サーマルリサイクル(プラスチックの焼却)は中止を
『燃やして処理』は時代遅れの方法

6月22日からはじまった第2回定例会で、中塚議員が一般質問をしました。南恵子ニュース892号でお知らせしたサーマルリサイクルの問題も取り上げました。今まで区が進めてきたリサイクルに逆行するだけでなく、地球温暖化を促進するCO2も出てしまうという問題があります。

廃プラ焼却は区の方針に逆行

品川区は、一般廃棄物処理計画のトップに「資源循環型都市しながわの実現」を掲げ、2番目に「ごみの最小化・リサイクルの最大化」を打ち出しています。また、「品川区分別収集計画」に「大量にモノを生産、消費し、大量にモノを廃棄する使い捨て社会となった・・。この社会構造やライフスタイルを見直し・・ごみ減量およびリサイクルを推進する資源循環型社会を形成することが大きな課題となる」と記し、アルミ缶、ペットボトル、トレイなど10種類におよぶリサイクル活動を、区民や事業者も入ってすすめてきました。さらに区民意識を高めるために消費者展やエコフェステバルなどの開催もしてきました。

  ところが23区長会は、08年から最終処分場延命のためとして、不燃物として収集していた廃プラスチックを焼却処理するサーマルリサイクル方針に180度変えました。そして7月からモデル実施を行うことを、5月15日の区民委員会で明らかにしました。

  これでは今まで高らかに掲げてきた「資源循環型都市しながわの実現」や「ごみの最小化・リサイクルの最大化」方針に逆行します。

燃却処理は大量生産・消費・廃棄を加速リサイクルに逆行

ごみ問題が意識されはじめた頃、大いに問題になったのは「大量生産、大量消費、大量廃棄」でした。

それを克服するためにリサイクルが一つの対策でした。区は、区民とともにとり組んできたのに、その流れを止めることにならないでしょうか。

  また、『燃やせばごみ、分ければ資源』として分別やリサイクルをすればいいのではなく、大量生産や大量消費、大量廃棄をやめる社会構造に変える事が求められます。

燃却処理は最悪の方法

区は新しく改修された品川清掃工場の設備は「最新技術なので、燃やしてもダイオキシンなどの排出は今までの百分の一、千分の一にすぎない」といいます。しかし、アメリカ環境保護庁は「ダイオキシンの慢性毒性は生物的影響がないといえる値はない」という立場をとり、「ダイオキシンの排出量は限りなくゼロに近づけることが望ましい」としています。この見解こそ住民の健康を守る自治体の責任ある立場だとおもいます。また、国の資料を見ると確かにダイオキシンの排出量は減っていますが、肝心なことは大気中に含まれる濃度の問題です。濃度はアメリカやヨーロッパなどは先にご紹介したように、出来るだけ少ない方がよいという考え方で基準を決めていますので日本の半分以下です。

  研究者の常識は、清掃工場は化学工場と同じで、燃やすとどんな危険な物質が出てくるかわからないので、焼却処理は止めるべきという考え方です。いろいろのものがごみとして廃棄されるので、何が含まれているかわかりません。全国で爆発事故が起きています。爆発だけでなく有害物質も発生しますから、やっぱり燃やさない立場に立つことが大事なのです。

最終処分場の延命は必要
同時に企業責任を果たさせることなしに解決しない

区は、廃プラを燃やすことにしたのは最終処分場の延命のためといいます。日本共産党はそれは大事なことだと思います。

  しかし、「大量消費や廃棄は止めよう」という自治体と消費者の取り組んでいる範囲だけで、企業が担うべき「大量生産」は一向に改善されていません。

  容器包装リサイクル法などの法律に企業の排出者責任があいまいにされたままなので、減るどころかペットボトルをみてもわかるように、小さな容器になって大量に出回わっています。これではいくら自治体と消費者が努力しても効果は出ません。

それだけでなく自治体負担は増えるばかりですから、それを理由に燃やすことを簡単に選択してはいけないと思います。

  ドイツのように、排出する企業がその責任で回収すれば、回収を効率的に行うこととか、費用も出来るだけかからないような商品開発などをします。それは資本主義の経済社会では必然のことです。そこをしっかりと求めていくように、国や自治体区に求めていきましょう。