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無防備平和条例案に対する高橋区長の意見

今回の直接請求に係る条例案(以下「本条例案」という。)は、区の責務として区民の平和と安全を保障することを目的として(第1条)、区民の平和的生存権(第2条)、区の責務(第3条)、非核政策(第 4 条)、無防備地域宣言(第5条)、平和行政の推進(第6条)、平和予算の計上(7条)等について定めるというものであります。

  本条例案の中心となる無防備地域宣言につきましては、ジュネーヴ条約第一追加議定書第59条を根拠に、「戦時下において、敵対する紛争当事国による占領に対して開放する特別な保護の下にある地域」として宣言するものでありますが、この宣言は「適当な当局」が行うこととされております。この無防備地域宣言をすることができる「適当な当局」に関する国の見解は、「当該地域の防衛に責任を有する当局、すなわち我が国においては、国において行われるべきものであり、地方公共団体がこの条約の無防備地域の宣言を行うことはできない」というものであり、さらに、総務大臣は国会での答弁において、「たとえ特定の都市が無防備地域の宣言をしたとしても、それ第一追加議定書に規定されている宣言には当たらない」と明言しております。

  したがいまして、本条例案は、普通地方公共団体はその権限に属する事務に関して条例を制定することができると定めれれた地方自治法第14条第1項の規定に抵触するものであり、また、仮に無防備地域宣言を行ったとしても、実質的な効力を有しないことから、本条例案による条例制定について反対するものであります。

  本区は、昭和60年3月に、区議会の全会一致で「非核平和都市品川宣言」を行い、その中で、非核三原則や平和の実現についての姿勢や考え方を明らかにしているところであります。また、長期基本計画におきましても、非核・平和意識の高揚と国際交流の推進を重点施策として位置付け、これまでさまざまな事業を展開してまいりました。今後とも、この「非核平和都市品川宣言」の理念を尊重し、区民一人ひとりに平和への願いとその尊さを伝えるため、非核平和や国際交流に関する施策に取り組み、核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現に向けて努力していく所存であります。

平成18年1月17日
品川区長 高橋久二

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