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南恵子区議 2012年第1回定例会代表質問「消費税増税反対」「耐震強化」「大型開発」「社会保険料値上げ」「原発からの撤退」

2012.02.23 南 恵子 区議

日本共産党区議団を代表し、南恵子区議が質問をおこないました。

質問項目

  1. 暮らしも経済も財政も破綻させる消費税増税に反対を
  2. 防災対策は生命守ることを第一に、木造住宅耐震化を強化せよ
  3. 区民に増税押し付けながら、巨額の税金つぎ込む開発はやめよ
  4. 介護保険料・後期高齢者医療保険料・国民健康保険料これ以上の値上は中止を
  5. あらためて原発からの撤退と自然エネルギーへの転換を求める

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暮らしも経済も財政も破綻させる消費税増税に反対を

私は日本共産党を代表して質問いたします。まず「暮らしも経済も財政も破綻させる消費税増税に反対を」の質問です。

野田内閣は、「政治を変えてほしい」という国民の願いには何ひとつ応えようとせず、自公政権がすすめた極端な対米従属、「構造改革」の名による国民犠牲の政治を忠実に継承、推進しています。そして、「社会保障と税の一体改革」と称して社会保障の財源に消費税増税を強行しようとしていますが、消費税増税は社会保障の財源どころか税収が落ち込み孫子の代まで国の借金を残すことになります。

3%から5%への消費税増税を強行した16年前、その前年度の税収は90.3兆円ありましたが、増税後の2010年の税収は76.2兆円、国と地方の税収は14兆円も減りました。減収の原因は何か。消費税収入は増えても、橋本内閣の9兆円負担増によって平均的勤労者世帯の可処分所得が急減し、消費支出も減少、景気はドン底に落ちたのです。

今回、野田内閣は、消費税を2014年4月に8%、2015年10月に10%へ引き上げたら13.5兆円の新たな増税を計画しています。現在は当時より可処分所得で92万円、消費支出で59万円も落ち込んでいます。そこに消費税増税と年金の連続削減や医療費窓口負担の引き上げなど社会保障切捨てなどが行われ、消費税増税と併せて総額20兆円を超える負担増を押し付けるのです。日本経済は未曾有の大打撃を受けることになります。

品川区民の生活実態はどうなっているのでしょうか。国民所得が50万円も減った10年前と比較すると、生活保護は4454世帯5295人、1.6倍に増えました。国民健康保険料滞納世帯は20.83%から25.29%に増加、商店数は5713から3割も減少し、売り上げ額も7兆円弱から6兆余に減少。工場数は1170から566と半減し、出荷額は4400億円から1300億円へと激減しています。

また、雇用の7割を支えている中小企業のうち、売上高1000万円から1500万円の71%が「価格に転嫁できない」と中小企業4団体が昨年実施した「消費税実態調査」で回答しています。消費税が創設されて23年間ずっと転嫁できていないのに、今度は税率が倍になるのですからまさに崖から谷底につき落とすようなものです。区内の商店主からも「増税されたら価格に転嫁できないので商売を続けられない。かといって廃業すると暮らせない。営業を続けるかどうかで毎日のように家族で喧嘩になり、夜も寝られない」という声を聞きました。必死になって消費税の重さに耐えて頑張っている中小企業や区民の暮らしを考えると、増税を許すわけにはいきません。

共産党は消費税率の引き上げをしなくても、社会保障と財政危機を打開して18兆から21兆円の財源をつくれるとして提言をつくりました。紹介します。

第一に、無駄づかいを一掃し、富裕層と大企業に応分の負担を求める、第二に、社会保障を抜本的に拡充する財源を、負担能力に応じて国民全体で支えるための累進課税を強化する所得税の税制改革を行うことです。

具体的に言うと、ダムや港湾、高速道路など大型公共事業の無駄を一掃して1兆円、原発推進予算のうち3000億円、軍事費1兆円を削減する。政党助成金320億円と機密費は廃止するなどです。

現行制度では所得が1億円を越えると所得税の負担率が下がります。株取引や配当に対し証券優遇税制で税金が20%から10%に減税されているからです。欧米は30%程度の課税です。本則の20%に戻すべきです。さらに政府は、法人税減税を予定していますが、中小企業の73%は赤字のために減税されず、大部分は大企業への恩恵になるだけです。法人税減税を止めるべきです。

  1. 区長は消費税増税に「反対」を示すべきですがいかがですか。
  2. 消費税増税は経済を破綻させてしまいます。区民の暮らしへの影響はどうなると思うか伺います。
  3. 商店や中小企業の倒産を加速させますがどのように考えますか。
  4. 商店や中小企業は価格に転嫁できないといい、そこが大問題です。区長はその点をどのように考えますか。

防災対策は生命守ることを第一に、木造住宅耐震化を強化せよ

次に、「防災計画はいのちを守ることを第一に、木造住宅耐震化を強化せよ」の質問です。

東日本大震災後、首都直下型大震災は区民の最大の関心事になりました。大震災への備えは、まさに時間との闘いです。

濱野区長は新年度の最重点施策に「防災対策の強化」を掲げ、「東日本大震災の教訓を生かし、あらゆる事態を想定し区民の生命と財産を守る」と防災対策の抜本的見直しを表明しました。防災ラジオ購入助成や津波対策、福祉避難所や帰宅困難者用の備蓄など追加対策をとりました。評価します。

しかし、その内容にはみすごせない大きな問題があります。それは「自助」「共助」をことさら強調し、自治体の役割を「公的機能の維持」と住民同士の助け合い・共助の「支援と調整」に限定していることです。自治体の最も重要な役割である災害を未然に防ぐための徹底した予防対策、特に、肝心の木造住宅耐震化の支援強化がないことはまことに残念です。

もちろん、震災直後、地域や住民による自主的な救出や初期消火は重要で、そのためにも日頃から住民同士がよく知り合っておくなども重要な予防対策です。しかし、地震発生後にどんなに住民同士が協力し合っても、住宅が倒れて生命を失えば救えません。どんなに備蓄品を充実しても、防災訓練を重ねていても、道路を広げても、家を倒れにくくしなければ命は救えないのです。

地震や津波の一撃から住民の命を守るための予防対策の徹底が住民の生死を分けます。東日本大震災でも改めて明らかになりました。  

6,434人の命が奪われた阪神淡路大震災も、予防対策の重要性を私たちに強烈に示しました。遺体を検案した監察医のまとめでは神戸市内の死者約2456人のうち、家屋の倒壊や家具の転倒などによる圧死で地震発生から15分程度で亡くなった人は92%もいました。犠牲者の多くが高齢者、古く狭い住宅密集の地域で暮らし、自力では住宅耐震化や建て替えができない社会的弱者に犠牲が集中しました。

濱野区長は「災害に強いまちづくりを進めるためには、住宅等の耐震化や防災広場の整備は大変重要」と述べていますが、この住宅等に木造住宅の位置づけはあるのでしょうか。

住宅耐震化拡充は特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化のみです。また、東京都の「木密地域不燃化10年プロジェクト」の内容は、建て替え促進と都市計画道路の推進であり、木造住宅耐震化はありません。品川区が掲げた品川区耐震改修促進計画の「平成27年度までに木造の住宅および共同住宅の耐震化率を90%」の期限は残り4年です。平成27年度までに耐震化が必要な木造住宅9851戸について、計画策定から5年経っても157戸程度しか進んでいません。3・11大震災を受けて、木造住宅耐震化に向けた耐震診断助成への申請が増えたものの、体制が整わず3ヶ月待ちの状況です。

耐震改修促進計画が進まない理由を、区はどう考えているのでしょうか。目標達成に責任を負うべきと思いますがいかがでしょうか。
また、改めて木造住宅耐震診断の無料化、区の責任による耐震診断士の増員、耐震改修助成の増額、家具転倒防止器具設置助成の一般世帯への対象拡大など充実を求めます。いかがでしょうか。

また、最大の問題は自力ではどうにも住宅を耐震化できない方々への支援です。ここが最も重要にも関わらず、最も遅れています。建築年数の高い木造アパートで暮らしている方の多くは区営住宅など公営住宅への入居を希望しています。防災対策の面からも、区営住宅の増設へ舵を切り替えるべきではないでしょうか。

防災対策についてのもう一つの問題は、住宅の耐震化と不燃化を別々に位置づけている問題です。都市環境事業部長は「耐震補強しても、木造密集地域はいったん火が出ると全部燃えてしまうから変わらない」「耐震化は命を守る対策であって、火災からは安全な街にはならない。ただ潰れないというだけ」といいます。住宅耐震化は、命は守るが火災の発生や拡大の抑制には繋がらないという発想です。阪神淡路大震災では建物全壊率が高い地域で、火災の出火件数が増えました。倒壊した木造住宅は、倒壊していない木造住宅と比べて救助活動をより困難にさせるだけでなく、倒壊建物は燃え広がりやすく、消火しにくくなります。地震に倒れにくい住宅にすると、地震発生の第一撃から住民のいのちを守る事と同時に、火災の発生と拡大を防げます。

また、引き続き住み続けられるということは避難生活を格段に改善させます。なぜ、住宅耐震化と住宅不燃化を別々に考えるのでしょうか。伺います。

次に、木造住宅の壁面を燃えにくい素材にして火災拡大を止める対策です。墨田区では、木造住宅の外壁に耐火性ボードを貼り付ける改修工事に助成をすると発表しました。石工などの耐火ボードを木造住宅の外壁に張るだけで通常の2階建て家屋なら延焼を90分遅らせられるといいます。品川区でも、同様の耐火ボード費用の補助を積極的に取り入れるよう求めますがいかがですか。

区民に増税押し付けながら、巨額の税金つぎ込む開発はやめよ

次は、「区民に増税を押し付けながら、巨額な税金つぎ込む開発は止めよ」の質問です

またもや大型開発に補助金投入が予定されています。これまでに区は大型開発に完成、建築中、計画中を合わせて1500億円を超える補助金を投入し、今後、さらに大崎・五反田・目黒・武蔵小山などの駅周辺と163号線沿道の国際自動車教習所跡地周辺へと拡大する予定です。また、リニア新幹線整備に便乗した品川駅南地区の92haの巨大開発が新たに計上されました。さらに、品川区まちづくりマスタープランでは都市計画道路29号線・31号線の整備促進が示され、新たな沿道再開発への環境づくりも示されどこまでも膨れ上がろうとしています。こうした開発計画の旗振り役は財界・大企業、政治がこれに呼応し、さまざまな規制緩和と税金を投入しながら各地に拡大され、品川区内はそれらの開発計画の大きな柱と位置づけられています。大規模開発へのこうした税金投入が国の借金を膨らませてきました。共産党はあらためて開発計画を止めるよう求めます。

区民も、巨大ビルをつくり続けるまちづくりに強い不満を抱いています。共産党が昨年行なった区政アンケートで、高層ビルが立ち並ぶ国際都市づくりについての質問に、「さらに進めてほしい」という回答は わずか11%にすぎず、「これ以上はやめてほしい」が65%ありました。大型開発への補助金投入は、「必要」が10%に対し、「やめるべきだ」は 72%で圧倒的多数です。また、取り組んでほしいものを聞きましたが、1位が温暖化防止で「緑化の推進と普及支援」57%。2位が「超高層ビルの規制」43%、3位は「自然エネルギーの推進と普及支援」39%という結果でした。区が進める開発は「止めてほしい」という区民の意思が明瞭に示されています。

消費税増税や各種保険料の引き上げなど、区民には増税と負担増を押し付けながら、開発には毎年巨額な税金を投入することに、区民の理解が得られていると考えているのか伺います。

かつて濱野区長に再開発について問うと、「世の中の変化に合わせてまちをリニューアルしていくこと」と説明されました。

まちづくりとは、その街を形成している住宅や商店、工場などが長い年月の中で建替えられる建物と、お寺や街並みなど生活の中で息づいているものなど後世に残すべきものの両方があります。防災上の課題解決も喫緊の課題です。しかし、品川区のまちづくりは、なぜ、どこでも巨大なビルづくりとなっているのでしょうか伺います。

また、再開発マンションが売れない事態も起きています。

3・11大震災を受けて、超高層マンションへの消費者ニーズも大きく変化しています。現在でも再開発マンションの販売は苦戦していますが、今後の需要についてどのように見通しているのか伺います。

また、高層ビル・マンションに対する長周期地震動の被害に不安の声が強く上がっています。NHKが取り上げた超高層住宅と長周期地震動は、20階以上では家具の転倒や人がへばりつかないといられない3メートルもの揺れになるというのです。区内にある建設済みの建物に対して、開発を進めてきたデベロッパーなどに、長周期地震動の影響調査と対策を求めるべきですがいかがでしょうか。

濱野区長は「再開発というのは長いスパンをかけて行う仕事。完成したときの経済状況というのはいろいろある。住宅が売れる売れないの話は、そのときの経済状況だから再開発の適否ではない」と説明しますが、公共事業として再開発マンションを誘導しながら、そこに人が住むかどうかは関係ないといいますが、まちづくりと言えるのか伺います。

品川駅南口再開発の推進に1500万円の予算が計上されました。品川区は、羽田空港の国際化、リニア中央新幹線の発着、駅周辺の大規模開発などの動きを受け、国際都市東京の表玄関に相応しい拠点と賑わいを兼ね備えたまちづくりを実現したいと説明しています。リニア中央新幹線に便乗し、先行して開発ビジョンを作るという便乗開発はやめるべきだと思いますが、いかがでしょうか。今、大震災と原発事故後の日本社会に、消費電力が従来型新幹線の3.5倍以上といわれるリニア新幹線が相応しいのかが問われています。品川区が目指す低エネルギー社会の姿なのでしょうか。東日本大震災と福島原発事故後の日本社会のあり方として適切なのか。国民的な議論を行い、再検討を求めますが、いかがでしょうか。

介護保険料・後期高齢者医療保険料・国民健康保険料これ以上の値上は中止を

次に「介護保険料・後期高齢者医療保険料・国保料、これ以上の値上げは中止を」の質問です。

介護保険制度が始まって12年が経過。区は、今年4月から向こう3年間の第5期介護保険事業計画で、保険料の基準額を月額3900円から4700円に、月800円、年間で9600円の値上げをします。

後期高齢者医療保険料も値上げになります。広域連合議会で一人当たり平均8万4,527円から9万3,258円の値上げを決めました。年間8731円の負担増が決定されたのです。介護保険料は3年に1度、後期高齢者医療保険料は2年に1度の改定なので今年はダブルの値上げです。これは低所得の高齢者にとって大変な負担増となります。

介護保険料の設定について、今までは所得300万円以上の人というくくりで、所得が5000万円あっても1億円あっても同じ保険料という高額所得者優遇の制度でした。共産党は、「所得に応じた保険料設定にし、低所得者の保険料を引き下げるべきだ」と求めてきましたので、今回の所得上限を2000万円に引き上げ、所得に応じた保険料の改善に一歩踏み出しましたことは評価します。

しかし、所得126万円の人の保険料は年約7万円になり、所得に対する負担率は5.6%にもなりますが、一方、2000万円の人の保険料は16万5千円、負担率はわずか0.8%です。改善されたとはいえ、所得が多い人ほど負担率が低くなる不公平な仕組みです。

住民税非課税者は、本来、生計費非課税の原則があり、住民税も所得税も徴収されていません。しかし、介護保険料は住民税非課税でも、最も多い人で年間5万6千円も徴収されます。あまりにもむごい取立てなので、所得に応じた公平な保険料になるよう、更なる多段階化を提案します。そして、住民税非課税者の保険料の引き下げを求めますがいかがでしょうか。

また、介護保険料は高齢化が進みサービス利用が増えれば増えるほど際限なく上がる仕組みです。高齢者への保険料負担増はもはや限界ですから、国の負担割合、現在の25%をさらに引き上げるよう、強力に求めるべきと考えますがいかがでしょうか。 

利用料負担も深刻です。低所得者にとって、保険料と1割の利用料が払えないために必要なサービスが使えないことが介護保険の最大の欠陥です。港区は、4月から低所得者の利用料を3%とし、すべての在宅サービスに拡大します。品川区も低所得者の利用料を軽減するよう求めますがいかがでしょうか。 

次に国保料の問題です。国保料の滞納世帯はついに25%を超え4世帯に1世帯となりました。高すぎる保険料を払えずに、保険証がなく医療にかかれず命をおとす人がたくさん生まれています。

今年も国保料の値上げが提案されています。年収300万円・4人世帯の場合、国保料と介護保険料は平成22年度19万4千円だったものが、今年4月からはなんと31万7千円、来年4月には経過措置がなくなるだけでも34万7千円になり、3年間で実に15万以上の値上げになります。

旧但し書き所得になったことで値上げとなった人への軽減措置は、平成23・24年度の2年間だけでなく、恒久的な制度にすべきです。いかがでしょうか。

国保料を引き下げるために、国庫負担割合を増やすよう強力に求めるべきですがいかがでしょうか。

最後に、特養ホーム、老人保健施設の整備問題について伺います。

八潮、杜松小跡につづいて平塚橋会館に100ベッドの特養を整備する計画が出されたことを歓迎します。しかし、待機者は600名もいて、入所できる人はその1割に過ぎません。待機者ゼロに向け、いつまでにどれだけ増設するのか計画を立て、さらなる建設を求めますがいかがでしょうか。

老人保健施設増設の願いも切実です。品川区にはたった1ヶ所しかなく、整備率は23区で下から2番目です。入所したくても3・4ヶ月も待たなければならない状態ですから、一刻も早い増設が求められます。区は、「増設は必要」としていますが、いつまでにどのように整備するつもりなのかうかがいます。老健施設の増設を早急に具体化すべきです。

あらためて原発からの撤退と自然エネルギーへの転換を求める

最後の質問は、「あらためて原発からの撤退と自然エネルギーへの転換を求める」です。

昨年、第3回定例会で「原発からの撤退」と「自然エネルギーへの転換」を求め質問しましたが、原発事故から11ヶ月が経った現在、原発の再稼動は中止して撤退を求めるべきです。また、自然エネルギーへの転換も求めるべきです。

野田首相は定期点検を終えた原発の再稼動を「安全を確保しながら進める」と述べ、財界も「速やかに再稼動させるべきだ」と主張しています。しかし、事故原因は未解明のまま、放射能被害もどこまで広がるかわからない状態なのにとんでもない発言です。九州電力や北海道電力と保安院などが主催した説明会は「やらせ」だったことに国民は驚きましたが、その電力会社がストレステストを実施し、「やらせ」を組織した保安院が審査したテストを誰が信用するでしょうか。こんな中で再稼動など論外で、中止こそするべきです。

原発は大量の放射能を封じ込めることができないという根本的な危険を持ち、事故が起これば放射能を無毒化できないため、その被害は長期間続き、深刻な被害を引き起こします。人類とは共存できません。地震が多発する日本に多くの原発が活断層の上にあるという事実を見るなら、原発からの撤退は当然です。世論調査でも多くの国民が求めています。

原発は、電力会社をはじめ大銀行、ゼネコン、財界と政府などがつくる「原発利益共同体」が、政治家、学者・文化人、マスコミに膨大な資金をばら撒いて「安全神話」を意図的につくり、国民の命よりも利益を優先して進めてきたのです。その結果が今回の事故でした。私は、原発から撤退するよう関係機関に働きかけることを求めます。

質問します。

区が先頭に立って、原発の危険から区民の命と地域社会を守るために、あらためて「原発から撤退せよ」と国に求めるときではないでしょうか。

次に、自然エネルギーへの転換に移ります。

2月20日付け毎日新聞は、「ドイツ、脱原発しても電力輸出超過、再生エネルギー増、消費減で」と報道しました。ドイツは、福島原発事故の教訓から脱原発を決め、昨年8月、17基の原発のうち8基を完全停止しました。震災後の昨年5月に電力不足になり輸入。しかし、10月には原発大国フランスに輸出するまでに電力供給が回復しました。その理由は、太陽光や風力などの自然エネルギーの発電に有利な条件が整ったことと、住宅の断熱化などエネルギーの効率化をあげています。

日本の自然エネルギーも大きな可能性を持っています。資源量は環境省の資料でも太陽光、風力、地熱、中小水力、潮力など20億キロワット以上と推定されており、原発54基の発電能力の40倍です。また、自然エネルギーを本格的に導入するなら新たな仕事と雇用をつくります。この豊かな可能性を現実のエネルギーとして実用化する取り組みが求められています。

区が率先して自然エネルギーへの転換に取り組むために、以下4点を提案します。

  1. すべての区有施設に、それぞれまかなえる発電量を目標に設定した太陽光発電パネルを設置するよう求めます。
  2. 区民の関心が高い施策だけに、来年度予算には太陽光発電パネルの助成対象数を増やすだけでなく助成額の引き上げをおこない、区民の取り組む意欲をさらに引き出すよう誘導するべきです。
  3. 太陽光発電だけでなくさまざまな自然エネルギーを取り入れられるように調査研究をするよう求めます。
  4. 特殊電気事業者との契約は世田谷区や足立区など他の自治体でも広がっています。区の電力を特殊電気事業者(PPS)と契約を結ぶことを求めます。

答弁

区長

国全体に関わる税制のあり方については、基本的に国の責任においてしっかりとした検討と議論がなされるべき。「社会保障と税の一体改革」についても、現在、国政の場においてさまざまな角度から熱心な議論が行われているので、一地方自治体の行政を預かる者として賛否を述べることは差し控えるべきと考える。

防災まちづくり事業部長

木造住宅の耐震化に関するご質問にお答えします。

区では、これまでも災害に強いまちづくりをめざし、防災上有効な道路や公園の整備、建物の不燃化促進などを進め、あわせて建築物の耐震化についても促進計画を策定し、進めているところです。木造住宅の耐震化も重要な課題であります。

耐震化が進まない理由について、一昨年、区の助成を受けて耐震診断を行ったにもかかわらず、耐震化に至らなかった建物所有者を対象にアンケート調査を行った結果、経済的な問題や意識の問題、高齢化などを主な理由に挙げており、区としてもこの結果を踏まえ、23年度からは助成額のアップや補強設計支援など、必要な対策を進めてきた経緯があります。とりわけ大震災後は診断件数が大幅に増加したことを考えると、区民の意識が大きな課題であると考えています。震災対策は喫緊の課題であり、震災への備えについてさらなる啓発を行います。

木造住宅の耐震化支援については、既に簡易無料診断の導入を行っており、改修助成も増額していることから、一般診断の無料化やさらなる助成額増額は考えていません。なお、家具の転倒防止については、対象者の拡大を検討、来年度は高齢者等のいる世帯も対象とする考えです。

耐震診断士については、区と協定を締結している建築士事務所協会のほかにも、都の木造住宅耐震診断登録制度に登録している専門業者が23区で319社ほどあり、区ではこのような専門家を利用した場合も助成を行っており、マンパワーについては十分であると考えます。

また、耐震化対策は区営住宅の建設により解決できるものではなく、一方、住宅対策は、地域の実情などを考慮し、民間住宅の活用など、幅広い視点での対応が必要となります。区内の公営住宅の戸数や民間のストックの状況からしても、区営住宅増設の考えはありません。

不燃化について、耐震化は倒壊から命を守るために、不燃化は市街地大火にならないよう延焼を防ぐために行うものであり、いずれも災害に強いまちづくりには不可欠なものです。

耐震化も不燃化も、建てかえが可能であれば一体として進みますが、経済的な理由等で進まないことから、まずは地震で住宅が倒壊しないよう改修支援を行っているもので、耐震化と不燃化を分けて考えているものではありません。

次に、耐火ボード費用の補助についての提案ですが、外壁に耐火ボードを張るだけでは準耐火構造と同等の効果が得られないため、耐火ボード費用補助についての考えはありません。

次に、再開発に関する質問に答えます。

まず、再開発事業に対する区民の理解についてですが、再開発事業は、市街地整備基本方針に基づき、望ましい市街地の形成をめざし、土地の権利者などが協力し合って再開発ビルの建設を行うとともに、道路や公開空地などを整備するもので、極めて公共性の高い事業です。さらに、公益施設の整備による利便性の向上とあわせ、居住者等の増加による地域の活性化がはかられることから、再開発事業を補助支援することについて区民の理解は得られていると考えます。

また、区のまちづくりについて、どこでも再開発を進めているのではなく、市街地整備基木方針で定める拠点について、工場跡地の土地利用転換や駅周辺の密集市街地の解消など、時代の変化に対応するために推進してきています。再開発に当たっては、土地の高度利用や敷地の共同化を行い、公開空地と土地基盤を生み出すために、結果的に建物は高層化しています。

次に、再開発マンションの需要見通しに関してですが、再開発事業は、市場動向を熟知した民間事業者の参画のもと、十分に練られた事業計画に沿って進められていますので、売れ残りの心配はしていません。再開発事業が進められている利便性の高いところでは、景気の影響はあるにせよ、今後も需要は続くと考えています。

続いて、高層建築物の長周期地震動についてのお尋ねですが、高さが60メートルを超える建築物は、国土交通大臣の認定を受け安全性が確かめられており、また、国では長周期地震動への対策も検討されていますので、区から事業者などに調査や対策を求める考えはありません。

また、再開発マンションの販売状況についてですが、住宅を建設する再開発事業では、保留床が再開発組合から参加組合員に譲渡され、地権者の生活再建が担保されることを重視しており、参加組合員の取得した保留床がエンドユーザーへ販売されるスピード等については問題にしていません。

次に、品川駅南地域の開発についてですが、この地域は羽田空港の国際化やリニア中央新幹線の新駅設置などによりポテンシャルがますます高まっており、土地利用転換が確実に進むものと見込まれています。区として、そのような開発が動き出す前に、まちづくりビジョンを打ち出すことによって開発を望ましい方向に誘導する考えです。

また、省エネルギーの観点からのリニア中央新幹線の是非については、区として考える問題ではなく、さらに広域な視点から議論すべきものと考えます。

健康福祉事業部長

私からは、介護保険および国民健康保険に関する質問に答えます。

まず、介護保険料についてですが、ご案内のとおり、介護保険は相互扶助の精神のもと、みんなで支え合う公的保険です。その財源は、公費2分の1と若年者を含めた保険料2分の1で構成され、サービスの総量が増えれば保険料が上昇することは、保険制度である以上当然の仕組みです。しかしながら、区では、在宅介護支援センターを中心とした適切なケアマネジメントを行っていることもあり、第五期の保険料水準は23区でも相当低額なものとなりました。このような中で、質問の低所得者への保険料軽減についてですが、保険料段階を9段階から13段階にするなどの工夫により、低所得者へ十分配慮したものとなっています。また、国の負担割合の引き上げについては、全国市長会を通じてこの間要望をしており、今後も必要に応じ要望をしていきます。

次に、低所得者への利用料の負担軽減については、保険制度の根幹にかかわることですので、国制度の枠の中で対応すべきと考えています。なお、所得段階ごとのサービス利用率にはほとんど差はありませんので、利用料負担がサービス利用の抑制にはなっていないと考えています。

次に、国保の旧ただし書方式移行にかかわる保険料軽減措置についてですが、本措置は国民健康保険料について法令が定める原則的な賦課方式である「旧ただし書方式」に円滑に移行するための経過的な措置として位置づけるものであり、恒久化する考えはありません。

なお、国庫負担割合の引き上げについては、従来より全国市長会を通じて国が十分な財政責任を果たすことを要望しており、今後も必要に応じた要望をしていきます。

最後に、特別養護老人ホーム、老人保健施設の建設についてですが、この間さまざまな工夫の中で、昨年5月には八潮南特養を開設し、次いで平成26年度開設予定の杜松′ト学校跡と27年度開設予定の平塚橋会館跡で建設を計画しているところです。今後の特養ホームの整備については、平塚橋会館跡の整備によりある程度充実した基盤となりますが、条件が整えば増設を検討します。また、老健施設についても今後とも検討をします。

都市環境事業部長

原発等に関する質問に答えます。

初めに、原子力発電については、これまで再三答弁していますように、我が国のエネルギー・産業政策の根幹にかかわる問題であり、国の責任において判断すべき事項でありますので、一自治体の立場で意見を申し上げる考えはありません。

次に、自然エネルギーへの転換についてですが、区有施設への太陽光発電パネルの設置については、これまでも自然エネルギーの普及啓発と区民への環境意識の向上を図る目的から順次進めてきたところです。今後も施設の老朽化に伴う改修や改築を行う際に、設置場所の大きさや屋上の形状など、設置上の課題を考慮しながら可能な限り導入します。また、区民・事業者への太陽光発電システム設置助成については、助成件数や事業所の対象枠の拡大など、普及啓発の強化に取り組んでいるところです。こうした施策に加え、今後は太陽光発電以外の自然エネルギーの活用についても引き続き研究を重ねていきます。

次に、PPSからの電力供給については、既に一部の小中学校で導入してきています。さらなる拡大は、PPSによる電力の需要と供給の関係から困難な面もありますが、今後とも順次拡大に努めます。

再質問

南恵子区議

ご答弁ありがとうございました。自席から質問させていただきます。

まず、消費税の問題ですが、国への意見をについては今までどおりの答弁でした。しかし、私は、区民の暮らし、また、区内の経済、こういうところにも区長さんとしての責任はあると思っています。それで、倒産を加速させるのではないかとか、価格に転嫁できないこういう実態を、具体的な状況も示しながらお尋ねをしました。この点について区長はどのように影響があると見ているのか、そこを伺います。

それから、防災のところですが、私は、防災に強いまちづくり、これは区民の皆さんの強い願いだと思います。大きな震災が起きた直後だけに、とりわけここは区民の最大の今関心事になっていると感じており、質問として取り上げたわけですが、品川区が力を入れて不燃化、木造密集地のここの改修・改善と住宅の耐震化、こういうものについて力を入れいるということはもちろん承知している上ですけれども、さらにこの部分についてはもう少し、こういう超高層ビルのまちづくりのあり方でいいのかというところを非常に今日的に気になったので質問をしました。先ほども紹介しましたが、超高層ビルの長周期地震動というのは、原因が明らかになりつつありますが、まだ全部解明されていると言えないし、その対策はまだまだ開発途上ですね。そういう中で、品川区内38棟の高層ビルがある中で、再開発ということで税金も投入しながらつくっている、そういう状況だけに、この長周期に対するきちんとした対策をとっていかない限り、区民の命、安全の問題になってくると思うので、とりわけこの問題については大いに関心を持っているところです。したがって、先ほども質問させていただきましたけれども、デベロッパーに区がきちんとした対策を―答弁では、国交省が認可を受けていて安全性が高まっているので大丈夫だという答弁なんですけれども、本当にそれだけで大丈夫なのか。NHKの「クローズアップ現代」で報道したのを見ると、振幅幅が3メートルも24階建てのところであったという状況を、区民の方々は非常に心配するわけです。そういう点でも、買わない、売れない、そんなマンションになってしまうんじやないかと心配するので、この対策についての、国交省が大丈夫と言っているから大丈夫ということじやなくて、しっかりとした検証をしていくべきだし、そういう超高層ビルというのはやっぱりつくらない、そういう立場で取り組んでいただきたいというふうに思っていますので、改めてこの点について伺います。

それから、木造住宅の位置づけについて質問したのですが、重要な課題だというふうにご答弁されました。私は、経済的な理由だとか高齢化になっているとか、さまざまな問題でなかなか建てかえが進んでいかない、耐震化が進んでいかないというこういう現状を、品川区も努力されて調査をされる中でつかんできた、そこは本当に受けとめているところですけれども、しかし、高齢化だ、経済的な問題だということでやむを得ないというふうに、手をこまねいているわけにはいかないと思います。したがって、1つは公営住宅をしっかり建設して――区営住宅ですね。そして、そこに、転居も含めて取り組んでいくという、そういうことも本当に柱にして取り組むべきだというふうに思っているんです。品川区は民間ストックがいっぱいあるからいいんだという、そういうことですけれども、やっぱり区民の皆さんのニーズをしっかりつかんで対策をとるべきだと思います。したがって、自力で耐震化できない方への施策、ここをどういうふうにするのかをもう少し詳しく伺いたいと思います。

それから、介護保険の問題ですが、多段階化は評価したいと思います。しかし、本質的な問題が、所得の低い方々に負担が重くかかっているという、そこはなかなか解消されていないということは事実だと思いますね。したがって、そこをどうするかという問題でありますけれども、例えば品川区が新しく保険料設定された2段階目を見てみると、年収が80万円以下の方なんですけれども、保険料はわずか320円。私たちの感覚で言うと320円上がるという、そんな感覚ですけれども、しかし、これ、年額にすると3,840円の増額になるんですね。この方、年収8万円の2段階の方の保険料というのは1,880円ですから、2か月分が増額になるという、こういうふうになるわけで、やっぱり低所得者に対する方の負担とはあると思います。そこをどう解消するかという、そういう考え方をしっかり持っていくべきだと思います。その点について伺います。

それから、特養のところについては、もっと具体的に計画を――老健施設ですね、具体的な計画を明らかにしていただきたいと。何回聞いても検討中、やっていく意思はあるけれども検討中だという、こういうことであって、本当に待機者がずっと広がっていく中で、もっと具体的な計画に取り組んでいただきたいと思います。お金の状況、財政の問題もありますので、それは年度を追ってつくるということは、それはやむを得ないと思いますけれども、しかし、計画そのものを明らかにするということが今必要なんじやないかということを強く訴えたいと思います。

それから、原発の問題です。自治体の意見として言えないということですが、これは極めて、私たちの暮らしにかかってくる問題ですから、そういう手を後ろにこまねいているのでなく、積極的に発言するべきだと思いますので、再質問します。

再答弁

区長

消費税の影響について、議員がさきの質問に述べたような議論もあることは承知しています。

税制の影響がどういうところにどの程度出るのか、それに対してどのような対応をとるべきなのか、こういったことも含めて今国政の場で熱心に議論をされている段階ですから、一自治体の長としてこの場で言及すべきことではないと考えています。

以上です。

防災まちづくり事業部長 

私からは、3点の再質問に答えます。

まず、まちづくりですが高層のまちづくりでよいのかという質問ですが、基本的には限られた行政面積の中で、地域の状況を踏まえてまちづくりをする場合には、場合によっては高層の建物の中で空地を生み出すということも当然必要ですので、そういう広域的な整備を進めているというようなところもありますので、ご理解いただければと思います。

あと、長周期につきましても、確かに国のほうとしては、一昨年のたしか12月に対策の方針等を出されてきていますが、まだ具体的なところまでは案としてものがとれたというような状況ではないと聞いております。そういう中で、国のほうの専門家の認定委員会等を評価した中でそういう建物を認めてきているところもありますので、区はそういう専門家の診断機関のほうにゆだねるという考えに変わりはありません。

あと、住宅の位置づけについても、耐震化についてですが、「住宅建築物の耐震化」という言葉を使っております。これは、住宅だけではなく、それ以外のマンションあるいは事務所ということも意識して「建築物」という言葉を使わせていただいて計画を策定してきた経過があります。

特に経済的な理由でなかなか困難という方のためには、シェルターとか簡易な、命を守るというような手段もあわせてメニューとして用意していますので、ほぼこれについては100%近い助成の中で、一定の年齢等の要件はありますが、対応できますので、ぜひともそういうPRをお願いできればと思います。

健康福祉事業部長

介護保険に関する再質問にお答えします。

まず、保険料の関係ですが、今回も所得の低い方に対しては相当配慮させていただきました。1つは料率の件、それからもう1つは多段階化です。ただ、多段階化については、これ以上の多段階を検討しても、対象人数が少ないこともあり、いわゆる所得の低い方についての低減という部分ではあまり大きく寄与しないと思います。

それから、特別養護老人ホームの整備ですが、土地の確保あるいは保険料の問題など、多面的な検討が必要です。そういう意味では、条件が整えば増設について検討をしていきたいと考えています。

企画部長

私からは、原子力発電に関する再質問にお答えをします。

原子力発電の今後のあり方、これは国のエネルギー、それから産業政策の根幹にかかわる大変に大きな問題です。したがって、国の責任において十分に研究をし、それから議論を重ねる、その上で判断をすると。これがまず先決であると、このように考えています。

以上

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