「なぜ、こんなに高いのか」「年金から天引きは困る」…七月に対象世帯に保険料徴収のお知らせが届いてから、区には「毎日百件近い問い合わせの電話がかかっている」といいます。
介護保険がはじまっておよそ半年、一割の利用料が負担できず介護サービスをあきらめる事態も起きています。この十月からは六十五歳以上の方からの介護保険料徴収も開始されますが、制度の改善はいよいよ急務です。
品川区の六十五歳以上の介護保険料基準額は月三千三百円、二十三区で一番高くなりました(左表参照)。当初一番高かった目黒区をはじめいくつかの区が保険料を値下げしたためです。
保険料は、年金を月一万五千円以上支給されている人は年金から天引きされます。お年寄りの生活はたまったものではありません。
日本共産党は区長に対し、保険料の値下げを提案しました。介護保険がはじまって、施設サービスのうち老人病院などの療養型病床群にかかる事業費の当初見込みが、実際より三倍以上も多く見積もっていることがわかったのです。
介護事業費が年間で十五億円少なくて済むため、六十五歳以上の保険料は月百五十円減額できます。
23区保険料比較 介護保険料基準額 |
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1.品川区 | 3,300円 |
2.目黒区 | 3,297円 |
3.新宿区 | 3,243円 |
4.足立区 | 3,127円 |
5.練馬区 | 3,100円 |
6.板橋区 | 3,083円 |
7.渋谷区 | 3,067円 |
7.大田区 | 3,067円 |
9.墨田区 | 3,050円 |
9.港区 | 3,050円 |
11.葛飾区 | 3,043円 |
12.千代田区 | 3,017円 |
13.中野区 | 2,992円 |
14.文京区 | 2,983円 |
15.豊島区 | 2,982円 |
16.中央区 | 2,980円 |
17.世田谷区 | 2,967円 |
18.荒川区 | 2,963円 |
19.杉並区 | 2,942円 |
20.江戸川区 | 2,920円 |
21.北区 | 2,903円 |
22.江東区 | 2,900円 |
23.台東区 | 2,692円 |
平成13年3月予算特別委員会資料 東京都高齢者施策推進室作成 |
お年寄りにとって一割の利用料負担は本当に重荷です。
ある特別養護老人ホームでは、ケアマネージャーが「介護保険であのサービスも入れたい、このサービスも…といっていた方が、いざ利用料の話になるとあれはやめる、これもあきらめる、という方が多い」と話してくれました。また、ある訪問看護ステーションは「訪問看護を受けていたお年寄りの実に三割近い方が何らかの介護サービスを減らした」といいます。
品川区では、六月の介護サービス給付実績は六億六千万円と予算(九億五千万円)の七割にも満たない状況です。一割の利用料を三%に軽減する自治体が全国に広がっていますが、品川区でも負担軽減措置を実施すべきです。
Aさんは八十七歳で独り暮らし。介護度は「要支援」。いままでは慢性心不全のため訪問看護を週一回受けていましたが、介護保険で月一千円の負担が六千百五十円に跳ね上がったために、訪問看護は二週間に一回に減らしました。ところがそのために病気が悪化していたのに発見が遅れ、入院してかろうじて命をとりとめたものの現在は重体です。
日本共産党は、区議会第三回定例会に「品川区情報公開・個人情報保護条例」の改正案を提出しました。昨年の第一回定例会ではこの提案が「継続審査」となり、議会の改選で廃案となっていたためあらためて提案したものです。
品川区の情報公開制度は、一昨年高橋区長がそれまでの条例に明記されていた「区民の知る権利」を削除するとともに、有料化を持ち込んだため、大きく後退させられました。情報公開の有料化は二十三区で中央区と品川区だけです。
日本共産党の提案は、
1.条例の前文に「区民の知る権利」を明記する、
2.情報公開はコピーの実費のみとして手数料は無料にする、
3.区が資本金の二分の一以上出資する第三セクターなども情報公開の対象にするというものです。
情報公開制度の改善は住民が政治に参加する大前提であり、大切なものです。
「子育てと議員活動は両立できない、議員をやめて子育てに専念すべき」…こう主張する匿名の投書が、昨年十二月の品川新聞(五十嵐敏文編集・発行人)に掲載されました。
実名をあげて女性議員の出産を非難する個人攻撃というあまりにもひどいやり方に、日本共産党の南恵子議員が予算特別委員会で同紙編集者の編集責任について質問しました。
ところが、同紙はこの質問を「報道の自由の侵害」として、的はずれの攻撃をする一方、その後も同じ投書をくり返し掲載。さらに「区議会制度の見直しを!出産欠席でも約四百八十万円の支給」との主張をかかげ、攻撃をエスカレートさせています。
同紙は最初「投書を載せただけだ」と編集者である自らの責任を回避していましたが、議員の出産問題をとりあげ議会制度を変えろとまで主張するに至っては、時代おくれの女性べっ視の姿勢もきわまりというものです。
おりしも、国会では自民党の橋本聖子参院議員の出産問題を機に制度改善がすすんでい玄す。こうした流れに逆行する同紙はジャーナリストとしての見識が問われるのではないでしょうか。
日本共産党は戦前、政治集会や演説会に女性が参加すること自体が罪とされた時代から「十八歳以上のすべての男女に普通選挙権」を要求してたたかいました。
現憲法の下で婦人参政権が認められ、女性の社会参加、母性保護など大ぎく前進しましたが、政治参加は依然先進国のなかで遅れた分野です。
女性が議員活動をすすめるためには、男性にはない困難やそれを克服する特別の努力がともないます。いま大事なことは、女性が母親としても、議員としても両立できるように条件を整備することではないでしょうか。
日本共産党は七月、保育職員の大幅削減によりゆきとどいた保育ができなくなっているために、保育行政の充実をもとめて高橋区長に公開質問状を提出しました。ところが、品川新聞はこの公開質問を「論戦にやぶれて場外戦」とやゆし、回答を拒否した高橋区長を擁護。その一方で父母からも問題が指摘されているのに、区の保育行政を礼賛してみせました。
このように同紙は、保育・福祉の切り捨てをすすめる区長の「応援団」の役割を果たしてきました。
一方、高橋区長はこうした品川新聞を「地域に密着したニュースを公平に幅広く提供し…貴重な存在」(旬刊品川新聞復刊十五周年のあいさつ)と持ち上げ、区費による新聞買い上げ(百八十二部・年間八十九万円)、区議会記者控室の事実上の独占使用など直接的に便宜をはかってきました。
高橋区長は品川新聞とのこうした関係はきっぱり断ち切るべきです。
出産したら議員をやめて育児を−という投書にはびっくりしました。女性議員数が先進国中最下位という実態は、こういう考えに支えられているのでしょうか。
この問題を質問した議員への品川新聞の攻撃も異常なものを感じます。速記録を読んでも「でっちあげ」などと言ってないのに、発言を取り消せとはどういうことでしょう。
言論の自由には責任がともないます。一般の新聞の投書欄は実名が原則です。納得できる理由がなければ匿名は受けつけないものです。匿名の投書を掲載することは、新聞もその立場だということでしょう。出産したら議員をやめるべきなのかどうか、品川新聞は「社説」でお考えを述べられたらいかがでしょうか。
横田球生 元ジャーナリスト(八潮在住)