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2025年03月26日

安藤たい作区議が「『選択的夫婦別姓制度の早期実現を国に求める意見書』提出を求める請願」への賛成討論を行いました。

2025.03.26 安藤たい作 区議

 日本共産党を代表して、令和7年請願第5号「『選択的夫婦別姓制度の早期実現を国に求める意見書』提出を求める請願」への賛成討論を行います。

 本請願は、選択的夫婦別姓制度の早期導入を求める意見書を国に提出することを求めるものです。

 賛成理由を以下4点述べます。

 1点目は、憲法の理念、人権保障の観点から、現状の強制的夫婦同姓は改め、選択的夫婦別姓を導入する必要があるという点です。

 日本国憲法第13条には「すべて国民は、個人として尊重される」、第14条には「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあります。また、第24条では、家族や夫婦の生活における個人の尊厳と両性の平等を定めています。

 現状はどうでしょうか。結婚して姓を変えるのは95%が女性です。望まない改姓により、仕事や社会生活を送る上での様々な不便・不利益がもたらされ、アイデンティティを奪われると感じるなど、個人の尊厳を脅かしています。

 委員会審査では「現状は婚姻時に話し合って姓を決めることになっている。それは話し合いの結果であって、既に男女とも平等な位置にいる」との意見が出されました。

 しかし、大阪大学大学院の三浦教授の調査報告によると、現在婚姻しているカップルで「結婚時にどちらの氏にするか「話し合わなかった」との回答は78%。ほとんどの婚姻カップルが氏をどうするか話し合いを持たずに夫の氏を選んでいるということになります。

 そこには、同姓の強制によって女性が名前を変えることが当たり前にされているために、違和感を口にすることができないまま名前を変えた女性も多く含まれています。女性が圧倒的に不利な立場に置かれ、差別されている現状は、改善が必要です。

 2点目は、現実に女性が受けている不利益を解消するために必要だからです。

 委員会審査では「通称使用の範囲を拡大していけばよい」との意見も出されました。しかし、請願者も述べているように、金融機関等との取引や海外渡航の際の本人確認、公的機関や企業とのやり取りなどでの困難は避けられないなど7分野にわたる通称使用の限界があることを内閣府自身も認めています。

 昨年6月には、日本経団連も「通称使用によってトラブルが起きている。企業にとって、ビジネス上のリスクだ」と指摘し、選択的夫婦別姓の早期実現を求める要望書を政府に提出しました。なにより、氏名は個人がそれまで生きてきた人生の象徴であって、女性が変更を事実上強制されることは、アイデンティティーに関わる重大な不利益です。

 アイデンティティーの喪失、あるいは不都合や不利益が女性に偏っているという女性の人権上の不利益は解消されねばなりません。

 3点目は、ジェンダー平等推進条例を持つ区の議会として、ジェンダー平等を前に進めるために選択的夫婦別姓を進める立場に立つべきだからです。

 昨年4月に施行された「品川区ジェンダー平等と性の多様性を尊重し合う社会を実現するための条例」は、前文で「『ジェンダー平等』とは、一人ひとりの人間が、性別にかかわらず、平等に責任や権利、機会を分かち合い、あらゆる物事を一緒に決めることができることを意味している。

 これまでの取組により、ジェンダー平等は前進してきているものの、個人の希望や能力ではなく性別等によって生き方や働き方の選択肢や機会が決められてしまうなど、今なお固定的な性別役割分担意識やそれに基づく社会的慣行等が存在している。」と問題意識を提示。強制的夫婦同姓は、まさにこの、性別役割分担意識に基づく社会的慣行にあたるのではないでしょうか。

 条例では他にも、定義や、基本理念などで、差別や人権侵害の解消や個人の尊重をあちこちでうたっています。全会一致でこの条例を採択した品川区議会は、この条例の具体化となる選択的夫婦別姓の導入を推進する立場に立つべきです。

 4点目は、選択的夫婦別姓を求める世論の高まりに応えるべきだという点です。

 直近2月の世論調査でも、導入に「賛成」は63%で「反対」の29%を大きく超えています。先も述べたように、昨年6月には日本経団連も制度の導入を求め提言を出しました。地方議会における意見書提出は492自治体にのぼっています。

 1996年には法制審議会が制度の導入を含む民法の改正を答申。法務大臣の諮問機関である法制審議会が法案要綱を答申すれば通常は法律になりますが、選択的夫婦別姓制度だけは例外で、四半世紀、たなざらしにされてきてました。国連の女性差別撤廃委員会からも20年以上前から4回にわたって勧告を受け、今回の審議でも3回目となるフォローアップ項目にも指摘されています。

 国内と国際的な人権尊重の機運が高まり続ける中、日本における選択的夫婦別姓の導入はもはや時代の要請です。これ以上の先送りは許されません。

 最後に、委員会審議で出された2点の反対理由について、述べます。

 1点目は、「子どもの姓をどうするのか」「子どもの視点が抜けている」との意見です。

 いま世界で夫婦同姓を法律で義務づけている国は、日本だけです。しかし両親の姓が異なるからといって親子や家族の絆が弱いということは当然ながら、ありません。

 また、再婚や事実婚の家族、国際結婚など、現在の日本にもすでに夫婦で姓の違う多様な家族が存在していますが、親が子に注ぐ愛情には何らかわりがないことも言うまでもないことです。

 なお、日本共産党は、子どもの姓については、それぞれの子どもの出生時に定めることにし、子どもが18歳になった時点で本人の申し立てにより変更できるようにする、との政策を掲げています。

 2点目は、「すでに区議会として、3月に選択的夫婦別姓について議論をつくすことを国会・政府に求める意見書を可決したから」との意見です。

 共産党はこの意見書に賛成いたしました。理由は、国会で議論をつくすことは当然のことであるし、選択的夫婦別姓の法制化を目指す一般社団法人「あすには」や東京三弁護士会などの意見書採択自治体が拡大することへの期待もあったからです。

 一方、今回の意見書は、制度の早期導入を求めるものであり、内容が異なります。区議会として、更に一歩踏み込んで早期実現を求める意見書をあらたに採択することは何ら矛盾せず、むしろ、法制化を求める団体や世論に積極的に応えることでもあります。 以上、議員の皆様へ請願への賛成を呼びかけまして、私からの賛成討論を終わります。