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安藤たい作区議 11年第1回定例会一般質問「第一日野小跡地計画」「まちづくり」「若者の就労・自立支援」

2011.2.25 安藤 たい作 区議

2011年2月25日、品川区議会第1回定例会本会議で日本共産党区議団安藤たい作区議がおこなった一般質問と答弁を紹介します。質問の内容は以下のとおりです。

一般質問項目

  1. 第一日野小移転後跡地が(株)TOCの駐車場とは納得できない 特養ホーム、保育園、公園など区民要望第一に活用を
  2. 旧東海道・品川宿の13階マンション建設は反対 区は景観計画に沿ったまちづくりを
  3. 若者が働けない社会に未来はない 品川区も就労・自立支援に力を注げ

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一般質問

日本共産党を代表して一般質問を行います。

第一日野小移転後跡地が(株)TOCの駐車場とは納得できない 特養ホーム、保育園、公園など区民要望第一に活用を

第一日野小が移転後、跡地となり、校庭部分が昨年9月から(株)TOCの駐車場として暫定貸付されています。契約期間は2年で、貸付料は月額109万円。区は「駐車場の週末混雑の解消が目的」と説明しましたが、近隣住民によれば埋まってもせいぜい3割。催事の時にも満杯にならないといいます。また、校舎や体育館、旧幼稚園舎は施錠して放置。およそ、有効活用と言える状況ではありません。思い出の場所が突然コインパーキングになったことに地域の方は心を痛めています。さらに、TOCビルの建替え時には、代替駐車場用地として、校舎や体育館を建て壊し、更地にして10年間貸し付けるという計画です。

共産党は昨年10月、西五反田6丁目地域を中心にアンケートを実施。区の計画を回答者のうち半分以上が知りながら、逆に7割の人が「理解できない」と回答。1月29日にはこの問題で地域懇談会を行い、25名が参加。参加したOBからは「一日野小は区内で最初に作られた学校。その跡地活用の話が、肝心のPTAや同窓会に一言もないのはどういうわけか」と怒りの声が上がりました。なぜ、学校の跡地、貴重な公有地が、一営利企業の駐車場用地として貸し出されるのか―区民は疑問を感じています。

私は、3つの理由から、現行計画を白紙に戻し、区民のための活用に切り替えることを求めます。

第一の理由は、貴重な公有地は、切実な区民要望の実現にこそ、使われるべきだということです。

特養ホーム待機者は595人、年々増えています。2つ増設されることが決まっていますが、まだまだ足りません。これだけの用地があるのにこれまでのように「土地がない」ことを理由に、更なる増設を先延ばしすることは許されません。

また、この五反田地域は、区も認める「保育園激戦区」。4月には区内で538人の受け入れ枠が増やされますが、この地域には、事業所型保育ママ一ヶ所と私立保育園一園の定員拡大で計20名程度。深刻な事態は変わりありません。昨年4月まで現役で使用していた幼児施設、敷地内の幼稚園舎は保育園として活用すべきです。

「皆で憩える広場がほしい」、これも地域の切実な要求です。

第二の理由は、なぜ公共の福祉に服すべき自治体が、ここまでTOCに便宜を図らなくてはいけないのか、企業いいなりでいいのか、という点です。

区は「営業を継続しながらのビル建て替えは地域経済の活性化にとって重要」と10年間にわたる貸付の理由を説明しますが、いつ建替えに入るのか、どんな計画なのか、区は「聞いていない」の一点張りで、全く明らかになっていません。

TOCに問い合わせてみると、「クリアしなければならないたくさんのハードルがあり、公表できるような青写真はまだない『研究段階』」「いつから着工するかもはっきりしていない。当初予定の来年度着工は無理」との答え。早期具体化とはほど遠い状況です。

「高層オフィスビル」との計画そのものも、現在でもTOCは空きテナントが目立っているのに、建て替え後は賃料は当然上昇し、継続入居はいっそう困難に。埋まるのでしょうか。また「オフィスビルに固執しているわけではない」とも言いますが、大崎の再開発マンションも売れ残っており、住宅にしても見通しはありません。いつまでも計画が具体化されないまま、区民のための活用は10年後どころか、更に先延ばしされることも考えられます。

また、当初、貸付の対価とされた一日野小移転の費用負担も、移転が完了した今も、「協議中」だとして、いまだ未払いの「空手形」。TOCは社長が区長の後援団体の常任幹事であり、大崎での再開発第一号で税金も投入されたニューシティの開発事業者のトップ企業でした。区は特別な関係にある企業に対して便宜を図っているとしか思えない状況です。

切実な区民要望を後回しにし、白紙の計画に貸付だけは先行して決定し、貴重な公有地を一営利企業に差し出す。自治体のやることではありません。

第三の理由は、学校跡地活用が当事者の頭越しに決められていく問題です。

共産党は「公有地活用する上で区民意見を取り入れるための仕組みづくりが必要」と主張してきました。区は「町会からの要請で地域に出向き説明した」ことをもって「地域には理解を得られた」と説明。しかし、実際には開かれた説明会の周知は不十分で、参加者も20名。町会への説明をもってよしとする区の姿勢は、町会へ説明責任を負わせ、区自身の説明責任を転嫁するものです。

昨年度の行革委員会で視察した港区では、学校跡地の活用について、基本計画を考える際に区民参加のワークショップを立ち上げたり、区民アンケートをとり、活用計画案に2回反映させるなど、区民の意見や地域ニーズを計画に取り入れて進め、旧小学校跡地は高齢者施設と児童施設の複合施設として整備されました。公有地、まして地域から長年親しまれてきた学校跡地。品川区でも、跡地活用を進めるにあたっては、区民意見を取り入れながら進めるべきです。

質問します。

  1. . 第一日野小移転後跡地の暫定貸し付け後の10年間の貸し付け計画は白紙にし、特養ホームや認可保育園、公園など、区民要望を最優先にした活用方針に切り替えること。具体化に際しては住民参加を位置づけ、そこで出された住民要望も計画に反映させるよう求めますが、いかがでしょうか。
  2. 中身が不明な一営利企業のビル建替え計画に、住民要望を差し置いて公有地を差し出す、「貸し出しありき」の区の姿勢は納得できません。説明を求めます。
  3. TOCビルの建替え計画を明らかにしてください。建替えにともない、区は第一日野小移転跡地をいつからいつまで貸し付けるのか、お答え下さい。


旧東海道・品川宿の13階マンション建設は反対 区は景観計画に沿ったまちづくりを

次は、「旧東海道・品川宿の13階マンション建設は反対 区は景観計画に沿ったまちづくりを」 の質問です。

旧東海道・品川宿のど真ん中の沿道に、13階建てのマンション計画が持ちあがり地域から反発の声があがっています。もともとは2階建ての商店などが立ち並んでいた敷地555uをフジタが買い上げ、施工主の一建設が購入。ここに13階建て、39メートル、36戸の分譲マンションを建てる計画。沿道側に駐車場のターンテーブルが配置され、商店街を分断、その高さで日照・風害などの環境被害を引き起こす上、旧東海道・品川宿の景観が損なわれると、地域住民は心を痛め、怒り、反対の声をあげています。

全体の住民説明会は3回開かれ、「この地域にふさわしくない。やりすぎだ」「400年の歴史と伝統を寸断、壊すものだ」「今回のマンションを機に、次々と高層マンションが建設されたら、旧東海道の風情が損なわれてしまう」などの意見が上がるともに、地元の町会長・商店会長からは連名で「高さを下げろ」との要望書も業者に提出。この地域の歴史と文化、まちなみを守りたいという思いが噴出する場となりました。
この品川宿沿道は、電柱地中化や石畳の整備、南品川では高さ制限を掛ける地区計画がつくられるなど、品川宿らしいまちなみを作ろうという活動が展開されてきた地域です。品川区も昨年景観行政団体となり、今年1月には景観計画を策定。計画では、旧東海道・品川宿沿道を「重点地区」に指定し、「旧東海道の歴史と地域の文化を活かした町並みの形成」と方針を掲げ、「歴史を伝えるまちの記憶は、道路や敷地の形状、路地や横丁、寺社などに残されており、それが一つの地域文化として息づいている」「このような地域固有の資源を積極的に取り入れて、旧東海道の歴史と地域の文化を活かして、個々の建物が周辺の環境や町並みと調和の取れた景観作りを進めていく」と具体的に述べているのです。

その矢先の今回のマンション計画。区の景観行政の精神にも、まっこうから反する今回の計画を許しては、なんのために「景観計画」を策定したのでしょうか。区は住民の「歴史を守りたい」という思いに全力で応えるべきです。

一方、景観法では、景観にとって建築物の高さは重大要素であるにも係らず、それを規制できない弱点も浮き彫りになりました。景観計画でも高さに関しては、「沿道との建築物との調和に配慮する」との規定にとどまっています。基準に適合しない場合で、届出に基づく事前協議が不調に終っても、勧告、変更命令、期間延長などの手段で、罰則も1年以下の懲役か50万円以下の罰金にとどまっています。こうした計画を食い止める具体的な担保になっているとはいえません。今回の件を機に旧東海道・品川宿周辺住民のまちづくりへの思いに応えた内容の計画へと更に充実・発展させる必要があります。積極的な役割を区に求め、質問します。

  1. 「重点地区」と定めた旧東海道・品川宿地域に、今回の13階のマンションが建つことが、この地域の景観にふさわしいと考えているのか。また、マンション計画に反対している地域住民のまちづくりへの思いをどのように受け止めているのか。区の認識をうかがいます。
  2. 区は事前協議の中で、一建設に対してどのような指導や注文をつけているのか、うかがいます。景観計画に沿った計画への変更を申し入れるよう求めますが、いかがでしょうか。
  3. 景観計画の内容では、建築物の高さの制限ができず、この地域の景観を守るには不十分です。あらためて、区が積極的にはたらきかけて地域住民をまきこんだ議論を行い、景観計画の強化・充実とともに、地区計画の策定なども含めたルールづくりを求めます。また、一建設には新たなルールに基づいた建築物にするよう、協力を呼びかけることを求めますが、いかがでしょうか。


若者が働けない社会に未来はない 品川区も就労・自立支援に力を注げ

最後は、「若者が働けない社会に未来はない 品川区も就労・自立支援に力を注げ」の質問です。

これまで共産党は、若者の就労・自立支援を求めてきました。区は「基本的には国の施策」としながらも、子ども・若者育成支援推進法の制定や足立区の青年就労支援の取り組みについて「区全体として、どういう就労支援をしていくのか、総合的に検討していきたい」と発言。品川区として何ができるのか。新たな課題が突き付けられています。

いま、若者への就労支援では、従来の仕事探しを中心とした雇用政策にとどまらない、包括的で継続的な支援が必要になってきています。
若者の就労が困難な根本には、新規採用の抑制、正規を非正規に置き換える雇用の流動化など、大企業が雇用責任を投げ捨てている問題が。しかしそれに加え、学校段階で友達関係や学業のつまづきをきっかけとした中退やひきこもり。受験や就職活動の失敗。厳しい労働環境から早々に離職せざるをえない挫折体験。発達障害や精神疾患を抱え学校から社会への移行ができないケース。支える家族の崩壊など、若者が働けなくなっている原因は、多様で複合的です。

私のまわりにも、働くことに困難を抱える30歳前後の若者がたくさんいます。

正規で就職後、6年目で退職。その後、引きこもりになったAさん。「新人は営業からと言われ、飛び込みの営業回り。顧客先では値段を下げてくれ、上司に相談すると、値段は下げられないが仕事は取れ、だけの指示。板挟みの中、愚痴も言えない職場の雰囲気。ある朝、会社に行こうとすると足が震え、会社の前で座り込み、結局、無断欠勤に。逃げるように仕事をやめた。少し休んでから再就職をと思ったが、当時の事がフラッシュバックし、家から出ることができなくなった」と話してくれました。

また、仕事がなかなか続かず、ようやく安定した職場につけたと感じていたBさん。人間関係が合わずうつになり、結局そこも3ヶ月でやめざるをえませんでした。Bさんは「面接が怖い」といいます。「面接では少しブランクが空いていたり、職を転々としていると『何をやっていたんですか』と責めたてるように聞かれる。くぐり抜けて仕事についても、何でも即戦力を求められる。いまは、自分に何ができて、何を希望したらいいかも分からなくなってきた」と悩んでいます。

学校卒業後、勤めた会社でパワハラにあったCさん。偏頭痛や手足のしびれ、目と首の痛みなどの症状が出、うつ病だと分かったのは、転職後でした。30歳という年齢と、フリーターへの偏見による不採用が再就職を阻んでいます。倉庫作業の派遣に募集したものの、広告が出た当日朝に電話しても「満杯」と言われる厳しい状況が続いている、といいます。

ますます厳しくなる雇用環境のもと、仕事にかかわって、傷つく若者が次々生み出されています。そうして自信を失った若者は、社会に出ること、対人関係が不安で、そもそも仕事探しに向かっていけない。自信を持って社会に参加していけない苦悩、生きづらさにとらわれ立ちすくんでいます。これらを「気合いやがまんが足りない」との「自己責任」で片づけたところで、問題解決には結びつきません。

しかし、区内の若者にとって就労支援と云えば、自らハローワークに行くしかないのが現実。ハローワークに行っても、安定した正規雇用に結び付かない若者、その以前でつまづいている若者には、支援体制はほとんどないのが実態です。

このままこうした若者の多くが、本来社会とつながり仕事を通して成長する機会を奪われたまま孤立し、悩みながら年を重ねていったらどうなるのでしょうか。親もやがて定年を迎え、本人だけでなく、家族の生活そのものが成り立たなくなり、ひいては社会そのものがたちゆかなくなります。

こうした中、自治体の動きも広がっています。

先駆けて青年雇用対策に取り組んできた足立区では、様々な事情で就労していない若者に対して、地域若者サポートステーションを設置。臨床心理士も配置し、履歴書や面接マナーなどを教える「就活セミナー」、就労意欲がわかない人や対人関係が不安な人のための「就活こころの相談」。技術習得のための情報提供。働いた経験のない若者を対象に、スタッフとチームを組み、スーパーなどで実際に働き、報奨金も受け取るなかで、働くという事がどういうものなのか体感できる「あだち仕事道場」。就労困難な若者の様々な段階に応じてきめ細かい支援メニューが用意され、全て無料で参加できます。「サポステ」にさえ出向けない「ひきこもり」状態にある若者には、その家族もふくめ訪問相談にも応じる事業も08年から始めています。これらを、庁舎内に「就労支援課」を立ち上げ展開。「いまやらなければ大変なことになる」と、区自らが問題意識を持ち取り組んでいます。こうした「サポステ」は全国100自治体に広がっています。

若者が働けない社会に未来はありません。品川区も一刻も早く若者の就労支援に本腰を入れて取り組むよう求め、質問します。

  1. 様々な要因で働くことができない若者が増えています。若者を取り巻く雇用環境の悪化、働きにくさ、生きづらさについて、品川区は、どのように考えているのでしょうか。区の見解を伺います。
  2. 品川区内の若者の実態について、いわゆる「ひきこもりの若者」は何人いるのか。実態をどのように把握しているのか説明して下さい。まずは、区内の若者の実態調査を実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  3. 品川区としての若者への就労支援について、どのような検討が行われているのか。現状を説明して下さい。地域若者サポートステーションを設置し、総合的、継続的な若者への就労・自立支援、相談窓口の実施。また、区内企業に働きかけ、正規雇用の掘り起こし、合同就職面接会の開催を求めます。いかがでしょうか。

以上で、私からの一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。


答弁

区長(濱野健君)

私からは、若者の雇用等についてお答えを申し上げます。

若者の失業率の高さは、長期化する不況や経済動向等の影響を受けたものと認識しており、世界的な傾向でもあります。この要因はさまざまであり、こうした問題を解決するには、経済の活性化、労働環境の整備など国を挙げて取り組むことが必要であると考えております。

次に、品川区内の若者の実態についてですが、現在、ひきこもりについての相談は各保健センターで平成16年度から実施をしております。また、大井保健センターでは、青年期ひきこもり問題に悩む家族のための普及啓発と家族の対応力の向上をめざして、個別相談や講演会と家族の自主グループ活動の支援を行っておりますので、品川区内のひきこもりの若者の人数や実態調査の実施につきましては考えておりません。

若者への就労支援につきましては、ハローワークを中心に国や都がきめ細かな就職支援、インターネットを活用した求人情報検索などさまざまな事業を実施しております。また、若者の就職活動は、区内を中心に行われるものではなく広域的なものでございます。したがいまして、区はハローワーク等との連携を図りながら情報提供に努めてまいります。

一方、ものづくりの現場では、人材不足、若者を雇用したいが、なかなかいい人材が集まってこないという声が多く聞かれます。区は、東京都城南職業能力開発連絡協議会の一員となり、若者の技術系能力開発について連携を図っているところであります。この3月には協議会と東京都立城南職業能力開発センターとの共催で、区内企業も参加する技術系合同会社説明会が品川区内で開かれます。今後も区はさまざまな機関と連携してまいります。

その他の質問につきましては、各事業部長等よりお答えを申し上げます。

企画部長(日下部隆君)

私からは、旧第一日野小学校跡のTOCへの貸し付けについてお答えをいたします。

これまで繰り返しご説明してまいりましたように、TOCは五反田地区のにぎわいや活性化のために40年の長きにわたり大きな役割を担ってまいりました。したがいまして、地域経済やまちのにぎわいに与える影響の大きさを考えますと、営業を継続しつつ、建てかえを円滑に進めていくことが必要であり、これらの点を総合的に判断し、区として協力をすることとしたものでありますので、貸し付けを見直す考えはございません。

なお、TOCビルの建てかえ計画につきましては、その後の周辺環境の変化などを踏まえ精査を進めておりますが、早期着手の意向に変わりはなく、工事期間は今のところおおむね10年程度を見込んでいると伺っております。

都市環境事業部長(岩田俊雄君)

私からは、旧東海道・品川宿におけるマンション計画についてのご質問にお答えいたします。

まず、景観法は、都市計画法では規制ができなかった建築物の色彩や意匠、すなわちデザインについて規制するものであり、建築物の高さなどについては従前どおり都市計画法体系の中で規制誘導することとなります。したがいまして、近隣住民の方々の意見は、品川区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例に基づき指導をしております。

事業者への対応につきましては、区では、住民説明会などを通じて建築計画の十分な周知を行うこと。その際、住民要望に対して適切な対応を行うことなどを粘り強く指導しているところです。なお、品川区景観計画は、ご案内のとおり、本年4月1日からの運用開始であり、現段階での適用にはなりませんが、景観計画をお示しし、その趣旨に沿った建築計画にするよう、事業者に理解を求めているところでございます。

最後に、新たなルールづくりについてですが、重点地区である旧東海道・品川宿の皆様方には、きめ細かく景観計画について説明をし、その際、建築物の高さを制限するのであれば、地域の皆さんの発意による地区計画などの策定が必要であることはご案内してきたところでございます。しかしながら、現段階では、地域の地権者の方々の高さを制限することに対する熟度が高まらず、地区計画の検討に入れない状況であり、新たなルールをつくることは現段階では難しいと、このように考えております。


再質問

安藤たい作君

自席より再質問いたします。

まず、第一日野小移転後跡地の問題ですけれども、同じ答弁が毎回返ってくるんですが、納得いきません。その答弁では、なぜ区民要望よりTOCへの貸し付けを優先させるのか納得いきません。共産党も地域に入っていろいろお声を聞いているんですが、せっかくの区民の土地を商業ベースにするのはあまりにも悲しい。もっと豊かな考えで区民の幸せを考えてほしいという声をはじめ、この地域には特養もなく、複数の方から遠くの多摩や埼玉のほうの施設に入れているんだという悲痛な声も聞いていますし、保育園の問題でも、こういう方もいました。品川区は、よく聞かれる声ですけれども、保育が進んでいるので、越してきたんだけども、保育園に入れなくて困っているという人も、現実にこの地域の方でいたんですね。ですから、しかも中身が全くわからない計画に対して貸すというのはどうしても納得がいかないので、いつからこの計画が、10年間と言いますけども、いつから始まるのか明確にお答えいただきたいと思います。

あわせて、区民要望よりTOCへの貸し付けを優先させる、理由は先ほどのお答えだと思うんですが、TOCの建てかえが、これらの区民要望より大事だと考えているのかお伺いします。

次に旧東海道のマンションの問題ですが、これは、先ほどの質問の中で紹介しましたけども、町会長や地元の商店会長さんを先頭に近隣住民のほうから高さを下げてほしいという、計画変更というふうに求めているんですね。その根底にあるのは、今回の建物が一度建ってしまったら、この周りの環境が損なわれるのはもちろんですけども、これをきっかけに、この歴史ある町並みの旧東海道の沿道に次々と中高層マンションが建ち並び、歴史ある町並みづくりが、これまでの努力もありましたけども、水の泡になるんじゃないかという、そういう思いがあると思います。品川区は景観部隊といいますか、そちらにぜひ頑張ってほしいんですよ。このままの姿勢では、景観計画もスタートする前から早くも策定の岐路に立たされているというような危機感に今立たされていると思います。品川区の特に景観部隊のほうは、この自覚、危機感というのはあるんでしょうか。区として、まちづくり、町並みを守るために何ができるのか、何をしようとしているのか、それと景観計画が岐路に立たされているという危機感がおありなのかお伺いします。

最後に若者の雇用の問題ですけども、国を挙げて取り組むことが必要というお話がありました。区長さんの認識がありましたが、そのとおりだから、国はさまざまな法律もつくって、自治体も支援して行つているということだと思います。ぜひ国も動いたというところを自治体として積極的に受けとめて、自治体として動くべきときに来ていると思います。国や都がやっているから十分なんだというように聞こえてしまったんですけども、区長は今の策で十分だと考えているんでしょうか。そして、苦しんでいるのは区内の若者であり、区内の家族、区民です。これらの若者の今置かれている、就労に関する、さまざまなもとで苦しんでいるわけですが、これを解決すべき問題だと思っているのか伺いたいと思います。

それと、ものづくりのほうでは、具体的に区内の中小企業と雇用を結びつけるという政策を進めていこうというお詰もあったと思いますので、それはそれで非常に大事なことですので歓迎したいと思いますが、私が今回の質問でちょっと一番着眼点に置いたのは、単にマッチングすれば、それで働き始められるというような、そうじゃない困難を抱える若者がどんどん、今社会が原因で増えているという、これを何とかしなくちやいけないという思いでしたので、お伺いしたいと思います。


再答弁

区長(濱野健君)

再質問にお答えを申し上げます。

今、再質問の最後のほうにありましたけれども、議員のご質問には二通りあろうかと思います。いわゆる就活と申しますか、就職の問題と、そしてもう1つはひきこもりの問題ということだろうと思います。後段のほうにつきましては、先ほど申しましたように、ご提案では実態調査ということでありますけれども、こういうひきこもりという現象は品川区特有の現象ということではなくて、社会一般の一般的な傾向の問題であります。したがいまして、品川区だけでこのような調査をしてみましても、それほどの意味はない。むしろ、先ほど申しましたような青年期ひきこもり問題に悩む方々への具体的な支援、あるいは啓発、あるいは活動支援、こういったものに力を注ぐことが大切かというふうに思っております。

それから就職の問題につきましては、ご答弁申し上げましたように、若者の就職というのは、必ずしも品川区内を中心に行われるものではなくて、広域的に行われるものであるということで、品川区だけでというよりも、さらに広いエリアのさまざまな機関との協力というものが必要だろうというふうに思います。それから、今の求人倍率等を見ますと、いわゆる大企業と中小零細企業とでは大きく10倍ほど
の違いがあるように思います。そういう意味では、若者にとって働く場所というのは必ずしもないわけではなく、やはり若者の選択の問題というものも大きくかかわっているのではないかと思っております。

そうした意味で、幅広い解決策が求められているというふうに認識をしているところでございます。

以上です。

企画部長(日下部隆君)

私からは、第一日野小学校跡の関係についてお答えいたします。

まず、なぜ区民要望より貸し付けかというお尋ねがございました。また、豊かな考え方をというご指摘もありましたけれども、先ほどご答弁申し上げました地域経済やまちのにぎわいを守ると、こういった取り組みも区民生活に直結する大変重要な課題であります。この辺はしっかりとご理解いただきたい。

それから、特別養護老人ホーム、保育園につきましても、これも再三ご答弁申し上げておりますように、緊急対策の中で着実にこれを進めております。保育園につきましては、これもご案内のように、昨年第一日野幼稚園、定員が62名でございました。これを拡大しました。第一日野小学校の移転にあわせて、保育園機能130名と。ですから62名が192名ということで、3倍強定員を拡充いたしました。そういうこともしっかりとごらんをいただきたい。

それから、建てかえはいつからということでありますけれども、これも先ほどご答弁申し上げました。時期も含めまして、今精査をしているということでありますので、これはまた明らかになりましたら、ご報告をさせていただくということで考えてございます。

都市環境事業部長(岩田俊雄君)

景観に関する再質問でございますけれども、屋上屋になったら失礼かもしれませんけども、景観計画で定め規制をしていくというのは、建物の意匠、デザインと色が主でございます。ただ、この4月1日から施行します景観計画の中には、必ず守ってもらわなければいけない意匠、デザインの規定と、これは守らなければいけない基準と、あわせて旧東海道の歴史のある町並みにとって、こういう方向のほうが望ましいだろうということも記載をしております。ただ、これは誘導基準として、可能な限り努力をして、こういうふうに従っていただけますでしょうかという、そういった基準であります。その中には、高さも町並みに調和した高さで建物を計画していただきたいとか、あるいは建物の配置も、商業のまちである旧東海道に沿うような形態にしてほしいとかという記述もさせていただいております。

したがいまして、議員がおっしやつた景観担当部署として危機意識を持っておられるかとご質問がありましたけれども、私どもは過去からこの旧東海道全線にわたって、いわゆる地区計画の設定を行うことによって望ましい町並み形成の誘導を地域にお願いをしていたところでございますから、事ここに至つた危機感ではなくて、従来から歴史のある町並みをどう保存、あるいはつくり上げていくかという危機意識は過去から持っておるつもりでございます。


再々質問

議長(本多健信君)

再々質問ですので、議会に関する申し合わせ確認事項にのっとって簡潔に願います。

安藤たい作君

まず、再々質問なんですが、TOCから行きますが、優先順位の問題としておかしいと思うんですね。TOCのほうは、建てかえは民間で普通は自分でやるのが当たり前だと思うんですけれども、しかも、建てかえの計画が全く白紙というんですかね。白紙で区もつかんでいないのに、それを優先すると。区民要望より優先すると。今か今かと待っているわけですね。特養ですとか、保育園だつて、そうですよ。入らなければ働けないわけですからね。一人ひとりのご家族にとっては深刻な問題なんです。だから、私はどうしても、区民要望よりTOCの貸し付け、しかも白紙状態、これを優先する理由がどうしてもわからないので、区は、TOCの建てかえのほうがこうしたこれらの区民要望より大事だとお考えなのかどうか、はっきり伺いたいと思います。

次に、旧東海道のほうですけども、危機意識を持ってやっているということなんですが、現実に景観にとって建物の高さ、今回の13階のマンションというのは、町並みに調和していないわけですよね、完全に。これは私はそう思いますし、地元の方もそう受けとめております。品川区としてこれをそのまま見過ごしてしまうと、これは品川区自らが進めようとしている景観を守ろうというところを守れない、担保できないと思うので、ですから、住民の人も巻き込んで、そして今回の新しいルールをつくって、その新しいルールに基づいたふさわしい建物に変更するなり、一建設に強く働きかける責任が私は区にあると思うんですが、そちらですね。マンションがこの町並みを壊さないのか考えていらっしゃらないんでしょうか、区の認識を伺います。

最後、若者の就労支援ですけども、最後ちょっと、選択の問題という話もありましたけども、私は先ほど申し上げましたが、職があっても、ストレートにその職をあてがえばそれで働き始められるような事態を超えてしまっているという面が区内に広がっているということを、私はいろんな例を紹介して訴えたつもりなんですが、そこに対する区長の認識が、やっぱり実態を把握してほしいなとすごく感じたんですね。今そこまで若者の雇用は壊されているという認識をぜひ持っていただきたいと思いますので、ぜひ、国がやっているからというものではなく、品川区民の実態、若者の置かれている苦しさに目を向けていただきたいと思います。そのための実態調査を改めて求めますが、いかがでしょうか。


再々答弁

区長(濱野健君)

再々質問でありますけども、先ほどお答えしたとおりでございます。

以上です。

企画部長(日下部隆君)

第一日野小学校のご質問についても、先ほどと同趣旨かと思います。ですから、先ほどお答えしたとおりでございます。

都市環境事業部長(岩田俊雄君)

景観に関するご質問ですけども、先ほどもお答えしましたように、景観法の法体系の中では、建物の高さについて行政指導することは法的にできません。したがいまして、高さを制限する行為は現在の都市計画法に基づく地区計画で定めるしかございません。したがいまして、過去にも品川区は南品川3丁目地区において一昨年、地域の方と十分な話し合いの上で13メーターの絶対高さ制限を地区計画で定めたと、こういう地区もございますので、品川区は積極的に旧東海道の景観づくりに過去からもやっておりますし、これからも努力をしてまいります。

議長(本多健信君)

以上で、安藤たい作君の質問を終わります。

以上

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