2025年03月26日
のだて稔史区議が「武蔵小山再開発中止の陳情」への賛成討論を行いました。
2025.03.26 のだて稔史 区議
日本共産党品川区議団を代表し令和7年陳情第9号「私はどうしていいかわかりません 品川区長森澤恭子さんに小山三丁目第一地区・第二地区再開発中止を求める陳情」に賛成の立場で討論を行います。
本陳情は地区内に住む分譲マンションの区分所有者で独り暮らしをしている後期高齢者の方から提出されたもので、突然再開発の知らせが届き、不安で夜も眠れず、追い出されることに目の前が真っ暗になったと、武蔵小山パルム商店街の両側で計画されている小山三丁目第一地区、第二地区再開発の中止を求めるものです。
以下、陳情への賛成理由を3点述べます。
1点目は高齢者の方がいまのまま住み続けたいという当然の願いを踏みにじる計画だからです。
陳情には「私は一生懸命働き、やっとのことで終の地として、アーケード商店街があり買い物に便利で生活費も安い、武蔵小山を選びマンションを購入し、豊かではなくても人並みの幸せな生活をしてきました。再開発で追い出される事を聞かされ、目の前が真っ暗になってしまいました。私は武蔵小山から追い出されたら野垂れ死にするしかありません」と陳情者の心情がかかれ、人生設計が壊されて途方に暮れている様子が表れています。
長年、武蔵小山に住み続けている高齢者はコミュニティを含め生活をする上での基盤がこの地域で出来ており、地域を離れたら友人関係も断ち切られ、安心して暮らしていく場を奪われるのです。そのため不安で眠れなくなり睡眠薬まで服用しているとのことです。
しかも、準備組合事務所に面談に出向いた際に引越しなどお世話してくれるのですかと聞いたところ、補償金の範囲で自分でやってくれと説明されたそうです。80歳を超えた方が1人で引越し先を探し、業者の手配、荷物の梱包などをすることがどれほど負担になるか。想像に難くありません。
再開発は2/3以上の同意が得られさえすれば本組合がつくられ所有権を廃止にできる仕組みです。「ここで生きたい」と終の住処として購入した自宅が突然、奪われるのが再開発なのです。
2点目は住民合意がされないまま進められていることです。 陳情にも4年前に突然、知らせが来たと書かれている通り、権利者にもよく知らされないまま計画が進められ、権利を奪われるのが今の実態です。都市計画決定時の審議会でも突然の超高層計画に379人の意見が提出され、8割に上る306人が反対意見で圧倒的でした。
一部の権利者と開発企業が再開発を進め、反対している人まで賛成しているといって地権者に賛同を迫っていました。ある大きな地権者は区役所に不同意書を送付して再開発に反対の意思を表明しました。
そうした中で小山三丁目は再開発事業の決定がされた後も2年8カ月経ちますが本組合設立に至っていません。今年度予算に第二地区の予算が計上されていましたが、準備組合から本組合の設立ができないとの報告が区にあり、補正で全額減らされたことにも合意が得られない実態が表れています。
現に説明会が行われている戸越公園駅北地区でも、強風や日照の問題など批判が相次ぎ、区の持ち出す防災や年齢分布などの理由についても反論が出るほど合意が得られていません。しかし、計画は何も変更されないまままちづくりマスタープランに基づいていることを錦の御旗に手続きが強行に進められようとしています。都市計画手続きは準備組合の報告をもとに区が進めるかどうか判断しており、区が進めているのです。
まちづくりは住民合意が前提であり、計画段階から住民の意見を反映させることが必要ではないでしょうか。陳情審査で区は「きちんと議論が交わされるような場が設けられるよう、準備組合に指導していきたい」と説明し、区長も本会議で「まちづくりに関する住民の様々な声に耳を傾けていく」と発言しました。いまこそ住民が集まって再開発・まちづくりをどうすべきか議論する場を作るべきです。
3点目は税金が多額に投入される事業により周辺環境を悪化させていることです。
予算委員会の質疑で既に5年前に竣工したパルム駅前地区と4年前に竣工した駅前通り地区の補助金額は109億円と62億円でしたが、資材高騰の下、小山三丁目第1、第2地区は221億円、237億円と2倍以上になり、総事業費が膨らむにつれ投入される税金がどんどん膨れ上がることが明らかになりました。
これまで区は再開発事業に1500億円超を投入してきましたが、小山三丁目だけでこれまでの3割に当たる補助金、つまりは税金が投入され開発企業のもうけを生み出すことになります。その下で周辺住民には歩けないほどの強風や日照がなくなる、商店街が壊されるなど住環境の悪化。再開発が行われることで地価が上がり、周辺の固定資産税や家賃が上がって負担増になっています。膨大な延べ床面積が増えCO2排出も増加し、気候変動にも悪影響です。
また都内の超高層マンションに投機マネーが流入し、価格が引き上げられ、庶民は買えないものとなり、転売で所有者がころころ変わり、コミュニティがつくれないとの報道もあります。多額の税金を投入しこれだけの弊害を作っているのが、超高層再開発なのです。
以上、各議員の皆様にも区民の暮らしを守るために本陳情への賛同を呼び掛けさせて頂きまして本陳情への賛成討論を終わります。