2025年03月26日
安藤たい作区議が「区内独自でインボイス制度に係る実態調査実施の陳情」、「『中小企業の景況』でインボイス制度に係る影響調査を要望する陳情」への賛成討論を行いました。
2025.03.26 安藤たい作 区議
日本共産党を代表して、令和7年陳情第4号「区内独自でインボイス制度に係る実態調査実施の陳情」および陳情第5号「『中小企業の景況』でインボイス制度に係る影響調査を要望する陳情」への賛成討論を行います。
陳情第4号は、区内で独自のインボイス実態調査を行い、事業者の状況把握と支援策を求める内容。陳情第5号は、品川区が四半期ごとに行っている景況調査・「中小企業の景況」にインボイス制度の影響調査を盛り込むよう求めるものです。品川フリーランスの会から出され、委員会では賛成多数で可決。これは昨年第三回定例会に続き2度目となります。
以下、賛成理由を4点述べます。
1点目は、地域産業振興課は地域産業、とりわけ小規模事業者やフリーランス等がインボイスにより受けている影響をつかむ必要があるという点です。
インボイス制度とは、免税事業者を新たに課税事業者にし、課税事業者にとってはインボイス未登録業者との取引の際には負担をかぶらざるをえないという、中小零細企業・個人事業主・フリーランスにとって特に大きな負担を強いる制度。これが2023年10月、新たに導入されました。品川フリーランスの会のアンケートにも、「取引先から値下げされた」「事務が増えた。増税となり手取りが少なくなった」「未登録と言うと仕事が切られないか不安」などの切実な声が寄せられています。
委員会審査で私は、「インボイスが区内事業者へ与える影響は重いと考えているのか、どんな影響があると考えているのか」と伺ったところ、区は「数字を含めた客観的な統計は国が持っている」「相談を通じて日々の声を拾っていきたい」などと答弁。要は、つかんでいないし、影響については答えられませんでした。地域産業振興課は、その名の通り地域の産業の振興を行うところです。そこが、インボイス制度の地域における影響を答えることができない、つかんでいない。それでいいのでしょうか。実態把握は政策立案の大前提であり、インボイスの影響調査を行うことは「マスト」、つまり必須。あらゆる支援策の出発点です。
2点目は、前回区の実態調査の実施を求める陳情を否定する理由とされた国の調査がご破算になったという点です。
昨年の第三回定例会に出された同様の陳情に対し、反対した自民党は「国が制度導入に係る取引実態調査を開始した」「精度の高い回答、分析が行われるものと推察する」という理由をあげました。しかし、この調査は、誰でも何度でも回答できる設計になっているという非常にずさんなもので、指摘を受け11月29日に回答受付停止となったのです。この調査そのものがなかったことにされました。しかも、調査を一般競争入札で落札した会社は元中小企業庁長官の息子が経営する企業で、そもそも公正な入札が行われたのかとの疑念も生まれています。
国会で共産党・小池晃参院議員の質問に対し中小企業庁は「不備があったことをふまえ、正式な実態把握を行う必要がある。改めて入札で選定し実施する。」と答えました。
一方、区は自ら調査をやらない理由として、「まず国の調査内容や動向を把握する」などと述べるなど、国の調査を待つとの答弁を繰り返しています。いつやるのか、どんな調査か聞いているのか、と問うと「国に確認してみたが、時期については検討中。設問やどうやるかも検討中という話だった」との答弁。つまり、何も決まっていないということです。こうしている間にもインボイスの影響で倒産する企業や事業主が出てきます。
信頼を失った国の調査を待つ受け身の姿勢ではなく、日ごろから住民に接し、住民に最も身近な自治体で主体的な調査こそ行うべきです。
3点目は、品川区内の実態は品川区でつかまないと分からないという点です。
御破算になった昨年11月の国の調査は、全国の免税事業者等の小規模事業者を対象にアンケートURLを載せたハガキを5万件無作為抽出で郵送するというものでした。これでは実際に品川区内で対象となる事業者はごくごく一握り、最悪一件も含まれない、ということにもなりかねません。また、「国の調査で区内の業者の実態把握にならないのではないか」との質問にも区は、「今後の国の調査を見たい」と繰り返し、国の調査により品川区内の事業者の実態が分かると言えませんでした。
ではどうしたら、区内の実態をつかめるのでしょうか。それはやはり、区が調査をすることが一番確実です。たとえば、区ホームページでの電子申請アンケート。地域産業振興課に資金など相談に来る人にアンケートの案内を渡す。建設三組合や品川民商などの組合・団体に案内配布を協力してもらう。区としてヒアリング会等を開く。方法はいくらでもあります。要は、やる気があるかどうかなのです。
4点目は、過去2回行った「中小企業の景況」でのインボイス影響調査は、今こそ行うべきだという点です。
過去、この調査の特別調査の中で、2回、インボイスが取り上げられたことがありました。1回目は、2022(R4)年7〜9月期で、調査のタイトルは「円安・原材料価格変動による影響およびインボイス制度について」、制度導入の約1年前でした。2回目は、2023(R5)年10〜12月期で、調査のタイトルは「インボイス制度に対する現況及び円安・物価高騰等の影響について」、制度の導入後すぐです。インボイス導入後に確定申告は1回行われましたが、確定申告後のインボイスの影響調査は行われていません。陳情が述べるように、確定申告を経て問題に気付いた事業者もたくさんいると思われます。インボイス制度開始から1年以上が経過し、2度目の確定申告が終わった今こそ、特別調査を行うべきです。この調査の対象には個人事業主やフリーランスは外れているなどの弱点はありますが、現に行っている景況調査にこれまでも行ったインボイスの影響を尋ねる項目を入れることは、やる気があれば区でもすぐにできることです。
以上、議員の皆様へ本陳情への賛成を呼びかけまして、私の賛成討論を終わります。