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2024年07月10日

のだて稔史区議が賛成討論を行いました
請願第5号「再審法改正に関する請願」に賛成の立場で討論を行いました。

2024.07.10 のだて稔史 区議

 日本共産党品川区議団を代表して令和6年請願第5号再審法改正に関する請願に賛成の立場で討論を行います。
本請願は冤罪被害者の一刻も早い救済のために、①再審のための全ての証拠を開示する、②再審開始決定に対する検察官の上訴・不服申立ての禁止、③再審における手続の整備、について国会・政府に対し再審法改正の促進を求める意見書の提出を求めるものです。654名の署名とともに提出されています。

 再審とは、誤判により有罪の確定判決を受けたえん罪被害者を救済することを目的とする制度です。えん罪被害者を救済する最終手段でもあります。これまでに冤罪で無罪が確定した事件は日弁連が支援したもので18件もあります。個人の尊重を最高の価値として掲げる日本国憲法の下では、無実の人が処罰されることは絶対に許されず、えん罪被害者は速やかに救済されなければなりません。

 冤罪になると無実の証明に一生かけなければならないか、あるいは一生かけても間に合わないのが実態です。名張毒ぶどう酒事件の奥西さんは当時35歳。裁判の長期化によって無実を訴えながら89歳で亡くなりました。再審無罪を勝ち取った人でも判決を聞くことなく亡くなった方もいます。徳島ラジオ商事件、熊本の松尾老事件などです。

 今も再審を争っている袴田事件では1966年の事件発生当時、袴田さんは30歳で逮捕され、当初否認をしていましたが、警察や検察からの連日連夜の厳しい取調べにより、自白に追い込まれました。その後裁判で否認しましたが、死刑判決が下されました。そして2014年に裁判のやり直しが決まり釈放に。それまで48年も収監され奪われた人生は戻ってきません。袴田さんのお姉さんは家族で一家心中をしたいと思ったこともあったそうです。本人の人生がずたずたにされ、その家族まで犠牲になります。この冤罪の重大性を認識したならば、法改正をしなければなりません。

 現在の法律ではあまりに不十分であり、被害者救済を遅れさせています。現在の再審法は大正時代の刑事訴訟法の規定をほぼそのまま引き継いでおり、現行法の交付から本日でちょうど76年、施行から75年経ちますが法改正がされていません。

 証拠開示については旧法では証拠が出てきましたが、新法になって検察官の出したいものだけ出せばよいことになり、証拠開示の規定が全く欠如してしまいました。これまで再審無罪となったケースの多くは、検察が隠していた証拠を開示させたことが無罪の決め手になっています。全ての証拠を握っている検察官は無罪方向の証拠を平気で隠したまま有罪を求め、検察に不都合な証拠は決して提出しようとしません。袴田事件では事件発生から42年後に初めて検察官手持ち証拠の一部が開示され、確定判決の認定を覆す証拠など、袴田さんが冤罪であることを疑わせる重要な証拠が出てきました。その後再審開始が確定しています。証拠開示が制度化されれば被害者の早期救済につながります。

 再審開始決定に対する検察官の不服申し立てについては委員会の質疑で「禁止しても良いのかわからない」という発言がありました。検察官の不服申し立ては今の再審が冤罪被害者を救済するためにあるという制度の趣旨に反するものです。それはただでさえ再審開始決定までに時間を要するにもかかわらず検察が抗告・不服申し立てをすることで裁判が長期化し40年、50年と救済が先延ばしにされてきたからです。大崎事件では1995年に第一次再審請求し、ようやく7年後の2002年に開始決定がされました。しかし検察による即時抗告によって2年半後開始決定が取り消されました。2017年にも第三次再審開始決定されたことに検察が即時抗告、さらに特別抗告し、開始決定の2年後にまた決定が取り消しに。現在も再審請求を争っています。検察の抗告・不服申し立てが冤罪被害者救済を遅れさせています。

 再審請求審における具体的審理の在り方は法律で明文化されておらず、裁判官の裁量に委ねられており、証拠開示の基準や手続は明確ではありません。そのため「再審格差」と言われる裁判官毎の対応の違いがあり、冤罪被害者が苦しんでいます。命がかかっている時に医者は選べますが、裁判官は選べません。だからこそ公平な審理がされるよう手続きを明確にすることが求められているのです。

 国会でも本年3月に超党派による「冤罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」ができており、議論が始まっています。今回、本請願が600名を超える署名とともに提出されていることは冤罪被害者の救済を早期に実現することを地方議会から後押しすることが求められていると思います。国に任せるのではなく、区議会としてどうすべきか考えるべきです。法律の問題であっても地方議会から意見書を提出することは早期に冤罪被害者救済の道を開く力になります。既に全国で266議会が意見書を出しています。その後も6月に渋谷区では「再審法改正の促進を求める意見書」を全会一致で可決、提出しています。こうした法改正の声は実際に冤罪被害者を支援している方々から上がってきたものです。冤罪被害者の救済が必要だとみなさんがお考えならば、品川区議会からも意見書を出していくべきだと考えます。ぜひ皆さんが賛成していただくことを呼びかけまして、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。