武蔵小山駅東地区意見さまざま
情報公開・住民参加のまちづくりを

前号ニュースで、武蔵小山駅東地区(左図参照、駅をはさんで3.1ha)の再開発を取り上げ、アンケート調査を行いましたが、半数弱の方がご存じない状況です。また、まちづくりに対するご意見も、賛成、反対、どちらとも言えないと三分しています。みなさんからいただいたご意見を基に、2月23日の本会議で質問をしました。(裏面の質問全文をお読みください)まちづくりの基本は、情報公開と積極的な住民参加であると私は考えますが、どうも世の中はそうなっていないようです。

 以下質問に対する部長答弁です。

1・・地元まちづくり協議会の検討を踏まえ、都が再生地区指定と再生方針を定めた。説明会、協議会のかわら版を通じ合意形成を進めてきた。借家人には家主さんから適切な説明がされている。

2・・地権者の8割同意が得られているので、予定通り運営していく。

3・・地権者自ら事業者となり責任をもち、まちづくりを行うもの。区は補助などの支援を行う。

のです。区としては、地域の安全性の向上に寄与す る事業として補助などの支援をしていく。

「木造密集地域を防災に強いまちに変えたい」誰もの願いであると思います。しかし19階の高層でなければ採算が合わないのでしょうか。 まちには様々な職業の方がいらっしゃいます。私は、知恵を出し合えば、もっと良いまちづくりができるのではないかと考えます。 みなさんのお考えはいかがでしょうか。時間がありません。3月17日品川区都市計画審議会で決定されるとどんどん進みます。 後悔しないように、今できることを一緒にやりましょう。


2005.2.23.第1回定例本会議いいぬま雅子一般質問 
武蔵小山駅東地区開発は、全ての住民が合意できるまちづくりに

 武蔵小山駅周辺が、急速に変わろうとしています。東京都の条例「しゃれた街並みづくり推進条例」の指定を受け、武蔵小山駅周辺まちづくり協議会が「都市計画原案」を作成し、東京都に提案をしました。

 「しゃれ街条例」とは、密集市街地など、細分化された敷地を統合し、共同建て替えなど速やかに進める新しい制度です。対象地域は、小山3丁目の4.5.6.13.14番地の3.1ha。地域全体を16地域に分割し、合意形成されたブロックから建築の基準が定められます。先行地域の小山三丁目6番のD地区では、容積率を550%に引き上げ。高さ制限60m。敷地面積約3300u地上19階建て都心共同住宅が予定されています。
まちづくりとは、そこに住む人々が長い歴史の中で築き上げてきた地域のつながりの中でつちかわれていくものだと思います。「しゃれた街並み」の言葉で思い浮かべるのは、ヨーロッパの美しい街並みです。「古いものとの調和」「自然との調和」を基本とし、厳しい高さ制限がかけられ、人間らしく生活するため建築の規制がされています。武蔵小山にはどのような街並みがふさわしいのでしょうか。まちには様々な考えを持った人々が暮しています。「住み続けられるまちは」住民が力を合わせて作るものと考えます。

 2月15日近隣住民への説明会が始めて行なわれましたが、この時のご意見と、私が行なった周辺地域アンケート。用紙3000枚を全戸配布し返信封筒で回答いただきました調査の結果を踏まえ問題点を指摘します。

第1の問題は、武蔵小山駅前周辺まちづくり協議会が進めていますが、土地の権利を有する地権者のみで計画されたものであり、店舗を借り営業している方、賃貸住宅にお住まいの方が排除されている点です。

地域で永年営業をされている方から、「計画について3年前にチラッと話を聞いたことがあるが、その後全く知らされていない。出来上がった後に、再びこの地で営業できる保障はあるのか」と質問され、土地の権利のない方々に情報が届いていないことがわかりました。武蔵小山らしいまちづくりは商店を始め、住民の総意で作り上げるもの。協議会の参加を多くの方々に呼びかけるべきと考えます。

第2は、地域の意見が3分している点です。アンケートでは、賛成は2割強、反対4割強、どちらともいえない3割強と3分しています。時間をかけ、合意形成を作らなければ、まちが壊れてしまう危険があります。賛成の人は木造密集地域が、より安全できれいなまちになると期待しています。反対の人は、小山三丁目6番D地区の19階建て住宅が、地域にふさわしい建物と考えていません。「60mはあまりにも高すぎて、周囲との調和が保てない」「武蔵小山らしい下町情緒が好きで越して来た。高層化は、地域のコニュニティーを壊すことになる」「勝手に決めないでほしい」と論議をする場を求めています。公表されていませんが、D地区以外もすでに図面が出来上がり地権者の同意を取り付けている最中ですが、計画が全地域で実施されれば駅周辺は60mの建物が林立し、まちの景観が一変します。しかし手法として、ブロックごとに計画が出されるため全体像が見えません。目黒線沿いではビルの地下がそれぞれつながり、最終的には武蔵小山駅とつながる構想もあるようです。全体像を示したうえで、住民合意が必要ではないでしょうか。

第3に、区の責任です。

都の条例に基づき、都と区が指導援助してきました。都心共同住宅建設にあたり約8%から10%弱の補助金が投入されると予想されます。地域住民の発意による民間開発と説明していますが、地区計画と品川区全体のまちづくりの調節は区の責任と考えます。

週刊朝日昨年10月号では、「マンション売れ残る30駅」のタイトルで取り上げています。この5年間、首都圏のマンションは毎年8万戸を超えるペースで増え続け、2005年には大量の「売れ残り」が発生するといわれています。品川駅など湾岸エリア、目黒線沿線など心配されていますが、人口が減少していく中で、住宅政策も将来予測が必要です。区は、この点も含め、情報提供し指導が必要ではないでしょうか。

質問します

1. 都市計画原案決定までの経過と、住民合意形成の過程をお知らせください。改めて協議会メンバーに店舗経営者、賃貸住宅居住者など土地の権利のない人々の参加も認めるべきと考えます。

2. 本計画の周知は不十分であり、まちづくり として合意形成が出来ていません。3月の品川区都市計画審議会、5月の東京都都市計画審議会の延期を求めます。

3. 民間主導の開発と説明していますが、税金を投入し援助を行なっている区の責任は重大です。マンション過剰供給など、採算が取れない状況が生じた場合など、どこが責任を負うことになるのか。区に最後まで責任ある援助を求めます。