2024年10月21日
安藤たい作区議 令和6年決算総括質疑をおこないました
2024.10.21 安藤たい作区議
質問項目
羽田新ルート再開発について
安藤委員
私からは、羽田新ルート再開発について質問いたします。
2020年からの羽田新ルートの運用により、住民は騒音被害や不安を感じていますが、影響はそれだけではありません。昨年、区が実施した区民アンケートでは、新ルートによる影響を尋ねています。
ホームページで公開されている自由意見をキーワードで検索するなどすると、それぞれ、大気汚染145件、電波障害136件、資産価値206件もの意見が寄せられていることが分かりました。幾つか声を紹介します。
大気汚染。空気の汚れによりバルコニーの汚れがひどくなった。外に洗濯物を干さないようにしている。家屋内に黒い粒子の汚れが増えた。黒い粉じんが増えて、植木の葉がとても汚れる。脂っぽくて落ちない。排気ガスによる汚染、臭いを感じることがある。
電波障害。飛行機が通るたびにテレビの画面が5秒くらい真っ暗になる。上空に飛行機が飛ぶとテレビの画面が消えてしまいます。飛行機が頭上を通るときは、かなりの確率でWi-Fiが切れてしまいます。在宅勤務でオンラインミーティングをするときなど、非常に不便を感じています。真上に飛行機が飛ぶようになることを知っていたらマンションは購入しませんでした。携帯の通信障害がよくあるで対応を考えてほしい。録画がきちんと撮れない。 資産価値下落。資産の評価が下がったなどです。
改めて伺います。率直な感想はいかがでしょうか。それと、これだけの声が寄せられているわけですから、区として測定や調査を行うべきではないでしょうか。伺います。
鈴木都市環境部長
区が行いました昨年の区民アンケートでは、ただいまご紹介いただいた意見も含めまして、自由意見2万7,922件のご意見を頂いたところでございます。区としましては、このアンケートを通し、改めて多くの様々な声があることを把握したところでございます。
調査を区が行うべきではないかというところでございますが、大気環境につきましては、国が羽田空港周辺における調査を実施し、結果が公表されているところでございます。電波障害につきましては、国は、航空機とテレビ等が使用する電波は、使用している周波数帯が異なるとしており、また資産価値下落については、成田・伊丹・福岡空港における調査では因果関係を見いだすことができなかったとしてございます。
昨年の区民アンケートで頂いたご意見は、区としては国に直接、自由意見も含め、全て届けているところでございます。区としましては今後も、区に寄せられた区民の声を直接国に届けるとともに、引き続き必要な取組の実施、区民負担の軽減を、国に対し強く求めてまいります。
安藤委員
今、国の調査を理由にして、実施するとは言いませんでしたけれども、国がやっている調査は、大気汚染調査の測定地点は全て空港内です。被害の訴えが出ている生活の場所、品川区内の測定調査が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
また、資産価値の調査も、国が行っている資産価値の調査の対象は、成田・伊丹・福岡の3空港周辺のみです。区は、国のこの調査により、羽田新ルートは資産価値に影響がないと考えているのか、伺いたいと思います。
また、電波障害については、電波障害を訴える声がこれだけ出ているわけです。私は、この声を受けて調査が行われるべきだと思うのですけれども、調査は行われる必要がないと考えているのか伺います。
鈴木都市環境部長
初めに大気汚染の環境調査でございますが、離発着が繰り返し行われている、一番大気環境の影響が大きいと思われている羽田空港内での調査ということを国が実施しているわけでございますが、区としては、十分この地点の調査で足りるものと考えているところでございます。
また、航空機のエンジンには、国際基準に基づく排出規制が課せられており、それに適合した航空機でなければ国内を飛行することはできないとされております。引き続き、国に対し、大気環境調査の定期的な実施など、必要な取組の実施を求めていくというところでございます。
資産価値につきましては、調査の結果の考察あるいは結果につきましては、実施主体の国において区民に丁寧に説明・周知が行われるべきものと考えております。区としては今後も、資産価値に対する意見も含めて、寄せられた声は国に届けるとともに、様々な手法による区民への丁寧な周知・説明を求めてまいります。
最後に電波障害につきましては、国は、アナログの放送時代と違いまして、現在の地上デジタル放送は構造物等の反射に強い方式が採用されているとしております。しかしながら、自由意見でも頂きましたが、新飛行ルート運用開始以降、これまでに電波障害に関する問合せが16件も区に寄せられているというところでございます。こうした頂いた意見は直接国に届けておりますが、改めてでございますが、今後も国に対し、引き続き必要な取組、それから環境負担軽減の取組を強く求めてまいりたいというところでございます。
安藤委員
私は、大変無責任な答弁だと思います。このアンケートに対しては、こういう声も寄せられているのです。まちの汚れ、住民の健康被害への無理解は行政の怠慢。電波障害があっても何も区としての対応がない。アンケートを取るだけで終わってしまわないかと不安との声も寄せられています。
区民は、区が行ったアンケート、その後の対応を見ているのです。一件、二件ではないのです。先ほど紹介したように、区の責任で行ったアンケート調査に対し、影響を訴える声がそれぞれで百数十件以上寄せられているのです。これは事実なのです。だから、調査を実施し、行政の責任を果たすよう、強く求めたいと思います。
時間の関係で、次に行ってしまいます。先ほどの答弁も後でください。
鈴木都市環境部長
昨年実施の区民アンケートでございますが、回答した区民の44.5%が新飛行ルートによって影響を受けていると。そのうち88.9%が騒音の影響を受けているとの結果でございます。自由記述についても、とりわけ騒音に関するご意見が顕著に見受けられました。
区では、区長、副区長が国土交通省を直接訪問しまして、アンケート結果を国土交通大臣に直接届け、 区民負担の軽減につながる取組の実施を強く求めたところでございます。大臣からは、重いアンケートであり、しっかり受け止め、検討すると応じていただいたところです。今後も引き続き国に対し、区民への丁寧な説明・周知と、区民負担の軽減につながる取組を強く求めてまいります。
品川浦再開発について
安藤委員
再開発の質問なのですが、品川区は、23区の中で最も熱心に税金投入で積極的に開発企業を呼び込み、超高層再開発を推進する自治体です。それは、森澤区政になっても変わっていません。しかし、実際の開発の現場、地域では、開発企業の利益のために地権者・住民が犠牲にされています。区長はつぶさに知っているのでしょうか。開発の問題について、議会で様々、区の姿勢をただすと、決まって区は、地元で住民同士が話し合って決めた計画、住民発意のまちづくりを区は支援すると答弁を繰り返し、責任を住民や開発企業に転嫁してきました。しかし、実際には何が起きているのでしょうか。まず、品川浦周辺地区開発から聞きたいと思います。改めて、この3つの街区それぞれの開発協力企業の名前を教えてください。また、それぞれの土地所有者、借地権者、マンション区分所有者の数と、開発地区面積、
見込まれる事業費と補助金額も伺います。 先ほどの羽田の質問と併せて答弁をお願いします。
鴇田都市整備推進担当部長
私からは品川浦についてお答えさせていただきます。
まず開発協力企業者でございますけれども、本地区は品川浦の北・南・西の3地区がございます。まず、北地区についての開発協力企業者でございますけれども、日鉄興和不動産、三菱地所、三菱地所レジデンス、旭化成不動産レジデンス、清水建設、大林組、京浜急行電鉄、住友不動産、中央日本土地建物、東急不動産、長谷工不動産から成ってございます。次に西地区でございますけれども、日鉄興和不動産、三菱地所、三菱地所レジデンス、旭化成不動産レジデンス、五洋建設、清水建設、京浜急行電鉄となってございます。次に南地区でございますけれども、日鉄興和不動産、三菱地所、三菱地所レジデンス、旭化成不動産レジデンス、東京建物、五洋建設、大林組、東急不動産から成ってございます。
また、それぞれの街区についての土地所有者面積、借地面積等でございますけれども、こちらも地区別で答弁させていただきますと、まず土地所有者数と借地権者数ですけれども、北地区で土地所有者が62名、借地権者が8名、西地区で土地所有者が55名、借地権者が5名、南地区で土地所有者が39名、借地権者が52名となってございます。また、区分所有者につきましては現時点で調査中と聞いてございます。
続きまして開発の面積でございますけれども、北地区で約6ha、西地区で約3.5ha、南地区で約4haとなってございます。
また、総事業費、補助金額につきましては、現在、各準備組合によりまちづくり検討が行われている状況であるため、未定となってございます。
安藤委員
パネルをまた出したいと思います。
ただいまの答弁がありましたけれども、こちらは昨年4月の開発協議会のニュースに掲載された写真なのですが、下です。東京ドーム約4個分の面積に、14棟のビル建設、人道橋を架け、都市計画道路の付け替えも行う大規模な計画です。事業費は幾らか。それに伴う税金投入額は幾らか。現在、事業化が狙われている武蔵小山の2地区を参考にしますと、こちらはビル3棟で補助金が466億円との計画ですので、ビル14棟の品川浦をこのまま進めたら、ここだけで優に1,000億円を超えるのは明らかです。開発企業は、規制緩和でビルを高くすれば高くするほど、売ったり貸したりするビル床が増えるため、不動産利益が上がります。また、補助金が増えれば増えるほど、開発利益は底上げされます。
こんなおいしい話はない。だからこそ、先ほどありました13社もの名立たる開発大企業が、どこでも聞くような大企業が群がっているのです。しかも、開発企業は土地を取得する必要がありません。土地を提供するのは、もともとそこに住んでいた地権者・住民です。つまり、地権者がいなければ開発の商売は成り立たない。にもかかわらず、開発の検討内容が住民・地権者にほとんど知らされずに進んでい
るというのは大問題です。私は地権者の方から、準備組合に入らないと資料を渡さないと開発準備組合から言われたと伺いました。
伺います。権利を持つ住民には情報を出さずに、人の土地・資産の上に勝手に再開発ビルの検討を進める。おかしいと思いますけれども、いかがでしょうか。また、権利を持つ住民には、加入の有無にかかわらず、準備組合は検討資料を渡すよう指導すべきです。組合がやらないのであれば、区の責任で情報を提供する努力をすべきです。いかがでしょうか。
鴇田都市整備推進担当部長
まず、各準備組合により検討されている内容の情報発信でございますけれども、基本的には、情報を保持している主体である各準備組合が判断するものと考えてございます。
また一方で、委員ご指摘のとおり、準備組合に加入したくない方、また様々な事情により不安を抱えている方などがいるということは区としても認識しているところでございます。こうしたことから、区としましても、権利者の再開発に対する理解や協力といったものが得られるように、各準備組合に対してまちづくりの情報発信をするよう求めてまいります。
安藤委員
ぜひ権利者には資料を出させるように、渡るようにしてください。
他の事例もお示ししたいと思います。武蔵小山三丁目第2地区では、長年この地で商売を行い、面積要件で1割もの権利を持っている大きな権利の方がいるのですが、この方は初めから、共有の開発ビルにだけは入らないと、一度も賛成したことがないのに、準備組合からは、◯◯さんも賛成しているからと触れ回られ、都市計画決定がされました。その後も本組合設立に向け、毎月、夜に呼出しを受け、3時間にわたり同意を迫られ、挙句、あなたが判子を押さないから補助金が下りないと言われたと言います。この方はもう、再開発不同意という通告書を区に送りました。
大崎駅西口駅前地区では、これは5棟の分譲マンションを含む、駅隣接の1等地です。大成建設が突然、オフィス1棟案を提示して、全ての住民を地区外に追い出そうとしていることに強い反発が起こっ ています。総会の場で準備組合が反対住民の発言に対し、事件屋風の人間を同席させ、大声で恫喝させる場面がありましたが、同席していた区の職員は沈黙していたと、住民団体のニュースに告発されています。
伺います。これらの事例は真っ当な住民同士の話合いと言えるのでしょうか。区は準備組合に是正を指導すべきではないのか、伺います。また、このように、住民合意どころか、開発企業の横暴で住民の居住権・財産権・人権が侵されている実態に、住民からも、区長に直接話を聞いてほしい、この苦境の話を聞いてほしいという要望が届いています。私は当然の要望だと思います。ぜひこの願いに応えて、反対する住民の思いを直接、機会を区長に設けていただきたい。区長、いかがでしょうか。
鴇田都市整備推進担当部長
最初の質問でございますが、大崎西口駅前地区の再開発準備組合の総会では、委員長が円滑な議事進行を求めたのにもかかわらず、再開発に反対する方々が続けて意見を述べている状況があったことは認識してございます。
また、区ではまちづくりの進捗や地区内権利者の考え方を把握するために、任意で準備組合の総会等に参加してございます。このため、区としましては、総会等につきましては、準備組合において適正に運営されるべきものと考えてございますが、必要に応じ、適正な対策を講じるよう準備組合に助言してまいります。
続きまして次の質問でございますけれども、まず品川区内における市街地再開発事業というものは、地域のまちづくりの課題を解決するために、地域内の権利者が主体となり進める事業でございます。一方、一部の地権者より、区長に直接その実態を聞いてもらいたいという願いにつきましては、市街地再開発事業を所管してございます都市環境部にて対応したいと考えてございます。また、その際に頂いた様々な意見につきましては適宜区長にもお伝えし、情報を共有していきたい。このように考えてございます。
安藤委員
区長からの答弁がないのが非常に残念なのですけれども、区長に聞いてもらいたいという思いがありますので、ぜひ応えていただきたいと、改めて求めたいと思います。
最後に、区が開発に反対する住民を、クレーマー、カスハラ扱いしている問題です。こちらをご覧ください。これは、昨年行った悪質クレーム調査の抜粋です。ここに、再開発事業への反対者であり元区議会議員であることから、地域に反対の旨のビラを配布したり、区議会に多数の請願・陳情を提出することから、対応業務が増大し、業務量が増加しているなどとあります。
伺います。都市開発課は、なぜこちらの請願、議会に請願・陳情を出すことを、カスタマーハラスメントと捉えたのか伺います。
鴇田都市整備推進担当部長
まず、前段の区長への面談ということでございますが、こちらについては以前より一部の団体からそういう意向を伺ってございます。また、その際も、再開発につきましては、民民による課題といったものから対応できないということを区長室よりお伝えしているところでございます。その後は繰り返しになりますが、本件につきましては、所管している都市環境部で対応いたしますし、また、頂いた意見については適宜、区長とも情報共有させていただきます。
後段のカスタマーハラスメントの質問でございますが、委員のご指摘は、昨年区で実施しました悪質クレームカスタマーハラスメントの状況調査と考えますが、本調査は悪質クレーム等の実態を把握するための調査であり、本調査については、長時間対応を要するなど、業務の遂行の支障にあることの報告の基準といったものに基づき回答したものでございます。なお、こちらは請願・陳情の対応業務そのものを否定するものではなく、また本調査の回答をもってカスタマーハラスメントと捉えたものではなく、もちろん請願権を否定するといったことにはつながらないものと認識してございます。
安藤委員
超高層開発は大きく見直すべきときに来ています。住民の暮らしと財産を守るのが区の役割だと強く申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。