ご覧になりたい部分をクリックして下さい。(PDF版はこちら >>)
今年の4月、認可保育園を希望しながら入れなかった子どもは443人。先の区議会で区は「来年度、定員を200人増やす」など緊急総合対策を発表しました。この対策は区民の願いを一部反映していますが問題もあります。
今年11月時点で認可保育園の申し込みはすでに835人。昨年を108人上回るペースで、来年は入園希望がさらに増えると予想されています。品川区の対応で保育園に入れることになるでしょうか。
品川区の保育緊急総合対策は、来年4月に向けた計画として、@既存の認可保育園19園で定員200人増、A認証保育園の保育料を認可保育園と同程度に軽減、B既存認可保育園の近隣小学校2校で5歳児50人を保育し、空いたスペースに子どもを受け入れる、というものです。
共産党は「認証」保育料の軽減、学校の空き教室を使った保育の実施を求めてきました。
しかし、定員200人増といっても、認可保育園はすでに347人も定員を超えて受け入れており、区も「実際に何人増やせるか不明」とのべています。さらに、民間の認証保育園の誘致促進といいますが、今年度は2ヶ所(定員67人分)の開設にとどまりました。来年度は未定です。「緊急対策」では全員が入れる保障はありません。
品川区は、増え続ける保育需要にも認可保育園増設の方向がありません。今年4月に策定した「第4次長期基本計画」(今後10年間の計画)でも、保育の需要増への対策は、@幼稚園に保育園機能を加える「幼保一体化」施設、A株式会社などが運営する認証保育園の誘致だけです。
品川区が認可保育園を増設しないのは、子どもの人口は2014年をピークに減少するとの予測と、不況で一時的に保育需要が高くなっているだけとの考えが背景にあります。今回の緊急策でも濱野区長は「今後の幼年人口の減少も視野にいれて対策を進める」としています。もうすぐ保育需要は減少するから認可保育園は建設しないというのが本音です。
しかし、こんな「予測」で保育園をつくらなくていいのでしょうか。品川区は再開発でマンション建設を推進するなど子育て世代の呼び込みをすすめています。
また、女性の多くは子育てしながらはたらける社会を望んでいます。将来の予測でなく「保育園に入れない」現実を解決するため認可保育園の増設がどうしても必要です。
「不況で夫の給料がダウン、ボーナスもカット。住宅ローンをはらうために、私がパートで働かなくてはならないので母に2時間かけて孫の面倒をみに来てもらっている。なんとか保育園に入れないか」と相談が寄せられました。
厚生労働省が、全国一律に定めている認可保育所の面積の最低基準を、待機児の多い都市部では一時的に下回ることを認める方針を打ち出しました。最低基準は、ゼロ・1歳児の場合、乳児室なら1人当たり1.65平方メートル(約1畳)など。子どもに「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために国が定めているものです。
ところが、増え続ける保育園入園希望に「詰め込み」で対応してきた品川区はさっそく「(規制緩和が)実現すると、待機児の解消、減少に向けた大きな手立てが見えてくる」(担当部長)と歓迎。認可保育園を作る方針がない品川区では、基準緩和がされるとさらなる「詰め込み」が加速することになります。これが民主党がかかげる「チルドレンファースト(子ども第一)」なのでしょうか?
大崎駅西口中地区再開発で建設されたマンションの販売不振という事態で明らかになりました。共産党はマンション不況が叫ばれるなか計画の見直しを求めてきましたが、品川区は「大崎地域はつくれば売れる」と多額の税金を注ぎ込んで推進。責任は重大です。
この再開発は100メートル級の超高層マンション2棟、総事業費460億円のうち税金80億円を投入して建設。最高は1億円超。最多価格帯7千万円台という超高級マンションです。先の決算議会で共産党の質問に区は「第1次売り出し分のうち販売は6割台に留まった。全体で何戸売れ残っているかはわからない」旨説明しました。
売れ残り分は再開発の参加企業が抱え、管理費を負担しています。しかし、再開発はマンションを販売して成り立っていないということではないでしょうか。
区営住宅建設の区民要望に背を向けて高級マンション建設を優先した税金の使い方も正当性が問われています。
品川区は大崎駅周辺60ヘクタールの地域内で、バブル崩壊とともに不良債権となった土地の流動化をめざして「都市再生緊急整備地域」に指定し大規模再開発を推進。かつて町工場と住宅の街だった大崎地域を大企業ビルと巨大マンションの街に変貌させました。
西口中地区は、バブル時代に旧千代田生命と準大手ゼネコン・フジタが地上げで住民を追出し、オフィスビル建設を計画したところ。しかし、オフィス過剰で計画が破たん。その後、住友不動産が中心になり超高級マンション計画に切り替えました。三分の二の権利者が賛同すれば反対者も容赦なく再開発に巻き込むしくみを使い強引にすすめ、2棟の超高層マンションを建設。1084戸のうち840戸分は結局、住友不動産など大企業が手に入れました。他人の土地を利用してボロもうけの場にしたのです。
品川区は、北品川五丁目地区(税金から264億円補助を予定)、大井町西地区(一本橋商店街入り口・同26億円)など開発計画が目白押しです。巨大マンション建設で住民を増やすのに保育園や高齢者施設の設置義務はなし、日影や風が周辺住民に被害をまき散らすなど、大規模再開発は大問題になっています。区民の願いは区営住宅や特養老人ホーム、認可保育園の建設です。
品川区議会の今年度の海外調査が中止になりました。自民党が介護保険や障害者対策などでの実施を提案していましたが断念。平成17年に実施して以降4年連続の中止です。今年度の予算に741万円(ひとり70万円)の海外調査経費が組まれていましたが、税金のムダ遣いに区民世論が中止に追い込みました。共産党も海外調査の中止を訴えてきました。
ところが、10月の議会運営委員会で自民、公明、民主が来年度予算に海外調査の経費を盛り込むよう区長に要望することを多数で押し切りました
品川区議会の海外調査は「まず予算をとって後から内容を決める」というやり方です。例えば、平成17年度の海外調査は「少子化対策」目的に12月11日から8日間の日程でドイツ・フランクフルト、ノルウェー・オスロの両市を訪問しましたが、この海外調査はすでに前年11月の議会運営委員会で予算を区長に要求することを決定していたものです。翌年8月1日の議会運営委員会に自民党が「少子化対策」での海外調査を提案し、10月20日に決定。採決では賛否同数により委員長(自民)決済で押し切りました。その後、旅行会社に企画を委託。参加予定者が品川区とヨーロッパ、諸外国の少子化対策について講義を受けて勉強。11月25日の本会議で海外調査を正式に議決し12月11日に出発、という流れでした。「予算さきにあり」は民間企業では考えられません。
しかも、調査後に調査団がまとめた提言は「少子化対策の総合的施策展開」というものの、品川区当局に保育園の増設を求めていません。「保育園に入れない」という実態や区民要望に合った提言をだせない調査では意味がありません。
このページのトップへ