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南恵子区議 第17号議案「品川区保育の実施等に関する条例の一部を改正する条例」に対する反対討論

2008.03.27 南 恵子 区議

日本共産党区議団を代表して、第17号議案 品川区保育の実施等に関する条例の一部を改正する条例に反対の立場から討論をします。

本議案は、保育園保育料を3点改正するものです。

1点目の改正は、税制改正による所得税から住民税への税源委譲に伴い、課税所得額が前年と同額の世帯は負担する保育料が前年と同程度になるよう所得税額区分を調整する。

2点目は、第2子以降の保育料減額を拡充するものです。

この二つの実施時期は2008年4月1日からです。 

また、3点目の改正は、保育料D階層にD22とD23の区分を新たに設けるもので、実施時期は2008年10月1日です。

我が党は、これまでくり返し条例提案や一般質問などで第2子以降の保育料負担軽減の拡大について、所得制限を外すこと、すべての階層で第2子は5割減額、第3子は無料にするよう求めてきましたので、区の提案の「第2子以降の保育料減額」は歓迎するものです。

しかしながら、保育料D階層にD22とD23の区分を新たに設ける点については賛成できません。特に、D23階層についてはすべての年齢で5200円値上がりし、4・5歳児の値上げ率は27%、3歳未満児の保育料は68000円となり、認証保育園の保育料を上回るのもです。こんな高額な保育料は公立保育園にはふさわしくありません。以下、反対の理由を述べます。

第一は、受益者負担の問題です。

区は値上げの理由に、各所得階層は4%前後なのにD21階層は10%もいるため負担の適正化を図るとしています。また、保育園運営経費の内、利用者負担は12%でしかないこともあげて受益者負担論を持ち出しています。

保育園に子どもを預けて働くことは社会的貢献をしていることであり受益を受けるのは社会全体です。子どもを豊かに健全に育てることは次代の社会の担い手を育てることであり、とりわけ高齢化社会が拡大される時、それをしっかり担っていけるような社会づくりは国民的課題であり喫緊の課題です。少子化社会対策基本法には「家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができるよう環境を整備し、子どもが等しく心身ともに健やかに育ち、子どもを生み育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現していくことが強く求められている」と明記されています。

家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備すること、社会、経済、教育、文化その他あらゆる分野における施策の充実こそ強く求められています。 

同時に、共働き世帯は夫が納税するだけでなく、妻も所得税や住民税、社会保険料などを負担しています。区が新設するD23の所得税は年間160万円と設定され、3歳未満児の保育料は68000円、年間にすると816000円にもなります。納税額は保育料の1.9倍であり十分に負担しています。しかも納税は保育園に預けているときだけでなく現在30歳として定年まで30年間払い続けるとすると、160万円が変わらないと仮定して計算しても4800万円になります。ゼロ歳から就学までの6年間の保育に使う運営費は18年度の平均額が17万6131円で計算すると1268万円余ですから圧倒的に納税額のほうが多いのです。また、女性が働くことで企業が納める法人税が増えること、子どもが成長して働けば社会を支える働き手になり、かかった保育経費の何倍にもなって返ってきます。受益を受けるのは社会だという理由はここにあります。

第二は、少子化対策に逆行するという問題です。

区は最近、多様な子そだて支援策を整備してきました。健やか子ども医療費助成の拡充だけでなく所得制限を撤廃したり、私立幼稚園の入園費や就園費補助。新年度から実施する妊婦検診無料化を14回に拡大、2子・3子の保育園保育料減額、認証保育園保育料の助成などです。

すべての子どもを健やかに育てるために所得のいかんにかかわらず、子育てに特別のお金がかからないようにするのは社会の責任です。GDP(国内総生産)のなかで、出産育児に伴う給付、保育関係給付、就学前教育費などの子育てに関する財政支出が占める割合は、日本は0.75%、それに対して、フランスは3.02%、4倍、スウェーデン3.54%、5倍です。これらの国々では出生率が改善されていることは周知のとおりで、日本も学ぶべきです。

また、2006年11月に厚生労働省が実施した「第5回21世紀出生児縦断調査結果の概況」で、「負担に思う子育て費用」の質問に対して、『一番負担に思う』のは「保育所や幼稚園にかかる費用」が「68.2%」とダントツ、トップです。このような外国の事例、また厚生労働省の調査結果からも、新たな階層を設定するのはこれまで進めてきた少子化対策とは相容れません。

品川区は、子育て費用の負担軽減策でも先進自治体としてリードこそするべきではないでしょうか。

なお、値上げによる収入増は1200万円です。健全財政を誇る区の財政状況からすれば値上げしなくても十分に運営していけます。よって、新たな階層区分を設けて高い保育料をとる提案は賛成できません

以上で討論を終わります。

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