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2005年1月16日発行 第93号 ryo@nakatsukaryo.net |
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愛知県犬山市 小さな町の大きな挑戦 1月12日、党区議団は愛知県犬山市を訪問。市が進める教育改革を視察してきました。犬山市は全国で初めて、小中学校すべてで「30人学級」を実施。人口7万4千人と小さい町ですが、授業改善や少人数学級の推進などを実施しています。 小さな町の大きな挑戦に全国が注目。市の取り組みを紹介します。 確かな学力と豊かな心子どもの「学び」実現 犬山市の教育改革について、大矢恵一さん(市教育委員会指導課主幹)は「教育委員会は、子どもの学びを支援する所だと思います。これまでの学校は先生が生徒に向って一斉に説明し、生徒は黒板に向って、ひたすらノートに書き写すいわゆる「一斉授業」が多かった。しかし本来、教育とは、子どもの興味や関心など、内面から湧き出てくるものを引きだし、豊かに育てる事。犬山市では「子どもの学びがどのような時に成立するのか」「どのような時に楽しい、面白いと感じるのか」等を研究。生徒の自主性が育まれるような授業の改善、こうした授業を行なうには少人数学級が必要です」と語ります。 また「市では独自予算で71名の講師を採用し、現行制度を工夫、少人数学級を行なっています。市の年間予算200億円の中で、市が採用した先生達の人件費は1億5千万円。決して軽くはありません。少なくない議員から「教育の実績や財政コストはどうなっているのか」等の質問も出ましたが、教育とは、いわゆる「箱もの」を作るような目に見える形、成果を追求するものでなく、あくまで「人格の完成」に尽きます。子どもが豊かに育って行けばそれでよいのです。」と話していました。 子どもの心を傷つける習熟度別学習は問題 私は「全国の小中学校で約7割が習熟度別学習を導入しているが、同時期に犬山市ではこれを退け、授業改善・少人数授業に踏み込んだのはなぜか」と質問。大矢恵一さんは「どの子にも勉強が楽しいと感じてほしいと願っていますが、それでも勉強が得意な子、不得意な子がいるのが現実です。学年が上がると、それが顕著に現れてきます。しかし、犬山市は勉強だけで子どもを評価し、クラスを分けることは絶対にしません」 協同して学ぶ教育を推進 「それは、教えあう教わりあう教育を進めることで子ども達は互いを理解し、協力する大切さを学ぶと考えるからです。少人数学級はこうした授業を可能にします。世間では、勉強のできる、できないだけで子どもを評価しがちですが、これは過ちです。大切なことは、互いに学び成長しあう力を子ども達にみちつけさせ、自信を持たせることだです。それこそが、生きる力の学習です。小学校の時は、勉強が苦手でもサッカーは誰よりも得意な子どもがいます。友達との協同の力を大切にすることで、中学校になったら急に成績がグンと伸び、高校に進学する子どもも沢山います。子どもへの限りない成長の可能性を引き上げることが教育です。小学校のころから勉強だけで振り分けることは子どもの心を傷つけ、自信を失い自分を大切にできない子どもを作りかねません。習熟度別学習は問題です。犬山市では行ないません」と語ります。 競争と評価で公教育を活性化できるのか、妥当性の根拠は全くなく、むしろ危惧される弊害が多い 犬山市教育長 犬山市瀬見井教育長は昨年10月のシンポジウムにあたり犬山市の教育改革について、次のように述べています。 「競争と評価を基準に学校や教員が改革に取り組まざる得ない状況を作ること(日経連提言)で、学校を活性化させる安易な動きが顕著です。しかし、競争と評価で公教育とりわけ義務教育を活性化できるのか、その妥当性の根拠は全くありません。むしろ危惧される弊害が多い。競争と評価の市場原理では、教師の実践が思いどうり成果を上げるとはとても思えません(要旨)」 少人数学級編成の一日も早い実現が必要 市教育委員会 市教育委員会は「犬山発21世紀 日本の教育改革 市教委編著」の中で「私たちは今、豊かな学びを保障するという目標をよりよく実現するためには、少人数学級編成を一日も早く実現することが必要であると考える。また、少人数学級をより適切に実施するためには、教育課程や教育評価のあり方も徹底的に見直していくことが大切だと考える」と記しています。 品川区の教育改革は? 品川区若月教育長は区が進める教育改革について「教員一人一人が、好むと好まざるとにかかわらず、結果的に「そうせざるを得ない状況」に学校を追い込んでいく」と述べ「30人学級」についても「私は30人学級そのものがいいとは思いません(04年第3回定例議会より)」と述べます。子どもにとって学校生活は一度しかありません。43道府県で実施されている「30人学級」など、品川区は、豊かな教育を進める教育実践を耳を傾け、真摯に学ぶべきではないでしょうか。 なかつか亮 <資料> 「犬山発21世紀 日本の教育改革 犬山市教育委員会編著」では、冒頭に「学区制を廃止し、生徒に学校を選ばせる学校選択性は、競争原理の導入による学校の改革で、犬山の改革と手法を全く異にします。習熟度別の少人数授業を実施する市町村が多くなりましたが、本来、少人数授業は全ての子どもの学びに結びつけることが基本で、習熟度別授業のためのものではないはずです。文科省のモデル校による学力向上フロンティアスクールはとても義務教育の王道とは思えません。(中略)夢を語ることで、人は自分自身を奮い立たせ、同じ夢を描こうとする人々を励まします。しかし、その夢が文字どおり絵空事に過ぎないとすれば、その夢を共有する人々に偽りを語り、自分自身をも裏切ったことになるでしょう。夢を語ることに心地よさと畏れを感じつつ本書を上梓します。2003年10月犬山市教育委員会」と記されています。 |