2015.07.08 いいぬま 雅子 区議
日本共産党品川区議団を代表して、第63号議案品川区立幼稚園条例の一部を改正する条例に反対の立場で討論を行います。
本条例は、品川区立幼稚園保育料を、子ども・子育て新制度導入に伴い、国基準額に合わせ全面改正するものです。
改正内容の1点目は、現行月額保育料一律8000円を、所得により7段階の階層を設け第1階層0円から第7階層16,000円と所得により保育料に格差を設け値上げを行う。2点目は入園料2000円の廃止です。文教委員会では自民、公明、民主、無所属委員の賛成で可決となりましたが、再考を求めます。子育て教育への経済的負担軽減は区民の願いです。改めて幼稚園保育料値上げに反対するよう呼びかけます。
反対の理由を2点述べます。
第1は、保護者の負担増です。入園料がなくなり、第3階層が減額となることは歓迎しますが、問題は第4階層以上全体の83.9%の世帯が保育料値上げとなり保護者負担の増額は総額1,980万円です。最高ランク第7階層の保育料は16,000円、現行8,000円の2倍もの負担増となりとうてい受け入れられません。
審査の中で、自民党委員は、区に対し少子高齢化社会の財源、社会保障の財源が厳しい中、税金投入のバランス、公平性について重々考え、区民に説明し理解を得るよう求め、保育料値上げに賛成しました。
子育て支援をどのように考えているのでしょうか。品川区世論調査では子育て世代の30%から50%が子育て支援の充実を求め、全体でも重点施策の5番目に選んでいます。長期基本計画には、子育て家庭への経済的負担の軽減が明記されていますが、幼稚園保育料値上げは子育て支援に逆行するものです。子どもは社会の宝物です。どの子も等しく教育が受けられるように子どもすこやか医療制度のように親の所得にかかわりなく支援を行うべきです。
自民党委員から区立幼稚園には年間3億7000万円税金が投入され、保育料が安く抑えられている。また私立幼稚園との保育料格差を問題とする発言もありましたが、教育への税金投入は、子どもたちの成長発達を等しく保障するものであり、社会の未来につながるものです。私立幼稚園母の会連合会から毎年区議会に請願が出されますが、お母さん達は補助金への所得制限導入後に教育費負担の格差が広がったと訴えています。区立幼稚園保育料を値上げするのではなく、私立幼稚園入園料と保育料助成を充実させ、所得制限をなくすことこそ必要です。私立も公立も分け隔てなく、どの子も大切に育てる品川をつくりましょう。
共産党は子育てや教育に特別なお金のかからない社会を求めていますので区立幼稚園保育料値上げに反対します。
第2は、幼稚園保育料に応能負担を持ち込むことは、今後限りなく保育料値上げが行われることとなります。
現行制度を確認します。公立幼稚園は「公の施設」であり保育料は地方自治法225条による使用料にあたります。「公の施設」は「住民の福祉を増進する目的をもち区民の利用に供する」ものであり、使用料は住民の利用を妨げない額が設定されます。地方自治体は、公の施設の利用対価として使用料を徴収しますので、その額は一律であり負担困難な場合の減免制度もあります。また公の施設の設置・運営費用の回収を目的としないため、公の施設の使用料は、比較的低廉な料金に設定されています。区立幼稚園保育料は現行保育料の一律低廉な「使用料」の考え方を踏襲すべきです。応能負担の考え方は、幼稚園経費が増額するたびに保育料に跳ね返り保育料値上げとなり許されません。
区民の願いである子育て教育への経済的負担軽減に逆行する区立幼稚園保育料値上げの条例に反対するよう呼びかけ討論を終わります。