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南恵子 お元気ですか南恵子です。 2001年12月23日発行
第717号

minami@jcp-shinagawa.com

小泉内閣の医 療 改 悪
これ以上の負担増はいやだ

 11月の末に、政府・与党は「医療制度改革大綱」をまとめ、サラリーマン世代や高齢者など多くの国民に医療負担を押し付ける改悪案を決めました。高齢者も自営業者も悲鳴を上げています。品川区議会の厚生委員会に提出された請願審査で自民・公明の議員は「高齢化社会なのでやもうえない」という発言でした。

 「不況で生活苦の今日、医療費を増やす小泉内閣に失望しました。」「息子はリストラ、夫婦2人年金生活。生活が苦しいのに大変です。どうか、今までどうり切に願う。」「アメリカを援助する金があるなら福祉に回せ。」など、京都の医療関係四団体が実施したアンケートに寄せられた切実な声です。

 小泉総理は「必要な受診は抑制しない」と言いますが、今日の負担さえ厳しいのに、再来年からは一層の負担を強いるというのです。

みなさんはどう思いますか?

重たい負担とは

 高齢者にとってはどうなるのでしょうか。70才〜74才の方は、一割負担でした。これとて、払えないからお医者さんに行かないという事態をつくり社会問題になりました。

 今回の改悪案は、高齢者医療制度の対象を75歳に引き上げてしまうために対象外になってしまいます。そのために、一割負担ではなくなり二割負担になります。

 リストラや雇用不安を抱えているサラリーマンはどうでしょうか。原行は二割負担ですが、改悪案は三割です。

また、政府管掌保険(中小企業が多い)加入者は保険 料が1600円引きあがります。

 しかも、保険料徴収のシステムが変わり、ボーナスを含めた年収全体にかかるために、保険料率が7・5%から8・3%へと上がります。窓口負担も含めると大きな負担です。

三方一両損と言うが・・

 小泉首相は、この負担増について「三方一両損」という表現で、医療機関、患者、保険者が少しづつ痛みを分かち合うので公平だと言いたいようですが、本当にそうでしょうか。

 各保険財政が赤字になっている大きな原因は、ヨーロッパ諸国と比較しても異常に高い薬剤費の是正とこと国庫負担の削減です。

 薬剤費の見直しは、小泉首相が厚生大臣時代に約束をしたものです。

抜本的な是正をすれば2兆円近い節減が可能といわれています。

 国庫負担については、一貫して削減し続けています。例えば、国民健康保険、1984年当時の45%を38・5%にしました。

政府管掌保険は、1992年に16・3%を13%にし、さらに、老人保険の医療費負担は44・9%から33・9%という具合です。

これを元に戻せば保険財政の危機は避けられます。

 公共事業には50兆円、社会保障には20兆円という構造が私たちの暮らしをいかに困らせているかがわかります。

「品川生活と健康を守る会」は、会員の多くが医療改悪によって重たい負担がかかってくることに対して「これ以上増やさないことを求める意見書を、政府と関係機関に提出してほしい」という内容で請願を区議会に出しました。この「政府の医療制度改革に対する意見書の提出を求める請願書」の審査が、11月26日の厚生委員会で行われました。

 自民党委員は、心情的にはわかるが、人口一割の70才以上の高齢者が医療費の3分の1を使っている。平成37年には2割の高齢者が半分を使うということを冷静に考える必要があること、また、日本の福祉・医療は高水準にあり維持するための議論が必要と述べました。

また、別の自民党委員は、このままでは国民皆保険の制度が崩れてしまうこと、低所得者や高齢者に配慮しながらの制度と思うので請願者の願意に添えないという意見を述べました。

 公明党委員は、国民健康保険料を滞納しているために保険証を交付してもらえず、短期証や資格証明書になるのですが、そのことがプライバシーや医療費の負担感になっています。しかし、保険証を取り上げるのではなく、一時預かっているのだと主張しました。区民の辛い気持ちを理解しない姿勢だと思いました。

 また、医療費については「負担すべきものは負担していかなければならない」とも発言しました。確かに基本ですが、今、問題になっているのは払いたいが払えないという区民生活の厳しさの問題です。杓子条規に、一面的にとらえるのではなく、一人一人の生活をしっかり見て配慮ある体制が必要と思います。

 低所得者や高齢者などを悲しませる国の医療改悪に対して、区議会として区民生活を守るために明確に発言をする必要があると思いますが、「継続」扱いにして先送りしたことは残念です。


 今年も1年お世話になりました。

 今年は、21世紀のスタートになった年でした。希望溢れる時代を、みんなで力を合わせてつくろうと意気込んで始まったものでした。

 しかし、小泉内閣はまったく景気対策をしないために国民生活の厳しさは大変です。また、リストラ・失業と雇用問題も深刻です。

 9月11日に起きた同時多発テロを契機に「武力を行使しない」という日本国憲法を無視して、自衛隊の派遣を強行したりと、国民の望む政治とは程遠い状況です。

 来年は、国民の怒りを広げて、国民生活を大事にする政治を作るために、一生懸命に頑張らなくてはとあらためて思います。

 どうぞ、健康でよい年をお迎えください。

 

日本共産党区議会議員  南恵子