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いいぬま雅子区議 平成23年請願第13号「子ども達の教育環境・地域の避難所としての施設改善を求める 豊葉の杜学園についての設計変更に関する請願」に対する賛成討論

2011.7.6 いいぬま 雅子 区議

日本共産党品川区議団を代表して、平成23年請願第13号「子ども達の教育環境・地域の避難所としての施設改善を求める 豊葉の杜学園についての設計変更に関する請願」に賛成、委員長報告に反対の立場で討論を行います。

本請願は、周辺地域の住民「小中一貫校豊葉の杜学園を考える会」から提出されました。大間窪小学校、旧荏原第三中学校跡地等に、大間窪小学校、杜松小学校、旧荏原第三中学校、旧荏原第四中学校を統廃合し、小中一貫校豊葉の杜学園として建設。合わせて二葉幼稚園と二葉つぼみ保育園、そして荏原第五地域センターを合築する大規模な荏原東地区地域複合施設が進められようとしていますが、各施設は、複合施設に合体せず、独立した施設として設計変更を求めるものです。

私は、6月27日の文教委員会の審査で明らかになった問題点を中心に、3点に絞って述べたいと思います。

1点目は、小学校2校、中学校2校、幼稚園、保育園、地域センターと5種類もの機能を合わせた大規模な複合施設のため、今までにない無理な設計となっている点です。

0歳児から15歳までの子ども1,400人が学び、生活する場です。ところが地域センターや一般開放のプールや武道場、アリーナの配置が、全体を圧迫し、乳幼児が健やかに育つ園舎、児童生徒が楽しく学び生活する学校に無理を強いる設計になっています。

3階建ての南棟には、1年から4年生の普通教室と1年から9年生の特別支援教室、校務センター(職員室)と二葉幼稚園と保育園、5,500uの校庭が配置されています。

4階建の北棟は、5年から9年生の普通教室、図書コーナー、すまいるスクール、調理室、プールとアリーナ(体育館)と荏原第五地域センターの合築。限られた敷地に5つの機能を持つ施設をはめ込んだため、複雑な設計、使い勝手が悪くなっています。

まず連絡通路です。小中学校の入口は南棟に1か所のみ、このため北棟に行くには、3階にある連絡通路を使わなければなりません。登校下校時、教室の移動時、1,300人の児童生徒が一日に何往復も、この連絡通路を使用し、混雑が予想されます。北棟にも児童生徒数に見合った昇降口が必要ではないでしょうか。

続いて入り口です。幼稚園は1階から園舎に入れますが、小中学校は、2階まで大階段を上がらなければ校舎に入れない設計になっているため、2階の大階段に人が集中します。

次に乳幼児施設の環境悪化です。1階の幼稚園の保育室は、北向きで日が当たらない環境に変わります。2階の乳児室は1300人もの児童生徒の昇降口に隣接し、0歳児室の隣は、壁一つ隔てて図工室、下の階は1年生、上の階は3年生の普通教室です。授業中の物音、移動の足音、学校のチャイムを毎時間ごとにま近に聞かされ、赤ちゃんはぐっすり眠れるのでしょうか。静かな環境が求められる0歳児室の環境が、合築の制約、弊害で悪化してしまいます。無理な合築はやめるべきです。

2点目は、災害時の避難経路が複雑で、子どもたちの命を守れるのか心配な点です。

教育委員会は、災害時、連絡通路は使わないと答弁していますが、日常使いなれた経路を通るのが、迷わず安全に避難する鉄則ではないでしょうか。毎日使う連絡通路が災害時には危険で使えないという矛盾を解決しなければ大混乱が起きます。

また災害時、避難経路が複雑かつ、校庭までの動線が長く、道路を横断しなければならない困難を抱えています。特に北棟からの避難が困難です。広い建物に散らばった子どもたちを掌握するのは困難です。非常口から出た子どもたちの屋外避難経路が狭い。どの経路を使って何分かかり南の校庭まで避難することができるのか。私の質問に、教育委員会は具体的に応えず、学校の一般的避難訓練対応である「様々なシミュレーションを繰り返し、毎月避難訓練を行うので心配いりません」と答弁。また「様々な法律にのっとった万全な体制の施設。防火上何の問題もない施設」と答弁。法律をクリアし、安全だ安全だと繰り返せば命を守れるのでしょうか。現時点でシミュレーションも行なわず、どうして安全が確認できるのでしょうか。直ちにシミュレーションを行い、安全確保のために出来る限りの対策を行なうのが行政の責任です。開校後の避難訓練に責任を押し付けるなどとんでもないことです。「だれが責任を取るのか」の質問に「区長です」と応える課長の役割が問われます。区民の心配にまともに応えない行政に不安がつのります。

3点目は、教育現場、PTAや地域の意見を無視する区の姿勢は大問題です。

教育現場からもPTAからも「教育現場を理解していない設計である。意見を言っても聞くだけで改善がされない」「小学生と中学生の運動場を別々にしてほしい」など声が寄せられています。教員組合から出されている質問書には一切答えない強権的姿勢です。近隣からは、「建設説明会に出たが、3階校務センターの位置がマンションから丸見え、連絡通路がガラス張りで、常に見られてプライシーの侵害である」の声も届いています。教育委員会は、「地域、PTAへの説明は十分やってきた」と繰り返し答弁していますが、区の案を納得させるための説明会では、何度繰り返しても、改善には至りません。教育現場、PTA、地域の意見を真摯に受け止め、今からでも間に合います。合築をやめシンプルな建物に設計変更すべきです。子どもたちの将来と命がかかっています。禍根を残さぬように、再考をお願いいたします。

品川区は、学校統廃合の手法として、小中一貫校を進めてきました。品川区が無理やり学校統廃合を伴う小中一貫校建設を進めるために、今回のような問題が起こるのです。強引に進めるのではなく、立ち止まり検証と反省が必要です。

以上

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