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いいぬま雅子区議 2013年第1回定例会 代表質問 「景気回復」「防災対策」「まちづくり」「生活保護」「認可保育園増設」「若者支援」「国防軍反対」

2013.02.21  いいぬま 区議

日本共産党は、北朝鮮が2月12日、3度目の地下核実験を強行したことに強く抗議します。北朝鮮は核実験を繰り返すことで「核保有国」としての存在を示し、新しい危険な局面に入りました。

これに対し、軍事で事を構えるのではなく、北朝鮮を対話のテーブルにつくために、中国を含む国際社会が一致して制裁を実効あるものにすること。さらに核兵器禁止条約の交渉を始め、世界が本気になって核兵器廃絶の方向に向かうことが求められています。日本共産党はこの立場で力を尽くすことを冒頭に表明し、質問にはいります。

  1. 景気回復は働く者の賃上げが決め手 「全国一の健全財政」は区民のくらし応援にこそ
  2. 防災対策最重点は大規模開発・巨大道路建設ではなく、 住宅耐震化と初期消火の強化こそ
  3. これ以上の超高層ビルはやめ、住民合意のまちづくりへの転換を
  4. さらなる貧困をつくる生活保護切り下げはやめよ
  5. 子も親も求めているのは国と区が責任をもつ認可保育園増設
  6. 若者支援は未来への投資
  7. 国防軍は反対 区長は憲法9条守れの表明を

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景気回復は働く者の賃上げが決め手
「全国一の健全財政」は区民のくらし応援にこそ

いま国民が切実に求めているのは、デフレ不況から抜け出し、国民の所得を増やし、安定した雇用、人間らしい暮らしをどうつくるかということです。

安倍自公政権は、アベノミクスと称して、無制限の金融緩和と「国土強靭化計画」200兆円もの大型公共事業のばらまきを進めようとしています。急激に円安に転じ、株価が上昇していますが、これで、デフレが解消し、国民のくらしは良くなるのでしょうか。

日本共産党は、深刻なデフレ不況は、働く人の所得が減り続けてきたことが最大の原因であり、働く人の所得を増やすことがデフレ不況から抜け出す最大のカギがあると考えます。働く人の平均給与年額は1997年をピークに66万円も減る一方、企業の経常利益は1.6倍に跳ね上がり、内部留保は260兆円にも上っています。日本共産党は、この内部留保のごく一部を使うだけで労働者の賃上げができると提案しています。8日のわが党の笠井亮議員の国会質問に、麻生太郎副総理は『企業は巨大な内部留保をため込んできた』『賃上げできる条件が企業側にあるのは確かだ』と答え、安倍首相は「経営者に賃上げを要請する」と答弁。12日には実際に日本経団連など経済3団体に『業績が改善している企業は、報酬の引き上げを検討してほしい』と異例の要請をしました。

質問

  1. 区長は、安倍政権の「アベノミクス」をどのように評価されているのか。見解を伺います。
  2. 区長は、安倍首相に続き、区内の大企業に対し、働く人の賃上げを行い、無法なリストラを止めるように申し入れを行うこと。また、生産の海外移転を国内に切り替え、下請け単価の一方的引き下げの是正、雇用の拡大を図るよう申し入れを行うことを求めます。
  3. 区長の施政方針から、区民の暮らし営業の困難さを感じることができませんでした。実態分析と対策を伺います。

防災対策最重点は大規模開発・巨大道路建設ではなく、
住宅耐震化と初期消火の強化こそ

阪神淡路大震災では、死亡の9割が建物倒壊によるもの。さらに東京都が昨年発表した首都直下型地震の品川区内の被害想定は、火災による焼失2万1600棟、焼失率32%という火災危険度が都内で最悪の結果でした。

品川区の防災対策の中心にすべきは、住宅の耐震化と不燃化、初期消火対策の強化です。

ところが都と区が防災対策のトップに掲げているのは、駅前大規模開発と都市計画道路29号線・28号線・放射2号線など幹線道路建設推進です。新年度予算には、超高層ビル中心の大規模開発には約100億円、防災予算として41億円の中には、地域住民から強い反対が出ている都市計画道路を推進する予算が含まれています。都も区も「延焼遮断帯効果」を前面に出していますが、延焼遮断帯としての効果の検証も、車両火災の危険性の検証もしない、交通量の予測もしない、まさに防災に名を借りた「巨大道路づくり先にありき」ではありませんか。

一方、区民のいのちと財産を守るために最も必要な住宅の耐震化と不燃化、初期消火対策は形ばかりになっています。木造住宅の耐震診断助成は2分の1の6万円、23区中最低のままに据え置き、補強工事や建て替え助成の増額もありません。街頭消火器は、火災危険度ランク5のわずか2町会に62本の増設のみ、予算はたったの310万円。消火栓に直接つなぐスタンドパイプは1町会に1本のみ。

質問

  1. 区長は、3・11大震災から何を教訓とされたのか。防災対策最重点と言いながら、予算の中心は特定整備路線と大規模開発です。これでは区民を守ることはできません。住宅耐震化促進、初期消火体制強化へと改めるべきです。
  2. 住宅耐震化こそ震災から区民の命と財産、地域・まちを守るための行政の最大の課題と位置付け、耐震診断は無料に、耐震改修助成は、300万円に増額することを求めます。
  3. 地域・町会・自治会に意見を聞き、街頭消火器とスタンドパイプの増配置。区内上水道の継ぎ手の耐震化など地域の初期消火体制の抜本的な強化と、消防署の職員体制、消防車の増配置など消防力強化を求めます。

これ以上の超高層ビルはやめ、住民合意のまちづくりへの転換を

区内の超高層ビル中心の大型開発がとどまるところを知りません。現在工事中や着工予定の開発は、大崎駅西口南、北品川5丁目第1、目黒駅前周辺、大井1丁目南、西品川1丁目、武蔵小山駅前の各地域。税金投入は明らかになったものだけでも1500億円。あらたに、大井町広町地区整備検討、品川駅南地域重点整備検討の予算が計上されました。今後、大崎・五反田・目黒・品川・武蔵小山などの駅周辺と163号線沿道、都市計画道路放射2号線、補助29号線、28号線沿線など区内ほぼ全域にわたる限りない開発の拡大です。開発で潤っているのは、三井、三菱、住友不動産、清水建設など大企業と大手ゼネコンです。

質問

  1. 大企業と大手ゼネコンがすすめる大規模開発への税金投入が、国と地方合わせて1000兆円にも上る借金の原因のひとつです。さらにこのように巨大開発が進めば借金はとめどなく膨れ上がります。このことについてどう考えているのか伺います。
    区は、区内に25000戸の空き家があるといいながら、この間開発マンションを5700戸建設。今後3600戸が加わりその後もつくり続ける計画です。2050年には国土の6割以上の地域で人口が半減すると予測があります。
  2. 開発によるマンションや事務所ビルの需要と供給バランスについてどう考えているのか伺います。区は「民間が売れるという見通しがあるから開発を行う」といいますが、巨額の税金を投入するのにこれでは無責任です。区として需要について調査を行い、公表すべきだと考えますがいかがでしょうか。
    区は、品川駅南地区の92haの巨大開発についてのまちづくりビジョンの中間のまとめを発表し、今年度末決定の予定です。区は、羽田空港の国際化、リニア中央新幹線の発着など、国際都市東京の玄関口にふさわしいまちをつくると説明。しかし、リニア新幹線は、消費電力が従来型の3倍以上、運転手は乗車せず災害時の安全性、強力な電磁波の影響など問題は山積しており、しかも東京大阪間を1時間30分の時間短縮への国民の要望はありません。
  3. 大義なき事業に9兆円もの資金を使い、採算が取れなければ国民にその付けを回すことになるリニア中央新幹線は見直しを求めるべきです。いかがでしょうか。
    品川駅南地域の開発には北品川・東品川都営住宅が4棟合計747戸あり、「都営住宅はどうなるのか。不安でたまらない」という声が寄せられています。
  4. 区は「都営住宅については、品川駅周辺地区にふさわしい土地利用を検討する中で東京都と協議をしていきたい」と答弁しています。区は都営住宅存続の立場に立つこと。その上で耐震化を進めるよう東京都に求めるべきです。そして、リニア新幹線の発着駅を当て込んだ開発計画は撤回すべきと考えますがいかがでしょうか。
    駅前に140m級の超高層マンションが4棟建設計画が出された武蔵小山の住民は、まちづくりマスタープランの意見公募で訴えています。「高層ビル群、未来都市のような外観をつくることが、この街の良い点を伸ばすこととは考えません。できれば武蔵小山は帰ってくればほっとできるような街並み、この街に来た人がゆっくりできるような空間であってほしい」また「私の周りではほとんどが寝耳に水でした。超高層ビルが周囲の環境に大きな影響を与えるのは事実です。区、事業者は説明してください。みんなの意見を聞いてほしい」と訴えます。
  5. まちづくりは、大企業・大手ゼネコン利益優先の大規模開発から、住民合意で進めるまちづくりに転換を求めますがいかがでしょうか。
  6. 品川区世論調査でも、区民が求める重点施策で「再開発による地域整備」を求める人は、昭和61年16%だったものが減り続け、平成20年以後は4〜5%台で推移しています。なぜ再開発を行うほど再開発を求める人が少なくなるのか、区の見解を伺います。

さらなる貧困をつくる生活保護切り下げはやめよ

生活保護基準の切り下げが実施されようとしています。生活保護法は、生活困窮者に対して国が必要な保護を行い、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」を保証するために制定されました。生活保護費は、生活を維持するために必要最低限の金額です。

2012年度、品川区の生活保護受給者は4370世帯、5248人です。内、52%は高齢者世帯であり、26%は病気や障害を持った人です。働きたくとも働けない、仕事が見つからないのが実態です。リストラ・廃業・本人や家族の病気により貯蓄が底をつき、せっぱつまって相談に見える方がほとんどです。老齢加算の廃止に続く保護費の切り下げは「人間らしい生活」を保証する社会保障の危機と言えます。

「切り下げ」の根拠にしているのは、「生活扶助費について、一般低所得者世帯(全世帯の内、収入が低い方から10%の世帯)の生活費を上回っているケースがある」という機械的な試算からです。生活保護基準以下の生活をしている人、つまり生活保護を必要とする人が保護を受けられない現状こそ問題です。

生活保護や社会保障を権利として根付かせているヨーロッパでは保護率が高いです。ドイツでは人口のうち生活保護利用者の割合は9.7%、イギリスは9.3%ですが、日本はわずか1.6%です。生活保護を受けられず餓死者が後を絶たない貧しい日本の社会保障です。

にもかかわらず、自民・公明・民主3党合意で成立した社会保障改革推進法では、社会保障を、「家族相互および国民相互の助け合いの仕組み」に変質させるものであり、憲法25条の生存権や社会保障制度の理念そのものを否定するものです。

保護基準の切り下げは、生活保護受給者だけの問題ではありません。最低賃金は、生活保護基準より下回らない事を法律で明記されおり、基準切り下げは最低賃金切り下げに連動します。住民税の非課税限度額とも連動しているので、新たに課税される世帯が広がります。最低保障年金の年金額、保険料の減免制度にも、就学援助の認定基準を定める際にも用いられる基準です。国民の最低生活を守る岩盤として社会保障の「要」が壊される大問題です。

さらに、国保料の毎年の値上げ、介護保険料、後期高齢者医療、増税など次々に負担増が襲いかかっています。区に対し、今こそ一般財源を投入し、区民を守る防波堤の役割を果たすべきと考えます。

質問

  1. 区長は施政方針の中で、社会保障や介護基盤の整備を"歳出圧力の高まり"と表現されましたが、何を意味するものでしょうか。国政では社会保障の理念の解体が狙われていますが、改めて社会保障の考えをお聞かせ下さい。生活保護基準切り下げ反対の表明と、区でできる法外援護の復活、拡充を求めます。
  2. 生活保護基準の切り下げが、区民に影響する制度と影響総額をお知らせください。
  3. 高すぎる国保料を引き下げること。国庫補助を1984年並みに戻し、広域化やめるよう国に求めてください。

子も親も求めているのは国と区が責任をもつ認可保育園増設
子ども・子育て(新システム)関連法は中止を

政府は、関連法を、"すべての子どもにとって健やかな成長を保障する制度"と説明していますが、民主・自民・公明「3党合意」で修正可決された内容は、国と自治体が、保育の責任を放棄し、児童福祉である「保育」を、営利企業のもうけにさし出す「保育の市場化」の拡大であり、社会保障の大改悪です。

子どもたちの健やかな成長を保障する保育と教育が求められていることを強調し質問します。

区が、住民要望に応え認可保育園を増設してきたことは評価します。しかし株式会社立の認可保育園が2012年に5園、2013年に4園新設と、営利企業に保育をゆだねる新システムの先取りです。

5点質問します。

1点目、保育環境の悪化です。

園庭のない保育園が次々にできています。マンションのフロアを賃貸で借り上げ、簡単に保育園が開設されます。エレベーターに乗らないと外に出られない、ベビーカーで移動しなければ外遊びができない環境でよいのでしょうか。

待機児解消のための詰め込み保育の結果、0歳児、1歳児、2歳児、3歳児も保育室が狭くて大変です。1クラスが20人30人の大きな集団のため小グループに分け、ぶつかりあわないように、あちこちの部屋を移動し部屋を使いまわしていますが、これでは子どものペースでのびのびと遊べません。

人件費削減で非正規保育士が増え正規保育士の割合が平均5割となっています。子どもの1日の生活を理解するには、8時間勤務の正規保育士が必要なのに、保育士の入れ替わりは当たり前、保護者とのコミュニケーションの時間も取れないのが現状です。株式会社の保育園が多数できれば、利潤追求のため徹底した効率化と人件費抑制が行われ保育の質の低下を招きます。

質問:新システムで、子どもが安心して、遊び・食事・休息できるスペースの確保と保育士の配置等保育環境の整備ができるのでしょうか。

2点目、待機児解消は進みません。

認可保育園を希望し入れず不承諾通知を受け取った子どもは、今年は何人でしょうか。求職中の人、ひとり親家庭やパート勤務、非正規労働者などの入園が極めて困難です。ところが新システムの認定こども園には待機児解消の義務付けがどこにもありません。

質問:新システムで待機児は解消し、すべての子どもが希望する認可保育園に入所できるようになるのでしょうか。

3点目は保育料負担増です。

日本の保育料はいまでも大変高いです。OECD調査による国際比較では、親の負担率は加盟先進国の2倍3倍の負担になっています。新システムでは、親への個人現金給付だけになり、施設への補助金制度はすべて廃止されます。保護者からの給付を施設整備に回すことになります。つまり施設整備の一部まで親の負担が増えてしまいます。保育料は負担軽減こそ必要ですが、

質問:新システムで、保護者の保育料負担は軽減されるのでしょうか。

質問: 新システムになれば、ゆきとどいた保育保障のために、保育者の賃金など労働環境の改善になるのでしょうか。

質問:保育園は児童福祉施設です。子どもの成長発達を最大限保障する施設に営利を追求する株式会社はなじみません。新システムの中止を求めます。

若者支援は未来への投資
誰もが安心・安定な仕事につけるようきめ細かな支援を

労働者を過酷な労働環境で働かせる「ブラック企業」と呼ばれる企業で、若者が壊され使い捨てにされています。

昨年夏「ブラック企業大賞市民賞」を受賞した大手居酒屋チェーンで、就職2ヶ月の26歳の女性が、過労自殺しました。1カ月の残業は140時間、「体が痛いです、つらいです、誰か助けてください」と書き残してマンションから飛び降りました。

若者の仕事をめぐる問題が深刻さを増している原因は、自民党政権の下で、企業が求めるままに労働基準法や労働者派遣法を改悪し、派遣労働者・有期契約社員など安上がりな労働者を大量に活用できる社会的仕組みをつくった政治にあります。

若者の2人に1人が年収200万円以下のワーキングプアです。2009年厚生労働省調査では「自身の収入のみ」で生活している若者は44%にすぎません。

質問:労働者派遣法を改悪して製造業にまで派遣労働を可能にしたために、非正規労働が働く人の35.5%にも拡大されました。区は、国に向けて法律の改正を強く求めるべきだと考えますがいかがですか。

仕事にたどり着けない若者への支援も急ぎの課題です。

昨年3月、中小企業センター1階に「品川就業センター」が開設されました。

質問:区が開設した「品川就業センター」に相談し就業できた人数と、雇用形態ごとの人数を伺います。

25年度新規事業、「若者向け就労支援」は大きな役割が求められています。

若者はいろいろな状況に置かれています。すぐにでも働きたい人、短時間の仕事から始めたい人など、さまざまな要求を受け止める居場所と、思いに応えられるような支援策のメニューがたくさん必要です。

足立区「あだち若者サポートステーション」では、履歴書作成、電話での面接予約から面接基本のイロハなど、訪れる若者に合わせたセミナーが充実しています。「ここに来ればなんとかなる」と気軽に集える居場所となることが必要です。

セミナーまでも行きつかない若者への働きかけも求められています。

一人ひとりおかれている状況も能力も違います。そのことを認識したうえで求職者の立場にたったきめ細かな支援事業にすることが、より若者の就労につながると思います。

質問:若者が就業にたどりつかない原因を具体的につかむことなしに対策は立てられません。区が積極的にかかわり、生徒を送り出す側の中学校や高校関係者、保健士、臨床心理士などで構成する会議体をつくり、未進学、未就職、中退者などが抱える問題を出し合い検討する実態調査を行うべきと思いますがいかがでしょうか。

質問:就業にたどりつかない事情は様々です。事情に対応した内容でセミナーを設定する必要があると思いますがいかがでしょうか。

質問:若者就業体験は社会参加するに当たって大変大事だと思いますが、委託先を公募する計画になっていますが、選定基準を伺います。また、区が最後まで責任を負う必要があると思いますがいかがでしょうか。

国防軍は反対 区長は憲法9条守れの表明を

安倍政権が憲法9条改定を現実の政治日程に乗せることを公言しています。「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めた憲法9条2項を改憲し、集団的自衛権の行使を可能にするねらいです。国会の状況を見れば、自民・公明・維新の会・みんなの党など衆議院では改憲派が3分の2を占める危険な状況がつくられています。しかしどんな世論調査でも、「9条改定に反対」が過半数を超えています。「憲法9条改定」は平和を願う広範な国民の民意に背くものです。

アメリカのベトナム戦争や、旧ソ連のチェコスロバキアやアフガニスタンへの侵攻など全ての戦争は、「集団的自衛権」の名のもとに行われました。日本はアジアで2000万人、日本人310万人もの犠牲者を出した侵略戦争の反省を踏まえて、二度と「戦争をしない」「軍隊は持たない」と定めた憲法を掲げて国際社会に復帰しました。そして戦後67年間、戦争による犠牲者をひとりも出さなかったことは憲法9条を守ってきたからです。9条を守ることが、歴史認識や領土問題など懸念が広がっている近隣諸国との深刻な事態を解決し、アジアや世界の平和に力を発揮する道だと考えます。

質問

  1. 非核平和都市宣言を持つ品川区です。区長は9条を守ることこそ平和の道であることを表明すべきです。

品川区議会は、今議会から区議会議場に国旗・日の丸を掲揚することを決めました。日本共産党は、強く抗議します。議場への国旗の掲揚にさまざまな意見がある中で、多数決で強行する事はふさわしくないと反対をしました。議場は、区民の願いや要求を反映させるため、さまざまな意見や考えが示される場です。それゆえ、区民の中にある多様な意見、少数意見も尊重、保障する言論の府にふさわしい場でなければなりません。

区民の中には「日の丸」により、戦争の苦しい体験を持つ世代がたくさんいます。アジアをはじめ外国人の中には「日の丸」に対し受け入れがたい感情があります。議場への国旗掲揚は「日の丸」を受け入れることのできない人々への強制になります。

1999年国論が2分する中、国旗法制化を強行した当時の首相は「国旗・国歌の法制化にあたり強制はしない」と明言しました。国旗を議場に持ち込むことは、さまざまな意見がある区民に国旗を押し付けることとなり、「思想及び良心の自由」を保障する憲法に背くものです。強く抗議するとともに撤回を求めます。以上で終わります。

答弁

区長

景気回復についてですが、「アベノミクス」の評価は、日本政府の経済財政運営に関する基本方針であり、国政の場において十分議論がされ、評価されるべき課題。一自治体の首長の立場で評価するものではない。

区内大企業の賃上げや生産拠点の国内への切りかえ等については、各企業の経営方針にかかわる問題で、企業が主体的に判断すべき事柄であり、区として申し入れを行う考えはない。

区民の暮らしに関する実態調査につきては、これまでも区内中小企業に対する景況調査、窓口対応や各種のアンケート調査等を通じて状況の把握に努めている。今般提案の予算の中でも、緊急経済対策をはじめ、地域経済を支え、区民生活の安定を図るための施策の充実に努めている。

次に、憲法9条に関するご質問でありますが、国政の場において議論されるべき事項であると考えておりますので、区長としての見解は差し控える。

品川区では、「非核平和都市品川宣言」制定以来、今日まで精神を広く普及する努力をしている。

都市環境事業部長(要旨)

防災対策等についてお答えします。

東日本大震災は、私たちに多くの教訓と課題を残した。巨大津波による壊滅的な被害は、沿岸部に位置する品川区でも対策の見直しが生じる。この震災から一つでも多くの教訓を学ぶことで、近い将来に高い確率で起こると言われる首都直下地震への備えに生かしていかなければならない。防災対策には「絶対」はなく、自助、共助、公助が最大限に発揮されることで、地震からの被害を最小化する。区では、大震災を契機に防災対策を最重点課題として、木密地域不燃化10年プロジェクトを中心に不燃化・耐震化の促進、初期消火体制の充実など、ハード・ソフトー体となった総合的な防災対策を行っていくことが重要。

耐震診断無料化および助成額の引き上げについては、無料簡易診断、改修助成額の増額については平成23年度に実施済みであり、無料化や助成のさらなる増額は考えていない。

街頭消火器の増設につきては、今年度の先行地区である旗の台地区をはじめとして、計画的に設置を進めるべく、予算案を提出している。今後、有効な設置場所の選定について地域の皆様と意見交換をしながら進めていく。なお、スタンドバイプの増配備につきましては、まずは操作方法に習熟するための講習会、訓練等を実施していく。

上水道の継ぎ手の耐震化については、東京都水道局において計画的に進めている。

消防力強化について、東京消防庁では、震災時の大規模火災に対しては、保有する消防車両、資器材を結集して、総合的な部隊運用により被害の軽減に努める。区として、区内の消防力を充実・強化するよう働きかけていく。

再開発事業は、品川区まちづくりマスタープランを踏まえ、望ましい市街地形成の実現をめざすとともに、工場跡地の土地利用転換や密集市街地の解消など、地域の課題を解決するため、地元の関係権利者などが協力して事業を進め、あわせて道路や公開空地などの整備も行われるもので、極めて公共性の高い事業です。再開発事業に対する補助支援は、公共性を評価しての支援であり、国費の投入は妥当。

再開発によるマンションや事務所の需要見通しは、再開発事業は民間事業者の参画のもと、十分に練られた事業計画に沿って進められている。景気の影響はあるにせよ、今後も需要は続くと考えている。

品川駅南地域のまちづくりについては、この地域は羽田空港の国際化やリニア中央新幹線の新駅決定などによりポテンシャルがますます高く、土地利用転換が確実に進むものと見込まれている。さらに、地元のまちづくりに対する気運の高まりを受け、区としても、まちの将来像を示すため、まちづくりビジョンの策定を進めている。このビジョンは、都営住宅廃止の方針を示すものではない。都営住宅の耐震化は、東京都において耐震診断を行い、計画的に進めていくと聞いている。また、リニア中央新幹線の是非については、区として考える問題ではなく、広域的な視点から議論すべきものである。

再開発事業は、大崎駅周辺に代表されるように、単なる開発ビルを建設するだけでなく、地域の抱えるまちの課題の解消、道路や公開空地などの公共空間を整備するもので、その結果、利便性の向上や居住者等の増加による地域の活性化が図られ、再開発事業周辺だけではなく品川区全体の持続的な発展に寄与している。また、再開発事業は、地元関係権利者が中心となり進める事業であり、事業主体による計画段階での近隣説明会の実施や法に基づく事前説明会など、地域の皆様に説明を尽くしながら事業を進めており、これまでの成果が世論調査の結果につながっているものと考える。

健康福祉事業部長(要旨)

生活保護等に関して答えます。

歳出圧力の意味ですが、今後、高齢社会の到来に伴い、福祉や介護に必要な経費が増加し、財政負担拡大の大きな要因となることが見込まれるといった点をあらわしたもの。社会保障については、少子高齢化の急速な進行に伴い、負担と給付のバランスや世代間の負担の公平、財源確保の問題など、さまざまな課題が顕在化してきており、国においても持続可能な制度のあり方について検討が進められている。区としてもその動向を十分に注視していく。

生活保護についての質問ですが、今般の生活保護制度の見直しは、社会保障制度改革推進法に基づき、厚生労働省社会保障審議会が生活保護の給付水準の適正化を含む制度全体の見直しを行っているものであり、反対する考えはない。また、区の法外援護の見直しについては、必要性を評価した結果であり、本年度で廃止した在宅者一時金等について、復活、拡充の考えはない。
また、社会保障審議会における生活保護基準の見直し内容が確定していないので、影響を受ける制度や影響総額は未定。

国民健康保険に関する質問ですが、国民健康保険制度は国民皆保険の基盤であり、相互扶助を理念とする社会保障制度として運営している。医療給付費が年々増加傾向にある現状において、保険料も徐々に増加することから引き下げは困難であると考えている。なお、国庫負担割合の引き上げについては、全国市長会を通じ、国が十分な財改責任を果たすことを要望している。また、国民健康保険の広域化につきましては、国保基盤の強化策として有効な方策であると認識しているので、国に対して広域化の撤回を求める考えはない。

子ども未来事業部長

子ども・子育て関連3法に関する質問に答えます。

現在の保育所設置認可基準は子どもの心身の健やかな発達を保障するものであり、今回の法改正でも変更はない。

今回の制度改革は、保育の量的拡大・確保が目的の1つとして掲げられており、区市町村は市町村事業計画を策定し、計画的に子ども・子育て支援を進めていくこととされている。また、改正後の児童福祉法第24条では、区市町村に保育所による保育の実施義務、および認定こども園や家庭的保育事業等による保育の確保義務があると定められている。新制度における利用者負担については、現行制度の負担水準や保護者の負担能力を勘案した応能負担を基本として定めるとされている。

次に、子ども・子育て関連3法は、幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援に共通の仕組みを通して総合的に子育て家庭への必要な支援を行い、一人ひとりの子どもの健やかな成長を社会で支えることを目的とするもの。区としましては、今後の国の動向を注視しつつ、本格実施に向け準備を進めていく。

地域振興事業部長

若者就業支援に関する質問に答えます。

まず、労働者派遣法に関する質問ですが、我が国の法律は、国民の代表として選出された国会議員による国会での議論をもとに制定されたものでございます。その法律に対して大きな問題があれば、区長会や全国市長会などを通じて国に要望することもある。

若者の実態につきましては、このたび設置する(仮称)若者就活相談センターでの相談状況などを踏まえ、さらに関連機関とも連携しながらその把握に努めていく。また、今後実施する就職に関するセミナーに関しましては、多様な内容を工夫して実施していく。

若者就業体験事業の委託先選定基準につきましては、「簡易型プロポーザル方式開催に伴う実施要領」に基づきまして、本事業目的の理解度、事業実績、能力、経験、企画内容などの審査基準を設け、審査会、選定会議におきまして慎重に選定していく。

品川区の若者就業支援の事業は、若者の就労を支援するというだけではなく、区内で頑張っている中小企業の人材を確保しようという2つの目的をもって運営する特色がある。事業の委託について、事業の目的や方括など、品川ならではの就業支援事業が実施できるよう、打ち合わせを進めていく。

就業センターで就職に至った人数は、本年1月末までで595人、そのうちパートタイムが276人、フルタイムが319人。また、直近では、1月中に就職した者が95人で、そのうち38人が正社員として就職している。東京労働局、ハローワーク品川と定めた平成24年度の年間就職目標が400件であり、十分な成果が出ていると評価している。

再質問

いいぬま雅子

景気対策ですが、区長は、この14年間、労働者の貸金が減り続けてきたことを実感されているのか。一方、企業は、利益を1.6倍に増やし続けてきた認識はあるか。区内企業でも無法なリストラが起こっていることを知っているのか。正しい認識をして、是正のために立ち上がっていただきたい。勇気を持ち、賃上げ要請を行ってほしい。きょうも麻生副総理が企業の内部留保を認めたこと、安倍首相が経済3団体に異例とも言える賃上げ要請を行ったことを受けて、ぜひ区長も勇気を持って区内大企業に働きかけをしてほしい。いかがか。

防災ですが、ぜひ地域の町会・自治会、皆さんの意見を聞いて、消火器、スタンドバイプの増配置をしていただきたい。特に、街灯消火器は危険な地域の9町会全て進めていただきたい。
開発の問題ですが、世論調査のところで、16%がどんどん減り続けて、平成20年度以降は4%、5%に減っている。どのように受け止めるのか。お答えをいただきたい。

4点目の生活保護のところなんですが、特に社会保障についてのお考えを伺いました。共産党は、社会保障は住民の安全を守る、健康を守る、生活を守る、福祉を守る、自治体の第一の使命であると思っています。国政で不十分なところは自治体が率先して行う。この間、革新自治体においても、自治体が区民の要望を受けとめていく中で国を変えてきた。高齢者の医療費の無料化なども、国を動かしてきた。ぜひ区でできるところ、頑張っていただきたいと思います。

保育です。部長は、前回も今回も新システムの中身を評価されました。私は、どこがよくなるのか今回質問を組み立ててみました。1点目、待機児の解消は、進むのでしょうか、進まないのでしょうか。その中身が、民間の活力の方向で進める考えなのか、それとも公立の認可保育園を充実、増やしていく方向なのか、明瞭に答えいただきたい。2点目です。公立保育園の今後です。この新システムを注視しながらやっていくとは、今までどおりの認可の公立保育園があり続けられるのか、それとも、そうではないとしたらどう変わっていくのか。この点を明確に答えをいただきたい。

再答弁

区長

麻生財務大臣あるいは総理大臣の発言を捉えての質問ですが、2人は積極的に発言をし、行動されるべき方々です。一自治体の首長というのは立場が違います。その立場に応じた努力をすべきものと考えている。

都市環境事業部長

防災対策に関するご質問と、再開発に関するご質問の2点答えます。

まず、街灯消火器の件、先行地区である旗の台地区等をはじめとして、計画的に進めていく中で、地元の十分な状況を踏まえ区としても計画的に進めていきたい。

再開発については、世論調査は、昭和61年当時、これについては、ちょうど今の東口の再開発の都市計画の決定をした時期です。当時は、駅周辺についてもなかなか土地利用が十分でなかったといったような時代状況であり、そういう中でこのような世論調査の結果が当時はなされたということ。私どもが地域と一緒に進めてきたまちづくりの成果として、一定の住民の皆さんにも理解していただいた中でこのような結果になっているものと考えております。

健康福祉事業部長

社会保障について、社会保障制度が持続可能になっていくように国においてさまざまな検討がされているというふうに考えている。
また、区におきましては、必要な保健サービス、福祉サービスについて積極的に展開しているところです。

子ども未来事業部長

子ども・子育て関連3法について

1点目、待機児童解消につながるかというご質問ですけれども、今回の関連3法がめざしているのは、保育の量的拡大・確保ということで待機児童の解消をめざしている。ただ、品川区でも顕著に見られるとおり、都市部において保育園の入園の申し込み者の増加と待機児童の増加ということが課題となっているので全力で取り組んでいく。国も区も方針としては同じ。

次に、公立保育園が今までどおりあり続けるのかについて、当面は、保育のニーズが続いていくというふうに考えておりますので、これまでどおり総合的に待機児童対策を進めるとともに、就学前乳幼児教育の充実に取り組んでいくので変わりはない。

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