2015.12.08 安藤たい作 区議
日本共産党品川区議団を代表して、平成27年請願第33号「一人ひとりの子どもが大切にされる品川区を求める請願」の賛成討論を行います。
この請願は、認可保育園の増設で待機児童を解消し、また、安全に遊べる園庭や公園・広場など環境整備を求め、全ての子どもの成長発達が等しく保障され、健やかに育つことのできる品川区の実現を求めるものです。品川保育問題協議会から毎年、区議会に提出されており、請願内容の重要性と切実さを物語っています。この請願の内容こそ政策に反映すべきです。以下、賛成の理由を述べます。
今年4月から国の子ども・子育て新制度がスタートし、品川区も「子ども・子育て計画」を策定しました。その基本目標には「だれもが安心して産み育てることができる子育て環境づくり」がうたわれています。しかし、区長の掲げる待機児ゼロに向けては平成28年度末までの達成計画になっている上に、さらに先延ばしする改定方針が表明されるなど、ママ・パパの切迫感とは大きくかけ離れています。さらに先の文教委員会では区立保育園の民営化も打ち出され、区が保育への公的責任から大きく後退する姿勢を打ち出しました。立派な理念を言葉では掲げていますが、これでは看板倒れです。
保育の質も保たれた認可保育園の増設で希望する誰もが入れる保育園枠を確保してほしい、来年4月の待機児をゼロにしてほしい、という願いはママ・パパの切なる願いです。
しかし、品川区は待機児ゼロを「重要な政策目標」と言いながらも、「小規模保育などの地域型保育、認証保育園など、引き続き多様な手法で総合的に取り組んでいく」との答弁を繰り返し、待機児解消に必要な認可保育園の増設計画がありません。他党議員からも質疑の中で「保護者の方もいろいろと選択の幅が広がることはいいこと」「事業者の選択肢も増えてきているということもある」などと、こうした区の姿勢を支持する発言が相次ぎました。しかし、今の事態はそんなのんびりした状況ではありません。「育休明けに入れるかどうか不安で夜も眠れない」「入れなければ仕事を辞めなければいけない」「病気も抱えながら、誰にも相談できず子どもを育てている」―保育園入園を待つママ・パパの状況はどれも切実。あれこれある選択肢で自分はどの施設にしようかな、などという生易しい状況ではなく、来年4月に保育園に入れなければ仕事を失うというリアルな状況なのです。0、1、2歳は特に深刻な状況になっています。
同時に、「3歳の壁」という言葉も聞かれるようになりました。小規模保育園や認証保育園の多くは0〜2歳児までの施設のため、3歳には認可保育園などに転園しなくてはいけないため、3歳児枠が足りなくなるという事態です。
私にも思い当たる節があります。私の娘は、二人とも社会福祉法人の認証保育園を経て、現在区立の認可保育園に通っています。現在の保育園は、就労保障としての機能はもちろん、子育て上の相談をしたり、親友ができて家族ぐるみで交流したり、私たち夫婦の子育てにとってかけがえのない存在です。認可保育園に移る前、1歳までお世話になった認証保育園も、子どもを真ん中に置き、親と職員の交流も活発で、とてもよい環境でした。しかし2歳までしかいられないこともあり、転園せざるをえませんでした。
また、現在、無認可保育園や認証保育園、小規模保育等に子どもを預けていると認可保育園入園選考時の加点になるため、育休を切り上げてこうした施設に預けている親がたくさんいます。
親の強い願いでもあり、0歳から5歳まで必要な受け入れ枠を提供できる認可保育園の抜本増設こそ、待機児解消のために必要です。
この請願は、園庭やそれに代わる環境の整備についても求めています。園児にとっての園庭の意義はどの会派も否定できませんでした。芋ほりなど食育や、夏のプール遊び。晴れたらすぐ飛び出していける目の前の園庭。いずれも子どもたちの成長にとって大切な環境です。園庭のない、とあるビル内の認可保育園では、プールはタイル張りの窓のない屋内のシャワー室で行っており、夏の太陽の下で日差しを浴びて水浴びすることすらかなわない状況をご存知ですか。園児を連れ、向かった公園がすでに一杯になっているときは、次の公園を求めさまよう状態。これで子どもたちの成長に責任を負う環境と言えるのでしょうか。あまりにも不十分です。「園庭が基本」との考え方を区が持つことこそ、子どもの健やかな成長発達を保障する環境整備も進むと考えます。
最後に、区立認可保育園の民営化について一言、述べます。
区は12月1日の文教委員会で区立保育園の民営化を検討すると表明。これは、2019年度以降から当面5園程度、運営業務委託から始め売却も含めた民営化を検討するものです。その理由を「公立園には運営費の国および都からの負担金は支給されず、運営経費は保護者からの保育料を除き、区の一般財源で負担している」と述べますが、保育園の運営に一般財源を使うことは無駄と言わんばかりの理由に耳を疑いました。都からの財政調整交付金には、それぞれの人口規模などに応じて、保育園の運営経費が含まれています。区は、保育園の経費として支給された交付金を保育園にはなるべく使わず、浮いたお金を溜め込み基金にまわすという姿勢です。安心して子育てできる環境を整える保育園の増設と運営に区の税金を使わずして、何が地方自治体でしょうか。保育園の民営化には断固反対です。
以上、全ての子どもたちが大切にされる品川区の実現へ、行政が責任を持ち来年4月の待機児ゼロを実現させるよう強く求め、賛成討論を終わります。