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石田ちひろ区議 2012年度決算総括質問

2013.10.16.石田ちひろ 区議

 石田ちひろ区議

 共産党区議団の総括質疑を続けます。私からは、住民を追い出し、防災の根拠がない巨大道路補助29号線、放射2号線、補助28号線は白紙撤回し、住民参加による防災に強いまちづくりこそ進める立場で質問します。

 まず、補助29号線がどこを通るのか、ルート、幅、長さ、立ち退きを迫られる道路上の世帯数、沿道の世帯数を伺います。

 そして、この補助29号線がなぜ防災の役に立つのか、どのような効果があるのか、効果があると説明する根拠は何か伺います。

都市環境事業部長 

 補助29号線ですけれども、ルートについては、環状6号線から環状7号線まで、幅員20mということで、おおむね延長3.5kmという状況の道路でございます。

 道路内の建築物、これは前にも答弁していますが、550棟ということで、机上の数値ですが、沿道30mの範囲の中では、1,990棟というような認識を持っています。

 それから、効果については、密着地域を南北に通る道路ですので、延焼遮断の効果を期待しているという状況です。          

石田ちひろ区議

 棟数は前にお聞きしています、道路上の世帯数を聞いているんです。世帯数をお願いします。

 そして、東京都が補助29号線は防災に役立つと、根拠を示すのが、東京都の延焼シミュレーションです。そこでシミュレーションの前提条件をお聞きします。風速、風向き、車両の有無、火の粉の有無、沿道建築物の状況など、条件を伺います。

 また、大崎四丁目、このシミュレーション番号がL001、延焼棟数209棟が、補助29号線の完成で何棟に改善するのか。そして、豊町一丁目、ナンバーR009、延焼棟数1,491棟が何棟に改善するのか。西大井四丁目、ナンバーR030、延焼棟数950棟が何棟に改善するのか、それぞれ伺います。

都市環境事業部長 

 まず、世帯数ということですけれども、正確な世帯数ではありませんが、ボスティングした数という形の中では4,186件という状況です。

 それから、延焼シミュレーションの条件ということですけれども、さきの本会議の答弁でも申し上げましたように、風速が8mという状況ですし、車両火災、あるいは火の粉等の状況については想定をしていないという状況です。

 それから、先ほどちょっと3点ほどのポイントを出されましたが、シミュレーションについては、区のほうとしても、つい先日、個人情報という問題もあるので、情報共有ということで、東京都のほうから一部提供を受けましたけれども、その中で、指摘のありましたL001については、209棟が延焼すると。道路を入れたときにこれについては、変わらなくて209棟という状況です。R009というところについては、1,401棟が1,218棟に改善される、R030については、950棟が858棟に改善されると、そのようなシミュレーションの状況と確認しています。

石田ちひろ区議

 これが、今説明があったシミュレーションです。1番、大崎四丁目です。29号線の入口、整備前の延焼棟数は209棟、今、お答えいただきましたけれども、道路ができても209棟と。ここでは1棟も延焼を防げていないんです。そして、こちらは豊町一丁目、整備前は1,491棟の延焼が、道路ができても1,218棟も燃えてしまう。ここが文庫の森になります。そして避難所となる大崎中学校、ここにまで延焼が広がっている。そして、最後、西大井四丁目、整備前950棟の延焼が、道路ができても858棟も燃えてしまいます。

 29号線の入口、大崎、豊町、そして西大井と、道路ができてもこれだけ燃え広がっている。これで道路が防災対策になるとなぜ言えるのか伺います。

 さらにほかに、29号線が完成しても、1,000棟以上も延焼してしまう出火点が7カ所、500棟以上も延焼してしまう出火点が22カ所もあります。こんなに広大に燃えてしまうのに、防災となぜ言えるのか伺います。

都市環境事業部長

 東京都からシミュレーションの状況を確認した中では、35カ所を、道路の西側と東側に分けての出火ポイントと。どこの出火ポイントをとられたか、私はちょっとわかりませんが、例えば、先ほどの大崎のところでいけば、その出火ポイントが、立正大の西側になっています。ある意味では、立正大が延焼遮断帯の効果をして、その東側に29号線がありますので、そういう形の数字は、それほど変わらなかったというような状況です。

それから、豊町については、1,491棟が1,218棟ですから、当然、この出火点については戸越公園の北東側ですか、これは効果があるということで考えています。

 それから、西大井についても、おおむね大井第三地域センター地域だと思いますが、横須賀線と29号線が交差するところですので、ある意味では、横須賀線が延焼遮断帯の効果を機能したといったようなところもありますので、そういう空間をつくることが、私どものほうについては、延焼効果が期待できるといったものです。

 道路もしかり、河川もそうですし、鉄道敷き、これについても延焼効果があるといったような考え方があるかなと思っています。したがいまして、防災対策として、行政としては進めていくという考え方に変わりありません。

石田ちひろ区議

 今、道路ではないものも延焼を防ぐというところでは、この道路は、特にそこまで延焼を防いでいないのかなというふうにも聞こえました。

 品川区は、東京都が行ったシミュレーションで、防災上効果ありという結果が出た、この都市計画道路を特定路線として選定したと、説明してきています。こんなに燃えてしまうのに、なぜ効果があるのか、なぜ選定したのか伺います。

都市環境事業部長

 ちょっと、先ほどの答弁の中で補足させていただきますと、全てのポイントで、焼けどまり効果が確認されているという状況ですので、その結果の資料になっているかと思います。

 それから、やはり東京都が道路を指定したといったところは、とりわけて環状6号線の外側から環状7号線にかけて、東京都全体の中でドーナツ状にある木造密集地域といいましょうか、そこの密集地域の中でも、道路を通すことによって、火災を隣の街区のほうに移らせないといったような効果があると。ですので、私どものほうとしては、道路の整備と周辺の不燃化を進めることによって、十分な効果が期待できると考えております。

石田ちひろ区議

 道路があるために焼けどまると言いますけれども、それでも反対側はこれだけ燃えると、こんなに燃える29号線は防災の役に立たないと私は思います。

 次に、しかも、このシミュレーションは、まさに道路をつくりたいがための都合のいい設定になっているということを指摘したいと思います。その一つは風向きです。東京都の被害想定は、風向きは北北西で想定していました。しかし、このシミュレーションの風向きは道路に直角、西風、東風のみ、冬の乾燥した時期に、北風が吹けば、下のほうまで一気に火災は広がると思いますが、いかがでしょうか。

 二つ目に、このシミュレーションには車が1台もないということです。共産党はこの間、道路上の車両火災の危険性を指摘してきました。安全性も検証されていないのに、なぜ安全と言えるのかと、検証も求めてきました。車があることで、反対側にも燃え広がる実験結果も例に挙げてきました。この車両の存在のないシミュレーションで、なぜ安全と言えるのか伺います。

 三つ目に火の粉です。火災が起きれば、火の粉は飛びます。震災時は、瓦や壁の表面が崩れ落ち、下地が露呈し、燃えやすくなる。火の粉などの飛び火をなぜ想定しないのでしょうか、伺います。実態と全く合っていない現実離れしたこの条件で行われたシミュレーション、なぜ効果ありと言えるのか、改めて伺いたいと思います。

都市環境事業部長

 まず、風の向きです。今回のシミュレーションは、道路が南北に通っていますから、束から酉へ、西から東へという道路に対して直角方向の中で想定されています。そういう意味では、北北西というような話になってくれば、道路の反対側を考えると、距離が長くなります。例えば20mの道路であれば、20mよりもちょっと長くなるはずです。そういう意味では、さらに、ただ単なる風ということではなくて、一番条件の厳しい風向きを考えている東西方向ということで考えています。  

 それから、車両の件についても、以前にも申し上げましたが、阪神・淡路大震災のときに、実際に12m以上の道路でも効果があるということですし、今回の車両検証についても、想定できないものを、検証方法がないものを入れるわけにはいきませんから、きちっと検証方法があるものの条件の中で、例えば出火の危険性が、どういうものから出やすいのかといったことから、今回、消防庁のほうで想定してきているというものです。

 それから火の粉についても、確かに燃え上がれば火の粉が飛ぶということはありますけれども、これは前にも紹介いただきました墨田区のほうの内容についても、そういうことの中で不燃化を進めることによって効果があるということが言われていますので、区のほうとしては、それらの事業を縦走的に進めていくという考えに変わりありません。

石田ちひろ区議

 なぜ効果があると言えるのか、というところを、改めて伺いたいんです。車両火災の検証のモデルがない、方法がないと言われていますけれども、金沢大学の実験結果、共産党はこの間ずっと言ってきているんですけれども、道路があれば、車は必ず走ります。3,11のときでさえ、国道は車で埋め尽くされていたと思うんです。グリッドロック、前にも、後にも、右にも、左にも進めない状況、こういったことがつくられるというのは明らかではないのでしょうか。地震がきて、災害が起きて、そしてしかも首都直下型が来たときには、いろいろ倒れてきたり、また燃え広がったりと、最悪の状況を考えてシミュレーションを進めていくというのは当然ではないでしょうか。

 そして、これが延焼遮断帯と言うのであれば、その最悪の状況をつくって検証するべきではないかと思うんです。そこを伺いたいと思います。29号線は、防災と言いながら、火災は広がるし、さらに実態とは全く違う、現実離れした、こんなシミュレーションは根拠にはなりません。試算では、29号線道路建設は820億円も税金がかかります。道路だけでも4,186世帯もの住民を追い出し、商店街やまちを分断し、長年築き上げたコミュニティを壊す、命の道と言いながら、炎の道となる可能性のある車両火災の検証もない、こんな29号線はやめるべきと強く求めます、いかがでしょうか。

都市環境事業部長 

 なぜ効果があるかということです。先ほど、委員が紹介していただいた3ポイントについては、その出火ポイントの違いはありますけれども、その出火ポイントがどういう理由で定められたかわかりませんけれども、少なくとも延焼遮断帯があると。逆に、今、紹介されたのは、あまり件数が上がっていないというところです。それ以外の67件見ると、すごくよくなっています。そういう意味では、効果があるということで認識しています。

 それから、車両の関係です。もし首都直下型が来れば、環状7号線以内には車は入らないようにという制限を、当然、警視庁のほうでかけるといったような状況です。車のほうは、一番左側にとめて鍵をつけておきましょうと、何かあれば動かせるようにしておくといったような状況です。ですので、車両火災の問題というのは、まだまだ今後の研究が必要なところですし、それぞれを検証した中で、防災が進まないということであれば、行政は何もやらないことと全く同じではないかと思っています。

 それから、最悪の状況をつくって、というのも同じことですけれども、最悪な状況を想定した中で、初期消火とかいろいろな事業をやっています。耐震化もそうです、有効的な観点から道路を入れるということもそうです。したがいまして、そういう縦走的な施策を、行政としてはきちっと進めていきたいと考えています。

石田ちひろ区議

 いろいろ同時に進めていくと言われていますけれども、私は、29号線の防災効果について聞いているんです。そして、いろいろ焼けどまっているということもおっしやいますけれども、このシミュレーションを見て、私はほんとうに驚いたんです、こんなに燃え広がるのかと。そして、命の道と東京都が説明する最大で唯一の根拠が、このシミュレーションなんです。こんなに燃えて、29号線のどこに防災効果があるのかということ、ここをもう一度伺いたいと思います。

都市環境事業部長 

 先ほどのシミュレーションではありましたように、全ての点で効果があるということで、焼けどまったということが、何よりの証拠かなと考えています。

石田ちひろ区議

 そのようにしか言えないのかなと思います。ほんとうに、延焼遮断をしても、これだけ燃え広がっているという現状で、私は、燃え広がる29号線ではなく、住民参加の防災のまちづくりこそ進めるべきと思います。

 ここで具体的な対策を求めたいと思います。戸越一、二丁目のまちなみ誘導型地区計画、国土交通省も評価しているこの手法、これを区内全域に広げるべきと考えますが、いかがでしょうか。阪神・淡路大震災で最大の出火原因となった通電火災を防ぐ感震ブレーカー、この助成制度をつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、みんなで自分のまちを守ろうと、多くの町会から求めることが挙がっている街頭消火器の設置拡大を求めますが、いかがでしょうか。

 そして、スタンドパイプは増配備をし、スタンドパイプが災害時きちんと使えるように上水道管の耐震化100%を東京都に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 それから、墨田区が実施している防火、耐震化改修促進事業を、品川区でも導入していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

都市環境事業部長

 戸越一丁目の町並み誘導型地区計画ということですけれども、地元の協議会ときちっとルールを決めた中で進めなければいけない事業ですので、そういう気持がある地域のほうとは、十分な協議を進めて拡大していきたいと、これは考えています。

防災まちづくり事業部長

 何点かまとめて質問されましたので、順次。まず感震ブレーカーです。これに対する区の考え方としては、個人財産、住居の設備に関するものであり、自由の範囲であること、ガスのマイコンメーターと同様に、供給事業者の責務も含まれていること、安価で簡易に取り付けられる感震ブレーカーが市販されていること等から、現時点で助成制度等を設置する予定はありません。

 それから、街頭消火器の増設です。防災対策については、一つの対策で完全な対応が可能なのもではなく、複数の対応により備えることが基本ということです。初期消火対策についても同様で、防災区民組織への消火ポンプやスタンドパイプの配備、家庭用消火器のあっ旋等、さまざまな対策を講じていることから、街頭消火器の増設等々、木造密集地域以外に拡大する考えはありません。

 それから、水道管の耐震化だと思いますが、水道管の設置管理者は東京都水道局です。それぞれの設置管理者が責任を持って耐震化を行うことが基本となっています。したがいまして、ライフラインであり、防災上も重要な水道管の耐震化推進を東京都に働きかけていきたいと考えています。

 それからスタンドパイプです。これについては、地域における操作の習熟度や活用体制を整える状況を見極める段階であり、今後、地域における活用状況を見極めて判断する予定です。

都市環境事業部長

 墨田区がやっているような耐火バネル等々については、昨年の7月から、住宅の改善工事助成の中できちっとそういうメニューをつくってきているという状況でます。

石田ちひろ区議

 スタンドバイブを災害時にきちんと使えるように、上水道管の耐震化は東京都に責任があるというところですけれども、これを100%まで強力に求めていただきたいんです。そして、感震ブレーカー、横浜市も、もう助成制度に踏み切っているんですけれども、安価だから自分で買えるだろうというものではなく、やはり自治体が助成するとなれば、皆さん周知もされて、進んでいくと思うんです。

 ですので、こういったものはどんどん進めていっていただいて、29号線のような巨額な税金がかかるものでなくても、しっかりと地域で防災を進めていく対策が、初期消火が、火を出さないということが進んでいくと思うんです。ですので、こういった地域で住民参加の防災のまちづくりを進めていくためにも、自治体が支援をしていくことを進めていただきたいと思います、いかがでしょうか。

防災まちづくり事業部長

 水道管の耐震化です。これにつきましては、水道局が、水道管の耐震について10カ年契約ということで、しっかりとやってくれています。我々も、品川区内でいち早くやってもらうように、東京都に申し入れていきます。

 それから、感震ブレーカーですけれども、これは横浜市の設置助成は、一部の限られた町会を対象としたもので、横浜市としても基本的な姿勢は、感震ブレーカーの推奨と電気工事店の紹介ということで思っています。感震ブレーカーに対する区の考えは、先ほど申し上げたとおりです。

石田ちひろ区議

 水道管は、東京都は54%の耐震目標しか持っていないんです。ですので、これを100%にしなければ、まちの火は消せないということになりますので、お願いしたいと思います。

 最後に、区民の生命、身体、財産を守るのが自治体の責務と、防災対策基本法には明記されています。29号線を防災として必要としたシミュレーションの根拠は、もはやありません。住民追い出し、逆に危険を呼び込む道路ではなく、家を壊さない、燃やさない、燃えたらすぐに消す対策を強く求めて終わります。

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