2025年03月21日
安藤たい作区議が2025年度各会計への意見表明を行いました。
2025.03.21 安藤たい作 区議
日本共産党品川区議団を代表して、意見表明を行います。
まずはじめに、日本共産党品川区議団は、一般会計修正案ならびに国民健康保険事業会計修正案を提出いたしました。盛り込むべき事業を追加し、執行すべきでない事業は削減した、「更にこうあるべき」と考える予算案です。ぜひご賛同いただきますようお願い申し上げます。
その上で、日本共産党は、改善すべき点は含まれているものの、「自己責任の社会」やこれまでの福祉抑制・削減の歴代区政を転換し、権利としての社会保障施策を大きく前進させる点を評価し、令和7年度品川区一般会計予算に賛成いたします。
保険料が値下げされた国民健康保険事業会計、災害復旧特別会計にも賛成。保険料値上げが継続する令和7年度後期高齢者医療特別会計、介護サービス提供量の抑制が続く介護保険特別会計には、反対いたします。
日本共産党はこれまでも、議案の審査にあたっては区民の利益に照らし、是々非々で対応してきました。住民追い出しの再開発など批判すべきもの、転換や修正が求められるものについては、今後もこれまで通り厳しく批判し、ただしていくことには変わりありません。
以下、一般会計予算への賛成理由を述べます。
昨年の総選挙で自民公明与党が過半数割れし、新しい政治への模索が続いています。しかし石破政権はアメリカ言いなりに軍事費を過去最大に増額する一方で、財界の要求にも応え、介護や医療、教育などの予算の削減を推進。その上、空前の物価高が襲い、区民の暮らしは危機的な状況です。住民に最も身近な地方自治体は、地方自治を発揮し、住民福祉を増進させ、悪政の防波堤としての役割を発揮することが求められています。
そのような情勢下での、新年度予算では、福祉施策が大きく前進しました。
教育の無償化では、学校給食と学用品に続き、制服代や修学旅行費の無償化が。大学生への給付型奨学金の創設、フリースクール利用料助成等も盛り込まれました。これらは、森澤区長も引く憲法26条「教育を受ける権利」の具体化であり、教育の機会均等、格差是正の施策を高く評価します。
子育て支援では、施政方針で『子育ての社会化』が必要不可欠」と打ち出され、第1子保育料やすまいるスクール基本料の無償化、ひとり親家庭やヤングケアラーへの体験格差の改善事業等が盛り込まれました。
高齢者・障害者施策では、「いつ何時、障害を抱えることとなる可能性は誰にでも存在する」「人は誰しも年を取り、高齢者と呼ばれるようになる」、だからこそ「誰もが必要とする支援やサービスを社会全体で担うことが必要」と、差別と分断ではなく包摂の社会を打ち出したことを評価します。
新年度予算には、これまで区民世論と運動と結んで、共産党が求めてきたものが多数含まれています。
地域包括支援センターの検討経費は、共産党が「福祉予算の抑制のために23区で品川区だけが地域に包括センターを作ってこなかった」と告発し、現場の声を届け、議会で求め続けてきました。
補聴器購入費助成は、年金者組合はじめ区内9団体が共同で議会に10回の請願署名を提出し、区議団も議会で求め続け、自公らの反対を世論と論戦で跳ね返し制度を実現、所得制限の撤廃、そして今回の助成額倍化と、一歩一歩前進させてきたものです。
また、紙おむつの入院時助成の所得制限撤廃と支給額の増額、介護タクシー利用料の無償化などが盛り込まれました。障害を親の責任にせず、障害児通所支援等の利用料を区独自に所得制限なく無償化したことは、高く評価します。
大学生の給付型奨学金も区内の大学生が2度にわたって請願を出し、共産党も一緒に街頭に立ったり、紹介議員にもなり、実現へ議会論戦を重ねてきたものでした。
また、ジェンダー平等も条例策定で大きく進みました。推進計画が新年度に策定されますが、共産党が様々提案したことも含め、更に前進することを期待します。
日本共産党は、住民とともに求めてきた多数の福祉施策が新年度予算に具体化されたことを心から歓迎します。
一方、住民にとっての問題点、方向転換すべき点も、予算審議等を通じて明らかになりました。
1つ目は、再開発と道路です。高橋・濱野と続いた歴代区政は、超高層再開発を強力に推進する区政で、それは森澤区政になっても止まっていません。再開発は、住民の居住権と財産権の侵害、風害や日照・膨大なCO2の集中排出などの環境破壊、莫大な税金投入による福祉予算の圧迫など、問題が先鋭化しています。地域壊しの29号線や放射2号線の特定整備路線が事業化されたのは、都からの整備路線の照会に前区長が手を挙げたことによるものです。
29号線の事業化は、30階建てビルを戸越公園駅で可能となるようにしました。一方、住民の運動は、その力で、昨年度は事業化を見込み計上されていた小山三丁目第二地区の開発補助金を今年度予算から削除させました。更に、歴代区長として初めて森澤区長との直接懇談を実現。
わが党の一般質問に区長が「将来に不安を感じる地域住民の切実な声を聞いた。まちづくりの主体は、そこに住む地域住民であるとの考えを改めて強くした。」「(まちづくりマスタープランの)今後の改定に際しては、まちづくりの主体である住民の声にしっかり耳を傾ける、こうした区の姿勢を計画にも反映していく」と述べたことは大変重い答弁です。まちづくりの主役は開発企業ではなく、そこに住む地域住民であることを肝に銘じ、住民追い出しの再開発はやめるよう強く求めます。
2つ目は、羽田新ルートです。森澤区長の下、アンケートによる調査で様々な影響が可視化されたことはおおいに評価しますが、ではなぜ、自らの調査で明らかになった大気汚染や電波障害について調査・測定しようとしないのか。また、国の固定化回避検討会はA滑走路ルートを固定化した上、更なる結論先延ばしの結果なのに、なぜ国に撤回の申し入れや反対表明をしないのか。住民に寄り添い、踏み込んだ対応を強く求めます。
3つ目は、保育園を始めとする公務労働者の処遇等の問題です。区立保育園の「統合を含めた再整備を図る」とする「あり方基本方針」の下、15人の保育士定数を削減する条例が出されました。子どもの健やかな成長と親の就労・子育てを支える保育士の役割はかけがえのないもので、区立園の統合方針は間違いであり撤回すべきです。
また、現場からは有機野菜給食や朝の居場所づくりなどの新規事業について「全く相談がない」と進め方についての厳しい意見も出されています。どんな区民サービスも、それを担う人の理解や専門性の発揮なくしては成り立ちません。会計年度任用職員の1年毎の公募の見直しを表明したことは評価いたしますが、それにとどまらず、無償化などの事業を担う「公務労働の担い手」の待遇改善、現場労働者の意見を聞きながら進める、丁寧な区政運営を求めます。
4つ目は平和の問題です。今年は終戦と被爆から80年であり、非核平和都市品川宣言から40年の節目の年です。緊張を煽り戦争準備の機運を高めるための弾道ミサイル想定の国民保護訓練実施や、自衛隊防災フェアへの水族館貸し出しに抗議します。核廃絶と恒久平和を呼びかける宣言を持つ区の長として、政府に対し大軍拡中止と核兵器禁止条約の批准を求めることこそすべきです。
最後に、森澤区長は施政方針で、政治や社会の転換を品川から広げていく、そうした決意のもと予算を編成した、と述べています。
施政方針では、人口減少や少子高齢化、労働力や社会保障の財源不足などをあげ、「社会の持続性すら危ぶまれる」と今の国政に強い危機感を表明。その上で、そうした「『構造的課題』から目を向けるべきではない」と述べ、「従来型の自己責任の社会モデルからの転換』が必要」であり、「人間が自分らしく暮らしていく上で不可欠な生活の基礎となる行政サービスを所得制限なく全ての人に提供」するとしました。
また、共産党の代表質問に対し「基礎的な行政サービスであればこそ、全ての人が等しく権利として利用できる社会を品川から築いていく」と述べ、社会保障を助け合いや救貧施策でなく、「権利」として語り、社会全体に広げていく、と述べました。
区長が述べた目を背けるべきでない「構造的課題」とは、決して自然現象でもたらされたものではありません。自民党・公明党の失政によるものです。大企業がもうかれば、やがてはその果実が滴り落ちてくるとし、派遣の拡大など労働法制の規制緩和、消費税増税の一方での富裕層や大企業への減税、医療や介護などの負担増やサービス切り下げなどの社会保障改悪。財界中心の新自由主義政策を進めてきました。
その結果、格差と貧困が広がり、日本は先進国で唯一、経済が成長しない、賃金が上がらない国に。失われた30年をつくり出しました。しかもその政治は今、反省するどころか、更なる大軍拡などますます加速しています。
そして、この国の新自由主義の政治を先取りし、超高層開発や巨大道路の推進、福祉は抑制、23区最低水準という状況を長期間続けてきたのがこれまでの歴代高橋・濱野区政です。施政方針と新年度予算は23区最低の福祉を改善する意思を表明したものだと評価します。
いま品川で起こっている、自民党政治に代わる新しい政治を模索する動きの背景には、区民の、「政治を変えたい」という世論と運動があります。日本共産党は、冒頭に述べたように住民を苦しめる施策には厳しく対決しながらも、この区政の転換と前向きの流れを更に前に進めるため、住民の皆さんとともに力を尽くす立場です。
以上で意見表明を終わります。