻む鶴尚議員の政治姿勢公開質問状への回答について(5月21日)

前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ