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鈴木ひろ子区議 第10号議案「品川区基本構想」に対する反対討論

2008.03.27 鈴木 ひろ子 区議

私は日本共産党区議団を代表して第10号議案「品川区基本構想」への反対討論を行います。

基本構想は、計画的な行政運営するために地方自治法で自治体に策定を義務付けられています。これから策定する基本構想および第4次長期計画は今後、数十年にわたって区政運営の基本となるものです。ですから、くらしを豊かにし、区内業者の営業を発展させる区民の願いに沿ったものにすることが求められます。区が実施した区民アンケートに寄せられた要望は高齢者福祉、防災、保健・医療・健康、環境などくらし、福祉充実の声が多数です。しかし、提案されている「基本構想・案」は、「福祉は前提」というものの、前面に出ているのが国際都市品川、都市型観光です。これで区民の願いに応える基本構想になるのでしょうか。

私は、基本構想・案を3つの角度から問題点を指摘します。第1の問題は、現在の基本構想に明記された「基本的人権の尊重」、「住民福祉の実現」がないことです。

品川区の基本構想は、これまで76年の多賀区政、88年の高橋区政の2回策定しました。多賀区政では、人間尊重を第一、区民一人ひとりの生命と健康を守り、安全・快適・豊な生活を送ることを目的に掲げ、高橋区政の基本構想でもこの理念を受け継いで人間尊重社会の実現、区民本位の区政の実現を掲げるとともに、将来像を「平和で活力ある緑ゆたかな住みよいまち」としたのです。

では、基本構想で掲げた将来像は実現したのでしょうか。まず、「活力にあふれた個性あるまち」では、大崎・五反田、大井町、東品川など大規模再開発に1000億円を超える税金を投入、巨大ビルづくりをすすめました。これが工場と住民を追い出し産業構造を大きく変化、金属機械工業の衰退、大型店誘致で小売店の売り上げ減少とシャッター通りを増大。さらに、大規模開発がヒートアイランド、温暖化を加速して「緑ゆたかなうるおいのまちづくり」に逆行してきたのです。

「健康で喜びをもって生きられるまち」はどうか。特養老人ホームは450名を超える入所待機者がいるのに増設せず、介護サービスも削減。ファミリー世代を呼び込みながら保育園に入れない事態を拡大。低所得者向け区営住宅は増設されません。618億円もの基金は保育をはじめ福祉職員の削減、福祉サービスの削減などで貯め込んだものです。

「区民参加の推進」というものの強引な学校選択制と小中一貫教育の導入。いままた非公開で学校統廃合計画の作成と、区民参加とはほど遠いのが実態です。ここには、人間尊重の思想はかけらも見えないではありませんか。

第二の問題は、住民福祉の方向性、目標がないことです。

基本構想・案は、福祉や防災、健康づくりや教育などの向上は「前提」だとのべていますが、区民のくらしに対する認識も、住民福祉の方向性も目標も記載されていません。

いうまでもなく自治体の第一の仕事が住民福祉の充実です。とりわけ、相次ぐ増税と負担増、格差・貧困の広がりに自治体の役割が問われているなかで、基本構想・案に住民福祉の実現という一番大事な点が抜け落ちています。

それどころか、基本構想・案は「福祉のまちをつくることは、ひとり行政のみの努力で達成できない」として、行政の責任でおこなうべき仕事を地域での助け合い、支えあいに転化、それを実現すべき都市像だと強調しています。しかも、品川区の企画部が作成した資料「基本構想改定の課題」では、不況・不安定雇用による所得の低下と保護世帯による福祉関連予算の増大、高齢化による社会保障費の増大を強調し、高齢者関係と児童・家族関係の給付比率見直しの必要性まで説いて「健全財政のために行政改革」を強調しています。これでは高齢者や低所得者福祉は予算削減、後退の方向ではありませんか。

濱野区長は、昨年の第3回定例会本会議での答弁で、「区民のくらしや福祉を軽視する政策は行っていない」とのべました。それでは、高額な利用料の有料老人ホームは建設するが、入所待機者が450名を超える特養老人ホームは増設しないこと、高級マンション建設の再開発に税金を投入して支援しながら、低所得者向け区営住宅の増設は拒否していることをどう説明するのでしょうか。

第三の問題点は、大企業・ゼネコンのための大規模開発をいっそう推進することです。

構想・案は国際都市品川を第一に掲げ、都市型観光を全面にしています。濱野区長は、本会議答弁で石原知事の「10年後の東京」と歩調を合わせていくと発言しています。しかし、この石原知事の計画は、オリンピックは東京が生まれ変わる絶好の機会と位置づけ、3環状道路をはじめとする8兆5000億円を超える大規模開発の推進です。品川区は、この計画とあわせて大規模開発を大崎・五反田、東品川から大井町、さらに武蔵小山、戸越公園などにも拡大、工場と住民を追い出し、大型店誘致、環境破壊をすすめようというのです。

しかも、石原知事の計画は「世界の人々が憧れ、訪れるTOKYO」を目標にして、東京を訪れる外国人旅行者を10年後に1000万人へ倍増。そのために臨海部へ都市型リゾート施設を促進などというのです。区企画部の資料「基本構想改定の課題」でも「外客の増加と連携した受け入れ態勢整備の構築が求められる」とのべていますが、これでは、まるで石原計画の品川版です。

私は、基本構想および第4次長期基本計画は、過去2回の基本構想で位置づけた「人間尊重、基本的人権の尊重」を継承し、憲法と地方自治の理念に立脚したものにする必要があると考えます。大型開発偏重の区政運営を見直し、高齢化と格差・貧困に対応した福祉医療対策、少子化対策・子育て支援、環境と地震対策重視のまちづくり、中小企業対策の重視など、アンケートで示された区民要望に応えた計画にするよう強く求めるものです。

以上で、討論を終わります。

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