2013.10.21.いいぬま雅子 区議
日本共産党品川区議団を代表し平成25年請願第12号武蔵小山駅周辺地域の開発計画に関する請願に対し賛成の立場で討論を行います。
本請願は、武蔵小山駅周辺地域の開発計画について、地元住民が広く情報収集ができ、まちづくりについて行政とコミュニケーション・協議できる場の設置を求めるものです。
審査の過程で明らかになった最大の問題は、再開発の進め方の問題です。
ほとんどの住民からすれば情報提供もされず、意見を言う場もなく、住民合意も必要とされず、東京都と品川区が、武蔵小山駅前に140m級の超高層マンションを次々に建設する再開発を、淡々と進めています。3点指摘します。
1点目は、みんなが知らない計画です。
武蔵小山の環境を考える会は、駅前で認知度を調査しました。武蔵小山駅前の140m級超高層マンション建設計画を知っていた人は、105人中27人、知らない人は78人でした。請願者は、「3割しかない住民の認知度が低すぎる現状は、街づくりのプロセスにおいて不健全」と訴えます。調査の中で「なぜ区は広報しないのか」「よく教えてくれました」という声も寄せられました。
なぜ地元住民がこの開発計画を知らないのか。 区が知らせないからです。
東京都と品川区は、10月17日スクエア荏原で説明会を開きました。ところが、この説明会のお知らせは1週間前の広報しながわに1回掲載されたのみです。内容も@武蔵小山駅東地区地区計画の変更(東京都決定)A武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業の決定(品川区決定)について、計画案の縦覧と意見書提出と説明会と書かれているのみ、開発地域の建物の高さや規模の記述はありません。この内容が駅前に140m級超高層マンションを建設する計画であることを誰が気付くでしょうか。たとえ気付いたとしても平日の夜7時からのたった1回の説明会にどれだけの人が参加できるのでしょうか。私は参加しましたが、事業を進める側の地権者とその応援団ばかりが目につく説明会でした。しかし参加者の中からは「人口急増に鉄道、バスの混雑はどうなるのか」「災害時、超高層ビルの安全性はどうか」「駅前に140m、商店街に沿って100m級と超高層ビルだらけになってよいのか。再検討を」「1回で終了ではなく、住民の疑問に答える場所をつくってほしい」など意見が出されましたが、都市計画決定のための形だけの説明会に終始しました。区民に情報が届かないのも当然です。
2点目は開発の根拠となる上位計画「まちづくりビジョン」「誘導指針」は地元区民の総意ではない点です。
審査に先立ち、理事者より武蔵小山のまちづくりの経過説明がありましたが、「武蔵小山駅周辺地域まちづくりビジョン」と「同街並み誘導指針」が、ごく限られた人々への説明で決定されたことがはっきりしました。区が区民として説明、意見を求めた相手は、荏原第一地区連合町会常任理事会の町会長と駅周辺6つの商店街の関係者のみでした。請願者も含め地元住民は、決定された「まちづくりビジョン」と「街並み誘導指針」を広報しながわと品川区ホームページで知らされるのみ、計画内容の説明を受けることもなく、意見や要望を出す機会は全くありませんでした。
注目すべきは2007年区が行った「武蔵小山駅周辺の住環境やまちづくりに対する近隣住民の意向調査」です。56ヘクタール住民2000人対象に行った「地域住民意向調査」は、結果がまとめられたにもかかわらず、公開されず住民意向は無視されました。私が情報公開で手に入れた内容は重要です。将来希望する街のイメージで、第1位に選ばれたのが「人々のふれあいを大事にする庶民的な街」44%であり、「洗練された都会的な街」は5.6%最下位と超高層の街は支持されていません。この調査結果をまちづくりに生かすべきです。住民の意向が反映されていない上位計画に沿った再開発が次々に行われれば、武蔵小山のまちは、140m、100m級ビルが林立する街に変貌してしまいます。
3点目は「まちづくりマスタープラン」策定にあたり、区民の意見が反映されていない点です。
2013年2月決定「品川区まちづくりマスタープラン」作成にあたり、パブリックコメントがありました。考える会からは、開発による人口集中、駅の混雑、学校や保育園などインフラ整備、140m高層化、風害・日照・景観・ヒートアイランドなど環境影響、個別の開発が総合された場合の地域全体の環境負荷など疑問、再考、反対など様々な意見提出がされました。まちづくりマスタープランへの意見公募は全体で287通でしたが、内容の変更は全くなく決定されてしまいました。
区が掲げる区民と事業者と行政の協働のまちづくりには、住民参加のまちづくり・地域の合意形成・協力・理解・連携という言葉がちりばめられていますが絵に描いた餅でしかありません。
「武蔵小山の環境を考える会」は、にぎわう武蔵小山駅周辺や商店街、林試の森公園をシンボルとする「武蔵小山」という土地や歴史を愛し、より良い生活環境やコミュニテイを願っている人々の会です。子どもたちや未来の人々にも永く愛される「武蔵小山」を引き継いでいきたいとまちづくり活動を行っています。
まちづくりの主人公は区民です。求められているのは「区民要求を受けとめ、民主的手法により作り上げる住民参加のまちづくり」です。様々な意見をもった区民が情報を共有し意見を交流しあってこそ住みやすい街になります。本請願を真摯に受け止め賛同を広げていただくことを訴え賛成討論を終わります。