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2024年07月10日

石田ちひろ区議が賛成討論を行いました
請願第8号「インボイス制度の見直しを求める請願」に賛成の立場で討論を行いました。

2024.07.10 石田ちひろ 区議

 日本共産党品川区議団を代表して、令和6年請願第8号「インボイス制度の見直しを求める請願」に賛成の立場で討論を行います。

 本請願は多くの反対の声を無視し、事業者の実態を把握しないまま見切り発車で2023年10月1日から施行されたインボイス制度の見直しを求める意見書を国へ提出するよう求めるものです。

 インボイス制度は売上1000万円以下の免税事業者が登録することにより課税事業者とする制度で、登録すると売り上げがいくら低くても赤字でも消費税納付が迫られ、登録をしないと商品やサービスの取引から排除さる。収入が低い事業者に対し、どちらを選択しても負担が大きくなる逆進性の高い制度です。

 今回、請願を提出した品川フリーランスの会からは資料も各議員に配られました。「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が行った7000人実態調査や、品川区内で集められた125人分の独自アンケートなど、多くの中小零細個人事業主からの声や、インボイスが与える影響が浮き彫りになっています。

 以下賛成理由を述べます。

 一点目は、フリーランスの会の調査によって多くの区民、事業者の深刻な実態が明らかになったことです。

 7000人実態調査では「インボイス制度についての受け止め」については「デメリットが多いので、制度の見直しや中止を望む」が91.9%。今回インボイスに登録した事業者からは、消費税や事務負担のコストを価格に上乗せできないため売り上げや貯蓄を削った事業者が6割を超え、借金をして納税をした事業者は1割にのぼりました。中小零細個人事業主にとっては消費税は決して預かり税などではなく、価格に上乗せもできず、身銭を切り納税せざるを得ない実態がここに表れています。

 さらに、品川フリーランスの会が独自で行った125人分のアンケートでは、品川区民が71人応えています。一部紹介します。「インボイス未登録の連絡をした後、一切連絡が取れなくなった。別の取引先からは値下げされた。」「インボイス登録事業者でないなら、請求書から消費税の項目を消してくださいと言われ、消費税分は払ってもらえなかった。」「まだインボイスは登録していない。取引先には理解を求めるメールを送っているが、取引から排除されることも出てくる可能性があると思っている。」「(インボイスで課税業者になれば)おおよそひと月分の収入に当たる消費税を新たに納めることになるため、家族を養うためには免税事業者のままでいる。連絡が取れなくなった取引先があり、取引排除された可能性が高い。別の取引先は個人事業主で協議をしたうえで、泣く泣くこちらが値下げに応じた。一瞬一家心中も脳裏をよぎった。」など。これらの声はインボイス制度によって、対等な取引ができず、免税事業者に対する一方的な値下げ、取引排除が横行している実態、そしてインボイス未登録事業者への差別、バッシングが起こっていることの一端を示しています。制度の見直しは待ったなしです。

 請願を審議した総務委員会で私は、こうした実態が区民の調査によって明らかになったのだから、区民の暮らしと生業、地域経済を振興すべき行政・品川区としても、インボイスによる影響の実態調査を行うべきと区に問いましたが、やる考えはないとのことでした。区として広く実態を把握するべきです。

  二点目は、インボイス制度をこのまま続ければ日本経済はさらなる衰退は免れないということです。

 フリーランスの会の方に話を伺いました。「インボイス制度をこのまま続ければ、格差をさらに広げ、事業者間の分断を起こし、日本経済を支えてきた中小零細個人業者が立ち行かなくなり経済は衰退し、国は「賃上げ」と騒いでいるが賃上げどころかマイナスになる。」と、せめて見直しをしないと大変なことになるという深刻な思いです。

 免税事業者の問題と捉えられがちなインボイス制度ですが、課税事業者の方からは、「仕入れ先や下請けのおかげで成り立っている仕事なので共倒れしてもおかしくない」との意見も多く寄せられました。これまで共に働いてきた免税事業者にインボイス登録をお願いするのか、それとも自分が負担増をかぶるのか。どちらにしても立ち行かなくなる。まさに悪魔の選択がインボイス制度です。

 アニメーターや声優からは、日本のアニメや漫画が世界中で称賛され新たな文化産業として成長しているのに、支え手のクリエイターたちがやめていけば業界の土台が崩れ、将来の成長の芽が摘まれてしまう。インボイス制度によって、生活が奪われ産業の土台が崩されていると訴えます。

 総務委員会では、インボイスについて、「相談や税制の特別措置など制度が円滑にいくような取り組みの強化がされている。見直す考えはない」との意見がありました。政府は、一方的な値下げや、取引からの排除などについては、独占禁止法違反の疑いがあるとして免税業者を守ると言ってきましたが、実際は、取引先が免税業者であることを理由に取引をやめても経営判断によるもので独占禁止法違反にならないと言ったり、連絡が取れなければ、取引をやめた理由がわからないので訴えようがありません。全く免税業者は守られていないのです。また、経過措置もあると言いますが、仕入れ控除できるのも最初の3年間は8割まで。その後3年間は5割の控除、しかし6年後には全面実施となるため、見通しが立たず不安しかないと言います。

 区民の苦しい実態を一番近くで見聞きしているのが私たち区議会議員です。一番近くで知る私たちが、区民は大変な思いをしている、見直しや改善が必要だ、と区民の声を国に届けることは、区議会議員の役割です。

 長引く物価高のもと、世界は消費税減税へと踏み出し、経済を衰退ではなく回していく決断をしています。しかし日本は定額減税と言ってもたった一度の4万円だけ、実質賃金はピーク時よりも平均で74万円も下がっているのに保険料はこれまでにない値上げなど、負担増を押し付けています。消費税を5%に戻せば負担軽減になりインボイスも必要なくなります。今こそ日本も減税に踏み出すべきです。

 日本の誇れるクリエイターや中小零細個人事業者を守るためにもインボイスは見直しを、国に声をあげる意見書を提出することを呼びかけて、賛成討論を終わります。